平成 27 年 7 月 9 日 公共経済学 市場・外部性演習解答 1 (a) (1) 経済の中の一人の厚生水準を改善するためには,他の主体の厚生を低下させなければならな いような配分のこと. (2) 完全競争市場で実現される資源配分はパレート効率的であるという命題. (3) 全ての主体が凸型の選好をもつと,いかなるパレート効率的な資源配分も,生産要素の賦存 量を再配分することによって競争均衡配分として実現可能であるという命題. (b) 外部性をもつ財の所有権を明確にし,外部性における市場を形成する.影響を及ぼしあう企 業を合併させて考えることにより,外部性を内部化させる.ピグー税を利用して外部性を内部化 させる.など (c) 公共財は以下の性質をもつ. (1)ある人の消費によって他の人の消費が妨げられないという非競合性 (2)料金を支払わない人を財やサービスの消費から排除することが出来ないという排除不可 能性 2 (a) 課税前の均衡において均衡価格は p = 203,取引量は d = s = 189 である. (b) 消費税の導入により,消費者の支払う価格 (= pd ) と供給者の受け取る価格 (= ps ) は異なる ことに注意しよう.消費税は価格に対する課税であり (従価税と呼ばれる) 一般に税率 τ に対して pd = (1 + τ )ps (1) の関係が成り立つ.(※参考:量に対する課税は従量税 (例:酒税) と呼ばれ,pd = ps + t の関係が 成り立つ) 課税後の均衡を求めるには d(pd ) = s(ps ) (2) pd = (1 + τ )ps (3) 392 − pd = ps − 14 (4) pd = (1 + 0.03)ps (5) を解けばよい.つまり を解くと,pd = 206, ps = 200 と求められる.このときの取引量は 392 − 206 = 200 − 14 = 186 で ある.消費税導入後の消費者余剰の損失は 21 (186 + 189)(206 − 203) = 562.5 生産者余剰の損失は 1 2 (186 + 189)(203 − 200) = 562.5 図-1 (c) 政府が得る税収は 0.03ps × 186 = 1116 で,社会的余剰の変化は 1116 − 562.5 − 562.5 = −9 よって消費税の導入によって社会的余剰が 9 だけ失われる. 3 個人 A,B のもつ初期保有の市場価値はそれぞれ 90px ,60py であることに注意しよう.個人 A の効用最大化問題は max x2 y (6) x,y subject to px x + py y = 90px (7) x ≥ 0, y ≥ 0 (8) L(x, y, λ) = x2 y + λ(90px − px x − py y) (9) で表現される.ラグランジュ関数 を定義し,一階条件を整理すると A の x 財,y 財に対する需要は (xA , y B ) = (60, 30 px ) py (10) と求められる.個人 B においても同じ導出過程をたどり (xB , y B ) = (20 py , 40) px が求められる.以上より個人 A の超過需要は, EDxA = 60 − 90 = −30 px EDyA = 30 py 個人 B の超過需要は, py px EDyB = 40 − 60 = −20 EDxB = 20 となる. (11) (b) 経済の総超過需要は, EDx = EDxA + EDxB = −30 + 20 EDy = EDyA + EDyB = 30 py px px − 20 py であり,ワルラス均衡において EDx = 0, EDy = 0 が成り立つので, 2 px = py 3 EDxA = −30, EDyA = 20 EDxB = 30, EDyB = −20 となる.したがって,均衡価格比は 位を個人 B から買う. 2 であり,個人 A は x 財 30 単位を個人 B に売り,y 財 20 単 3 4 需要関数と供給関数は下図を参照 (1)(Q, p) = (800, 200) (2) 消費者余剰 1 × 800 × 800 = 320000 2 (12) 100 × 800 = 80000 (13) 1 × 700 × 700 = 245000 2 (14) 100 × 700 = 70000 (15) 100 × 700 = 70000 (16) 320000 − 80000 = 240000 (17) 245000 − 70000 + 70000 = 245000 (18) 外部費用 (3)(Q, p) = (700, 300) (4) 消費者余剰 外部費用 税収 (5) 社会的余剰は (2) のとき (4) のとき これより外部性を考慮した税金の導入により社会的余剰は改善していることがわかる。 図-1 5 (a) max Gx1 G,x1 subject to Gx2 ≥ u∗ G2 + (x1 + x2 )2 − 20 = 0 ラグランジュ関数を L として, L(x1 , x2 , G, λ, µ) = Gx1 − λ(Gx2 − u∗ ) − µ{G2 + (x1 + x2 )2 − 20} (b) G = x が得られる. (c) 生産可能曲線より,G = x = √ 10 となる. ∑ (d) サミュエルソン条件とは,公共財と私的財のパレート効率的配分の条件であり,一般に M RSi = M RT と表される. ∂u1 x1 1 M RS1 = ( ∂u ∂G )/( ∂x1 ) = G , ∂u2 x2 2 M RS2 = ( ∂u ∂G )/( ∂x2 ) = G , G ∂F M RT = ( ∂G )/( ∂F ∂x ) = x , (b) より x = G が成り立つので,M RS1 + M RS2 = M RT が示され,サミュエルソン条件が成り 立っていることがわかる. ※参考(より一般的に) (a) を参考にして,M RS1 + M RS2 = M RT を導く.消費者1についての効用最大化問題を作る と以下のようになる. max u1 (G, x1 ) G,x1 subject to u2 (G, x2 ) ≥ u∗ F (G, x) = 0 ラグランジュ関数を L として, L(x1 , x2 , G, λ, µ) = u1 (G, x1 ) − λ(u(G, x2 ) − u∗ ) − µF (G, x) 上式を x1 , x2 , G で微分して λ, µ を消去し,整理すると, ∂u1 ∂u2 ∂F ∂F ∂F ∂G + ∂G = ∂u1 ∂x1 ∂u2 ∂x2 ∂G ∂x1 ∂x2 x = x1 + x2 より, ∂F ∂F ∂F = = であるので, ∂x1 ∂x2 ∂x ∂u1 ∂u2 ∂F ∂G + ∂G = ∂G ∂u1 ∂u2 ∂F ∂x1 ∂x2 ∂x となる.よって M RS1 + M RS2 = M RT が示され,サミュエルソン条件が成り立つことがわかる.
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