2015 年度 校内研修計画

2015 年度
校内研修計画
木曽岬町立木曽岬小学校
1,研修主題
思考力・活用力を高める
算数指導の工夫
~思考過程を表現する活動を通して~
2,研修主題設定の趣旨
本年 度 は学 校 目標 を、「か し こく ( 知)、あ かる く( 徳)、活 き活き (体 )と した子 ども を育
て る 」 と 設 定 し た 。「 か し こ く ( 知 )」 に つ い て は 、 ど の 子 に も 基 礎 学 力 が 身 に つ き 、 そ れ を
生活場面で活用できる子どもの姿をめざしている。昨年度は問題解決における自らの思考過
程 を 、「 書 い た り 、 話し た りす る 活動 」 を通 し て考 え を表 現 し、 自 力解 決 に向 け た学 び 合い を
充実させる<算数>の研修を進めてきた。本年度は2年目になる。
本校の児童は、教師から与えられた課題に素直に取り組み、学習態度もまじめである。宿
題忘れも少なく、問題を自力で解決する力が少しずつ高まってきている。そのため、基礎・
基本の学習の定着はよくできるようになってきた。しかし、まだ既習事項の活用能力が十分
でなく、書いたり話したりできる児童は増えてはきたものの、自力で既習事項を用いて複合
的な問題を最後まで解決することができる児童は多くない。算数科の学習においては、自分
なりの考えを友達に分かりやすく伝えて意見を交流させたり、学習事項をよりよい解決方法
で学んだりすることが理想的である。さらに、既習事項を正しく用いて問題解決する思考力
や、相手に分かりやすく自分の考えを伝えるための表現力が大切となる。この部分について
さらに力をつけさせることが課題である。
教師は本年度も引き続き「論理的思考力の高まりを表す学習内容」を適切に設定し、それ
を基準として児童の思考の過程や定着具合を細かく評価していくための「教師の力量」を高め
ていく。力量の高まりは、記述や話し合いの質を発展させ、論理的思考力を高めていくことに
なる。そのため、上記のような研修主題を設定し、教師が足並みをそろえ丁寧に教材と向き合
い、学びの質を高める算数授業のスタイルを研究し、様々な問題に自力解決でき、ともに学び
合える子どもの育成に努めていくこととする。
3,児童の学力実態から
「数量や図形についての技能・知識・理解」はどの学年も全国得点並み、またはそれを上回
る得点率で、年々算数の CRT テストの結果は上昇傾向を見せている。「数学的な考え方」は、
全 国 と の 得 点差 が 縮 ま り 安定 し てよ く なっ て きて い る。 し かし 、「 算数 に おけ る 関心 ・ 意欲 ・
態度」は全国より低く、本当に楽しんで意欲的に学習に取り組んでいるのか検証する必要が
ある。また、みえスタディチェックや全国学力・学習状況調査(第6学年)の結果から、複
合的な条件がある場合などで、問題文の表す場面や問いを読み取ることができない、具体的
な数量や用語を使って筋道を立てて説明することが苦手、情報を取捨選択する問題に慣れて
いないなど、基礎的・基本的な知識・技能を活用して、思考したり、表現したりする能力に
課題が見られる。このことから、単に問題を解き解答するだけでなく、自分の考えを発表し
たり話し合ったりして、学習していく喜びを感じることができるような指導の工夫で、学習
意欲の向上を図るとともに、基礎的・基本的な知識・技能を活用して思考したり、表現した
-研1-
り す る 能 力 を高 め る 必 要 が あ る と 考 えら れ る 。 ま た 、 児 童 が「解 け た、 や れた 」 とい う 場面 を
多く設定し、自信につなげらるような授業の工夫も求められる。
4,昨年度までの実践から、算数科における成果と課題
<成果>
①少人数教育では、一人ひとりに目を配ることができ、基礎学力の定着に効果があった。
②話型を使って、思考の過程を説明できる児童が増えてきた。
③思考力・表現力を育てるドリルを朝学習や授業で活用したことで、活用力が身につい
てきた。
④補充学習や再テストを繰り返すことで、知識・理解の定着がはかられた。
