隠岐島前・島後地区(PDF:1051KB)

【整理番号4】
事前評価書
都道府県名
事業名
地区名
島根県
関係市町村
水産資源環境整備事業
オ キ
ドウ ゼン
ドウ ゴ
隠岐(島前・島後)
隠岐の島町、西ノ島町、海士町、知夫村
(
水産環境整備事業
事業主体
)
島根県
Ⅰ 基本事項
1.地区概要
漁港名(種別)
-
漁場名
隠岐東部工区 ほか
陸揚量
86,000
トン
百万円
陸揚金額
770
登録漁船隻数
-
隻
利用漁船隻数
2,355
隻
ぶり、あじ、いか、ずわいがに、ほか
主な魚種
主な漁業種類 まき網、、カニ・バイ篭、釣り、延べ縄、定置網ほか
漁業経営体数
684
経営体
組合員数
2,823
人
地区の特徴
隠岐地区は、島根県の北東約60㎞沖合に位置する離島であり、まき網漁業を
主体として、カニ・バイ篭漁業やイカ釣り、一本釣り等小型漁船漁業が営ま
れ、平成24年には8万6千トン、77億円の生産実績となっている。
2.事業概要
事業目的
主要工事計画
事業費
メダイやウスメバルを指標種として、稚魚期から成魚期までの生活史に配慮
した藻場や増殖場を含めた漁場環境を改善・整備することにより、漁業資源
の回復を図る。
魚礁(65,000空㎥)、増殖場(60ha)、藻場(2.5ha)
1,730百万円
事業期間
平成28年度~平成37年年度
Ⅱ 必須項目
1.事業の必要性
①平成27年3月に山口県と合同で、上位計画である「島根・山口県外海域水産環境整備マス
タープラン」を策定し、その基本方針である指標種、対象種の生活史に着目して、その生態
的特性にあった良好な漁場環境を創出することとした。
②指標種である、メダイやウスメバルは隠岐地域における釣り漁業等の漁獲対象種である
が、平成21年以降では、漁獲量が減少傾向にあり、漁場環境改善による資源回復が急務と
なっている。
2.事業採択要件
①計画事業費 1,730百万円 (採択要件300百万円以上)
②受益戸数 579戸 (採択要件200戸以上)
3.事業を実施するために必要な基本的な調査
(1)利用面、防護面、施工面等から適切な位置を選定するための地理的条件、自然条件に関する基本的な調査
事業実施に先立ち、海底地盤調査(サイドスキャンソナー)及び設計条件に必要な波浪や潮
流等の自然条件に関する調査を行い、整備箇所を選定する。
(2)施設の利用の見込み等に関する基本的な調査
計画策定時に、地元町村、漁協、漁業者を交えて事前にヒアリングを行っており、漁場とし
て利用可能な整備海域について調査を行っている。
(3)自然環境、生活環境等の周辺環境及びそれに与える影響の把握
藻場造成については、整備予定箇所周辺の藻場及び食害生物といった周辺環境の調査を行う
ことにより、効果的な漁場整備を行う。
【整理番号4】
4.事業を実施するために必要な調整
(1)地元漁業者、地元住民等との調整
漁業協同組合JFしまね西郷支所、浦鄕支所を通じて調整済み。
(2)関係都道府県、関係市町村、関係部局(隣接海岸、道路、河川、港湾、環境等)との事前調整
島内の関係町村へも意見照会を行い、事業計画内容について了承を得ている。
5.事業の投資効果が十分見込まれること
1.16
費用便益比 B/C:
※別紙「費用対効果分析集計表」のとおり
Ⅲ 優先配慮項目
分類項目
中項目
大項目
有
効
性
生
産
力
の
向
上
と
力
強
い
産
地
づ
く
り
水産資源の保護・ 水産資源の維持・保全
回復
資源管理諸施策との連携
生産
陸揚げ
荷捌き
集出荷
流 通
加 工
生活
漁家経営の安定
生産量の増産(持続・増産・下降抑制)
評価
A
A
A
(水産物の安定供給) 生産コストの縮減等(効率化・計画性 の向上)
B
水域環境の保全・ 水質・底質の維持・改善
創造
環境保全効果の持続的な発揮
A
安全・安心な水産 品質確保
物提供
消費者への安定提供
-
漁業活動の効率化 漁港機能の強化
-
労働環境の向上
就労改善等
生活者の安全・安 定期船の安定運航
心確保
災害時の緊急対応
B
-
-
-
-
計画時におけるコスト縮減対策の検討
B
他計画との整合
地域の水産関連計画等との整合性及び地元調整
A
他事業との調整・連携
他事業との調整・連携
B
循環型社会の構築
リサイクルの促進
-
地域に与える効果
