宿題 1 の模範解答 Masayuki Kubota TA のオフィスアワーについて TA:久保田昌幸 オフィスアワー : 金曜 4 限 赤門総合研究棟 420 号室 宿題についての質問などは、オフィスアワーに質問に来てください。 宿題の返却について 宿題は 赤門総合研究棟 420 号室前 に置いておきますので、各自持ち帰ってください。 レーティングについて 宿題には A, A-, B, C のレートをつけています。 • A : だいたい合っている。 • A- : 少し間違っているか、書き方が間違っているところがある。 • B : 間違いがある。 • C : 全部間違っている。 宿題の体裁について 雑な字で書かれた宿題については、採点しません。 丁寧に書いてください。 1 問1 • 任意の w ∈ [w2 , w1 ] をとる。戦略プロファイル (s1 , s2 ) = (w, w) はナッシュ均衡 である。 Proof. この戦略プロファイルにおける各入札者の利得は、 u1 (s1 , s2 ) = w1 − w ≥ 0 u2 (s1 , s2 ) = 0 となる。 任意の s′1 ∈ [0, ∞) をとる。s′1 < w のとき、入札者1は落札できないので、彼の 利得は 0 となる。s′1 > w のとき、入札者1は落札できるが、彼の支払いは w よ ′ りも高くなる。したがって、任意の s′1 ∈ [0, ∞) について、u1 (s1 , s2 ) ≥ u1 (s1 , s2 ) が成立している。 任意の s′2 ∈ [0, ∞) をとる。s′2 < w のとき、入札者2は落札できないので、彼の 利得は 0 となる。s′2 > w のとき、入札者2は落札できるが、彼の利得は w2 − w ′ で、負となる。したがって、任意の s′2 ∈ [0, ∞) について、u2 (s1 , s2 ) ≥ u1 (s1 , s2 ) が成立している。 補足 of 問1: • 証明をする問題の解答は、まず『何を証明するか』を書いて、その次に『証明』 を書きましょう。 • ナッシュ均衡は完備情報を前提とした解概念です。不完備情報を仮定して解かな いように。 • 以下のような間違った解答が散見されました。 (間違った解答の内容)w ∈ (w2 , w1 ), (s1 , s2 ) = (w, w) とする。入札者1が w2 と w の間の指値に変えると、入札者2は利得が負になってしまい、入札者2も入札 2 者1と同じ指値に変えるだろう。そうすると、入札者1はさらに低い価格で落札 できるということだから、入札者1は指値をこのように変えるだろう。したがっ て、(s1 , s2 ) = (w, w) はナッシュ均衡ではない。 この例では『入札者1が w2 と w の間の指値に変えると、入札者2は利得が負に なってしまい、入札者2も入札者1と同じ指値に変えるだろう』の部分が間違い です。自分の戦略は相手の戦略に依存できないので、『自分の戦略を変えたら、 相手も戦略を変えるから』といったことは考えられません。考えたいのならば、 モデルそのものを作り直す必要があります。 3 問2 • 拡張版定理2−3:入札者 n 人。w1 ≥ w2 ≥ · · · ≥ wn 。S1 = S2 = · · · = [0, ∞)。 同じ指値の場合には若い番号の入札者に落札とする。この時、(s1 , s2 , . . . , sn ) = (w2 , w2 , . . . , w2 ) が一位価格入札におけるナッシュ均衡になる。 Proof. 省略(本論の定理2−3の証明の2段落目の『入札者2』を『入札者1 以外の任意の入札者 i』とすればよい)。 • 拡張版定理2−4:拡張版定理2−3と同じ状況を考える。落札者が w2 より低 い支払いをするナッシュ均衡は存在しない。 Proof. 任意の戦略プロファイル s = (s1 , . . . , sn ) を考える。落札価格が w2 より 低い、つまり max[s1 , . . . , sn ] < w2 と仮定する。入札者1と入札者2のどちらかは必ず非落札者である。その非落札 者は、落札価格 max[s1 , . . . , sn ] と w2 の中間値を指値すれば、自身の財評価より も安く落札でき、非落札時の利得ゼロをうわまわる。したがって、s はナッシュ 均衡でない。 補足 of 問2: • 拡張版定理2−3の設定の元で s = (w2 , w2 , w′ , . . . , w′ ) とすると、w′ ≤ w2 であ れば s はナッシュ均衡になります。 • 『同じ指値の入札者がいる場合、評価額の高い入札者に落札』は、間違いです。 オークションの運営者は、入札者の評価額を知りません。 • 拡張版定理2−4の答えで、『wn より低い....』という解答が多かった。 また、どちらの方が強い主張なのか、という質問があった。 『w2 より低い支払いをするナッシュ均衡は存在しない』が成立するならば、 『wn より低い支払いをするナッシュ均衡は存在しない』は成立します。 よって、『w2 より低い....』の方が強い主張となります。 4
© Copyright 2024 ExpyDoc