SURE: Shizuoka University REpository http://ir.lib.shizuoka.ac.jp/ Title Author(s) Citation Issue Date URL 水性ビニルウレタン系接着剤に関する研究(第4報) : イ ソシアネート化合物による木材の接着 滝, 欽二 木材学会誌. 31(7), p. 573-578 1985-07 http://hdl.handle.net/10297/4607 Version publisher Rights Copyright © 日本木材学会 This document is downloaded at: 2016-04-13T12:20:56Z 573 L木材I l i : : : 晶t L : ' t V o l t 3 1 , N o . 7 , p . 5 7 3 -5 7 8( 1 9 8 5 日論文) ] 水性 ビニル ウ レタ ン系接着剤 に関 す る研 究 ( 第 逮報)† イ ソシアネー ト化合物 に よ る木材の接着 *1 欽二 *2 滝 St udi esonAque ousVi nylPol yme r V. † Sol ut i oni s oc yana t eAdhes i ve sI Adhe s i onorwoodswi t hi s oc yanat ecompounds*1 Ki n j iTAKI *2 AqL l eOuSVi nylpol ymers ol ut i oni s ocyanat eadhes i ve sf orwood( APIr e s i nadhe s i ve s )havebe en di s cus s edi npr e vi ousr e por t s ・ 1ト 6)Th e ycons i s toraqueoushi ghpol ymers ol ut i onsorl at e xe mul s i ons anddi i s oc yanat es ,whi chc ont ai nnof br mal dehyde.Makamba( Bet ul aMaxi mowi c z z iRe ge l)Wood WL I Sbonde d wi t honl yl S OCyanat ec ompoundsatvar i ouscur i ngt e mper at ur e s .Thei nt er a ct i onor i wc yと I nat eadhes i ve sand wood wasdet er mi ne dbydi f 指r ent i als canni ngcal or i me t r y( DSC)a nd l R)s pe ct r aanal ys i s . i nE 桓r e d( The r ea c t i vl t y Ori s oc yanat e swi t h var i ousamount soFadde d wa t e rappear e d on t he DSC t her mogr amsat60-1 40℃ .Theexot her mi cp e akort heDSC t her mogr amsr e a c t l ngWi t ht hewoodi s oeyanat egr oups( NCO)appear e dat260280 ℃ ,andt hatoft hece l l ul os e NCO r e ac t i onappe ar e d ut27 0-290o C. Whenwoodwasbondedwi t honl yl S OC yanat eadhes i ve satvar i ouscur i ngt empe r at ur e s ,t hehi gh O o C t emper at ur esi ncr ea s edt hebonds t r engt h・ Thes hears t r engt hval ue satt e mpe r a t ur e sbe l owabout we r eappr oxi mat el y30Pe r c entgr eat ert hant hos eatt e mpe r a t ur e sabove Theval uesofc r os s 1 と I Pt ens i l es t r engt hwer eappr oxi mat el yone t ent hort hos eort hes he ars t r engt h,di r r er entf r omt hos e s t at e di npr evi ousr epor t s . 