1.4 操業時の燃料消費等の調査結果 平成 22 年度の本取り組みについて表2に示す。操業調査時に撮影したホタテガイ漁船を図5 に示す。 表2 ホタテガイ桁曳網漁船調査の取り組み日程 図5 ホタテガイ操業の様子 11 1.4.1 A丸の燃料消費特性 A丸の操業時の機関回転数、燃料消費量、GPS 航跡について毎日データを収録している。5 月 29 日、9 月 25 日、11 月 5 日、11 月 6 日を代表例として示す。A丸のホタテガイ本操業は 5 月 22 日から開始された。5 月 29 日は本操業開始直後であり、ホタテガイ生息密度が高い時期 である。本操業の経過とともにホタテガイ生息密度の減少に合わせて、曳網距離の設定を 変更している。5 月 29 日の 0.5 マイル曳きと 9 月 25 日の 1 マイル曳きの違いを比較する意 味で、図 8 と図 9 にそれぞれの燃料消費特性を示す。11 月 6 日からは 1 マイルの往復曳き (2 マイル曳き)に設定されている。11 月 5 日の1マイル曳きと 11 月 6 日の 2 マイル曳き の航跡(図7)と操業特性(燃油消費特性)を図 10、図 11 に示す。以上の4事例について、 往航時、桁曳操業時、復航時に区分した燃油消費量の比較を図 12 に示す。 図6 A丸の航跡(5 月 29 日、9 月 25 日操業) 図7 A丸の航跡(11 月 5 日、11 月 6 日操業) 12 図8 A丸の燃料消費特性(5 月 29 日操業、曳網 0.5 マイル、漁獲量 16.5t) 図9 A丸の燃料消費特性(9 月 25 日操業、曳網 1 マイル、漁獲量 8.9t) 13 図 10 A丸の燃料消費特性(11 月 5 日操業、曳網 1 マイル、漁獲量 6.2t) 図 11 A丸の燃料消費特性(11 月 6 日操業、曳網 1 マイル往復の 2 マイル、漁獲量 4.6t) 14 図 12 A丸の燃料消費量(4 操業日事例の比較) A丸のホタテガイ本操業は 5 月 22 日から開始された。枝幸漁協ではホタテガイ採捕に 18 隻の漁船が従事しており、1日当たりでは 300 トンを上回るホテガイが陸揚げされる。累 積の操業日数が進むにつれて、海底のホタテガイ生息密度が小さくなる。そこで、密度の 低下に合わせて桁曳きの曳網距離を延長している。今年度は、本操業スタート後は 0.5 マ イル以下で、8 月 26 日以降は 0.75 マイル、9 月 24 日以降は 1.0 マイル、11 月 6 日からは 1.0 マイル往復(2.0 マイル曳き)であった。A丸の累積操業日に対する漁獲量、海上作業 時間、1日の燃油消費量と単位漁獲当たりの燃油消費量を図 13 に示す。出港から帰港まで を海上作業時間と定義した。 累積操業日数が増加するに従い、ホタテガイ生息密度が小さくなるために、海上作業時 間が増大傾向となる。それに合わせて1日の燃油使用量が増加傾向となる。本操業開始後 6 月、7 月の燃油使用量は 150L 前後であるのに対し、9 月、10 月では 300L 前後となっている。 燃油消費量当たりのホタテガイ漁獲量は、本操業開始から 2 ヶ月間は 100t/kL を超えてい たが、10 月、11 月では 50t/kL を下回っている。すなわちホタテガイ生息密度が低下する に従い、ホタテガイ採捕のための漁獲努力量が増大し、単位燃油使用量当たりの漁獲量は 減少する。図 10 の 1 マイル曳きと図 11 の 2 マイル曳きを比較すると、海上作業時間は同 一でありながら、2 マイル曳きの方が 40L 程度の燃油消費量が削減されている。これは、2 15 マイル曳き(1 マイル往復)では桁曳き後に投入地点に戻る航海が省略できるためであり、 燃油節約の面からは往復曳きは有効となる。 図 13 の結果を用いて、曳網距離と作業時間当たりの漁獲量および燃油消費量当たりの漁 獲量の関係を図 14 に示す。また、この両者の相関を図 14 右に示す。漁獲量/作業時間と漁 獲量/燃油消費量は、正の相関を示している。曳網距離を長く設定すれば1網当たりの入網 量を増大でき燃油消費量の削減には有効となる一方で、壊れ貝発生量が増加すると云われ ている。操業時の燃油消費量の削減のためには、これらの相反する関係を定量化して曳網 距離設定法の見直しを行うことが必要と考えられる。 図 13 A丸の年間を通した操業特性 図 14 曳網距離と漁獲努力量当たりの漁獲量との関係(A丸) 16 1.4.2 B丸の燃料消費特性 B丸操業時の機関回転数、燃料消費量、GPS 航跡についても連続的にデータを収録した。 操業時の燃料消費特性について、6 月 10 日、6 月 22 日と 9 月 4 日の事例を図 16、図 17、 図 18 に示す。 図 15 B丸の航跡(6/10、6/22、9/4 の操業例) 図 16 B丸の燃料消費特性(6 月 10 日操業、曳網 400m、漁獲量 15.5t) 17 図 17 B丸の燃料消費特性(6 月 22 日操業、曳網 1000m、漁獲量 20.8t) 図 18 B丸の燃料消費特性(9 月 4 日操業、曳網 1400m、漁獲量 25.8t) 18
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