ディスプレースメント チュートリアル

ディスプレースメント チュートリアル
株式会社ソフトウェア・トゥー
はじめに
今回のチュートリアルでは、STRATA 3D CXのディスプレースメントを使用して、花模様で装飾された柱を作成して
いきます。ディスプレースメントとは、イメージファイルやムービーファイルが持つグレー値の濃淡差からサンプリ
ングを行い、ジオメトリーの高低差に置き換えて凹凸効果を得る機能です。
ディスプレースメントはベジェサーフェイスまたはポリゴンメッシュオブジェクトが対象ですが、ベジェサーフェイ
スの方が適しています。ポリゴンメッシュにも使用できますが、サンプリングは相当遅くなります。その場合は、サ
ブディバイドコマンドを使ってポリスプラインにすることで、ポリゴンメッシュよりもディスプレースメントをより
効果的に行うことができます。
ディスプレースメントとバンプマップとを混同しないでください。バンプマップは、オブジェクト表面の凹凸をシミュ
レートするだけなのに対し、ディスプレースメントは、実際にオブジェクトのジオメトリーを変化させることができ
ます。適切な表面テクスチャーにディスプレースメントを適用すれば、非常に興味深い結果が得られます。
今回のチュートリアルで使用するサンプルデータは、上図のAdobe Illsutratorで作成した柱の輪郭になる2Dテンプ
レートと、Photoshopで作成したディスプレースメントに使用する装飾用のグレースケールマップです。
最初に以下のURLからチュートリアルデータ(CX_template.ai / CX_Displacement.tif)をダウンロードしてお
いてください。
http://download.swtoo.com/Strata/3DCX/tutorial/010/CX_Displacement_Sample1.sit
STEP - 01 2Dテンプレートを読み込む
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まず最初に新規ファイルを作成し、
“読み込み ...”(Command - I ) から“CX_template.ai”ファイルを読み込みます。
この 2D オブジェクトは柱本体と装飾用オブジェクトで構成され、読み込まれた直後はグループ化されたシェイ
プとして読み込まれます。
柱本体
装飾用オブジェクト
STEP - 02 柱の形状を作る
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旋回ツールで下図の矢印が示したコントロールポイントをクリックし、360°旋回させます。
これで柱の形状が完成しました。
STEP - 03 装飾用オブジェクトの設定を行う
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オブジェクト移動ツールに切り替え、モデリングウインドウ上でグループ化された柱のオブジェクトをダブルク
リックします。グループをダブルクリックすると専用ウインドウを開きますので、下図のようにプロジェクトウ
インドウから柱本体のオブジェクトを非表示に設定してください。
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装飾用オブジェクトを選択し、ジオメトリー変換ダイアログ(モデリングメニュー)からベジェサーフェイスオ
ブジェクトに変換します。
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リソースパレットのテクスチャータブが選択されていることを確認し、
“新規”ボタンの右側にあるポップアップ
メニューから“ディスプレースメント”を選びます。
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ディスプレースメントダイアログが表示されますので、
“マップ”ボタンをクリックし、次に表示されるイメージ
マップダイアログの下部にある“読み込み ...”ボタンから“CX_Displacement.tif”を読み込んでください。
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装飾用のオブジェクトが選択されているのを確認し、リソースパレットから“適用”ボタンをクリックするか、
またはテクスチャータブの上段に読み込まれたディスプレースメントテクスチャーをオブジェクトに対して直接
ドラッグアンドドロップによって適用します。ディスプレースメントテクスチャーを適用すると、下図のように
モデリングウインドウ上で凹凸が表現されているのが確認できます(凹凸の表現の度合いはディスプレースメン
トダイアログのサンプリング値に依存します)。
次にマッピング形式を変更します。オブジェクトプロパティのテクスチャータブを選択し、マッピンングポップ
アップメニューから“円柱形式 1”、領域の x サイズを“50%”に設定してください。
最後に“配置”ボタンをクリックし、マッピング編集モードに切り替えます。
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マッピング編集モードに切り替えると、ツールパレットの内容がマッピング編集に適したツールに切り替わります。
ディスプレースメントの凹凸効果を表示させたままだとマッピング編集が行いづらいので、表示方法をアウトラ
(S キー)にします。次にテクスチャー回転ツールを選択し、下図の回転ハンドルを矢印の方向に 90°
イン表示 回転させます。またテクスチャーを回転させる際には、Shift キーを組み合わせることでテクスチャーの回転角
度を 45°単位に制限できます。
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(5 キー)と上面図(
8 キー)それぞれのビューから、下図
次にテクスチャー拡大/縮小ツールを選択し、前面図 のハンドルをオブジェクトのサイズに合うように調整していきます。
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ここまでの操作が終わったら、オブジェクトプロパティの“配置終了”ボタンをクリックし、マッピング編集を
終了してください。
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リソースパレットの上段に読み込まれているディスプレースメントテクスチャーをダブルクリックし、再度ディ
スプレースメントダイアログを開きます。
サンプリングに“50”、最大の高さを“1.5%”に設定してください。
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サンプリングの値を上げることで模様がよりはっきりと浮かび上がったことが確認できます。
注意:サンプリングの値を大きくすると、マシンスペックによっては処理が著しく低下する場合があります。
以降の作業において動作が遅いと感じる場合、サンプリングの値を“0”に戻して作業を行ってください。
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装飾用オブジェクトに色を設定します。リソースパレットの新規ボタンをクリックし、以下のように設定を行っ
てください。
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色を適用します。
これで装飾用オブジェクトの作業は終わりです。
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プロジェクトウインドウから柱本体を表示してみます。ディスプレースメントの凹凸効果により、花模様が浮き
だした表現が確認できます。
ここまでのチュートリアルデータ(CX_Displacement_Sample2.s3d)は以下のURLからダウンロードできます。
http://download.swtoo.com/Strata/3DCX/tutorial/010/CX_Displacement_Sample2.sit
STEP - 04 柱本体の設定を行う
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このステップでは柱本体の設定を行います。装飾用オブジェクトは使用しませんので、プロジェクトウインドウ
から非表示に設定しておいてください。
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リソースパレットの下部にあるリソースメニューから“レンガと石”>“瑠璃”を選択し、
“読み込み ...”ボタンを
クリックします。
次に、柱本体が選択されているのを確認し、リソースパレットから“適用”ボタンをクリックするか、またはテ
クスチャータブの上段に読み込まれた瑠璃テクスチャーをオブジェクトに対して直接ドラッグアンドドロップ
によって適用します。
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マッピング形式を変更します。オブジェクトプロパティのテクスチャータブを選択し、マッピンングポップアッ
プメニューから“円柱形式2”に設定してください。
最後に“配置”ボタンをクリックし、マッピング編集モードに切り替えます。
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ステップ3で行ったように、テクスチャー回転ツールとテクスチャー拡大/縮小ツールを使い、ハンドルをオブ
ジェクトのサイズに合うように調整していきます。
右下図のように調整が終わったら、オブジェクトプロパティの“配置終了”ボタンをクリックし、マッピング編
集を終了してください。
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プロジェクトウインドウから装飾用のオブジェクトを表示します。
これで柱の作成が完成しました。
STEP - 05 イメージを完成させる
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最後にライトドーム、背景や地面を設定し、レンダリングを実行してみましょう。
注意:サンプリングの値を“0”に戻して作業を行っていた場合は、“50”に再設定してください。
これでイメージの完成です。
完成したチュートリアルデータ(CX_Displacement_Sample3.s3d)は以下のURLからダウンロードできます。
http://download.swtoo.com/Strata/3DCX/tutorial/010/CX_Displacement_Sample3.sit