民法予習編 第 10 回目 レジュメ

民法予習編
第 10 回目
レジュメ
・動産についての物権変動
・動産とは何か?
民法 86 条 2 項「不動産以外の物は、すべて動産とする。」
・民法 176 条「物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、
その効力を生ずる。
」
⇒物権変動は当事者の意思表示のみによって効果が発生(意思主義)
・民法 178 条「動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、
第三者に対抗することができない。
」
対抗要件
不動産の場合 :
登記(177 条)
動産の場合
引渡し(178 条)
:
・民法 178 条「動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、
第三者に対抗することができない。
」
・物権の譲渡
⇒ 所有権と質権
・引渡しとは? ⇒ 現実の引き渡しと観念的な引き渡し
引き渡しとは? ⇒ 占有権を譲渡すること
⇒占有権とは?
民法 180 条「占有権は、自己のためにする意思をもって物を
所持することによって取得する。」
主観的に自己のためにする意思である占有意思のあること
+
客観的に所持すること
・客観的に所持すること、について
民法 181 条「占有権は、代理人によって取得することができる。」
⇒代理人の手元にあって、代理人が支配している場合でも、
本人に「自己のためにする意思」である占有意思があれば、
本人にも占有が認められる。
本人(占有意思あり)
代理人(占有意思あり)
間接占有
直接占有
⇒民法 181 条はこのような観念的な占有でも占有と認めるという条文
・民法 182 条「占有権の譲渡は、占有物の引渡しによってする。
」
⇒現実の引き渡し
・民法 182 条 2 項「譲受人又はその代理人が現に占有物を所持する場合には、
占有権の譲渡は、当事者の意思表示のみによってすることができる。」
⇒簡易の引渡し
簡易の引渡し
本人(占有意思あり)
代理人(占有意思あり)
(意思表示のみで引渡し)
間接占有
直接占有
・民法 183 条「代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示したときは、
本人は、これによって占有権を取得する。」
⇒占有改定
占有改定
本人(占有意思あり) 代理人(占有意思あり)
(意思表示のみで引渡し)
間接占有
直接占有
・民法 184 条「代理人によって占有をする場合において、本人がその代理人に対して以後
第三者のためにその物を占有することを命じ、その第三者がこれを承諾し
たときは、その第三者は、占有権を取得する。」
⇒指図による占有移転
指図による占有移転
本人(占有意思あり)
間接占有
代理人(占有意思あり)
直接占有
(意思表示のみで引渡し)
新所有者(占有意思あり)
間接占有
承諾
引渡し(占有移転)の態様
① 現実の引渡し
② 簡易の引渡し
③ 占有改定
④ 指図による占有移転
・民法以外の引渡し
動産・債権譲渡特例法 3 条
「法人が動産(・・・)を譲渡した場合において、当該動産の譲渡につき動産
譲渡登記ファイルに譲渡の登記がなされたときは、当該動産について、民法
第 178 条の引渡しがあったものとみなす。」
法人であること
⇒
+
動産譲渡登記ファイルに登記すること
⇒民法 178 条の引渡しがあったとみなされる
・民法 192 条「取引行為によって、
平穏に、かつ、公然と
動産の占有を始めた者は、
善意であり、かつ、過失がないときは、
即時にその動産について行使する権利を取得する。
」
<不動産の場合>
取引の相手が登記を持っていたとしても、94 条 2 項の場合などのように
例外的な場合でなければ、所有権を得ることはできない
<動産の場合>
取引の相手方が、その動産を占有していたならば、
その相手方がその動産の権利者でないとしても、
その動産についての所有権を取得することができる
=相手方の占有について公信の原則を認めている
←動産の場合は、登記のような制度がないため、取引の相手方がその動産
の権利者であるかどうかは、占有により見分けるしかない
<要件>善意・無過失・平穏・公然
・即時取得によって取得することのできる権利は、所有権と質権
・登録された自動車には、即時取得の適用はない
登録されていない自動車には、即時取得がありえる
民法 192 条
「取引行為によって、
平穏に、かつ、公然と
動産の占有を始めた者は
善意であり、かつ、過失がないときは、
即時にその動産について行使する権利を取得する。
」
・
「占有を始めた」とは?
占有改定の場合
本人(占有意思あり)
代理人(占有意思あり)
(意思表示のみで引渡し)
間接占有
直接占有
本人がこの箱の所有権を取得できるか?
判例百選 1 冊目第 66 番
「無権利者から動産の譲渡を受けた場合において、譲受人が民法 192 条
によりその所有権を取得しうるためには、一般外観上、従来の占有状態に
変更を生ずるがごとき占有を取得することを要する」
⇒占有改定の場合、従来の占有状態に変更はない
⇒占有改定の場合は、即時取得は認められない
・民法 193 条「前条の場合において、
占有物が盗品又は遺失物であるときは、
被害者又は遺失者は、
盗難又は遺失の時から二年間、
占有者に対してその物の回復を請求することができる。」
⇒取引によって、動産を手に入れた者に対して、本来の権利者が、返還請求
することができるという条文
<要件>・占有物が盗品又は遺失物であること
・盗難又は遺失の時から二年間以内であること
ただ、動産を手に入れた占有者が、その動産を手に入れるにあたって、
民法 194 条の場合のように「買い受けた」場合ならば、
「支払った代価を弁償しなければ、その物を回復すること」ができない
←本来の権利者 と 対価を支払って動産を手に入れた占有者の
それぞれの利益を調整している条文
・明認方法
木の所有権の公示方法
①
登記する(立木に関する法律)
②
明認 ex.木の皮をけずってそこに所有者名を書く
立て看板
(レジュメここまで)