一社)日本ツーバイフォー建築協会で公開している接合部引抜力計算プログラムで引寄せ金 質問 物を算定すると、許容応力計算よりも引寄せ金物の設置個所が多く、かつ、耐力が大きいもの が必要になりますがどうしてですか? 回答 1 引寄せ金物の設置個所が多くなるのは、 許容応力度計算と引抜力の計算方法が異なるからです。 当協会で公開している引抜力の計算方法は「たて枠上下端の必要接合部倍率 簡易計算法(以 (ツーバイフォー住宅の性能表示制度・長期優良住宅認定制度利用の手引き 2015、日本ツーバ 下、簡易計算法と呼ぶ) 」 イフォー建築協会)です。この方法は、柱頭と柱脚接合部の両方に引抜力が発生する計算方法です(等 価ラーメン置換モデル) 。許容応力度計算は、柱脚接合部だけに引抜力が発生する計算方法です(簡 易ラーメンモデル) 。 つまり、簡易計算法ではたて枠上下端に引寄せ金物が必要になりますが、許容応力度計算では 柱脚部に引寄せ金物が必要になります。 どちらも正しく、引抜力を計算する際の建物のモデル化の違いです。 2階柱頭部はあおり止め金物 を引寄せ金物として使う。 許容応力度計算でもあおり止 め金物は告示において必要。 簡易計算法 許容応力度計算 引寄せ金物(▲)の取り付け概念図 回答 2 引寄せ金物の耐力が大きくなるのは、 性能表示基準と建築基準法とで引抜力の確認方法が異なるからです。 ツーバイフォー工法における引抜力は、性能表示基準は終局耐力 て、建築基準法は存在応力 1)を用いて算定するのに対し 2)で算定します。存在応力よりも終局耐力の方が引抜力は大きくなり ます。 (壁量計算で性能表示基準に適合する場合の引抜力の計算方法は、簡易計算法以外にありま せん。 ) なお、許容応力度計算で性能表示基準に適合する場合は、存在応力ではなく終局耐力で引抜力 (ツーバイフォー住宅の性能表示制度・長期優良住宅認定制度利用の手引き 2015(前出)参照) を計算します。 1)終局耐力とは、耐力壁が耐えうる最大荷重での耐力をいい、地震力や風圧力などの設計用荷重(仮定外力)に関係なく壁 倍率に応じて決まります。 2)存在応力とは、地震力や風圧力などの設計用荷重(仮定外力)によって耐力壁に発生する応力のことです。必要壁量より も存在壁量の方が多くなるほど、各耐力壁が負担する存在応力は小さくなります。 一般社団法人日本ツーバイフォー建築協会
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