産業誘発効果等
A
環境への配慮
生態系への配慮等
A
多面的機能発揮に向けた配慮
多面的機能の発揮
-
効率性 コスト縮減対策
事
業
の
実
施
環
境
等
評価指標
小項目
Ⅳ 総合評価
当該地区は、県内漁業生産量の約70%を占める生産拠点であるが、資源量・漁獲の減少や燃油
の高騰、並びに漁業者の高齢化が漁業生産の課題となっている。
当該事業は、指標種であるメダイやウスメバルを始めとして、魚類の生活史に配慮した環境整
備を行うことで当海域の生産性を向上させ、資源量・漁獲量の底上げを図るとともに、費用便
益比も1.0を超えていることから、事業実施は妥当と判断される。
【整理番号4】
多段階評価の評価根拠について
都道府県名:島根県
地区名:隠岐(島前・島後)
分類項目
評価指標
大項目
中項目
水産資源の
保護・回復
生産
有
効
性
漁家経営の
安定(水産
物の安定供
給)
水域環境の
保全・創造
生産力の
向上と力
強い産地
づくり
A
資源管理諸施策と 休漁日の設定や漁具・漁法の制限といった資源管理措置と
の連携
も連携することで、より効果的な資源回復を図る。
A
生産量の増産(持
続・増産・下降抑
制)
生産コストの縮減
等(効率化・計画
性 の向上)
水質・底質の維
持・改善
環境保全効果の
持続的な発揮
労働環境の
就労改善等
向上
効
率
性
事
業
の
実
施
環
境
等
評価
水産資源の維持・ 隠岐地域の漁場環境を改善することで、海域の生産性を向
保全
上させ、指標種を含めた水産資源の回復を図るため。
品質確保
安全・安心
な水産物提
消費者への安定
陸揚げ 供
提供
荷捌き
集出荷
流 通 漁業活動の
漁港機能の強化
加 工 効率化
生活
評価根拠
小項目
定期船の安定運
生活者の安 航
全・安心確
保
災害時の緊急対
応
資源量の回復を図ることが、漁業生産(漁獲量)の増加や
安定化に直結することが見込まれる。
漁港から近い場所の漁場を整備することで、燃油消費量の
削減や時間の短縮といった、生産活動の効率化や経営改
善が図られる。
藻場造成により、生育した海藻類が水中のリンなどを吸収
し、光合成により酸素を供給することで水質改善が図られ
る。
A
B
A
藻場の造成・修復により隠岐周辺海域の環境保全や生態
系の維持改善が図られる。
B
該当なし
-
該当なし
-
該当なし
-
該当なし
-
該当なし
-
該当なし
-
コスト縮減対策
計画時におけるコ 魚礁などの選定に当たっては、単位事業量当たりの事業費
スト縮減対策の検 含めた総合評価を行うことで、コスト縮減にも配慮した検討
討
を実施。
B
他計画との整合
地域の水産関連
資源管理計画や栽培漁業計画と連携するとともに、事業計
計画等との整合性
画内容についても地元と調整済み。
及び地元調整
A
他事業との調整・連携
他事業との調整・
連携
県で先行実施している、藻場環境調査とも連携することで
効果的な環境整備を行う。
B
循環型社会の構築
リサイクルの促進
該当なし
-
地域に与える効果
産業誘発効果等
隠岐地域にとって水産業は重要な産業であり、資源回復と
生産量の底上げを図ることが、地域の雇用確保や産業振
興に与える影響は大きい。
A
環境への配慮
生態系への配慮
等
藻場の造成・修復により隠岐周辺海域の環境保全や生態
系の維持改善が図られる。
A
多面的機能発揮に向けた配慮
多面的機能の発
揮
該当なし
-
【整理番号4】
費用対効果分析集計表
1 基本情報
都道府県名
島根県
事業名
地区名
水産環境整備事業
隠岐(島前・島後)
施設の耐用年数
30年
2 評価項目
評価項目
便益額(現在価値化)
①水産物生産コストの削減効果
0
千円
②漁獲機会の増大効果
0
千円
1,205,505
千円
④漁獲物付加価値化の効果
0
千円
漁業就労環境の向上
⑤漁業就労環境の労働環境改善効果
0
千円
生活環境の向上
⑥生活環境の改善効果
0
千円
地域産業の活性化
⑦漁業外産業への効果
325,498
千円
⑧生命・財産保全・防御効果
0
千円
⑨避難・救助・災害対策効果
0
千円
70,985
千円
0
千円
⑫地域文化保全・継承効果
0
千円
⑬漁港利用者の利便性向上効果
0
千円
⑭その他
0
千円
計(総便益額) B
1,601,988
