正規直交基底 シュミットの直交化法 . . 線形代数学 II - b 09. 正規直交基底とシュミットの直交化法 土屋和由 基礎・教養教育センター 2015 年 11 月 26 日 . 土屋和由 . . . . . 線形代数学 II - b 09. 正規直交基底とシュミットの直交化法 正規直交基底 シュミットの直交化法 . 標準基底の一般化 部分空間に対する研究は,その基底を考えることにより,行列・行 列式の理論を適用可能となる. 数ベクトル空間に関しては,標準基底を考えることが有用である. 「長さが 1 で,互いに直交する」という性質が,標準基底が有用 である一つの理由となる. 一般の部分空間に対しても同様の性質を有する基底を考えられな いか? . 土屋和由 . . . . . 線形代数学 II - b 09. 正規直交基底とシュミットの直交化法 正規直交基底 シュミットの直交化法 . 標準基底の一般化 部分空間に対する研究は,その基底を考えることにより,行列・行 列式の理論を適用可能となる. 数ベクトル空間に関しては,標準基底を考えることが有用である. 「長さが 1 で,互いに直交する」という性質が,標準基底が有用 である一つの理由となる. 一般の部分空間に対しても同様の性質を有する基底を考えられな いか? . 本日の目標 . 標準基底の一般化である「正規直交基底」を理解する. . 与えられた基底から,正規直交基底を構成する方法を理解する. . 土屋和由 . . . . . 線形代数学 II - b 09. 正規直交基底とシュミットの直交化法 正規直交基底 シュミットの直交化法 . 正規直交基底 . Definition (正規直交基底) . V を Rn の部分空間,a1 , . . . , ar を V の基底とする.今, 1. |ai | = 1, i = 1, . . . , r . 2. a1 , . . . , ar は互いに直交する(すなわち i ̸= j ⇒ (ai , aj ) = 0). を満たすとき, a1 , . . . , ar を V の正規直交基底と呼ぶ. . . 土屋和由 . . . . . 線形代数学 II - b 09. 正規直交基底とシュミットの直交化法 正規直交基底 シュミットの直交化法 . 正規直交基底 . Definition (正規直交基底) . V を Rn の部分空間,a1 , . . . , ar を V の基底とする.今, 1. |ai | = 1, i = 1, . . . , r . 2. a1 , . . . , ar は互いに直交する(すなわち i ̸= j ⇒ (ai , aj ) = 0). を満たすとき, a1 , . . . , ar を V の正規直交基底と呼ぶ. . { 1 注 δij = 0 このとき, i =j i ̸= j と定義する.δij をクロネッカーのデルタと呼ぶ. a1 , . . . , ar は V の正規直交基底 ⇔ 任意の i, j に対して,(ai , aj ) = δij が成立する. . 土屋和由 . . . . . 線形代数学 II - b 09. 正規直交基底とシュミットの直交化法 正規直交基底 シュミットの直交化法 . 数ベクトル空間の正規直交基底 . Theorem (数ベクトル空間の正規直交基底) . a1 , . . . , an ∈ Rn を Rn の基底とする.このとき,以下は同値: . a1 , . . . , an は V の正規直交基底. 1 . . A = (a1 , . . . , an ) は直交行列(t AA = En ). 2 . 土屋和由 . . . . . 線形代数学 II - b 09. 正規直交基底とシュミットの直交化法 正規直交基底 シュミットの直交化法 . 数ベクトル空間の正規直交基底 . Theorem (数ベクトル空間の正規直交基底) . a1 , . . . , an ∈ Rn を Rn の基底とする.このとき,以下は同値: . a1 , . . . , an は V の正規直交基底. 1 . . A = (a1 , . . . , an ) は直交行列(t AA = En ). 2 例 実数 θ に対して, ( ) ( ) cos θ − sin θ a1 = , a2 = sin θ cos θ は R2 の正規直交基底. . 土屋和由 . . . . . 線形代数学 II - b 09. 正規直交基底とシュミットの直交化法 正規直交基底 シュミットの直交化法 . 数ベクトル空間の正規直交基底 . Theorem (数ベクトル空間の正規直交基底) . a1 , . . . , an ∈ Rn を Rn の基底とする.このとき,以下は同値: . a1 , . . . , an は V の正規直交基底. 1 . . A = (a1 , . . . , an ) は直交行列(t AA = En ). 2 例 実数 θ に対して, ( ) ( ) cos θ − sin θ a1 = , a2 = sin θ cos θ は R2 の正規直交基底. (a1 , a2 ) = R(θ):回転行列は直交行列. . 土屋和由 . . . . . 線形代数学 II - b 09. 正規直交基底とシュミットの直交化法 正規直交基底 シュミットの直交化法 . 数ベクトル空間の正規直交基底 . Theorem (数ベクトル空間の正規直交基底) . a1 , . . . , an ∈ Rn を Rn の基底とする.このとき,以下は同値: . a1 , . . . , an は V の正規直交基底. 1 . . A = (a1 , . . . , an ) は直交行列(t AA = En ). 