第5回 (国際金融論Ⅰ・2015 前期) 「国際収支と国際貸借(1)-国際収支表と国民経済」 1.国際収支と新国際収支表(金融経済 7 章 1 節 図 7-1 表 7-1) 新国際収支計上項目-経常収支、資本移転等収支、金融収支、誤差脱漏 新国際収支表 経常収支=貿易・サービス収支+第 1 次所得収支+第 2 次所得収支 金融収支=投資収支+外貨準備増 経常収支+資本移転等収支-金融収支+誤差脱漏=0 日本の貿易収支と経常収支の最近の変化 2011 年には永年黒字だった貿易収支と貿易・サービス収支が赤字に 2012-2014 年は、その赤字額拡大のため、経常収支の黒字縮小 2.2014 年 1 月計上分より国際収支関連統計の見直し、「資本収支」は廃止 投資収支+外貨準備増減→金融収支(資産・負債の増加をプラス(+) 減少をマイナス(-)と表示変更) その他資本収支→資本移転等収支 所得収支→第 1 次所得収支、経常移転収支→第 2 次所得収支 に変更 見直し前:経常収支+資本収支+外貨準備増減+誤差脱漏=0 見直し後:経常収支+資本移転等収支―金融収支+誤差脱漏=0 3.国民所得勘定と経常収支の関係 総供給=GDP+輸入(M)、総需要=C+I+G+輸出(X) 総供給=総需要の均衡では、GDP+輸入(M)=C+I+G+輸出(X) X-M=GDP-(C+I+G)両辺に Z=第 1 次所得収支+第 2 次所得収支を加え て経常収支(X-M+Z)=GDP+Z-(C+I+G)ここで第 2 次所得収支均衡の 前提で、GDP+Z=国民総生産(Y)、また Y-C=S+T+Z だから 経常収支(X-M+Z)=(S+T)-(I+G)+Z=(S-I)+(T-G)+Z 第 1 次所得収支均衡(Z=0)のもとで、経常収支(黒字)=民間純貯蓄+財 政黒字(政府と民間の資金余剰)(→投資収支増、外貨準備増)で均衡 4.開放経済における政策と所得決定 内需拡大と円高誘導の均衡国民所得への異なる効果(図 3-1) X-M+Z は右下がり曲線、(S-I)+(T-G)は右上がり曲線 内需拡大→(S-I)+(T-G)の下方シフト→黒字縮小と所得増加 円高誘導→(X-M+G)の下方シフト→黒字縮小と所得減少
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