5) 6) Thebondqual i t yorwood/i s ocyanat eadhe s i v e si sr e t ai nedbyur e t hanec oval entbondbe t we en woodandi s ocyana t egr oupsandt heanchor l ngef f e ct sori s oc yanat eder i vat i ve s ,s uchaspol yur ea, abs or be di nt owoodyt i s s ue s . O o C ・ 水性 ビニ ル ウ レ タ ン系接 着 剤 ( APIレ ジ ン)の架 橋 剤 の イ ソ シア ネー ト化合物 を接 着 剤 と して, 木 材 の 接 着 試 験 を行 な っ た O ま た, 木 材 と イ ソ シ ア ネ - ト基 との 相 互 作 用 を示 差 走 査 熱 量 計 ( DSC) 測 定, 赤外線 ( I R) スペ ク トル分 析 に よって検 討 した O イ ソシア ネー ト基は 水 お よ び 木 枕 セ ル ロー ス と反 応 す る こ とが DSC サー モ グラム, l R分 析 に よ,て 確認で きたo 木 材 と イ ソ シア ネ- ト基の 反 応 は, 26 0 2 8 0 o C 付近 に 発熱 反応 が現 われ, セ ル ロ- ス と イ ソシ ア ネ- ト基 の それ は 2 7 0㌦ 290o C に 発熱 ピー クが認 め られ たL l 0 - イ ソシ ア ネー ト化 合物 を接 着 剤 と した本 村 の接 着 試験 に よ る と,接 着 温度 が 6 0℃ 以上 に な る と 接 粛 強 さが増 加 しは じめ , さ らに 高 温 の 方 が 接 着 強 さは 大 き くな る 接 着 強 さの 温 度依 存性 試験 。 の 結果,O q C 付 近 を境 と して低 温 域 と高 温域 で は接 着 強 さの 数 値 に段 差 が 脊在 し,低 温側 の接 着強 さが 大 き くな る。 ク ロ ス ラ ップ 引 張 強 さはせ ん断 強 さの 約 1 /1 0程 度 しか ない。 接 捌 離 日二は イ ソ シ ア ネー ト基 と木 材 との 間 に 生 じる ウ レ タ ン共 有結 合が 当然 関 与 して い る が , イソ シア ネ- ト基 と水に よ って生 成 す る イ ソ シア ネ- 卜誘 導 体 が クサ ビ効 果 を働 き,接 着性 能 を増 強 させ るO † ReportI I I:Thi sJ oumaL 29,1 45-1 52 (1 983) * l Re c ei ve dAugus t28,1 984 *2 静 岡 大 学 農 学 部 Facul t y or Agr i cul t ur e, shi zuokaUni ve r s l t y,Ohya,Shi zuoka,422 1 .緒 昌 これ まで水 性 ビニ ル ウレ タ ン系接 着 剤 ( APIレジ ン)に 関 して種 々検 討 した結 果 1ト 6), この接 着 剤 は皮 滝 57 4 膜 形 成 過程 お よび皮 膜 が 形成 され たあ とに も 未反 応 イ ソ シア ネ- ト基 が 残 存 して い るこ とが 認 め られ た( ) この未反 応 イソシア ネ- ト基 はユ リア残 基 , ビ 欽二 [ 木材学 会誌 Vol . 31 ,No. 7 2 . 3 接 着 強 さの 温度 依 存性 試験 供 試 材 は既 報4 )と同一のマ カンパ ( 含 水率 釣 J 2%, 全 乾 比 重 0. 5 6-0. 6 9)で, Fi g.1の 引張せ ん断 試片 と ウ レ ッ ト残 基 と結 合 した まま, あ るいは主 剤 成 分 の ポ リビニ ル ア ル コー ル と連結 した もの な ど, 種 々の 複雑 な形態 で 残 存 して る と推 定 され たO また, 著 者 らは さ きに, イ ソシア ネ- 卜化 合物 に増粘 剤 と して 砥 の 粉,炭 酸 か レシ ウム な どを添加 して接 着 剤 と し, 室 温 で レ ッ ドメ ラ ン チ 材 を接 着 した 試 験 を 発 表 し た7㌧ これ に よる と,常 態,煮沸 くり返 し後 の 接 着 性 T ensHe she 訂 SPeCi men 能 もレ ゾル シ ノ- ル樹 脂 の場 合 と同等 であ ったO す なわ も, イ ソ シア ネー ト化合物 のみ を接 着 剤 と して 木 材 を接 着 す るこ とが 可能 で あ る 。 