樹木と草の違いはなんでしょう 2015.3.5.一木会で大阪城に行った。蓮如上人真蹟の碑「南無阿弥陀 仏」の近くや長屋門の付近にたくさんの黄色い花があった。これはキ ク科ユリオプス属の「ユリオプス・デージー」だ。調べてみるとユリ オプス属は南アフリカを中心に 100 種 程度が分布し、半耐寒性多年草で開花 期は 11 月〜翌 5 月頃。葉には短い白毛 が生えている。他に「常緑低木」と書 いてある本もあった。 ユリオプス・デージーの花 同じ植物なのに「木」と「草」と図 鑑によって違いが出てくるのは、「は っきりとした定義が確立されていないから」と思われる。私は「木は 冬でも地上部が残り、草は冬越しが出来ずに、倒れて腐るからクサ」 根元は木質化 と例によってダジャレを交えて話をしているが、より詳しくと調べて みると、次のような植物が「草の図鑑」と「木の図鑑」の両方に入っ ていた。 アオノツガザクラ、イソヤマアオキ、イブキジャコウソウ、イワジャコウソウ、イワナシ、ウメガサソウ、エゾノツ ガザクラ、オオウメガサソウ、カギカズラ、キハギ、キンシバイ、クロマメノキ、ケナシコウモリカズラ、コウシュ ウウヤク、コウモリカズラ、コケモモ、サルマメ、サツマサンキライ、ジムカ デ、シロバナエゾノツガザクラ、シロバナキハギ、タイム、タチキジャコウソ ウ、ツクシハギ、ツルコケモモ、ニッコウシャクナゲ、ニッコウシラハギ、ネム リグサ、ヒマワリヒヨドリ、ヒメシャクナゲ、フウトウカズラ、ホウズキハギ、ミ カエリソウ、ヤマハギ、とずいぶんとたくさんある。 樹木と草の違いは大きく分けて 3 通りの説がある。①冬に地上部が 枯れる、枯れてないという分類、②肥大成長する。③木化(モッカ)す るか、しないかの 3 通り。図鑑の監修者の違いで「木」になったり「草」 ユリオプス・デージー なったりしている。この分類でいくとユリオプス・デージーは常緑低 木になる。しかし、スギやマツのようにどんどん太らない。コウヤボ ウキはキク科コウヤボウキ属の落葉小低木と「木」に分類されている。しかし、3 年目の枝は枯れて、 肥大成長しない。キク科は 1000 種ほどあるが、ほとんどが「草」で「木」は少ない。 岩波「生物学辞典」では、『草は地上部は多くは1年で 枯れるが、地下部は枯れず二年生・多年生のものや常緑葉 のものもある』と書いてある。 肥大成長をするのは「木」、しないのは「草」とすると、 コウヤボウキもユリオプス・デージーも「草の仲間」にな ってしまう。 しかし、タケは肥大成長をしないので草か?年を越して 腐らないので木か?という疑問が出る。タケは地上部は枯 れないが肥大成長をしない。しかし木の図鑑に掲載されて いる不思議な植物で、タケ「イネ科」と「タケ科」の図鑑 がある。イネ科、キク科植物はほとんど草の仲間にはいっ コウヤボウキ ている。私が話しているのは、3 つの分類に無く、前年度 の枝先に次年度の芽が生長するのを「木」、しないのを「草」 という考え方だ。こう考えると、ユリオプス・デージーもコウヤボウキも「草の仲間」に該当する。 当然前述している 3 通りの考え方も含めて考えるのだが。 空を飛ぶのを鳥と規定すると、モモンガ、ムササビ、コウモリは鳥の仲間になってしまうし、水の 中を泳ぐのを魚と規定すると、クジラやイルカ、ジュゴン、アザラシなどは魚か?となる。例外的な 動物もいるのだ。コウヤボウキもユリオプス・デージーも、植物の世界の例外的なもので、今年の枝 先に新芽が出ないので、「草の仲間」になると私は考えているが・・・この考え方はまだ一般化して いない。 -1-
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