千円
総費用額(現在価値化) C
1,380,320
千円
水産物の生産性向上
③漁獲可能資源の維持・培養効果
便
益
の
評
価
項
目
及
び
便
益
額
非常時・緊急時の対処
⑩自然環境保全・修復効果
自然保全・文化の継承 ⑪景観改善効果
その他
費用便益比 B/C
3 事業効果のうち貨幣化が困難な効果
1.16
【整理番号4】
水産環境整備事業 隠岐(島前・島後)地区 事業概要図
事業内容
・事業量:魚礁65,000空㎥、増殖場60h、藻場2.5ha
・事業費:1,730百万円
・事業主体:島根県
・事業期間:平成28年度~平成37年度
整備計画図
隠岐(島前・島後)地区
事業イメージ ~メダイ・メバル類のライフサイクルに即した環境整備~
流れ藻の供給
稚魚期
(流れ藻と共に浮遊)
成長に伴い移動・回遊
成魚期(産仔)
幼魚期
未成魚期
藻場造成
増殖場整備
魚礁整備
(漁場・産仔
場の拡大)
(未成魚の滞留
場造成、エビ・
カニ類等餌料
生物の増殖)
(保護育成場の拡大)
流れ藻及び藻場が
稚魚・幼魚の隠れ処
として機能し、外敵
(捕食)による資源
減耗を防ぐ
【整理番号4】
隠岐(島前・島後)地区水産資源環境整備事業の効用に関する説明資料
1.事業概要
(1) 事 業 目 的 : 高価格魚であるメダイやウスメバル等を指標種として、稚魚期の生活史に対応した
藻場や増殖場の計画的整備や成魚期に対応した魚礁整備を実施し、資源回復並びに漁
獲の増大を図る。
また、藻場造成により減少傾向にある藻場を造成・修復することで、生態系の維持
と水質の改善に資する。
(2) 主 要 工 事 計 画 : 魚礁:65,000空㎥、 増殖場:60ha、藻場造成:2.5ha
(3) 事
業
費 : 1,730百万円
期 : 平成28年度~平成37年度
(4) 工
2.総費用便益比の算定
(1)総費用総便益比の総括
区分
数値
算定式
総費用(現在価値化)
①
1,380,320 (千円)
総便益額(現在価値化)
②
1,601,988 (千円)
総費用総便益比
②÷①
1.16
(2)総費用の総括
施設名
魚礁、増殖場、藻場
整備規模
65,000空㎥、60ha、2.5ha
計
事業費(千円)
1,730,000
1,730,000
維持管理費等
0
総費用
1,730,000
現在価値化後の総費用
1,380,320
(3)年間標準便益
区分
効果項目
年間標準便益額
(千円)
効果の要因
漁獲可能資源の維持・培養効果
91,746 施設整備による生産量の増加
漁業外産業への効果
24,771 水産流通業者の所得増加
自然環境保全・修復効果
計
5,113 藻場(海藻)の窒素処理による水質浄化
121,630
【整理番号4】
(4)総便益算出表
評
価 年
期 度
間
費用(千円)
割引率
①
デフ
レータ
事業費
(維持管理費含む)
③
便益(千円)
漁獲可能
漁業外 自然環境保
資源の維
産業へ 全・修復効
(維持管理費含む) 持・培養
の効果 果
①×②×③ 効果
0
0
0
0
0
現在価値
0
27
1.000
②
1.000
1
28
0.962
1.000
130,000
125,060
0
0
2
29
0.925
1.000
130,000
120,250
5,051
3
30
0.889
1.000
130,000
115,570
4
31
0.855
1.000
190,000
5
32
0.822
1.000
6
33
0.790
7
34
8
9
計
割引後
効果額合計
(千円)
②
①×②
0
0
0
0
0
1,364
0
6,415
5,934
10,102
2,727
614
13,443
11,951
162,450
15,745
4,251
1,227
21,223
18,146
160,000
131,520
22,095
5,966
1,841
29,902
24,579
1.000
130,000
102,700
28,839
7,786
2,454
39,079
30,872
0.760
1.000
330,000
250,800
36,925
9,969
3,068
49,962
37,971
35
0.731
1.000
190,000
138,890
55,534
14,994
3,681
