【4月漁期の予測】 さばたもすくい漁況予報 3月に引き続き、ひょうたん瀬および利島から大室出しを中心にマサバ主体の漁場が形成される (平成19年4月漁期の見通し) が、漁獲量は不安定となり、大型船で5∼15t、中型船で2∼6t。魚体は33、34cmが主体。 ゴマサバは、伊豆諸島北部海域ではマサバに混獲される。三本を含む三宅島周辺海域に出漁した 【3月漁期の概要】 場合、ゴマサバ漁場が形成される。大室出しでの漁獲割合は大型船、中型船ともに1∼2割程度。 3月のたもすくい漁は、利島から大室出し、ひょうたん瀬でマサバ主体の漁場が継続しました。 1夜1隻あたりの漁獲量は大型船13.3t/隻(速報値)、中型船7.3t/隻(速報値)でした。マサ 三宅島周辺ではほぼ100%ゴマサバとなり、大型船で15t以上の漁獲となる。魚体は、いずれの海域 も31∼33cmが主体。 バの魚体は尾叉長 34cmにモードがあ りましたが、3月 割合︵%︶ 後半になると若干 魚体が小さくなり、 尾叉長33㎝にモー ドが移り、銘柄と しても小の割合が 高まりました。混 獲されたゴマサバ の割合は1割∼2 40 30 20 10 0 40 30 20 10 0 【予測の解説】 3月 1月から続いた大室出しから利島の漁場は、黒潮の蛇行が 東進し、水温が17℃台へ低下、水色も悪く、宵のうちは良 くても次の流しでは魚が出なかったり、船によって漁獲量 がばらついてきました。マサバの漁場が移動する場合、環 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 な上昇や低下が引き金になることが、一都三県の共同調査 3月末 で明らかになっていますが、今回も黒潮蛇行の東進によっ て、黒潮系の暖水の影響が薄れる中、利島から大室出しで 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 割と低く、魚体は3 境の顕著な変化、具体的には水塊の交替による水温の急激 尾叉長㎝ 0∼31cmと、小型の 図 のマサバの集群にムラができ、月の後半に漁場はひょうた ん瀬に移りました。右の図のように、3月末現在、黒潮北上 部が東へ遠ざかりはじめており、17℃を切るような冷水が たもすくい網で漁獲されたマサバの尾叉長組成 魚が主体でした。 波及すれば漁場は解消してしまうものと思われますが、蛇 3月の黒潮流路は、遠州灘から東進してきた冷水塊を迂回する形で離岸し、C型への移行が進み 行の中にある冷水は17℃台であり、ひょうたん瀬から大室 3 月 30 日の一都三県漁海況速報 ました。これに伴い、利島から大室出しの漁場水温は19℃台から17℃台へ低下し、ひょうたん瀬で 出しにかけての伊豆諸島北部海域の漁場水温が17∼18℃台 も17∼18℃台で推移しました。 で推移すれば、漁獲量がばらつきながらも、マサバは獲れ続けると判断しました。 図 一方のゴマサバは、30∼33cm、300∼500gの魚がマサバに混獲されましたがその割合は低くな 【江の島丸調査結果】 操業日 漁 場 りました。漁場水温の低下に伴って、南部の漁場への移動があったものと思われます。三宅島周辺 水温(℃) 漁 法 マサバ 漁獲量 ゴマサバ 中心サイズ 漁獲量 では棒受け網による操業が行われなくなっていますが、千葉県の調査船「ふさみ丸」が3月27日に 中心サイズ 3/14 ひょうたん 0m:18.3;100m:17.6 ハネ・タモ 0.8t 中小 0.4t 小 3/27 大室出し 0m:17.3;100m:17.0 ハネ・タモ 2.0t 小中 0.2t 小 3 月 14 日のひょうたん瀬では、中・底層に幕状の反応があり、2 回目の流しですぐに浮上しま したが群れ薄く、ハネ操業によりマサバ中小主体、ゴマサバ混じりで 1.2t の漁獲となりました。 3月 27 日の大室出しでは中・底層に点状の反応があり、3回目の流しで 35 分後に浮上しまし たが、水温は 17℃代前半で群れ薄く、サメ付きでオッタチも強い中、タモ操業でマサバ小中主体、 ゴマ小、ピン混じりで約 2.2tを漁獲しました。 行った調査では、三宅島NE沖と三宅島と三本の間で反応を見つけ、ハイカラ釣りと立縄でそれぞ れ29㎝、 31㎝にモードがあるゴマサバを漁獲しており、 たも操業は十分可能とのことでした。 今後、 北部海域でマサバ主体の漁場が継続した場合、これまでの漁獲状況から、1∼2割程度マサバに混 獲されるでしょう。三宅島周辺海域へ出漁した場合には、漁獲の主体となり、量的には多く漁獲す ることができるでしょう。 新聞報道にもありましたように、マサバTAC超過によって、大中まき網業界に対し操業停止の 要請が出されました。 これにより本年6月まではこれまでのような日に数百トンから数千トンの大 量漁獲はなくなるものと思われます。 引き続き一都三県の協力体制によって今後の海況変化とマサバの集群に関する情報を随時提供 してまいります。皆様には、これまで同様マサバの動き、ゴマサバ漁況の変化などの情報がありま 【他海域の情報】 3月15日付けの読売新聞によると、水産庁は大中まき網のサバ類漁獲量が2006年漁期(06年7月か ら07年6月)の漁獲可能量(TAC)を上回ったとして、当該業界に対して操業停止を要請しました。 したら、お知らせくださいますようお願いします。 平成19年4月 日 神奈川県水産技術センター 資源環境部 Tel:046-882-2313 FAX:881-7903
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