日本農芸化学会2015年度(平成27年度)大会 [岡山] 発表

日本農芸化学会2015年度(平成27年度)大会 [岡山]
発表
題名;大豆粉の利用による冷凍耐性生地の品質改善と機能解析
氏名;○蓑島 良一 1)、伊藤 昌也 2)、椎葉 究 3)、会田 真人 3)、田村 翔 2)、村勢 則郎
3)
所属;1) 日清オイリオグループ株式会社、2) 東京電機大学理工学部、3) 東京電機大学理工学研究科
(目的)焼立てパンに対する消費者ニーズと製パン業者の生産効率化から、冷凍パン生地製法の導入が進んでき
ているが、冷凍保存中、酵母菌体からのグルタチオンなどの低分子還元物質の漏出や冷凍障害によるグルテンタ
ンパク質やデンプン構造の変性などにより発酵生地のガス保持力の低下、パンボリュームの低下および味、色、
香の劣化が生じる。そのため、冷凍耐性酵母の開発や製法の改良がおこなわれてきた。その一つの解決策として、
細胞内凍結防止剤(クリオプロテクタント)があり、トレハロースやグリセロール,プロリンなど添加効果が報
告されている。また、大豆ペプチドの冷凍障害防止効果についての報告もある。本研究では、冷凍障害が最も起
こりやすい食パンのホイロ発酵後(焼成前)成型冷凍生地において、冷凍耐性を向上させる方法とそのメカニズ
ムについて検討した。
(方法)
・試験パン強力小麦粉(日清製粉社製商品名オーション)100g に、生酵母(オリエンタル酵母工業社製 VF イース
ト)2g、砂糖 5g、塩 2g、スキムミルク 2g、油脂 4g、水 65~68ml コントロールとして、ベタイン、大豆粉(日
清オイリオグループ社製モチフレッシュ)を 0.2~2%添加して、ミキソグラフによりミキシング特性を比較し、
また同機による生地形成(トルク最大電流値を示した時間から 3 分間のミキシング時間)→90 分間一次発酵→2
分割→成型箱詰→ホイロ発酵した。一方は焼成し、一方はマイナス 20℃で 1 週間保存後焼成した。それぞれの
焼成後、ボリュームやその他製パン性を評価した。
・それぞれの配合から作成した生地の示差走査熱量測定(DSC)による(-70℃~100℃)温度帯でのエネルギー
収支測定および低温顕微鏡による観察を行った。
・各パン生地サンプルからオズボーン分画を行い、分画区分のタンパク質成分を比較した。
(結果)
・生大豆粉添加が冷凍耐性を付与することを確認したが、熱処理することでその効果が失われることから、生大
豆粉中の酵素が有効であり、また、ベタインの添加により相乗効果があることを見出した。また、ミキシングパ
ターンとの相関性も認められた。
・DSC 解析から、冷凍中の吸熱反応において、生大豆粉およびベタイン添加区とその無添加区生地で、エネル
ギー吸熱パターンが異なること、また、低温顕微鏡において凍結温度と凍結形成様式が異なることが観察された。
・オズボーン分画から凍結耐性と非耐性生地中のグロブリン画分のタンパク構成に違いがあった。
Frozen tolerance, Soybean flour
大豆粉の利用による冷凍耐性生地の品質改善と機能解析 1 / 1