実 際 に はパ - テ イ クル ボー ドや ウエ- - 求- ドの 製造 に, イ ソ シアネー ト接着 剤 を結 合 剤 と して使 用 され て い る8卜1 2 ) 。 これ らの ボー ドの 製造 時 の 温 度 は 高 く, パ ー テ ィ クル ボー ドでは 1 8 0ロ8)9)-205 o CIO)l l ) , ウエ- - ボー ドでは 1 5 0 0 -1 6 0℃ 1 2 )付近 で あ る。 本研 究 で は, 水性 ビニ ル ウ レ タン系接 着 剤 の架 橋 剤 Cr ossL apspeci men であ る イソシア ネー ト化合物 を接 着 剤 と して 木 材 の接 着 を試 み, 接 着 温度 が接 着 強 さに与 え る影 響 , 接 着強 さの 温 度依 存性 の実験 を行 った。 また, 示 差 走 査熱 鼠計 ( DSC)曲線, 赤外 線 ( u :mm) n HR)吸 収 スペ ク it Fi g・L Di me n s i onors pe c i me ns . トルの解 析 に よ って, 木 材 とイ ソシア ネー ト基 との 相 互 作用 につ い て検 討 した。 クロ ス ラ ップ 試 片 を準備 したQ 供 試 剤 には イ ソシア 2. 実 験 方 法 光 洋産 業㈱ )を用 い, 両 面 ネ- ト化 合物 で あ る AE( 2 . 1 DSC測 定 塗付 した。接 着 条件 は既 報 4) と同様 で あ る。ただ し, マ カ ンパ の木粉 ( 含水率 5 %) ,また はセ ル ロー スパ ウダー ( 同 l O / o未満 )に ミリオ ネ- ト MRl o o( ポリ メチ レン ポ リフ ェニ ル イ ソシア ネー ト, 日本 ポ リウ レ タン工 業 K K , 以下 MRと略 す )を種 々の割 合 で混 合 した。この 混合物 を聞 いて,昇 温速 度 1 0 o C/m i nで 示差 走査熱 量 計 ( DSC)曲線 を測定 した. MRに 水 AEは粘 度 が 小 さ く ( 0. 2-0. 4Poi s e ,2 5 ℃ ), 木材 を 接 着 す る と きは室 温硬 化 では長 時 間 を必要 とす るの で,硬 化 を促 進 す るため,6 0 0±2 ℃ の恒 温器 内に, せ ん 断 試片 は 3時間, クロ スラ ップ 試 肌 よ5時 間保 持 した。 そ の 後,2 0 o C,65 %RH室 内 で 1日静 置 し, 解 圧 した あ と 2ヶ月間放 置 したo測 定 方 法 等 は既 報4) C 曲線 を求 を混 合 した 系 につ い て も同様 に して DS と閣 様 , 恒 温 槽 を備 えつけ た引 張 試験 機 を用 いで行 め た。 た だ し, 測定 は い ずれ も大気 中 とし, 試料 を な った。 試 片 数 は各 条件 5-7個 と した。 入れ たア ル ミパ ンは オ-プ ン状 態で実 施 したQ 測 定 2 . 4 DSC標 準 型 ( 理 学電 機 K K )を には差動 熱 量天 秤 TG用いた 。 マ カ ンパ の 引 張せ ん 断 試 片 を MRを接 着 剤 と し て作 製 したO接 着 温度 を2 0 0 ,4 00 ,6 0 0 ,8 00 お よび 1 00o C 2 . 2I R スペ ク トル 分析 上 記 と同一 の セ ル ロー スパ ウ ダ- ,木粉 に 接 着 温度 試 験 MRを 0 %添加 した。混 合 した あ と,室 重量 比 で そ れ ぞれ 4 と し,2 4時 間 庄 締保 持 したo解 任 後,20 o C,65 %RH 室 内 に 1ヶ月放 置 した 。 引張 試験 は 同室 内 で実 施 し たO 試 片数 は 各 条件 1 0個 とした0 温 で 8日間放 置 し,硬 化物 を粉 末に して KBr錠 剤 法 3 . 結 果 お よび考 察 l R)吸収 スペ ク トル分 析 を宥 な っ に よ って 赤外線 ( たo 測 定 に は t R-400㈱ 島 津 製 作 所 ) を 用 い た。 MRのみ の I R分析 に は液膜法 ( Na C】 )を用 い たo 3. 1 DS Cサ ー モ グラム と IRスペ ク トル分 析 Fi g. 2は MRに水 を添加 した 混 合 物 の DSCサ モ グ ラ ム を示 す。 