74,209
54,247
36
0.703
1.000
120,000
84,360
63,624
17,179
4,295
85,098
59,824
10 37
0.676
1.000
220,000
148,720
71,255
19,239
4,704
95,198
64,354
11 38
0.650
1.000
0
0
84,809
22,898
5,113
112,820
73,333
12 39
0.625
1.000
0
0
87,588
23,649
5,113
116,350
72,719
13 40
0.601
1.000
0
0
89,703
24,221
5,113
119,037
71,541
14 41
0.577
1.000
0
0
90,861
24,533
5,113
120,507
69,533
15 42
0.555
1.000
0
0
91,428
24,687
5,113
121,228
67,282
16 43
0.534
1.000
0
0
91,681
24,754
5,113
121,548
64,907
17 44
0.513
1.000
0
0
91,728
24,767
5,113
121,608
62,385
18 45
0.494
1.000
0
0
91,741
24,771
5,113
121,625
60,083
19 46
0.475
1.000
0
0
91,741
24,771
5,113
121,625
57,772
20 47
0.456
1.000
0
0
91,741
24,771
5,113
121,625
55,461
21 48
0.439
1.000
0
0
91,741
24,771
5,113
121,625
53,393
22 49
0.422
1.000
0
0
91,741
24,771
5,113
121,625
51,326
23 50
0.406
1.000
0
0
91,741
24,771
5,113
121,625
49,380
24 51
0.390
1.000
0
0
91,741
24,771
5,113
121,625
47,434
25 52
0.375
1.000
0
0
91,741
24,771
5,113
121,625
45,609
26 53
0.361
1.000
0
0
91,741
24,771
5,113
121,625
43,907
27 54
0.347
1.000
0
0
91,741
24,771
5,113
121,625
42,204
28 55
0.333
1.000
0
0
91,741
24,771
5,113
121,625
40,501
29 56
0.321
1.000
0
0
91,741
24,771
5,113
121,625
39,042
30 57
0.308
1.000
0
0
91,741
24,771
5,113
121,625
37,461
31 58
0.296
1.000
0
0
91,741
24,771
5,113
121,625
36,001
32 59
0.285
1.000
0
0
84,910
22,927
5,113
112,950
32,191
33 60
0.274
1.000
0
0
78,011
21,064
4,499
103,574
28,379
34 61
0.264
1.000
0
0
71,112
19,202
3,886
94,200
24,869
35 62
0.253
1.000
0
0
60,653
16,377
3,272
80,302
20,316
36 63
0.244
1.000
0
0
51,975
14,034
2,659
68,668
16,755
37 64
0.234
1.000
0
0
45,076
12,171
2,045
59,292
13,874
38 65
0.225
1.000
0
0
28,075
7,581
1,432
37,088
8,345
39 66
0.217
1.000
0
0
17,617
4,757
818
23,192
5,033
40 67
0.208
1.000
0
0
11,334
3,060
409
14,803
3,079
計
