フーリエ・ラプラス解析 同志社大学理工学部 水島二郎 2015 年 5 月 9 日 i まえがき フーリエ・ラプラス解析は比較的応用数学とみなされ,特に機械工学におけ ては,振動現象の解析・制御工学における応答解析・伝熱工学での熱伝達解析 などで必要な基本的な知識であるばかりでなく,電気回路・電磁気学などを含 む幅広い分野においても重要である.これら科学技術開発・産業分野での応用 に必要な最低限の知識のひとつではあるが,幅広く数学を学び,理解するため の基本的な知識でもある.フーリエ・ラプラス解析に限らず,数学や物理学の それぞれの分野の知識は相互に深く関係し,一つの分野について深く知ること は他の分野について学ぶときに大いに力となってくれる.また,いろんな分野 について学ぶことは,数学や物理学の構造あるいはそれらの学問がもつ論理を 理解するときに役立つことになる.フーリエ・ラプラス解析を学ぶにあたって も何かに役立てようという気持ちではなく,ひとつ一つの知識を大切に愛で, 楽しむことが大切であり,学びの喜びにつながることだろう. 2015 年 3 月 著者 ii 目次 第 1 章 フーリエ・ラプラス解析の位置づけと応用・数学の基礎知識 1.1 フーリエ・ラプラス解析の位置づけと応用 . . . . . . . . . . . 1.1.1 ラプラス変換 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1.1.2 フーリエ級数 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1.1.3 フーリエ変換 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1.2 フーリエ・ラプラス解析のための数学基礎 . . . . . . . . . . . 1.2.1 数 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1.2.2 上界・下界と上限・下限 . . . . . . . . . . . . . . . . . 1.2.3 関数の連続性 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1.2.4 関数の偶奇性 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1.2.5 1変数関数の微分と差分 . . . . . . . . . . . . . . . . . 1.2.6 2変数関数の偏微分と全微分 . . . . . . . . . . . . . . 1.2.7 1変数関数の積分と和分 . . . . . . . . . . . . . . . . . 1.2.8 2変数関数の積分と変数変換 . . . . . . . . . . . . . . 1.2.9 微分方程式 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1.2.10 べき関数と指数関数 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1.3 ガンマ関数 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1.3.1 ガンマ関数の定義と広義積分 . . . . . . . . . . . . . . 1.3.2 ガンマ関数の性質 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1.4 ベータ関数 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1.4.1 ベータ関数の定義 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1.4.2 ベータ関数の性質 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1.4.3 ベータ関数とガンマ関数の関係 . . . . . . . . . . . . . 第 2 章 ラプラス変換 2.1 ラプラス変換の定義とその基本的な性質 2.1.1 ラプラス変換の定義と存在条件 . 2.1.2 ラプラス逆変換の定義と求め方 . 2.1.3 基本的な関数のラプラス変換 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1 1 1 1 2 2 2 3 3 3 3 4 4 5 6 7 9 9 10 10 10 11 11 . . . . 14 14 14 15 15 iii 2.1.4 ラプラス変換の基本公式 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 18 1 第 1 章 フーリエ・ラプラス解析の 位置づけと応用・数学の基 礎知識 1.1 1.1.1 フーリエ・ラプラス解析の位置づけと応用 ラプラス変換 ラプラス変換は最初は電気回路を流れる電流や電圧の時間変化を記述する微 分方程式を演算子操作により簡単に解くために考えられた解析手法の1つで あったが,その後ラプラスにより数学的な定式化がなされた.ラプラス変換は フーリエ変換・複素関数論と関係深く,ラプラス変換を基礎から十分に理解す るには,関数の連続性・微分可能性・関数列の収束などの知識や微分・積分学 の知識が重要である.