肢体不自由教育部門 <五感を活用した授業 ≪授業グループ≫ ~五感を通して理解と吸収を促す授業~> 【授業のユニバーサルデザイン化】 <肢体不自由教育部門> 教科:グループ学習(感覚) 「秋の果物を収穫しよう」 実態 ・身体面は、興味のあるものには自ら手を伸ばせる児童生徒、車 椅子で自操ができる生徒、わずかな動きで表出する児童生徒 など様々である。 ・コミュニケーション面では、発語や発声で伝える児童・生徒、 表情や視線、身体の動きによって伝える児童生徒など様々で ある。 ・みかん狩りの活動では、 「みかんの木」と背景の区別がつきに はじめの様子 くかった。レプリカは、視覚が弱い児童には「みかん」とい う認識がしずらかった。 【ユニバーサルデザイン】 ○視覚や嗅覚、触覚で確認し、素材感を楽しめるようにした。 使い方 ①暗い色の布を用いて「みかんの木」と背景のコントラストの明確化。 ②果実(レプリカ)にオレンジスプレーをかけ、嗅覚を通して、み かんの木の近くに来たこと、及び「みかん」を理解する手がかり にした。 【結果】 ・みかんを収穫した後、鼻の近くに持っていくと、目を大きく 結果 開けて少し静止し、香りに気づいたような様子が見られたり、 不思議そうな表情で香りをかいでいる様子が見られたりし た。また意欲的にみかんをもぎ獲ったり落としたりする児童 生徒もいた。 教科:グループ学習(音楽) 「遊園地へ行こう」 実態 ・身体面は、興味のあるものには自ら手を伸ばせる児童生徒、車 椅子で自操ができる生徒、わずかな動きで表出する児童生徒 など様々である。 ・コミュニケーション面では、発語や発声で伝える児童生徒、 表情や視線、身体の動きによって伝えるなど様々である。 はじめの様子 ・風船をつけたパラシュートの活動では、素早く上下するパラシ ュートや、揺れる風船を注視することが難しい様子も見られた。 【ユニバーサルデザイン】 ○風船の動きや感触をじっくり楽しめるようにした。 使い方 ①教室を暗くして、照明で風船を照らすことで焦点化。 ②パラシュートを静止する時間を設けたり、児童生徒の近くで ゆっくり上下に動かしたり回転させたりする。 【結果】 結果 ・カラフルな風船を使用する、下から照明で照らす、パラシュ ートを平面やドーム型で一定時間制止させる等の工夫で、よ り興味を惹き、注視や追視を促すことができた。 【授業のユニバーサルデザイン化】 <肢体不自由教育部門> 教科:グループ学習(感覚) 「ボールの感触を味わおう」 実態 ・身体面は、興味のあるものには自ら手を伸ばせる児童生徒、車 椅子で自操ができる生徒、わずかな動きで表出する児童生徒 など様々である。 ・コミュニケーション面では、発語や発声で伝える児童・生徒、 表情や視線、身体の動きによって伝える児童生徒など様々で ある。 ・パラシュートを使ったボールプールの移動では、ごつごつ はじめの様子 とした感触を楽しむ様子が見られた。時折、ボールを大き く跳ねさせたりすると喜ぶ様子が見られた。 【ユニバーサルデザイン】 ○分かりやすいかけ声で、タイミングを知らせ見通しを持てる 使い方 ようにする。 ・タイミングを図る時のかけ声を教員間で「1,2 の 3」に統 一し、繰り返し取り組んだ。 1,2 の 3 【結果】 ・かけ声を聴いた時に、次の活動に期待を持つ様子が見られ 結果 た。それまでバラバラであったかけ声を「1,2 の 3」に統 一することで、音声情報の持つ意味に気付き、見通しを持 つことに繋がった。 【授業の合理的配慮】 教科:グループ学習(感覚) 「秋の果物を収穫しよう」 実態 ・手指の力が弱い。 ・児童生徒の手の大きさは様々である。 はじめの様子 ・手の大きさによっては、 「みかん」を触ったり、持ったりして 楽しむことが難しい様子だった。 【合理的配慮】 ○触覚を生かして、素材(みかん)を味わえるようにした。 使い方 ①個々の手に取りやすい大きさの「みかん」を用意した。 ②自らの手で、 「みかん」を持ったり、獲る手ごたえを感じられ るような支援をした。 ③手触りや香りをじっくり感じられるように、時間を十分取る。 【結果】 ・収穫場面では、つかみやすい大きさや、獲りやすい高さや位 結果 置に配慮することで、自発的に手を伸ばしたり、少ない支援 で収穫したりすることができ、個々の達成感や満足感につな がる手立てとして有効だった。 教科:グループ学習(運動) 実態 「絵本を読んで身体を動かそう」 ・感覚受容面においては、視覚情報が特に有効な児童生徒もい れば、視覚情報を受けとるのは難しいが、聴覚、触覚などの 情報を手がかりにできる児童生徒など様々である。 ・聴覚情報や触覚情報が手がかりになる児童生徒。 ・導入場面では、大型TVで活動の写真を呈示した。視覚優位の はじめの様子 児童生徒へは有効であったが、視覚情報を受け取ることが難し い児童生徒へは情報が不足していたように感じた。 【合理的配慮】 ○様々な感覚情報を併用することで、より幅広い実態の児童生 徒の理解を図る。 使い方 ①動画を用いることで、視覚的情報が増えることの他、視覚情 報を受けとることが難しい児童生徒にとっても、音声が活動 内容を知るための聴覚的な手がかりとなるようにした。 ②大型TVからの呈示に加え、各活動で使用する具体物を用意 し、実際に触って活動内容を知る場面を設けた。 【結果】 ・静止画に加え動画も活用することが、聴覚情報を手がかりに 結果 する児童生徒にとって有効だった。さらに、使用する具体物 に触れることで触覚情報を活用し理解を図ることができた。 ・本単元においては、視覚・聴覚・触覚情報を併用することで、 実 態の幅広い児童生徒の理解と吸収を促すことができた。
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