【2015 年度シラバス】 【授業科目名】 経済法Ⅱ 【授業科目の区分】 展開・先端科目群 【担当者】 伊永 大輔 【履修形態/単位】 選択科目/2単位 【配当年次/開期】 2・3年次/後期 【授業科目の内容】 経済法とは、独占禁止法を中心とする経済秩序に関する各種規制法を意味する。 独占禁止法は、数ある法律の中でも特に現代的な法律の一つである。経済憲法と呼ばれ、 社会におけるあらゆる経済活動を規律する基本法であって、その解釈運用によって実際の 企業取引や事業のあり方にも影響を及ぼしている。また、独占禁止法には、市場経済を通 じて消費者が良質廉価な商品を選ぶことができるようにするという意味で、消費者主権を 確保するという意義もある。 経済法は、複雑な経済活動に柔軟に対応すべく、抽象的な実体規定と厳格な手続規定か ら構成されていることが多い。これらの法は、法規制の射程が公正かつ自由な競争の促進 という解釈原理のもと無限に広がっているという意味で、法解釈が規制範囲に大きな意味 を持っている。そのため、法的素養のある者でなければ、適切に法令を遵守することも難 しいという側面がある。特に独占禁止法の規定内容は、裁判官・検察官への任官を志す者 はもとより、企業法務に携わったり、消費者保護に取り組もうとする者にとっても知って おくべき基本的な素養となっている。 【授業科目の目標・方法】 本講義では、独占禁止法の基本構造を理解するとともに、基礎的な論点について具体例 に当てはめて考えを説明できるようになることを目的とする。そのため、独占禁止法の主 要な規定や審決・判決をひととおり理解しつつ、独占禁止法の全体像を把握できるように、 実体法上の行為要件を中心に(ときとして手続規定の説明を交えながら) 、基礎的内容に重 点を置いて講義を行う。なお、本講義では判審決を十分に扱う時間がないため、この点は 企業法務演習Ⅰおよび予習・復習に委ねたい。 また、複雑多様化した経済社会における経済法の活用方法を習得できるよう、法規の理 論的な展開のみならず、実際の運用について社会的・経済的な背景と関連付けながら、実 務経験を通じた具体的な講義を進める。また、公正取引委員会の審査実務や現実の経済実 態についても時折触れていきたい。 【授業計画】 第 1 回 独占禁止法の全体像(インストラクション) 第 2 回 企業結合規制 -垂直型企業結合・問題解消措置 第 3 回 事業者団体規制(1) 行為類型と成立要件 第 4 回 事業者団体規制(2) 行為の振り分け基準 第 5 回 独占禁止法の適用除外 第 6 回 独占禁止法の民事的救済 第 7 回 課徴金制度 第 8 回 不当な取引制限と官製談合防止法 第 9 回 不当対価型(1) 排除型私的独占第1類型 第 10 回 不当対価型(2)と排他条件型 排除型私的独占第 2 類型 第 11 回 取引強制型 排除型私的独占第 3 類型 第 12 回 取引拒絶型 排除型私的独占第 4 類型 第 13 回 搾取濫用型(1) 第 14 回 搾取濫用型(2) 【2015 年度シラバス】 第 15 回 独占禁止法全体の復習 【授業外学修の課題】 講義にあたっては、事前に教科書の指定範囲を読んで臨むようにしてください。事前の 予習を前提に講義を進めていきます(ただし、予習時間は2〜3時間程度でよい) 。 なお、経済法、特に独占禁止法が絡む問題は、日常生活の場においても知らず知らずの うちに遭遇します。習得した知識を使えば、新聞等で接する経済社会についての情報をよ り深く理解することができるようになるはずです。政府による規制についても新聞等で報 道されていますが、市場機能を活用するためにはどのよう規制手法が望ましいか、日頃か ら問題意識を持って考えてみるとよいでしょう。 【履修上の注意事項】 (1)受講者は「経済法Ⅰ」を履修しておくことが望まれます。 (2)講義には、授業資料とともに六法を持参してください。 (3)その他、講義に関して必要な事項は最初の授業で説明します。 【教科書】 (1) 『独占禁止法(第 2 版)』、菅久修一(編著) ・品川武・伊永大輔・原田郁(著)、商事 法務(2015 年) (2) 『ケーススタディ経済法』大久保直樹・伊永大輔・滝澤紗矢子(編著)、有斐閣(2015 年) 【参考書】 概括的な教科書から順に記載すると、次の書籍が理解を進めるのに定評があります。 (1)『独禁法講義(第 7 版)』 、白石忠志(著) 、有斐閣(2014 年) (2) 『ベーシック経済法(第 4 版) 』、川濵昇・瀬領真悟・泉水文雄・和久井理子(著)、有 斐閣アルマ(2014 年) (3)『独占禁止法概説(第 4 版)』、根岸哲・舟田正之(著)、有斐閣(2010 年) (4)『経済法(第 7 版) 』、岸井大太郎・向田直範・和田健夫・大槻文俊・川島富士雄・稗 貫俊文(著) 、有斐閣アルマ(2013 年) (5)『独占禁止法(第 4 版)』 、金井貴嗣・泉水文雄・川濵昇(編著)、弘文堂(2014 年) 重要判例集としては、次の書籍が参考になります。 (1)『実務に効く 公正取引審決判例精選』泉水文雄・長澤哲也(編)、ジュリスト増刊、 有斐閣(2014 年) (2) 『経済法判例・審決百選』 、舟田正之・金井貴嗣・泉水文雄(編)、有斐閣(2010 年) (3) 『ケースブック独占禁止法(第 3 版)』、金井貴嗣・川濵昇・泉水文雄(編著)、弘文堂 (2013 年) 経済法の演習書としては、『ケーススタディ経済法』のほかに次の書籍があります。 ○『論点解析 経済法』川濵昇・武田邦宣・和久井理子(編著)、商事法務(2014 年) 【成績評価の方法・基準】 期末試験(80%)、授業時に行う理解度確認テスト(20%)で評価します。 【質問・相談への対応】 毎週火曜 14:50〜16:20 がオフィスアワーになっています。もちろん、授業後の質問や 【2015 年度シラバス】 メールでの質問でもかまいません。疑問に思ったら、そのままにせず、他の受講生と議論 したり一緒に質問にきたりして疑問を解消するようにしましょう。 【主な関連科目】 経済法Ⅰ :前期水曜 3 限 企業法務演習Ⅰ:前期火曜 3 限 企業法務演習Ⅱ:後期火曜 3 限 法と経済学 :後期火曜 1 限
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