これ に よる と, MRのみの 場 合 は 1 鞘 5牛7J H 水性 ビニ ルウ レタン系接着剤 に関 す る研究 ( 第 4報 ) 5 75 - に MR を混 合 した ものの DS Cサ - モ グラム を示 ℃までサ - モ グラムにほ 0 す。 木粉 のみ の場 合 は 3 0 E 王0X山 E LaLjlO とん ど変 化 が認め られないが,3 3 00 -35 0 ℃ に木村の L 山 熱分 解 14)に よ る発熱 ピー クが現 われ て い る -万, 0 MR と木 材 を混合 した もの の サ ー モ グ ラム をみ る と,26 00 -27 0℃ 付近 にブ ロー ドであ るが,小 さい発 熱 ピー クが認 め られ る セル ロー スパ ウ ダー に MR O を混合 した系 にな る と,その発熱 ピ- クが MR木粉 混 合 糸 よ りもやや 高 温側 の 2 70 0 -290℃ 城 に現 われ て い るO これ らの両 者の ピT クは木材成分, と くに PU 山 セ ル ロ- ス とイソシアネ- 卜基 との反 応に由来す る と思 われ る 。 St ei ne rらは 木粉 とポ リイ ソ シア ネ- ト化 合物 の 4 0 1 2 0 混 合物 の DSCサ ー モ グラムの測定 を した結 果,普 C X ] 2 0 0 -28 0 ℃ 付近 に発熱 ピー クの存在 を 者 と同様 に 26 Temper at ur e( o c) 認め て い る12)が, そのほか に 4 00 -7 0℃ の低 温域 に Fi g・21 DSe t her mogr ams or wat eト i s oc yanat e ( Mi l l i onat eMR)s y s t e m. ブ ロー ドな発 熱反応 があ る と述べ て い る。 彼 らが用 い た ポ リイ ソ シア ネ- トに は, クルー ドMDIの ほ 0 0o C以上 40` 、 } -2 00℃ まで DSC 曲線 は なだ らか で,2 か に純粋 な MDⅠが含 まれてい るの で,この MDl( 融 点 370 -38 o C)が低 温域のサー モ グラムの ピー クに関 に な る と熱 分 解 に よる吸熱 が認 め られ る。 MR に水 与 した もの と推察 され る。 Fi g. 3では,低温域 (と く 00 を 混合す る と, その 水 の 添加 量が 多 くな るほ ど 6 -7 0 o C付近 ) でサ - モ グ ラム のベ ー スライ ン に 40 -90o C の 温域 に大 きな吸熱 反応 が み られ る これ ら がや や不 安 定 な うらみはあ るが, この温城 に発熱 ピ の 温 度域 の 大 きな吸熱 ピ- クは水分 の蒸発 に ともな ー クが存 在 す る形 跡 は認め られ ない。 。 0 -1 4 0o C 域 に, 余 り大 き くないが う挙 動 で あ る。 90 0 Fi g. 4は セ ル ロー スパ ウ ダー と MRの 混 合物 を 発熱 の ピ- クが存在 して い る。 これ らの小 さ i R分 析 した結果 を表 わす。MR のみ の スペ ク トル に な吸, 覚 熟 ピ- クは水 とイ ソシア ネ- ト基 の反応に は イ ソシア ネ- ト基の吸収 が 2 28 0c m-1付近 に大 き 吸軌 よ って 生 ず るェ リア な どの イ ソシアネー ト誘導 体 6) く認め られ る0 -万,セル ロ- スの スペ ク トルには が, 熱分 解 す る こ とに よ って生 じた ものであ ろ う。 3 400c m∼1付 近 に OH 基 に 基 づ く吸 収 が 認 め られ これ らの イ ソシア ネ- ト誘 導体 は 1 20 -1 40 o C城 で 0 熱分解 して晩 発 熱 す るこ とが知 られてい る13)0 Fi g.3は マ カンパ の粉 末 お よびセ ル ロー スパ ウダ EL 旦 i OYj u Jb c E L L U L D S E 」 け 限 ( 3 4 % ) w X 汁 M R ( 2 5 亀 ) エ 1O P u 山 I t mTm G 4 0 RATE. I10C/ h t i n. 1 2 0 2 0 0 2 8 0 a c) T emper at ur e( 3 60 Fi g.3.DSC t her mogr amsorwoodHourandc e l l ul os e powde r wi t h i s oc yana t ec ompounds ( Mi l l i onat eMR) . Fi g・ 4・I R s ect p r a ofc e Hul os e powde rwi t hi s oc yana t ec ompounds( Mi l l i ona t eMR) . 