pdf file 61 K - Kawamata Laboratory, Tohoku University

A-4-18
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位相限定相関を用いた画像のサブピクセル精度位置ずれ検出法に関する誤差
Error on a Subpixel Displacement Estimation Method Using Phase-Only Correlation
萩原 瑞木
阿部 正英
川又 政征
Mizuki HAGIWARA Masahide ABE Masayuki KAWAMATA
東北大学大学院工学研究科
Graduate School of Engineering, Tohoku University
1.
まえがき
画像処理の様々な応用例において,サブピクセル精度
での画像の位置ずれ検出の必要性がある.著者らは,古
いフィルム映像の位置ずれ検出に,位相限定相関を用い
た画像のサブピクセル精度の位置ずれ検出手法を用いて
いる [1].本稿では,文献 [1] で提案した位置ずれ検出法
に対して,位置ずれ検出誤差の原因を考察する.
−3
2
x 10
3.
位置ずれ検出誤差
提案法の位置ずれ検出誤差の原因はいくつか存在する.
以下では,誤差の原因とそれぞれの誤差が位置ずれ検出
に与える影響について考察する.
3.1 2 次曲線近似による誤差
提案法では,サブピクセル精度での位置ずれ量推定の
ために,位相限定相関のピーク付近を補間し 2 次曲線で
近似している.実際の位相限定相関は,式 (1) や (2) のよ
うな sinc 関数状になるため誤差を生じる.2 次曲線と式
(1) との差は,図 1(a) のような誤差を生み出す.図の横
軸は位置ずれ量 (0.1pixel 刻み),縦軸が検出誤差である.
3.2 データ長が偶数の場合の誤差
cos(πn)
データ長 N が偶数の場合は,式 (2) のように ± N
を加算した形となりこの項の影響による位置ずれ検出
誤差が発生する.1 次元信号の位置ずれ検出において,
N = 127 の場合と N = 128 の場合の位置ずれ検出誤差
を図 1(b) に示す.データ長が奇数の場合は,図 1(a) の
場合と同様の結果となるが,偶数の場合はさらに誤差が
加わった結果となっている.
Even
Odd
0.005
Estimation Error
Estimation Error
1
0.5
0
−0.5
0
−0.005
−1
−1.5
−2
0
0.2
0.4
0.6
Quantity of Displacement
0.8
−0.01
0
0.2
0.4
0.6
Quantity of Displacement
0.8
(b) データ長
(a) 2 次曲線近似
2.
0.01
Vertical
Horizontal
0
0.005
−0.05
−0.1
Estimation Error
Estimation Error
位相限定相関を用いた位置ずれ検出法
文献 [1] の手法では,位相限定相関が sinc 関数で近似
できる性質を用いて画像のサブピクセル精度の位置ずれ
量を推定する.位置ずれを生じている 2 つの 1 次元信号
の位相限定相関の理論式は,信号サイズ N が奇数の場
合は,
sin(π(n + τ ))
(1)
g(n) =
π
N sin( N
(n + τ ))
となる.ここでは簡単化のために 1 次元信号を用いてい
る.τ は 2 つの信号の位置ずれ量を表す.また,N が偶
数の場合,
sin( NN−1 π(n + τ )) cos(πn)
±
(2)
g(n) =
π
N sin( N
(n + τ ))
N
と表される.第 2 項の符号は位置ずれ量 τ に依存する.
2 つの信号のサブピクセル精度の位置ずれ量は,式 (1)
または (2) で示される g(n) のピーク位置付近が sinc 関
数で近似できる性質より求まる.
0.01
1.5
No window
Window
−0.005
−0.15
−0.2
0
0
0.2
0.4
0.6
Quantity of Displacement
0.8
−0.01
0
0.2
0.4
0.6
Quantity of Displacement
0.8
(d) Cameraman
図 1: 各要因による位置ずれ検出誤差の違い
(c) エッジエフェクト
3.3 エッジエフェクト による誤差
位相限定相関を用いた位置ずれ検出では,エッジエフェ
クトによる誤差が生じる [2].この影響を低減するため
に,提案法では位置ずれ推定を行う画像に対してハニン
グ窓をかけている.図 1(c) は,ある 1 次元信号に対し
て,窓関数を用いた場合と用いない場合における提案法
の位置ずれ検出誤差を示す.窓関数によりエッジエフェ
クトの影響が大幅に低減されることが確認できる.エッ
ジエフェクトと窓かけによる影響は,信号の性質に依存
するため解析は難しい.
また,図 1(d) は画像 Cameraman(サイズ 256×256) に
対して人工的に位置ずれを発生させ,位置ずれ検出を行っ
た場合の縦方向と横方向の誤差である.データ長が偶数
の場合の誤差及び 2 次曲線近似の影響を確認できる.
4.
まとめ
本稿では,位相限定相関による画像の位置ずれ検出に
おける誤差を考察した.考察の結果,いくつかの誤差の
要因及び影響が明らかになった.
参考文献
[1] M. Hagiwara and M. Kawamata, “Detection of
frame displacement for old films using phase-only
correlation,” Proc. ISPACS, pp. 27–31, 2002.
[2] W. S. Hoge, “A subspace identification extension to
the phase correlation method,” IEEE Trans. Medical Imaging, vol. 12, no. 1, 2003.
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