ラプラス変換は主に線形常微分方程式の初期値問題を解 くために用いられる.もちろん,線形偏微分方程式にも適用可能である.ラプ ラス変換は関数,たとえば x(t) から別の関数 X(s) への変換である.ラプラ ス変換を行うと微分や積分演算子が変数 s の積や商に置き換わることが多く, 微分方程式を代数方程式に変換し,変換された代数方程式の解をラプラス逆変 換することにより,微分方程式の特解を得ることができる.工夫次第では,微 分方程式の一般解を求めたり,境界値問題を解くことも可能である.非線形微 分方程式に適用することは難しい. 1.1.2 フーリエ級数 フーリエ級数は最初は偏微分方程式である熱伝導方程式を解くために考え出 された.フーリエ級数は周期関数 f (x) を正弦関数 (sin nx,n = 1, 2, . . .) と余 弦関数 (cos nx, n = 0, 1, 2, . . .) の線形結合で表す方法である.これを関数 f (x) から展開係数ベクトル a への変換であるとみなすこともできる.コンピュータ でよく用いられる離散フーリエ変換 (Fast Fourie Transform) と関係深い.ま 第 1 章 フーリエ・ラプラス解析の位置づけと応用・数学の基礎知識 2 た,数学的にはラプラス変換とも関係づけられる.フーリエ級数を理解するた めには,微分・積分学だけでなく,複素関数論や線形代数学 (ベクトルと行列) の内積や直交性の考え方を十分に理解する必要がある.線形偏微分方程式を解 くときに解をフーリエ級数で表すと各フーリエ成分が独立になり,線形常微分 方程式となるので,容易に解を見つけられることが多い.関数の微分を変換後 の独立変数と関数の積として表すことができるので,コンピュータを用いた偏 微分方程式の高精度の数値解法に用いられる.工夫により,非線形方程式を解 くためにも用いることができる.また,周期信号の周波数分析にも用いられる. 1.1.3 フーリエ変換 フーリエ変換は関数を別の関数に変換する方法であり,フーリエ級数と似て いるが,周期性をもたない関数にも適用することができる.また,フーリエ級 数は関数からベクトルへの変換と見なすこともできたが,フーリエ変換は関数 から関数への変換である.フーリエ変換は無限領域で定義された関数の偏微分 方程式を解くために用いられる.無限に広い空間を伝わる波動を調べる際にも 使用される. 1.2 1.2.1 フーリエ・ラプラス解析のための数学基礎 数 数について考えるために自然数を出発点としよう.自然数に足し算 (加法) と その逆演算である引き算 (減法) を導入すると,整数の概念が生まれる.整数 には 0 が含まれ,0 の導入は数の位取りを可能として,どのように大きな数を も表すことができるようになる.整数にかけ算 (積) とその逆演算である割り算 (商) の演算を導入すると,有理数を必要とする.有理数は稠密性をもつ.正の 有理数に平方根の演算を導入すると無理数が生じる.実数は数直線上の有理数 を2つの集合に分けるときの切り口として定義されるが,有理数の数列 (コー シー列) が収束するときの極限を含む (実数の完備性) ことと同じ.負の有理数 に平方根の演算を導入すると虚数が生じる.実数と虚数の和を複素数という. 実数も虚数も複素数の特別な場合として複素数に含まれる. 第 1 章 フーリエ・ラプラス解析の位置づけと応用・数学の基礎知識 1.2.2 3 上界・下界と上限・下限 実数 R の部分集合 S のすべての元 x がある定数 α よりも小さいか等しい とき (x ≤ α), S は上に有界であるといい,α を上界という.同様に, S のす べての元 x がある定数 α よりも大きいか等しいとき (x ≥ α), S は下に有界 であるといい,α を下界という. また,S が上に有界のとき,S の上界の最小値を上限といい,S が下に有界 のとき,S の下界の最大値を下限という. 1.2.3 関数の連続性 関数 f (x) が x = x1 において連続であるというのは,どのように小さな ϵ (> 0) をとっても,|x−x1 | < δ の範囲にある任意の x について |f (x)−f (x1 )| < ϵ となる δ (> 0) が存在すること.簡単に,limx→x1 f (x) = f (x1 ) と表す. 1.2.4 関数の偶奇性 関数 f (x) が任意の x について f (−x) = f (x) が成り立つとき,f (x) は偶 関数であるといい,f (−x) = −f (x) が成り立つとき,f (x) は奇関数であると いう.−a ≤ x ≤ a (a > 0) で定義された任意の関数 f (x) は偶関数 fe (x) と 奇関数 fo (x) の和で表すことができる.eix = cos x + i sin x もその一例であ る.同様に ex は偶関数である双曲余弦関数 cosh x と奇関数である双曲正弦関 数 sinh x の和で,ex = cosh x + sinh x と表される. cosh x と sinh x の間には cosh2 x − sinh2 x = 1 の関係があることにも注意すること. 1.2.5 1変数関数の微分と差分 関数 f (x) が x = x1 において微分可能であるというのは,x = x1 + h を考 えたときに, f (x1 + h) − f (x1 ) df (x1 ) = lim (1.1) h→0 dx h が存在すること (h > 0 のときと h < 0 のときの極限値が一致すること).