痛 5 76 飲二 [木材学 会誌 Vol . 31 ,No . 7 る セル ロ- スの OH基 とイ ソシア ネー ト基 に よる o -NHCOO-) の ウレタン結合 ( る吸 収 は 1 7 09- 1 739cm 1 C-0伸縮 振動 に よ に 存 在 す る と思 わ れ る が,MRのみの場 合 に も 1 720cm l 付近 に鋭 い吸 収 が認め られ るの で塵 な り合 って その 吸収 は明瞭 で な い 。 c m しか し,ウレタン結 合の 1 C-O伸 縮振 動 が 1230 にわずか で あ るが現 われ て い る。大 野 ら15ト 17) 。 この吸収 は 0 。 0 消失 している (J スペ ク トルには 1 640cm-1付近 に鋭 い吸収 がみ られ るが,加熱処理 を した混合物 のそれ にはその吸収 が ... 室温処理 を したセル ロー ス と MRの混 合物 の I R 0 比べ て温度が低 い (1 05 0 -11 0o C)ため に ウ レタ ン結 合反応は少 な く,その I R吸収 が小 さい と思 われ る ( U 処理 を した混合物 の場合にお いて, 大 野 らの実験 に 二( n F L I ・L; J L m , I t ', : ! I 5 : ; . . ..." ,: . ; . 1 200 -1 5 3 ℃ )を行 なって, ウ レタン結合 に基づ く明 瞭な I R吸収 の存在 を確 認 して い る。 本実験 の加 熱 (U バ リ はセ ルロー ス とイソシア ネ- 卜基の 反 応 ( 反応 温度 C-0基 の伸縮振動 に よ る ものであるが, セル ロー スパ ウダー 中の水分 , め -1 00 -60 -2 0 2 0 るいは MR とパ ウダ-の混合時に,空気 中の水分 と 幻 ( 氾1ム0 180 220 1 T emper at ur e( c) o MRの反応に よって生 じたユ リア結 合 が,熱処 理 に よって分解 した こ とに よって消失 した もの と考 え ら れる 。 Fi g・5・Te mpe r at ur ede pendenc e oFs he ars t r en gt h f orwood/i s oc yanat e ss ys t e m. 以上 のよ うに, DS C サー モ グ ラムや I R スペ ク ト ルの分析によって,木材 とイソシア ネー ト基 の相 互 O o C付近の接着強 さの段 差 を無視 す る と,接 着 強 さ 作用 を検討 した結果,木材 とイソシア ネ- ト基 との 問 に ウレタン共有結合 が存在 す る こ とが確 認 で き にはその測定温度の影響 は あま りみ られ な くなる。 この現 象は硬 い熱硬化性樹脂 であ る レゾル シ ノ- ル た 接 着剤 の場 合1 8 )の それ と類 似 した傾 向 で あ る 。 。 3. 2 イソシアネー ト化 合物 で撞 着 した木 材 の 接 着 強さ ま た,木部破 断は全般 に少 ないが, いずれの温度 条件 の場合 もほ とん ど同等に発現 してい る 。 イソシアネ- ト化合物 ( AE)を接 着 剤 として マ カ Fi g・ 6の クロスラ ップ試験 の結 果 をみ る と, 木 部 ンパ を接着 した場合の,広 い温度域 にわた る引張せ 破 断は一部 に発現がみ られ るものの,ほ とん ど無 いO ん断強 さとクロスラ ップ 引張 強 さ を Fi g.5 ,6に示 そ してせ ん断強 さに比較 して全体 に接着強 さはか な す り小 さい数値 となる o 。 Fi g.5のせ ん断試験の結果 に よる と,既報 5)の モデ ル APIレジンの場 合にみ られ た よ うない くつ か の 接 着強 さの ピー クは存在 しないO そ して, 同一 試験 温度 ではそれ ぞれの接着強 さにバ ラツキがみ られ る また, この クロス ラ ップ法の 場合に も低温域 と高温域 で接着強 さの数値 に明 らか ) 5 )の結 果や 秦野 19),本 な差が あ る。 