2 例 実数 θ に対して, ( ) ( ) cos θ − sin θ a1 = , a2 = sin θ cos θ は R2 の正規直交基底. (a1 , a2 ) = R(θ):回転行列は直交行列. . 土屋和由 . . . . . 線形代数学 II - b 09. 正規直交基底とシュミットの直交化法 正規直交基底 シュミットの直交化法 . 一般の部分空間の場合の例 例 1 a = 1 , V = ⟨a⟩ とおく. −1 . 土屋和由 . . . . . 線形代数学 II - b 09. 正規直交基底とシュミットの直交化法 正規直交基底 シュミットの直交化法 . 一般の部分空間の場合の例 例 1 a = 1 , V = ⟨a⟩ とおく. −1 a は V の基底であるが,正規直交基底ではない(|a| = . 土屋和由 . √ 3). . . . . 線形代数学 II - b 09. 正規直交基底とシュミットの直交化法 正規直交基底 シュミットの直交化法 . 一般の部分空間の場合の例 例 1 a = 1 , V = ⟨a⟩ とおく. −1 √ a は V の基底であるが,正規直交基底ではない(|a| = 3). 1 1 1 1 は |b| = 1 より,V の正規直交基底となる. b= a= √ |a| 3 −1 . 土屋和由 . . . . . 線形代数学 II - b 09. 正規直交基底とシュミットの直交化法 正規直交基底 シュミットの直交化法 . 一般の部分空間の場合の例 例 1 a = 1 , V = ⟨a⟩ とおく. −1 √ a は V の基底であるが,正規直交基底ではない(|a| = 3). 1 1 1 1 は |b| = 1 より,V の正規直交基底となる. b= a= √ |a| 3 −1 二次元以上の場合は? . 土屋和由 . . . . . 線形代数学 II - b 09. 正規直交基底とシュミットの直交化法 正規直交基底 シュミットの直交化法 . 一般の部分空間の場合の例 例 1 a = 1 , V = ⟨a⟩ とおく. −1 √ a は V の基底であるが,正規直交基底ではない(|a| = 3). 1 1 1 1 は |b| = 1 より,V の正規直交基底となる. b= a= √ |a| 3 −1 二次元以上の場合は? . 問 . V を a1 , . . . , ar を基底とする Rn の部分空間とする.このとき,a1 , . . . , ar か ′ ′ ら, V の正規直交基底 b1 , . . . , br を与える方法を求めよ. . . 土屋和由 . . . . . 線形代数学 II - b 09. 正規直交基底とシュミットの直交化法 正規直交基底 シュミットの直交化法 . 平面上の内積と平面上の直交化 平面上の内積の幾何学的意味 (x, y) = |x||y| cos θ . 土屋和由 . . . . . 線形代数学 II - b 09. 正規直交基底とシュミットの直交化法 正規直交基底 シュミットの直交化法 . 平面上の内積と平面上の直交化 y 平面上の内積の幾何学的意味 (x, y) = |x||y| cos θ = |x| · OH H ′ |x| cos θ ′ = |y| · OH . θ O . 土屋和由 . x H |y| cos θ . . . . 線形代数学 II - b 09. 正規直交基底とシュミットの直交化法 正規直交基底 シュミットの直交化法 . 平面上の内積と平面上の直交化 y 平面上の内積の幾何学的意味 (x, y) = |x||y| cos θ = |x| · OH H ′ |x| cos θ ′ = |y| · OH . θ O x H |y| cos θ 平面上の基底の直交化 ′ b1 = 1 a1 . |a1 | ′ ′ b2 = a2 − (a2 , b1 )b1 . ′ b2 = ′ 1 b2 . |b2 | ′ b1 , b2 は R2 の正規直交基底. 土屋和由 . . . . . . 線形代数学 II - b 09. 正規直交基底とシュミットの直交化法 正規直交基底 シュミットの直交化法 . 空間内の直交化 空間内の基底の直交化 ′ 1 b1 = a1 . |a1 | ′ ′ ′ ′ b2 = a2 − (a2 , b1 )b1 . ′ 1 b2 = b2 . |b2 | ′ ′ b3 = a3 − (a3 , b1 )b1 − (a3 , b2 )b2 . ′ 1 b3 = b3 . |b3 | ′ ′ ′ b1 , b2 , b3 は R3 の正規直交基底. . 土屋和由 . . . . . 線形代数学 II - b 09. 正規直交基底とシュミットの直交化法 正規直交基底 シュミットの直交化法 . シュミットの直交化法 . Theorem (シュミットの直交化法) . V を a1 , . . . , ar を基底とする Rn の部分空間とする.今, ′ (1) b1 = 1 a1 . |a1 | ′ ′ ′ ′ 1 b2 . |b2 | ′ (2) b2 = a2 − (a2 , b1 )b1 , b2 = ′ ′ (3) b3 = a3 − (a3 , b1 )b1 − (a3 , b2 )b2 , ′ b3 = .. . (r) br = ar − r −1 ∑ ′ ′ (ar , bi )bi , ′ br = i=1 ′ 1 b3 , |b3 | 1 br . |br | ′ とすると, b1 , . . . , br は V の正規直交基底となる. . . 土屋和由 . . . . . 線形代数学 II - b 09. 正規直交基底とシュミットの直交化法
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