微 分係数 (df /dx)(x1 ) において,x1 を変数と考えて x とおき,(df /dx)(x) と 表して,関数 f (x) の導関数あるいは微分という.関数 f (x) が離散的な値 xi (i = 1, 2, . . .) で定義されているとき,fi = f (xi ) とおくと, ∆f fi+1 − fi (xi ) = ∆x xi+1 − xi (1.2) 第 1 章 フーリエ・ラプラス解析の位置づけと応用・数学の基礎知識 4 を差分という. 問 1.1 関数 f (x) = 2x の導関数 df (x)/dx を求めよ. 1.2.6 2変数関数の偏微分と全微分 関数 f (x, y) が (x1 , y1 ) において x について偏微分可能であるというのは, (x, y) = (x1 + h, y1 ) を考えたときに, ∂f f (x1 + h, y1 ) − f (x1 , y1 ) (x1 , y1 ) = lim h→0 ∂x h (1.3) が存在すること (h > 0 のときと h < 0 のときの極限値が一致すること). (∂f /∂x)(x1 , y1 ) において x1 と y1 を変数と考えて x,y とおき,(∂f /∂x)(x, y) と表して,関数 f (x, y) の x についての偏導関数あるいは偏微分という.y に ついての偏微分も同様. 変数 z が2変数 x,y の関数で z = f (x, y) と表されるとき,関数 z の全微 分 dz を ∂f ∂f dz = dx + dy (1.4) ∂x ∂y で定義する. 問 1.2 関数 z = f (x, y(x)) = 2x y(x),y(x) = ex のとき, 微分 dz/dx を求めよ. 1.2.7 1変数関数の積分と和分 閉区間 x = [a, b] で連続な関数 f (x) がある.[a, b] 内にある n + 1 個の点を x0 = a < x1 < x2 < . . . < xn−1 = xn とする.xi+1 − xi の最大値を δ とする とき, ∫ b n−1 ∑ s= f (x)dx = lim f (xi )(xi+1 − xi ) (1.5) δ→0 a i=0 の最右辺の極限が存在するとき,積分可能といい,中央辺のように表す. 関数 f (x) が離散的な値 xi (i = 1, 2, . . .) で定義されているとき,fi = f (xi ) とおくと, n−1 ∑ sn = f (xi )(xi+1 − xi ) (1.6) i=0 を和分と呼ぶことにする. 問 1.3 関数 f (x) = sin nx を x = [0, π] の範囲で積分せよ. 第 1 章 フーリエ・ラプラス解析の位置づけと応用・数学の基礎知識 1.2.8 5 2変数関数の積分と変数変換 面 S で連続関数 f (x, y) が定義されているとする.面 S を微小面積 si に分 割し,その微小面内の点 Pi での関数の値を fi とする.微小面積 si の最大直 径を δ とするとき, ∫ ∑ v= f (x, y)ds = lim fi si (1.7) δ→0 S i の最右辺の極限が存在すれば,これを面積分と呼び,中央辺のように表す.ま た,ds の代わりに dx dy を用いて, ∫ v= f (x, y)dx dy S と表すこともある.ここで用いた記号 dx dy について考える.x 方向,y 方 向,z 方向の単位ベクトルをそれぞれ ex ,ey ,ez として,それらは互いに直 交しているとする.このとき,xy 平面にある2つのベクトル dr1 = dxex と dr2 = dyey が作る平行4辺形の面積は dx dy(ex × e) · ez = dx dy で表されるこ とに注意すると,dx dy は2辺が dx と dy の長方形の面積を表しており,dx dy は外積の意味をもっている.今,r = xex + yey とおき,dr1 = (∂r/∂x)dxex , dr2 = (∂r/∂y)dyey とすれば,ds = (dr1 ×dr2 )·ez = dx dy((∂r/∂x)×(∂r/∂y))· ez = dx dy となる.すなわち, ) ( ∫ ∫ ∂r ∂r × · ez v= f (x, y)ds = f (x, y)dx dy ∂x ∂y S S と表される. 次に,変数変換 x = x(u, v),y = y(u, v) によって uv 平面内の面積 Suv が xy 平面内の面積 Sxy に移るとする.このとき,r = x(u, v)ex + y(u, v)ey と表 せば,微小面積 dx dy は ( ) ( ) ∂x ∂x ∂y ∂y dr1 = + + ex dr2 = ey ∂u ∂v ∂u ∂v を用いて, {( ) ( ) } ∂x ∂x ∂y ∂y + + ds = (dr1 × dr2 ) · ez = ex × ey · ez du dv ∂u ∂v ∂u ∂v ( ) ∂x ∂y ∂x ∂y ∂(x, y) − du dv = J(u, v)du dv = du dv = ∂u ∂v ∂v ∂u ∂(u, v) 第 1 章 フーリエ・ラプラス解析の位置づけと応用・数学の基礎知識 6 となる.ここで,J(u, v) はヤコビアンと呼ばれる.面積は正であるとすると き,J(u, v) を |J(u, v)| で置き換える.