1,730,000
1,380,320
1,601,990
【整理番号4】
3.効果額の算定方法
(1)漁獲可能資源の維持・培養効果
施設整備による生産量の増加
(ⅰ)魚礁整備による漁業者所得の増加
区分
備考
魚礁1空㎥あたりの漁獲増加量
(㎏)
①
単価(円/kg)
②
635.33千円/t TACデータ(島根県)
漁場整備量(空㎥)
③
65,000 事業計画数量(島根県)
漁業者の所得率
④
年間便益額(千円/年)
3㎏ 広域漁場整備事業利用状況調査(島根県)
0.53 H24島根県農林水産統計年報
65,661 ①×②×③×④
(ⅱ)増殖場整備による漁業者所得の増加
区分
備考
造成増殖場におけるマダイ当歳魚
①
の収容尾数
388,000尾 水産試験場調査(1984年島根県)より算定
島根県栽培漁業センター(1985年)により①から
算定
マダイ当歳魚の経年漁獲量
②
39,599㎏
マダイ平均単価
③
509円/㎏ TACデータ(島根県)
漁業者の所得率
④
年間便益額(千円/年)
0.53 H24島根県農林水産統計年報
10,683 ②×③×④
(ⅲ)藻場造成による漁業者所得の増加
備考
区分
造成藻場におけるメバル当歳魚の
①
収容尾数
メバル当歳魚の経年漁獲量
②
メバル平均単価
③
漁業者の所得率
④
年間便益額(千円/年)
700,000尾
29,265
漁業漁場漁村総合研究所調査(H24年、22年)結果
より算出
水産基盤整備事業費用対効果のガイドライン参考
資料(香川県)より①から算定
993円/㎏ TACデータ(島根県)
0.53 H24島根県農林水産統計年報
15,402 ②×③×④
【整理番号4】
(2)漁業外産業への効果
水産流通業者の所得増加効果
区分
市場間価格上昇率
備考
水産物流通統計年報(H15~18平均)
産地市場と消費地市場の付加価値向上率
①
0.53
魚礁、増殖場、藻場造成による漁
②
獲金額増加額の合計
173,105
(ⅰ)①×②×③、(ⅱ)・(ⅲ)の②×③の合
計
0.27
総務省個人企業経済調査(H21~25)平均値
を採用
流通業者の所得率
③
24,771 ①×②×③
年間便益額(千円/年)
(3)自然環境保全・修復効果
藻場(海藻)の窒素処理による水質浄化
区分
備考
島根県における海藻乾燥重量
(最大現存量)
①
年間生産量/最大現存量比率
②
藻場造成面積
③
窒素含有率
④
藻場造成による窒素処理量(㎏) ⑤
下水処理場における除去量あたり
⑥
の年間経費
GDPデフレータ(H24)
⑦
0.27/㎡ 浜田市における調査結果より算定
1.2
水産基盤整備事業費用対効果分析のガイドライン
-参考資料-(平成26年4月、水産庁)
25,000㎡ 造成計画数量
0.0244 吉田ほか(2001)調査結果中央値
198㎏ ①×②×③×④
25,572円/㎏
水産基盤整備事業費用対効果分析のガイドライン
-参考資料-(平成26年4月、水産庁)
0.916
内閣府経済社会総合研究所(H27)
GDPデフレータ(H26)
年間便益額(千円/年)
⑧
0.925
5,113 ⑤×⑥×⑧/⑦
便益算定参考資料
2.1 漁獲可能資源の維持・培養効果
(1) 魚礁設置による生産効果
魚礁設置による年間便益額は次の通り算定した。
※期待漁獲量:事業量×漁獲原単位=65,000 空 m3×3 ㎏/空 m3/1000=195t
※漁獲原単位:単位事業量当たり漁獲量の直近 6 ヶ年の値から、3 ㎏/空 m3 を設定した。
※平均単価 :増加生産額を増加漁獲量で除して求めた。
※期待漁獲量及び金額の各魚種への配分:広域漁場整備事業漁場利用状況調査結果(島根
県)
、TACデータより求めた。
※所得率
:島根県漁船漁業の平均漁労収入、平均漁労支出より求めた(平成 24 年島根
農林統計年報)
。
関係漁業生物の漁獲増加量
漁獲量(t)、生産額(千円)
現状
漁獲量
生産額
たい類
319
160,000
ぶり類
6,847
952,000
めだい
76
49,000
あじ類
25,238
1,928,000
ひらめ
12
11,000
めばる・かさご・はた類
103
111,000
いか類
1,454
414,000
その他の魚類
51,168
2,745,000
その他貝藻類
2,927
