アカアマダイの分布

アマダイ類 東シナ海
まえがき アマダイ類は主に山口県、長崎県の延縄
漁業や以西底びき網漁業、沖合底びき網漁業(日本
資源状態 主要な漁業県は長崎県、山口県で両県と
海西区)によって漁獲されている、東シナ海の陸棚縁
も延縄漁業による漁獲が最も多い。両県の漁獲量は
辺を代表する底魚資源の一つである。比較的高価で
経年的に減少傾向にあり特に山口県の減少が著し
あるので我が国では重要魚種となっている。中国、韓
い。
国でも日本と同等かそれ以上の漁獲がある。
2そうびき以西底びき網漁業は1966年には1,700ト
ンを超える水揚げをしたが、2000年にはわずか40トン
の水揚げであった。なお、日本海西部海域(大部分
は対馬周辺で漁獲される)の沖合底びき網漁業の
2000年の水揚は107トンであった。2000年東シナ海
のアマダイ類漁獲量は以西、沖合底びき網漁業、山
口県、長崎県の漁業のみの合計で607トンであった。
生物学的特性 アマダイ類にはアカアマダイ、キアマ
中国では浙江省を中心とする主に底刺網漁業によ
ダイ、シロアマダイがあるが、漁獲の主体はアカアマ
り急速に漁場開発が発展し、山口県の延縄漁船と競
ダイである。アカアマダイは済州島東から大陸棚縁辺
合するようなった。中国の刺網漁船はアマダイ類のほ
に沿って分布する。特に砂泥底を好み、穴居生活を
かコイチ、キダイを対象としているが、漁獲物の60~
行う習性がある。
80%がアマダイ類で漁獲のほとんどを日本に輸出して
いる。アマダイ類の年間漁獲量は約3,000トンである。
韓国では済州島を中心に延縄及び流し網漁業に
よるアマダイ類の漁獲があり、2000年には1,664トンの
漁獲があった。
1989~1999年までの山口県と長崎県(1998年ま
で)の延縄漁業のCPUE(漁獲量/出漁日数)は、ど
ちらも水準は低く、年により若干の変動があるが、両
県とも減少傾向を示した。2000年(山口県)は若干上
昇した。
2そうびき以西底びき網漁業の漁獲量は1986年以
降急激に減少している。資源密度指数(CPUEの有漁
漁区間の平均)も変動があるものの1995年以降は減
ア カ ア マ ダ イ の分布
少傾向で推移し、2000年は上昇した。
(1999年1-2月 着 底 ト ロ ー ル 調 査 の デ ー タ に よ る )
2そうびき沖合底びき網漁業の漁獲量は1989年以降
東シナ海の最小成熟体長は雄が22.5cm、雌が
17.5cmとされている。また、東シナ海産の雌の群成熟
同程度の水準で推移し、資源密度指数は1989年以
降漸増傾向にある 。
率は3~4歳50%、5歳80%、6歳100%である。食性は魚
日韓漁業協定発効以後、対馬近海のアマダイ漁
類、長尾類、多毛類が主体となるが、イカ・タコ類、貝
業は韓国漁船との競合が無くなり操業条件が好転し
類、棘皮動物も捕食する。
ている可能性がある。2000年の以西底びき網漁業資
資源評価結果は毎年更新されます。
源密度指数、長崎県延縄漁業のCPUEとも増加して
の漁獲比率が不明であるため、我が国単独の漁獲
いるのはこの影響である可能性がある。
圧削減では効果が出ない可能性がある。
2,500
漁獲量(トン)
2,000
1,500
1,000
500
0
70
75
80
85
年度
90
95
2000
アマダイ類漁獲量の経年変化(以西+沖合底びき網漁業)
これらのことから東シナ海域では現在、資源が低水
準であると考えられる。これは過度の漁獲圧のため加
入量が減少したことが原因である可能性がある。
ABC
ABClimit
ABCtarget
920トン
460トン
漁獲率
-
-
F値
-
-
管理方策 東シナ海域では漁獲圧により加入量が
減少していると見られるため、現在よりもやや漁
獲圧を減らして資源水準を回復させる。
ABCは以下の計算式を用い計算した。
ABClimit=平均漁獲量×γ
ABCtarget=ABClimit×α
漁獲量の水準がほぼおなじである最近2年間
(1998∼1999年)の平均を平均漁獲量1308トンと
した(2000年は全県の資料がないため計算に使用
しない)。以西底びき網漁業の資源密度指数が減
少傾向であることから、γはやや低い値である
0.7を、αは本種の群成熟年齢が遅く(5歳80%)、
寿命が長い(10歳以上)ことから資源の回復には
長い期間が必要と考えられるため低い値である
0.5とした。
アマダイ類は漁獲圧により減少したと考えられ
るので漁獲圧を下げることにより資源水準を回
復可能と考えられる。ただし、不確定要因として、
周辺国の漁獲統計がなく、我が国漁業との本資源
資源評価結果は毎年更新されます。