これより,面積分 (1.7) は ∫ ∫ v= f (x, y)dx dy = f (x(u, v), y(u, v))|J(u, v)|du dv (1.8) Sxy Suv ∂x J(u, v) = ∂u ∂x ∂y ∂y ∂v ∂y ∂v となる. 1.2.9 微分方程式 関数とその導関数 (微分) との間の関係を表す式を微分方程式という.たと えば,1つの変数 x の関数 y(x) とその微分 dy/dx との間に F (x, y, dy/dx) = 0 (1.9) のような関係があるとき,y は x だけの関数であり偏微分を含まないので,式 (1.9) を常微分方程式という.また,微分の階数が1階のみなので,1階微分 方程式という.y(x) の微分 dy/dx を y ′ と表すこともある.式 (1.9) が y ′ = f (x, y) (1.10) のように表せるとき,これを1階微分方程式の正規形微分方程式という.簡単 な正規形微分方程式の例として y ′ = ay + b (1.11) を考える.ここで,a と b は定数としよう.式 (1.11) には y ,y ′ の1次式と定 数項 (右辺第2項) しか含まれていないので線形微分方程式と呼ぶ.この式で, a = 0 の場合は重力場中の物体の自由落下運動の速度変化を表す v ′ = −g (1.12) がある.ここで,v(t) は時刻 t での物体の鉛直方向の速さであり,g は重力加 速度の大きさである.この微分方程式の一般解 (特定の初期条件や境界条件を 満たす解ではなく,任意定数を1つ含む解) は v = −gt + c (1.13) 第 1 章 フーリエ・ラプラス解析の位置づけと応用・数学の基礎知識 7 である.式 (1.13) が解であることは,この式を式 (1.12) に代入して,両辺が等 しいことにより確かめる.初期条件 v(0) = v0 が与えられているときは,この 条件を満たす解は v = −gt + v0 となる.このように任意定数の値を決めたと き,特解 (特殊解) と呼ぶ. 式 (1.11) で a ̸= 0 である一般の場合には,まず,b = 0 とおいた式 y ′ = ay (1.14) を考える.このように y と y ′ の1次式の項のみからなる微分方程式を同次方 程式といい,0 次式の項を含む微分方程式を非同次方程式という.非同次方程 式の一般解は同次方程式の一般解と非同次方程式の特解との和で表されること が証明できる.同次方程式の一般解は任意定数を c として y = ceax (1.15) と表される.また,非同次方程式 (1.13) の特解は y = −b/a であるが,特解が 容易に見つけられないときは,式 (1.15) で c を x の関数 c(x) と見なし,この 解を式 (1.11) に代入すると c′ = be−ax (1.16) が得られる.この微分方程式の一般解は d を任意定数として,c = −(b/a)e−ax + d と求められるので,この解を式 (1.15) に代入して,式 (1.11) の一般解が b y = − + deax a (1.17) と求められる. 1.2.10 べき関数と指数関数 実数 α について定義された関数 f (x) = xα (1.18) をべき関数という.また,β を実数として, g(x) = β x (1.19) は β を底とする指数関数と呼ばれる.式 (1.19) で指数関数の底を自然対数の 底 (ネピア数) e = 2.7182818284 · · · ととることが多い.ここでは,式 (1.18) で 第 1 章 フーリエ・ラプラス解析の位置づけと応用・数学の基礎知識 8 α > 0 を考え,x → ∞ のときに,f (x) = xα と g(x) = ex のどちらが大きく なるか調べる.すなわち, f (x) xα = lim x x→∞ g(x) x→∞ e γ = lim (1.20) を求める.b = e(1/α) とおくと,b > 1 であり, xα ( x )α = x ex b となる.ここで,n < x < n + 1 である整数 n を考えると,bx−n ≥ b0 = 1 より, x n x n n+1 = n x−n ≤ n x b b nb b n となる.ところで,任意の自然数 k について,b > 1 のとき, an = nk bn とおけば, an 1 nk 1 lim = lim = lim n→∞ an+1 n→∞ b (n + 1)k b n→∞ ( n n+1 )k = 1 <1 b となるので,an は単調減少である.an → β ̸= 0 とすれば, limn→∞ an β an = = =1 n→∞ an+1 limn→∞ an+1 β b = lim となって,矛盾が生じる.よって,an → 0 が示される.これより, xα =0 x→∞ ex lim (1.21) が示された.このように,どんなに大きな α > 0 であっても,x が十分に大 きいときは,xα は ex よりも小さい. 実数 α の代わりに正の整数 n を考え,x → ∞ で f (x) = xn と g(x) = ex の比 xn f (x) = lim x γ = lim x→∞ e x→∞ g(x) を考えると,もう少し直感的に分かりやすい.