1,467,000
合 計
88,144
7,837,000
注)現状の数値はH20-H24の平均値
計画後
漁獲量
生産額
334
169,932
6,889
965,187
141
97,536
25,239
1,928,505
12
11,173
128
137,044
1,493
433,558
51,176
2,750,954
2,927
1,467,000
88,339
7,960,889
魚 種
1
増加分
漁獲量
生産額
15.2
9,932
41.7
13,187
65.3
48,536
1.2
505
0.2
173
24.6
26,044
38.8
19,558
8.2
5,954
0.0
0
195
123,889
単位事業量あたり漁獲量
平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年
人工魚礁での推定漁獲量
kg
1,952,520 2,003,856 1,953,900 2,066,624 1,875,258 1,191,190
人工魚礁の造成事業量(30年)
空㎥
630,671
629,412
623,575
621,360
607,477
588,656
人工魚礁1空㎥あたり漁獲量 kg/空㎥
3.1
3.2
3.1
3.3
3.1
2.0
資料:広域漁場整備事業漁場利用状況調査(島根県)
魚礁漁獲物の組成率
魚種
漁獲量(㎏)
たい類
割合(%)
漁獲量(㎏)
ぶり類
割合(%)
漁獲量(㎏)
めだい
割合(%)
漁獲量(㎏)
あじ類
割合(%)
漁獲量(㎏)
ひらめ
割合(%)
めばる、かさご、 漁獲量(㎏)
割合(%)
はた類
漁獲量(㎏)
いか類
割合(%)
漁獲量(㎏)
その他
割合(%)
H21
1,207
7.4%
4,391
26.8%
7,815
47.7%
23
0.1%
5
0.0%
631
3.9%
2,113
12.9%
207
1.3%
H22
529
7.6%
980
14.0%
4,832
69.3%
33
0.5%
6
0.1%
528
7.6%
0
0.0%
75
1.1%
H23
414
4.2%
171
1.7%
3,949
40.2%
35
0.4%
0
0.0%
1,017
10.3%
3,755
38.2%
494
5.0%
H24
495
5.1%
1,960
20.4%
871
9.1%
54
0.6%
3
0.0%
2,582
26.8%
3,404
35.4%
256
2.7%
H25
1,756
14.8%
5,244
44.2%
158
1.3%
176
1.5%
18
0.1%
1,720
14.5%
1,526
12.9%
1,295
10.9%
平均
7.8%
21.4%
33.5%
0.6%
0.1%
12.6%
19.9%
4.2%
広域魚場整備事業漁場利用調査結果より作成
魚礁漁獲物の単価
たい類
ぶり類
めだい
あじ類
ひらめ
めばる・かさご・はた類
いか類
その他魚類
平成22年
665
336
613
417
830
950
512
865
平成23年
613
295
680
464
964
1,102
429
752
平成24年
681
316
936
414
861
1,129
570
564
円/㎏
平均
653
316
743
432
885
1,060
504
727
資料:島根県隠岐地区TACデータ
2
(2) 増殖場造成による生産効果
マダイを増産対象とし、両魚種幼魚の当施設における保育尾数を推定し、その後の生残率、漁
獲率から年級毎の漁獲量を算定した。
① 保育尾数
島根水試(1984)によれば、逸散期おけるマダイ当歳魚の餌料必要量は 17g/尾である。
当増殖場で生産される餌料量は 6,594 ㎏と試算され、当増殖場におけるマダイ当歳魚の収容可
能尾数は約 39 万尾と推定される。
増殖場におけるマダイ当歳魚の収容尾数
増殖施設餌料培養面積
15,700 ㎡
増殖礁 8 機種平均
単位面積あたり餌料生物生産量
420g/㎡
島根水試(1984)
餌料生物生産量
6,594 ㎏
420g/㎡×17,000 ㎡
マダイ当歳魚餌料必要量
17g/尾
島根水試(1984)
マダイ当歳魚収容尾数
388,000 尾
増殖場における餌料培養規模
