糖尿病治療に、新たなパラダイムシフト到来か!?

渡部太郎先生 :N Engl J Med. 2015 Sep 17. [Epub ahead of print]
糖尿病治療に、新たなパラダイムシフト到来か!?
Empagliflozin, Cardiovascular Outcomes, and Mortality in Type 2 Diabetes;EMPA-REG OUTCOME
【背景】かつて、Rosiglitazone で、大騒ぎとなった心血管イベント増加問題を受け、FDA は新規の糖尿病治療薬の
承認には、少なくとも心血管イベントを増加させないエビデンスを要求します。これまで、複数の DPP4 阻害薬で、心血
管イベントを増やさない(非劣性)の試験で、優位性(イベント抑制)が期待されましたが、肩透かしが続き、各メーカー
は、「もともと、非劣性を示すための研究ですから、、」と、言い訳に奔走しておりました。しかし、その頃から、皆の関心
は、もし SGLT2 阻害薬で、優位性が証明されてしまったら一体どうなってしまうのか?に移っていました。。そんな中、
EMPA-REG OUTCOME 試験より、驚きの結果が報告されました。
【方法】592 施設、7,020 名の心血管イベントハイリスクを有する 2 型糖尿病患者を対象に、無作為化二重
盲検プラセボ対照試験(エンパグリフロジン群 4687 名(10 ㎎ or 25 ㎎)、プラセボ群(n=2333))が行われ、
主要評価項目として、3 point MACE[心血管イベント死 or 非致死性心筋梗塞 or 非致死性脳卒中]について
検討されました。
【結果】エンパグリフロジン群は、プラセボ群に対し 3P-MACE において、14%リスクを減少させました。特に、
心血管死において、38%、総死亡については 32%のリスク減少を認めましたが、 非致死的心筋梗塞およ
び非致死的脳卒中については、標準治療群との差は認めませんでした。有害事象では、性器感染症が有
意に増加し、サブ解析では、65 歳以上、HbA1c 8.5%未満、BMI30 未満、アジア人で、有益性が高いこと
がわかりました。
【結論】このように、EMPA-REG OUTCOME 試験の結果は、トップバッターが、いきなりサイクルヒットを打って
しまったような驚きの結果が報告されました。今後、SGLT2 阻害薬に懐疑的だった専門医たちも、治療の再考を迫ら
れそうです。私としては、質の良い HbA1c は心血管イベントを減らすという甘い言葉を盲信し、大量に処方されてきた
DPP4 阻害薬の今後の展開が、どちらかと言えば、気になります。。
(文責 阿比留)