このときは,ロピタルの定理を 適用して, f (x) f ′ (x) = lim ′ x→∞ g(x) x→∞ g (x) nxn−1 1 = lim = n! lim x = 0 x x→∞ x→∞ e e γ = lim 第 1 章 フーリエ・ラプラス解析の位置づけと応用・数学の基礎知識 9 とすれば極限値 γ が 0 であることが明らかである.ここでは,n はあらかじ め決められた整数なので,n! がどんなに大きくてもある有限の値であり,ex はその値よりも大きくなる x が存在することを利用している. 1.3 1.3.1 ガンマ関数 ガンマ関数の定義と広義積分 正の実数 x の関数として,ガンマ関数 Γ (x) を ∫ ∞ ∫ −t x−1 Γ (x) = e t dt = lim T1 →0,T2 →∞ 0 T2 e−t tx−1 dt (1.22) T1 と定義する.式 (1.22) の中央辺では積分の下限が 0 であり,上限が ∞ であり, t = 0 で被積分関数の値が有限であれば議論は不必要であるが,値が発散する ときには検討が必要となる.また,積分の上限が ∞ なので,収束性を検討す る必要がある.したがって,中央辺で表される積分は最右辺の極限が存在する ときのみ数学的な意味をもつ. 式 (1.22) でガンマ関数は広義積分で定義されているので,その収束性を議 論する必要がある.そこで,式 (1.22) の最右辺を2つに分けて, ∫ 1 ∫ T2 −t x−1 Γ (x) = lim e t dt + lim e−t tx−1 dt (1.23) T1 →0 T2 →∞ T1 1 と表し,右辺第1項と第2項のそれぞれについて吟味する.第1項は x ≥ 1 の ときは収束することが明らかであるが,0 < x < 1 のときは吟味をする必要が ある.このとき,1 − x < 1 なので,0 < t ≤ 1 において 0 < e−t tx−1 < 1/t1−x となり, [ x ]1 ∫ 1 ∫ 1 1 t −t x−1 x−1 lim = e t dt < lim t dt = lim T1 →0 T T1 →0 T T1 →0 x x T1 1 1 のように収束する.次に,第2項の収束を示す.式 (1.21) より,任意の x に 対して,ある数 M が存在し,t = [1, ∞) で 0 < e−t tx−1 < であることがわかるので, ∫ ∞ ∫ −t x−1 lim e t dt < lim T2 →∞ 1 T2 →∞ 1 T2 M t2 [ ]T2 M 1 dt = M lim =M T2 →∞ t t2 1 となって,第2項も収束することが示される. 第 1 章 フーリエ・ラプラス解析の位置づけと応用・数学の基礎知識 1.3.2 10 ガンマ関数の性質 ガンマ関数の x = 1 における値 Γ (1) は ∫ ∞ Γ (1) = e−t dt = [−e−t ]∞ 0 = 1 (1.24) 0 となる.また,ガンマ関数 Γ (x) は Γ (x + 1) = xΓ (x) (1.25) を満たし,整数 n の階乗 n! の性質 n! = n · (n − 1)! と似た性質をもつ.実際, x が整数のとき,x = n とおくと, Γ (n) = (n − 1)! (1.26) となる.x = 1/2 のときのガンマ関数の値 Γ (1/2) は ( ) √ 1 Γ = π 2 となる.x = 1 におけるガンマ関数の導関数の値 dΓ/dx = Γ ′ (1) は ) ( ∫ ∞ 1 1 ′ −t Γ (1) = e log t = − lim 1 + + · · · + − log n n→∞ 2 n 0 = −0.577215664901532860606512090082 · · · = −γ (1.27) (1.28) となる.γ はオイラーの定数と呼ばれる. 1.4 1.4.1 ベータ関数 ベータ関数の定義 2つの正の実数 x と y の関数として,ベータ関数 B(x, y) を ∫ ∫ 1 B(x, y) = t 0 x−1 (1 − t) y−1 dt = T2 lim T1 →0,T2 →1 tx−1 (1 − t)y−1 dt (1.29) T1 と定義する.ただし,式 (1.29) の最右辺で x1 では積分の下限 t = 0 で普通の 積分であり,y ≥ 1 では上限 t = 1 で普通の積分となる. 第 1 章 フーリエ・ラプラス解析の位置づけと応用・数学の基礎知識 1.4.2 11 ベータ関数の性質 ベータ関数は x と y について対称であり, B(x, y) = B(y, x) が成り立つ.また,ベータ関数 B(x, y) は ∫ ∞ τ y−1 B(x, y) = dτ, (1 + τ )x+y 0 あるいは ∫ (1.31) π/2 cos2x−1 θ sin2y−1 θdθ B(x, y) = 2 (1.30) (1.32) 0 と表すこともできる.x = 1/2,y = 1/2 のときのベータ関数の値 B(1/2, 1/2) は ( ) 1 1 B , =π (1.33) 2 2 である. 1.4.3 ベータ関数とガンマ関数の関係 ベータ関数とガンマ関数の間には, B(x, y) = の関係がある. Γ (x)Γ (y) Γ (x + y) (1.34) 第 1 章 フーリエ・ラプラス解析の位置づけと応用・数学の基礎知識 12 第 1 章 演 習 問 題 問題1 数 √ 2 は有理数ではないことを証明せよ. 問題2 等比級数 ∑n k=0 abk (a, b は定数) の値を求めよ. 問題3 整数 1 から n までの4乗和 ∑n k=1 k 4 を求めよ. 