⑤ユニットカードや授業のスタイルを固定化したことで、見通しを持って学習に取り組め
た。
⑥書画カメラなど ICT 機器を使って視覚に訴えた説明ができた。
<課題>
①問題文をイメージし内容を適切に読みとることができない。特に複合的な問題に弱い。
②初めて出合う問題形式に戸惑ってしまい、十分な力が発揮できない。
③「関心・意欲・態度」(CRT より)が低く、児童にやらされ感があるのではないか。
④写すためのノートになってしまい、考えるノートになっていない。
⑤説明する力があっても、簡潔に表記できない。
以上のことから、学習指導要領のポイントでもある、基礎的・基本的な知識・技能を活用し
て課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力を高める指導法の工夫を重点課題と考
え、次のような力点を設定した。
*活用を意識したノート指導の工夫
*問題を把握し、自力解決する力を高める指導の工夫
5,算数少人数・習熟度別学習の進め方
A.学級内を最初から平等に半数ずつ指導
・少なくとも2単元はコースを固定し、担任と加配教員のどちらの指導も受けるようにする。
・分け方は、機械的に半数に分けたり、前単元と違う組み合わせで分けたりして、メンバー
の活性化をはかるような等質集団を構成する。
B.T.Tによる一斉指導⇒プレテスト⇒ジャンプ or ステップコース
・教師の経験知、CRTの結果、前年度の単元ごとの得点集計結果をもとに、どの単元でこ
の方法を取るのか見通しをもって計画する。
<授業を進めるにあたって配慮すること>
・QU を活用し、要支援の子どもが偏らないように配慮する。
-研2-
・人間関係についても配慮する
・ユニットカードを用いて授業の流れを明確にし、子どもたちが見通しをもって授業を受け
られるようにする。
・担任間で、または加配教員との打ち合わせの時間を確保し、進度をあわせるように努める。
・単元終了後、市販のテストの平均点を単元別に入力し、児童の学力の実態把握をする。
・到達率の低い児童には、個にあわせた学習内容を補充学習に行い底上げをはかる。
・丁寧な板書と、後で見て学習の足跡が分かるノート作りをさせる。
・ 学 年 の 「強 み 」「弱 み 」 をつ か み、 課 題と な る領 域 や単 元 は年 度 末ま で に補 充 し、 次 の学
年に上げる。
6,研修の内容
(1)基本的な授業の流れ
(*印は特に大切にしたい項目)
本校の学習過程
「つかむ」過程
・学習課題をとらえる
指導上の留意点及び支援の工夫
・学習課題は児童にとって身近で生活に密着しているものがよい。
・学習課題の提示では、具体物を用意したり、問題文の示し方を工夫
するなど、興味・関心のもてる提示方法を工夫する。
「見通す」過程
・解決への見通しを図る
* 既 習 事 項と 未知 の 事項 を確認 する 。問 題を読 んで分 かっ た ことに
下線(棒線)、求めることに波線を引かせる。
・既習事項の考え方が活用できるように提示の仕方を工夫する。
・ 問 題 の キ ーワ ード に 着 目 し て数 量 関 係 を 把 握 し 、 立 式 や 答 えの 見 当
をつけさせる。
*
「考える」過程
・自分の考え方を算数的活動(ブロック、絵や図、数直線図や面積、
図、式・言葉などで表す)を取り入れて表現し、自力解決させる。
自力解決
*説明を分かりやすくする話型の例を示すなどして、自分の考えを
分かりやすく伝える。
伝え合い学び合い
*ペア、グループ、全体での話し合い活動など学習形態を工夫して
解 決 方 法 を比 較 検 討 した り 、 合 理 的 な よ り よ い 解 決 方 法 を追 求 し た
・考えを発表し合い、多様
りする。
な 意 見 を 比 較 ・ 検 討 し て 、 ・ 意 見 の 共 通 点 や 相 違 点 等 をも と に 、 目 的 をも た せ た 話 し 合 い 活 動 の
よりよい解決方法を見い
工夫をする。
出す。
「まとめる」過程
・いろいろな場面に当て
・本時で学習した内容をまとめ、身近な生活や他の教科での学習で
活用しようとする意欲を高める。