機種
FP2.00
FP3.25
ロンダップ320
テトラリーフTR3
円筒型組立礁B
テラス型育成礁GT4
シェルナース2.2
シェルナース3.5
容 積
空m3
18.0
34.3
32.8
27.3
25.6
32.3
20.3
110.7
基質面積
㎡
31.79
32.58
27.84
41.16
30.73
121.39
49.35
96.13
価 格
千円
189
333
340
406
430
1,338
1,286
2,010
設置個数
952
541
529
443
419
135
140
90
平均
注)設置個数は事業費を180,000千円として求めた。
基質総面積
㎡
30,264
17,626
14,727
18,234
12,876
16,388
6,909
8,652
15,700
総容積
空m3
17,136
18,556
17,351
12,094
10,726
4,361
2,842
9,963
11,600
② 増殖場で保育されたマダイの期待漁獲金額
増殖場で保育されたマダイ当歳魚の漁場加入後の漁獲金額は下表の通り計算される。
8 年後以降は毎年 20,156 千円の漁獲金額が見込まれる。
3
増殖場で成育したマダイの期待漁獲金額
年齢 体重(g)
0
1
96
2
263
3
505
4
797
5
1,112
6
1,423
7
1,725
資源尾数
388,000
194,000
131,920
56,726
24,392
10,489
4,510
1,939
生残率
0.50
0.68
0.43
0.43
0.43
0.43
0.43
0.43
漁獲率 漁獲尾数 漁獲量(㎏)
0
0
0
0
0.38 50,130
13,184
0.38 21,556
10,886
0.38
9,269
7,387
0.38
3,986
4,432
0.38
1,714
2,439
0.38
737
1,271
合計
87,391
39,599
漁獲金額(千円)
6,711
5,541
3,760
2,256
1,241
647
20,156
体重:S62年度回遊性魚類共同放流実験調査事業マダイ共同報告書
体重:年齢間の中央値とした。
0才魚生残率:長崎水試(1984)、1才魚以降生残率及び漁獲率:島根県栽培漁業センター(1985)
マダイの単価
H22
149,201,607
306,863
486
マダイ漁獲金額(円)
マダイ漁獲量(㎏)
単価(円/㎏)
H23
68,490,235
142,278
481
H24
72,019,566
128,941
559
平均
96,570,469
192,694
509
資料:島根県隠岐地区TACデータ(H22-H24の平均値)
(3) 藻場造成による生産効果
造成藻場で保育されるメバル稚魚の尾数を推定し、その後の生残率、漁獲率から年級毎の漁獲
量を算定した。
① メバル稚魚の保育尾数
隣県山口県の日本海側ガラモ場におけるメバル稚魚の生息密度 31.0 尾/㎡より、本県造成藻場
のメバル稚魚保育尾数を 70 万尾とした。
※山口県日本海側におけるメバル稚魚密度(かぶせ網採集) 415 尾/13.4 ㎡=31.0 尾/㎡
※上記藻場における海藻平均現存量
2.39 ㎏/㎡
※本県浜田市 4 地点における海藻類平均現存量 2.14 ㎏/㎡
山口県日本海側藻場におけるメバル稚魚密度
調査点
1
2
平均
採集尾数
196
219
採集面積
㎡
6.2
7.2
稚魚密度
尾/㎡
31.6
30.4
31.0
海藻重量
海藻現存量
㎏
㎏/㎡
17.6
2.84
13.9
1.93
2.39
資料:(一財)漁港漁場漁村総合研究所 水産環境整備事業調査(H24)
4
島根県浜田市における海藻現存量
単位:㎏/㎡
浜田地区
St1
4.19
唐鐘地区
St2
2.41
St1
1.30
St2
0.65
平均
2.14
資料:(一財)漁港漁場漁村総合研究所 水産環境整備事業調査(H22)
以上より、本県造成藻場におけるメバル稚魚の生息密度は 28 尾/㎡程度と想定され、造成藻場
全体では 70 万尾の稚魚が保育されることになる。
稚魚生息密度 = 事例稚魚密度×本県藻場現存量/事例藻場現存量
=
31 尾/㎡×0.90=28 尾/㎡