す なわち,既報4 橋 20) らの報告 と同様 にせ ん断 法 の場 合 に 比べ て わ ずかに高温側-ずれてい るが,0 0 -1 0℃ 付近 を境 に ちのの,各々の平均値 は O o C付近 を境 として高 温域 して低 温側 の接着強 さは高温側 の それ の 2-3倍大 と低 温域に分 け ると,一部 を除 き, 両 温度域 でそれ きい。 しか し, 引張強 さは全体 に小 さな値 なの で, ぞれ一定 した横 着強 さが あるこ とが 認め られ る 低温域 のそれは大 き くて も 7-8kg/cm2 に達 す るだ 。 す なわ ち,1 0 0 ℃ のみのプ ロ ッ ト値 を除い て, O o C以 けであるo クロスラップ引張強 さはせ ん断 強 さの l / 3 下 の温度域 の接 着 強 さは既 報 5)の PVA-SBR-イ ソ -1 / 4程度で あるこ とを既報 で詳述 した5)。 しか し, 本実験 の ように イソシアネー ト化合物 を接着剤 とし シア ネ- ト系 モデ ル APIレ ジ ンの 場 合 の そ れ よ り も小 さいが,約 6 0kg/cm2 を示 して い る。 O o C 以上 の 塩城 の接着強 さの値 をみ る と, 1 80o C 以上 の結 果 を 除 い て,接 着 強 さは低 温域 の場 合 の それ よ り も 3 0 -40%低 くな り,約 45kg/c m2 とな る。しか し,この た場合 には クロスラ ップ強 さはせ ん断強 さの約 1 /1 0 とな った。 この よ うに, イソシア ネー ト化合物 で木材 を接着 した場合 のせ ん断お よび引張試験 に よる接着強 さの 1 985牛 7月] 5 77 水性 ビニルウレタン系接着剤に関す る研究 ( 第 4報) 0 0 6 0 4 2 ( MD f g 怠 UaJI 選 L S S 乃 誓 50 書 S 諮 F W X 0 竜 宮 紺貰 ∴ 仁 + ON a l !S uai10 S 30 2 0 4 0 6 0 8 0 1 0 0 Cur i ng Temper at ur e(oc ) Fi g.7.Re l a t i ons hi pbe t we enbonds he ars t r en gt hor wood/Mi l l i onat es y s t em andvar i ouscur i ng t emPer at ur e S ・ てい る22)。す な わ ち,イ ソシア ネー ト化合物 を接 着剤 1 0 0 16 02 0 2 0 6 0 1 0 0 仏0 1 8 0 Temper at ur e L ( Oc) と して 木 材 を接 着 す る場合 は, 高 温 の方 が接 着 が増 強 され るQしか し,MRのみ に よ るカバ接 着 ではみか Fi g・6・Tempe r a t ur ede pe nde nc eorcr os s l apt e ns i l e s t r e ngt hwood/i s oc yanat e ss ys t e m・ け以上, いずれの場 合 も木部破 断 は認 め られ なか っ た。 さて, 前節 で木粉 や セル ロー スパ ウ ダー とイソシ 温度依 存性 試験 の結 果 に は,Ooまたは00 -1 0o Cの 温域 R ア ネー ト化合物 との 混合物 を用 いた DSC測定や I をは さん で 高塩個Uと低 温 側 の接 着 強 さの数 値 に 明 ら スペ ク トル分 析 に よ り, イ ソ シア ネー ト基 と木 材 と か な差 が 存 在し, Oo C 以 下 の 塩 城 の接 着 強 さの 方 が の 間 に ウ レタン共 有結 合が 存在 す る こ とを述べ た。 大 き くな るO 接 着 強 さの この段 差 が 生 ず る原 因 は現 kは イ ソ シア ネ- ト基 は木材 しか し, た とえば Boc 在の とこ ろ明 らか で な い。しか し,木 材 自身 は Oo C以 の よ うな反応性 水素 を もつ場 合 に は共 有結合 す る可 卜に な る と曲 げ 強 さ な どの機 械 的性 質 が直 線 的 に増 能性 が あ る として い るが, 他 の説 では イ ソシア ネー 人す る性質 が あ る21 )の で, O o C 城 をは さん で 木 材 自 ト基 の大 部分 は 自分 同士 で固化 して しまって共 有結 身 の 凝 集 力 の違 いが接 着 強 さに作 用 して い る こ とも 合 は無 い とす る見方 2 3 )があ る。 