問題4 関数 y = f (x) = log2 x の導関数を求めよ. 問題5 関数 z = f (y(x), x) = ex sin(πy(x)),y = x2 の全微分 dz/dx を求め よ. 問題6 積分 ∫ d s= −d √ d2 − x2 dx を求めよ. 問題7 積分 ∫ v= x2 +y 2 ≤d2 √ d2 − x2 − y 2 dx dy を求めよ. 問題8 微分方程式 x2 dy = dx y の一般解を求めよ. 問題9 初期条件 y(0) = y0 のもとで,非線形微分方程式 dy = ay − y 3 dx を満たす解 (特解) を求めよ. 第 1 章 フーリエ・ラプラス解析の位置づけと応用・数学の基礎知識 ta = 0 となることを示せ. t→∞ et 問題10 任意の有限な実数 a について lim 問題11 Γ ′ (1) = dΓ/dx(1) は ′ ∫ Γ (1) = 0 と表されることを示せ. ∞ e−t log t dt 13 14 第 2 章 ラプラス変換 ラプラス変換の定義とその基本的な性質 2.1 ラプラス変換のアイデアは 1980 年にラプラス (Pierre-Simon Laplace) によっ て考え出され,その後 1899 年にヘビサイト (Olive Heavisede) によって演算子 法の一つとして拡張され,数学的な基礎づけは Bromwich や Wagner らによっ て行われた. 2.1.1 ラプラス変換の定義と存在条件 区間 0 < t < ∞ で定義された関数 f (t) と複素数 s に対して, ∫ F (s) = ∞ e 0 −st ∫ f (t)dt = T2 lim T1 →0,T2 →∞ e−st f (t)dt (2.1) T1 が存在するとき,F (s) を f (t) のラプラス変換といい,L{f (t)} または L{f } と表す.一般には s も F (s) も複素数あるいは複素関数であるが,この章では ほとんどの場合,いずれも実数の場合のみを考える. 関数 f (t) が次の2つの条件を満たすとき,s > σ (s: 実数) について f (t) の ラプラス変換 F (s) が存在する. (1) f (t) が 0 < t < ∞ の任意の閉区間で区分的に連続である. (2) 定数 T0 ,M ,α が存在し,T0 < t < ∞ において |f (t)| < M eαt が成り立つ. 条件 (2) を満たす関数を指数位数といい,この条件を満たす α の下限を収束座 標と呼ぶ.条件 (1) と (2) が満たされるときラプラス変換が存在することを証 明する.条件 (1) より,f (t) が 0 < t ≤ T1 で区分的に連続であることから,こ の区間で f (t) < M1 eαt である.このことと条件 (2) より,M と M1 のいずれ 第 2 章 ラプラス変換 15 か大きい方を M0 とすれば,任意の有限な t > 0 について f (t) < M eαt が成 り立つ.これより, ∫ ∫ [ (s−α)t ]T2 ∫T T2 −st T T1 e f (t)dt ≤ T12 e−st |f (t)|dt ≤ M0 T12 e−(s−α)t dt = M0 − e s−α T1 { −(s−α)T } M0 −(s−α)T2 1 −e . (2.2) = s−α e が導かれる.式 (2.2) より,s > α のとき,T1 → 0,T2 → ∞ の極限が存在す るので, M0 |F (s)| ≤ (2.3) s−α となり,ラプラス変換が存在することが証明される. 問 2.1 関数 f (t) = t3 e2t のとき, 指数位数と収束座標を求めよ. 2.1.2 ラプラス逆変換の定義と求め方 実数 σ に対してと複素関数 F (s) に対して, 1 f (t) = 2πi ∫ ∫ σ+i∞ st e F (s)ds = σ−i∞ σ+iT2 est F (s)ds lim T1 →0,T2 →∞ (2.4) σ−iT1 が存在するとき,f (t) を F (s) の逆ラプラス変換といい,L−1 {F (s)} または L−1 {F } と表す.ここでは s も F (s) も複素数あるいは複素関数であり,この 積分をブロムウィッチ積分という.しかし,この章では逆ラプラス変換を求め るときに式 (2.4) を用いず,ほとんどの関数 f (t) についてラプラス変換 F (s) を計算し,f (t) と F (s) の対応表を作り,その対応表より逆ラプラス変換を求 める.ただし,式 (2.4) を用いる方が速く計算できる場合もある. 2.1.3 基本的な関数のラプラス変換 基本的な関数のラプラス変換の例を列挙する.ただし,α0 は収束座標. (1) 1 L{U (t)} = , α0 = 0 (2.5) s ここで,U (t) は単位階段関数で,t < 0 のとき U (t) = 0,t ≥ 0 のとき, U (t) = 1 である. 第 2 章 ラプラス変換 16 (2) 任意の実数 a について, 1 , s−a L{eat } = α0 = a (2.6) となる. (3) 任意の実数 b について, L{cos bt} = s2 s , + b2 α0 = 0 (2.7) となる.