はめたり、広げたりしてい
く。
-研3-
(2)ノート指導
「新しい算数」におけるノートづくりの取り扱いの系統
1 年下
2 年上
<自分の考え①>
2 年下
3 年上~ 6 年
学習した日
学習した日
学習した日
<問題>
<問題>
<問題>
<自分の考え①>
<自分の考え①>
<自分の考え①>
<自分の考え②>
<自分の考え②>
<友だちの考え>
<まとめ>
<まとめ>
<まとめ>
<学習感想>
<学習感想>
(3)目指す児童像
低
学
年
中
絵や図、具体物やブロックな
学
年
高
絵や図、言葉や式などを用
学
年
絵や図、言葉や式などを用
ど の 半 具 体 物 の 操 作 を 通 し い て自 分 の 考 えをも ち、 理 由 を い て 筋 道 立 て て 考 え 、 根 拠 を
て 、 自 分 の 考 え を 話 し た り 、 友 明 確 に し て説 明 し た り 、 友 達 の 明 確 に し て 自 分 の 考 え を ま と
達の考えを最後まで聴いたり 言いたいことに気を付けて聴 め、わかりやすく伝えたり、友
書いたりしながら考える子
いたり書いたりしながら考える 達 の 考え を比 べて 聴い たり書
子
いた りしながら考える子
(4)授業を支える日常の取り組み
①共に学び合い,認め合う温かい学級集団づくり
②学習意欲を高めるための取り組み
ア
子どもに成就感,満足感を持たせる工夫
イ
教材・教具の工夫
ウ
ICT視聴覚機器の利用
③話し合いを豊かにさせる言語活動の充実のための取り組み
ア
言語環境の整備推進
イ
朝読書(月・火・金)の推進
ウ
全教育活動における言語活動の推進
④基礎的・基本的な学習内容の定着のための取り組み
ア
個に応じた授業の充実・・・20分休みを利用した補充
イ
全校による補充学習体制・・・年 11 回の月曜 6 限授業
ウ
多様な学習形態の導入による授業の充実・・・少人数・習熟度別
エ
朝学習(水・木)の充実・・・基礎学習
及び
活用力問題の取り組み
⑤家庭学習(きそまなぶ・きそリズム)の充実のための取り組み
⑥学習規律の確立のための取り組み
⑦年3回による学校目標の振り返り
⑧ QU 分析による児童把握
⑨ソーシャルスキルトレーニング(SST)の充実
7,研修推進の方法
◎全体提案授業
-研4-
TT体制
・低学年、中学年、高学年・・・各1回
人権教育(町同研公開)・・・本年度は中学校
1 0 月28(水)5 限
計3回
・教科は算数(思考力・活用力を考慮した内容で)
・中西正治先生(三重大学教育学部教授)来校
【全体研】6月5日(金)
11月25日(水)
1月20日(水)
・ICTを活用する授業を積極的に行う。
・事前研や事後研の運営は提案学年部で行う。
・6月5日(金)の全体研は夏休みのくわな生き生き教研で発表する。
・ 全 体 提 案 授 業 3 本 は 輪 中 公 開 授 業 (長 島 地 区 幼 小 中 連 携 教 育 推 進 委 員 会 公 開 授 業 )と
する。
◎部会提案授業
・全体提案授業者以外の人が行う。
・教科は算数を中心とした全領域。
・年度初めに提案する月日を決めておく。職員会議の行事予定に入れていく。
・行事等に注意して日程を考える。
・各部会で事前研を行う。
・授業参観者で事後研を行う。
・低/中/高学年部で 1 本ずつ人権教育、男女共生、平和教育の授業提案を行う。
低学年
中学年
高学年
H25
人権教育
男女共生
平和教育
H26
平和教育
人権教育
男女共生
H27
男女共生
平和教育
人権教育
H28
人権教育
男女共生
平和教育
・
指導案は1週間前までに全員配布。
低学年部…1、2年担任、小部、藤堂
・学年部
中学年部…3、4年担任、吉兼、夘尾崎、伊藤一
高学年部…5、6年担任、津田、山内
◎研修視察
・他校開催の輪中公開授業には、積極的に参加する。
・木曽岬中部幼稚園保育園、南部幼稚園保育園の公開保育(町人教)には可能な限り参
加する。
・各学年部で 1 名以上、推進校(県外)への研修に参加する。
・推進校視察の後、A4で1枚程度にまとめ、職員会議や全体研修会で還流報告をす
る。
-研5-