稚魚保育尾数 = 28 尾/㎡×25,000 ㎡=70 万尾
② 造成藻場で成育したメバルの期待漁獲金額
造成藻場に定着したメバル稚魚の漁獲金額は下表の通り計算される
8年後以降は毎年 29,060 千円の漁獲金額が見込まれる。
造成藻場で成育したメバルの期待漁獲金額
年齢 体重(g)
0
24
1
85
2
170
3
4
261
343
5
6
409
7
438
資源尾数
700,000
490,000
343,000
116,620
39,651
13,481
4,584
1,558
生残率
0.70
0.70
0.34
0.34
0.34
0.34
0.34
0.34
漁獲率 漁獲尾数 漁獲量(㎏) 漁獲金額(千円)
0
0
0
0
0.44 150,920
12,828
12,738
8,662
0.44
51,313
8,723
4,553
4,522
0.44
17,446
0.44
5,932
2,035
2,020
819
0.44
2,017
825
0.44
686
300
298
29,060
合計
228,313
29,265
生残率・漁獲率:水産基盤整備事業費用対効果分析のガイドライン参考資料(香川県)
体重:福岡県津屋崎の事例を基に年齢間の中央値とした。
メバルの単価
H22
H23
メバル・カサゴ漁獲金額(円) 94,684,612 93,674,215
メバル・カサゴ漁獲量(㎏)
107,240
90,720
単価(円/㎏)
883
1,033
H24
99,814,772
93,797
1,064
平均
96,057,866
97,252
993
資料:島根県隠岐地区TACデータ(H22-H24の平均値)
5
メバルの年齢別体重(福岡県日本海沿岸)
年齢
1
2
3
4
5
6
7
8<
体長 mm
52
106
145
171
190
203
212
全長mm
64
132
181
214
238
254
266
体重
年齢
1.5
2.5
3.5
4.5
5.5
6.5
7.5
4
45
125
216
306
380
438
438
報告されていない
体重
24
85
171
261
343
409
438
資料:九大農学芸誌 18(4) 1961
2.2 漁業外産業への効果
※ 市場間価格上昇率:平成 15 年~18 年水産物流通統計年報より、県内の主要産地市
場3箇所と広島市中央卸売市場の魚価を比較し、平均上昇率の 0.53 を用いた。
※ 所得率:総務省個人企業経済調査より、平成 21 年~25 年の出荷過程における所得
率の平均値である 27%を採用した。
流通過程における価格上昇率
境港
産地市場価格(円/㎏)
消費地市場価格(円/㎏)
価格比
まだい
666.7
908.0
1.36
ぶり類
235.3
441.8
1.88
まあじ
64.3
498.0
7.74
ひらめ するめいか
739.8
396.3
1853.5
438.8
2.51
1.11
平均
420.5
828.0
1.97
恵曇
産地市場価格(円/㎏)
消費地市場価格(円/㎏)
価格比
まだい
1007.7
908.0
0.90
ぶり類
488.8
441.8
0.90
まあじ
258.3
498.0
1.93
ひらめ するめいか
1074.8
389.8
1853.5
438.8
1.72
1.13
平均
643.9
828.0
1.29
浜田
まだい
産地市場価格(円/㎏)
1003.3
消費地市場価格(円/㎏)
908.0
0.91
価格比
資料:H15-18水産物流通統計年報
ぶり類
348.3
441.8
1.27
まあじ
116.3
498.0
4.28
ひらめ するめいか
1320.5
334.0
1853.5
438.8
1.40
1.31
平均
624.5
828.0
1.33
流通業者の出荷過程における所得率
年度
H21
H22
H23
H24
H25
5ヶ年平均
売上総利益(千円) 売上高(千円)
①
②
7,378
8,007
9,366
7,140
7,491
7,876
資料:個人企業経済調査(総務省)
6
24,389
26,575
35,668
28,368
28,434
28,687
所得率
①/②
30.3%
30.1%
26.3%
25.2%
26.3%
27.5%
平均
1.53