余弦関数 cos bt のラプラス変換を行うときは,cos bt = (eibt + e−ibt )/2 の関係を用いると計算が速い. L{cos bt} = = 1 2 ∫ i∞ [ 0 −e e−st cos btdt = −(s−ib)t s−ib − e 1 2 ∫∞ ]∞0 −(s+ib)t s+ib 0 (e−(s−ib)t + e−(s+ib)t )dt ( 1 ) 1 s + s+ib = s2 +b = 12 s−ib 2 となり,s > 0 のとき,ラプラス変換が存在する (収束座標は α0 = 0). (4) 任意の実数 b について, L{sin bt} = s2 b , + b2 α0 = 0 (2.8) α0 = |b| (2.9) となる. (5) L{cosh bt} = s , s2 − b2 双曲余弦関数 cosh bt のラプラス変換でも,cosh bt = (ebt + e−bt )/2 の関 係を用いる. L{cosh bt} = = 1 2 ∫∞ [ 0 e−st cosh btdt = −e −(s−b)t s−b ∫∞ (e−(s−b)t + e−(s+b)t )dt 0 ] ∞ ( 1 ) −(s+b)t 1 s − e s+b = 12 s−b + s+b = s2 −b 2 1 2 0 となり,s > |b| のとき,ラプラス変換が存在する. (6) L{sinh bt} = s2 b , − b2 α0 = |b| (2.10) 第 2 章 ラプラス変換 17 (7) 実数 α > 1 について, L{tα } = Γ (α + 1) , sα+1 α0 = 0 (2.11) L{tα } を求めるには,変数変換 st = τ を行って, ∫ ∞ ∫ ∞ ( )α dτ Γ (α + 1) 1 −τ τ e−τ τ α dτ = e = α+1 s s s sα+1 0 0 となる. (8) 正の整数 n について, L{tn } = n! sn+1 , α0 = 0. (2.12) (9) 対数関数 log t のラプラス変換は 1 L{log t} = − (log s + γ), s α0 = 0 (2.13) となる.ここで,γ は式 (1.28) で定義したオイラーの定数である. (10) 関数 e−t のラプラス変換は任意の実数 s に対して存在し, √ (s) 2 π −t2 L{e } = es /4 erfc 2 2 2 (2.14) となる.ここで,erfc(x) は余誤差関数 (補誤差関数) であり, ∫ ∞ 2 2 erfc(x) = √ e−t dt π x で定義され,誤差関数 erf(x) 2 erf(x) = √ π ∫ x e−t dt 2 0 と erfc(x) = 1 − erf(x) の関係がある. 2 (11) 関数 et のラプラス変換はどのような s に対しても存在しない.で定義 される. 第 2 章 ラプラス変換 18 1 関数 f (t) = √ のラプラス変換を求めよ. t √ [解答] 式 (2.11) で α = −1/2 とおくと,L{1/ t} = Γ (1/2)/s1/2 が得られ るが,ラプラス変換の定義式より,計算を行う.s > 0 として,ラプラス変換 √ √ √ の定義式で,τ = st を行う.dt/ t = 2dτ / s なので, { } ∫ ∞ ∫ ∞ 1 2 2 −st 1 F (s) = L √ = e √ =√ e−τ dτ s 0 t t 0 √ √ ∫∞ √ 2 となる.ここで, 0 e−τ dτ = π/2 を用いると,L{1/ t} = π/s を得る. 【例題 2.1】 1 関数 f (t) = √ e−1/t のラプラス変換を求めよ. t [解答] ラプラス変換の定義式で st = τ 2 の変数変換を行うと,sdt = 2τ dτ なので, ∫ ∞ ∫ ∞ ∫ ∞ √ √ 2 1 2 −st 1 −1/t −τ 2 −s/τ 2 F (s) = e √ e e−(τ − s/τ ) −2 s dτ = e 2 √ dτ = √ s s 0 t 0 0 (2.15) √ √ 2 を得る.さらに,式 (2.15) で変数変換 σ = s/τ を行うと,dσ = −σ / sdτ であり, ∫ ∞√ s −(σ−√s/σ)2 −2√s 2 F (s) = √ e dσ (2.16) 2 s 0 σ 【例題 2.2】 となる.式 (2.15) と (2.16) の和をとると, √ ∫ ( √ ) √ s 2e−2 s ∞ 2 2F (s) = √ (2.17) 1 + 2 e−(σ− s/σ) dσ σ s 0 √ √ となり,式 (2.17) で変数変換 ξ = σ − s/σ ,dξ = (1 + s/σ 2 )dσ を行い, √ ∫ √ π −2√s e−2 s ∞ −ξ2 e e dξ = (2.18) F (s) = √ s s −∞ が得られる. 問 2.2 関数 e−at sin bt のラプラス変換を求めよ. 2.1.4 ラプラス変換の基本公式 関数 f (t) のラプラス変換 L{f (t)} を F (s) と表すと,ラプラス変換につい てつぎの基本的な公式が成り立つ. 第 2 章 ラプラス変換 19 (1) 任意の2つの定数 c1 と c2 および2つの関数 f1 (t) と f2 (t) について成 り立つ線形性と呼ばれる性質は重要で L{c1 f1 (t) + c2 f2 (t)} = c1 L{f1 (t)} + c2 L{f2 (t)} = c1 F1 (s) + c2 F2 (s) (2.19) と表される.