涸沼にすむおもな植物

茨城県霞ケ浦環境科学センター
Ibaraki Kasumigaura Environmental Science Center
希少な植物たち | 左側のものほど絶滅の恐れが高い 茨城県版レッドデータブック 2012 による
★絶滅危惧ⅠA 類 > ☆絶滅危惧ⅠB 類 > ●絶滅危惧Ⅱ類 > ○準絶滅危惧
水生植物は、魚の産卵場所や野鳥のすみかとなり、小さな魚やエビなどにとっては、大きな魚から身を守る場所に
なります。また水生植物は、様々な動物にすみかやエサ提供し、生態系を多様化します。
抽水植物
ヒメガマ
【イネ科】
汽 アイアシ
フトイ
【カヤツリグサ科】
高さは 2m 近くになる個
体もある。花茎の基部に
は鞘があって、先端は少
しだけ葉の形になるが、
小さくて目立たない。
☆絶ⅠB
【イネ科】
高さ 80-160cm。ヨシに似
ている。穂が初夏に出る
こと、それが数本の太い
枝だけからなるのが特
徴である。
高さ2-3m。涸沼で
最も多い抽水植物。茎
は中空。よしずに利用
される。
クサヨシ
ウキヤガラ
マコモ
【ガマ科】
高さ1-2m。茶色い棒
状の穂をつける。熟すと
穂が破れ針の形をした
種子が飛び出す。
汽 オオクグ
【イネ科】
高さ 80-150cm。ヨシに似
ているが、小穂の構造な
どが異なり、別属であ
る。穂が真っすぐ立つ点
などが差異である。
汽水湿地に
生える植物
根は水底の土壌中にあって、
葉や茎の一部または大部分が空気中に伸びている植物。
ヨシ
*涸沼では,浮漂植物はほとんどみられません。
汽
☆絶ⅠB
【カヤツリグサ科】
高さ 40-70cm。地中の根
茎は長く伸び、葉は茎よ
り長く、幅が 5mm-1cm
弱でやや堅めである。淡
緑色の葉を数枚つける。
【イネ科】
高さ1-2m。幅の広い
葉を伸ばす。マコモダケ
は黒穂菌に寄生されて
肥大した新芽である。
カサスゲ
【カヤツリグサ科】
高さは 1m 程。根は水中
の泥に伸び、太い地下茎
を横にはわせて大群落
を作る。葉は細長く、や
や立ち気味に伸びる。
【カヤツリグサ科】
高さは 1.5m を越える。
花茎の上に、3-8 個の花
をつける。枯れた茎は軽
く、水に浮く。茎の断面
は三角形である。
ミズアオイ
○準絶
【ミズオアイ科】
高さは最大 1m。水田雑
草として見られていた
が、水路改修や除草剤使
用などによる環境の悪
化により減少している。
湿性植物
水辺や湿原など、湿潤な所に生育する植物。
花
ジョウロウスゲ○準絶
汽シオクグ
【カヤツリグサ科】
高さ 40-70cm。上部に 4-6
個密集した丸くて大きな
穂があり、熟すと種子を
たくさんつける。
草原植物
●絶Ⅱ
オギ
サワオグルマ ●絶Ⅱ
【カヤツリグサ科】
高さの変化に富み、砂浜
のような場所では 20cm 程
度しか伸びず、干潟の奥
の方などでは 50cm を越え
るものもある。
主にイネ科植物や低木。
【イネ科】
高さ 1-2.5m ほど。ススキ
に似ているが,湿地に生
えるところと,株をつく
らないところが違う。
沈水植物
タコノアシ
【キク科】
高さ 50—80cm。黄色の舌
状花と筒状花で構成さ
れる。3-4cm 径の花を数
個から 30 個程度つけ
る。
からだ全体が、
水中にある植物。
○準絶
【タコノアシ科】
高さ数十 cm。9 月頃小さ
い花を多数開く。これを
上から見ると,吸盤のつ
いた蛸の足を下から見た
のに似ている。
ウスゲチョウジタデ
【アカバナ科】 ○準絶
高さ 30-70 ㎝。田畑の雑
草として見られていた。
茎と葉に細毛が生え、茎
はあまり紅色を帯びな
い。
浮葉植物
葉を水面に浮かべる植物。
ミズワラビ
【ホウライシダ科】
チガヤ
ノイバラ
【イネ科】
高さ 30-50cm ほど。地上
に出ているのは、花茎以
外ではほとんど葉だけで
ある。
ミズオオバコ ○準絶
エビモ
【バラ科】
高さ2mほど。奇数羽状
複葉で、小葉数は 7-9、
長さは 10cm ほど。小葉は
楕円形で鋸歯がある。
【ヒルムシロ科】
全長 3mほど。エビがい
るようなところに生え
る。楕円形のねじれた葉
をもつ。
【トチカガミ科】
葉の大きさは 5-40cm と
環境によって変異が大
きく、水深が深いと大
型化する傾向にある。
ヒシ
【ホウライシダ科】
葉は菱形で、放射状に
水面に広がる。種子に
は,2つのトゲがあ
る。
シダとしては珍しく水
草で、水中、あるいは
湿地に生える。除草剤
のためか激減してい
る。
写真の一部は森本 泰弘氏の
ご協力をいただきました。
生息するために必要な環境
涸沼の植物は、これまでの調査で398種が確認されています。昭和40年代までは、涸沼は水生植物の宝庫であり、涸沼沿岸にヨシ、マコモなどの水生植物が群生していました。
ハマヒルガオ
しかし、湿地の干拓やコンクリート護岸工事などにより、こうした群生地が減少してしまい、ミズアオイ、ミズワラビ、タコノアシなどの植物が絶滅の危機に瀕しています。