実 際 に接 着強 さには 考 え られる0 この共 有 結合 が存在 して当然 関 与 して い る と考 え ら 3. 3 れ るが, 接着 強 さ を破 壊す る方 法 に よ って行 な う現 接着温 度 の影 響 ミ リオ ネ - 卜 MR を接 着 剤 と したせ ん 断 試 片 に 試験 方 法 にお い て, これ を証 明 す る こ とは極め て 困 つ い て, 接 着 温 度 とせ ん 断 強 さの 関係 を Fi g.7に示 難 で あ るO イ ソシア ネー ト化 合物 を結 合 剤 として, 0C 一 定 で あ る0 40o C以 す. 日豪着 強 さの 測 定 温度 は 2 00 o C程 度の高 パ - テ イ クル ボー ドの製造 の よ うに 2 D 卜の 温 度 で 接 着 した場 合 に は 接 着 強 さ は 平 均 3 0 温 度 で庄 締接 着 す れ ば, この 共 有結 合 の 生成割 合 は 多い と推 定 され る。 庄 締温 度 が これ よ り低 温 とく kg/ cm2 の値 を示 す が, 60o C碩 化 に な る と接 着 強 さ 0 o C 硬 化 の場 合 の 接 着 強 は 増 人 しは じめ る さ らに 8 に室 温付 近 であれ ば イ ソシア ネー ト基 の 大部分 は 自 o C 以 T の 場 合 の そ れ の 2倍 近 くの 60kg/ さ は 40 己縮 合や ユ リア な どの イソ シア ネー ト誘 導体 の生 成 。 00℃ 硬 化 に な る と 80o C の場 合 よ cm2程 度 に な る。 1 に消 費 され る。 これ らの イ ソンアネ- ト誘導体 は一 り も接 着 強 さはや や 増 大 す るが, 60 0 → 8 0℃ の とき 般 の接 着 剤 と異 な り,皮膜形 成 しないoLたが って, .A. の よ う な 大 き な 増 加 傾 向 は み ら れ な い。 J イ ソ シア ネー ト基 と木材の 共 有結合 が 存 在すれば接 Gal l agherは イ ソ シア ネ ー トと木 材 の OH 基 ( 水も 0-45 Q C で は 非常 に ゆ っ く りと反 応 し, 含 む ) とは 4 着 強 さは通常 の オー ダー よ りは るか に大 き くな るは これ よ り高 温 に な る と急 激 に 反 応 が促 進 す る と述べ よ うな誘 導体 とな って木材 の 道管 な どに侵 入 して ク ず で あ るが, ほ とん どの イ ソシアネー ト基が上 述 の 滝 578 サ どの役 目を して い るO こ の 誘 導 体 は 非常 に 硬 い 6) 欽ニ [木材学 会誌 料 化 学 教 室 の 皆 さ まに謝 意 を表 します O が, 脆 い物 質 で あ るo Lたが って, 接 着 強 さは接 着 文 面相 全体 で破壊 力 を除 算す るため , 結 果 と して その 値 は大 き くな らな い と推 察 され るn ただ し,接 着 温 度 を上昇 す れば, 木 材 とイ ソシア ネ- 卜基 との 共 有 結 合の割 合が高 ま るこ とが 予想 で き るの で, この 結 栄,破壊 強 さが増 大す る と考 え られ るo この よ うに, イ ソシア ネ- ト化 合物 を接 着 剤 と し て木 材の接 着試験 を行 な った結 果 に よ り次 の こ とが 予想 で きるoPVA を含む エ マ ル ジ ョンに イソ シア ネ ー ト化 合物 を添 加す る水性 ビニ ル ウ レ タン系接 着 剤 の場 合に も, イ ソシア ネー ト基 と木 材 との 共 有結 合 が 当然 存在す る と思 わ れ るが,接 着 剤 には 多義 の 水 分 が 存在 し, イ ソシア ネー ト基 は その ほ とん どが接 着 剤 の主 剤成分 お よび 水との反応 に消 費 され る もの と考 え られ る。 そ して, これ らに よ って生 成 す るユ リア な どの イ ソシア ネ- 卜誘導 体 は 固 い物 質 とな っ て 木材組織 内 に侵 入 して クサ どの働 きをす る と考 え られ る Vol .31 ,No. 7 献 I )滝 欽 二 水町 浩 ,山岸 祥恭 :木 材学 会 鼠 23十242 (1 978). 