ここで,F1 (s) = L{f1 (t)},F2 (s) = L{f2 (t)} とおいた. (2) 任意の実数 λ > 0 について成り立つ次の公式は相似側とも呼ばれる. 1 (s) L{λf (t)} = F . (2.20) λ λ (3) 関数 f (t) が t → +0 で極限値をもち,limt→+0 f (t) = f (0+ ) であるとき, L{f ′ } = sL{f (t)} − f (0+ ) = sF (s) − f (0+ ) (2.21) となり,関数 f (t) の導関数のラプラス変換はもとの関数のラプラス変換 と s との積と定数項 f (0+ ) との和で表される. (4) 関数 f (t) とその n 階までの導関数 f (n) (t) が t → +0 で極限値をもち, limt→+0 f (n) (t) = f (n) (0+ ) であるとき, L{f (n) } = sn L{f (t)} − sn−1 f (0+ ) − sn−2 f ′ (0+ ) − · · · − f (n−1) (0+ ) = sn F (s) − sn−1 f (0+ ) − sn−2 f ′ (0+ ) − · · · − f (n−1) (0+ ) (2.22) となり,関数 f (t) の n 階の導関数のラプラス変換はもとの関数のラプ ラス変換と sn との積と s の n − 1 次の代数式との和で表される. (5) 正の実数 s > 0 について,t → ∞ のとき, ∫ t −st e f (τ )dτ → 0 0 であれば,関数 f (t) の積分のラプラス変換は, {∫ t } 1 1 L f (τ )dτ = L{f (t)} = F (s) s s 0 (2.23) となって,関数 f (t) のラプラス変換と 1/s との積 で表される. (6) 関数 f (t) の n 重積分のラプラス変換は, {∫ t ∫ τn−1 } ∫ τ1 1 1 L ··· f (τ )dτ dτ1 · · · dτn−1 = n L{f (t)} = n F (s) s s 0 0 0 (2.24) n となって,関数 f (t) のラプラス変換と 1/s との積で表される. 第 2 章 ラプラス変換 20 (7) 任意の実数 a について, L{e−at f (t)} = F (s + a) (2.25) となり,像の移動則とも呼ばれる. (8) 任意の正の実数 a > 0 について, L{f (t − a)U (t − a)} = e−as F (s) となって,第1移動法則とも呼ばれる.また, { } ∫ a −st −as L{f (t + a)} = e F (s) − e f (t)dt (2.26) (2.27) 0 となって,第2移動法則とも呼ばれる. (9) 関数 tf (t) のラプラス変換は f (t) のラプラス変換の微分により, L{−tf (t)} = d F (s) ds (2.28) と表され,像の微分法則とも呼ばれる. (10) 関数 f (t) と g(t) により表される ∫ t f ∗g = f (t − τ )g(τ )dτ (2.29) 0 は関数 f1 (t) と f2 (t) のたたみ込み積分 (コンボリューション) と呼ばれ, そのラプラス変換は L{f1 ∗ f2 } = L{f1 }L{f2 } = F1 (s)F2 (s) のようにそれぞれのラプラス変換の積で表される. 【例題 2.3】 関数 e−at cos bt のラプラス変換を求めよ. [解答] 式 (2.7) と (2.25) より, L{e−at cos bt} = s+a (s + a)2 + b2 となる. 問 2.3 関数 e−at sin bt のラプラス変換を求めよ. (2.30) 第 2 章 ラプラス変換 21 第 2 章 演 習 問 題 問題1 関数 f (t) = 2 sinh at のラプラス変換を求めよ.ただし,ラプラス変換 の定義式より出発し,ラプラス変換を求める計算過程を詳しく書くこと. 問題2 関数 f (t) = 3t2 + 2t + 5 のラプラス変換を求めよ. √ 問題3 関数 f (t) = 1/ t のラプラス変換を求めよ. √ 問題4 関数 f (t) = e−1/t / t のラプラス変換を求めよ. 問題5 関数 f (t) = tet のラプラス変換を求めよ. 問題6 関数 f (t) = t cos t のラプラス変換を求めよ. √ 問題7 関数 f (t) = t のラプラス変換を求めよ. 問題8 関数 F (s) = 1/(1 + λs) の逆ラプラス変換を求めよ. 問題9 関数 F (s) = e−s /s3 の逆ラプラス変換を求めよ. 問題10 関数 F (s) = e−bs /(s − 4 − a4 ) の逆ラプラス変換を求めよ. 問題11 ラプラス変換により,微分方程式 x′ + x = U (t) − U (t − 1) を初期条 件 x(0) = 0 のもとに解け.ここで,x′ は dx/dt を表す.また,U (t) は 単位階段関数 (ヘビサイド関数) であり,t < 0 のとき 0,t ≥ 0 のとき 1 である. 問題12 微分方程式 x′ + x = e−t を初期条件 x(0) = 1 のもとに解け. 問題13 微分方程式 x′′ − 4x′ + 4x = 0 を初期条件 x(0) = 1,x′ (0) = 1 のも とに解け.
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