24〔 4) , 2)滝 欽 二 水町 浩 ,川岸 祥恭 :同上 ,25 ( 3) ,21 6224 日97 9ト 3)滝 飲 二 八 本繁 札 L 購 当閏 旨. ・r q 6 1JI . ,26 ( 2),81 -86 日98 0). -郎,水町 浩: 同 上, 28 ( 3),1 43 4)滝 欽 二 富 田文- -1 49 (1 982) . 5)滝 欽 二,富 川文- 那 ,水 町浩 :同上,2 8 (3),1 5 0 -1 5 5 (1 982) . 6)滝 軟 二,富 川 文一 凋弓 ,水町 浩 :同上 ,2 9( 2) ,1 45 -1 5 2( 1 983). 7)山岸 祥恭, 滝欽 二 ほか :木 材工 業 , 36 ( 61 ) ,272- ). 277 (1 981 8)元 本英生 , 矯 間雅 :木 材 と技 術 , No.3 6, 6-9 (1 97 9上 。 4. 結 請 水性 ビニ ル ウ レ タン系接 着 剤 ( APIレジ ン)の架 9)元 木英生 ,鷺 閑雅 :同上 ,No.39,9-1 4 日980). 1 0) Wi l s on,∫.B. :Pr o c1 4t h P. B.Symp W SU Pul l man,WA,1 85193 日98 0). 橋 剤 であ る イ ソシア ネ- 卜化 合物 を接 着剤 と して本 ll )Adams ,A.D._ ・Z ' b z . d,1 95-2 05 日980). 村接 着試験 を したO また, イ ソ シア ネ- ト基 と木材 1 2) St ei ne r ,P. R.;Chow,S. ;Vadi a,S.:Fo r e s t の相互作 用 に 関 して, 示差 走査 熱 量 ( DSC)測定, 赤外線 ( I R) スペ ク トル分 析 を行 な った。 7) ,2卜27 ( 1 98 0). Pr o d J,30 ( 1 3)岩 出敬 治 . ・私 信 イソシア ネ- ト基 は水 お よび 木 材, セ ル ロ- ス と 1 4)有 馬 孝 礼 :木 材学 会 誌 ,1 9( 9),435442( 1 973) . R分 析 に よ っ 反応す るこ とが DSC サ ー モ グラム ,I 1 5)大 野 泰 雄 ,内本岩宏 :工 業 化 学 雑 誌,73∴2527- て確 認 で きた。 と くに, 木 材 と イ ソシア ネ- 卜基 と の反応 は 2 60 -28 0℃ 付 近 に DSC 発 然 ピ- クが 現 0 われ るO 2530 (1 97 0上 1 6)大 野 泰雄 ,内本岩 宏 :日本 化 学 会 誌 ,3,5 08-511 (1 976上 イ ソシア ネー ト化 合物 を接 着 剤 とす る木 材接 着 試 験 の結果,室 温 よ りも高 温 で接 着 す るほ ど接 着 強 さ 1 7)佐藤 俊 彦,大 野泰雄 ,甜村 敏 雄 ,同上 ,5,76 0764 (1 978). が増 大す るO 接 着 強 さに は イ ソ シア ネ- ト基 と木材 1 8)滝軟 二 :未 発 表 . 成分 との 共有結 合 が 当然関 与 して い る と考 え られ る 1 9)秦野 恭 輿 ,富 江1 文 -都 ,水町 浩 :木 材 工 業 ,37 が, ほ とん どの イ ソシア ネ- ト基 は木相 中お よび大 ( 4) 1 81 -1 8 4( 1 982). , 気 中の 水分 と反応す る。 その結 果 生 成 す るユ リア な 20) Mot oha s hi ,K. ;Tomi t a,B.;Mi zuma ch工H∴ どの碩 い イ ソシア ネ- ト誘導体 が木 村組 織 内へ 侵 入 Woo dandnb e rSc z ' ,16 日) ,72-85 日984). 21 ) Mi s hi r o,A.;As ano,l ∴ Mo ku z aiGakkai s hF ' , して, これ らが投錨 効 果 の働 き を して い る こ とを示 唆 した。 30 ( 3),207-21 3( 1 98 4) . 謝 辞 イ ソシア ネ- 卜化 合物 を提 供 して頂 い た光 洋産 業 ㈱, 日本 ポ リウ レタ ン工 業㈱ お よび実験 装 置 を使 用 させ て い ただ い た東 京 大学 農 学 部 林産 学科 高分 子 材 22) Gal l ag h er ,J.A.:Fo r e s tPr o d J,32 ( 4),2633 (1 98 2). 23) 日本 接 着 協 会 編 , 井 本 稔 :…接 着 - ン ドブ ッ ク",日刊工 業 ,1 98 0.p.8.
© Copyright 2025 ExpyDoc