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住吉市民病院だより
2015 年8月号(No,96)
大阪市住之江区東加賀屋1-2-16 TEL(06)6681-1000
URL(http://www.osakacity-hp.or.jp/sumiyoshi/)
編集・発行
住吉市民病院広報委員会
産婦人科 中村 哲生
【熱中症とは?】
高温多湿な環境に長くいることで体内の水分や塩分(電解質)などのバランスが崩れ体温の調節機能が働
かなくなることにより体内に熱がこもった状態で、「体温上昇」「めまい」
「倦怠感」ひどいときには「けい
れん」や「意識障害」など様々な症状をおこす病気です。重症では死亡に至る可能性もあります。炎天下で
のスポーツや労働などは要注意ですが、就寝中や家の中でじっとしていても室温や湿度が高いために熱中症
になる場合があります。
熱中症の分類と対処方法
重症度
症
状
めまい・立ちくらみ・生あくび・大量の発
Ⅰ度
汗・筋肉痛・筋肉の硬直(こむらがえり)
頭痛・吐き気・倦怠感・体に力が入らない・
Ⅱ度 集中力や判断力の低下
対
処
医療機関への受診
涼しい場所へ移動・安静・
―
水分塩分の補給
涼しい場所へ移動・安静・ 医療機関での診察
体を冷やす・十分な水分塩 が必要・経口摂取
分の補給
できなければ点滴
意識障害(反応がおかしい、会話がおかし 涼しい場所へ移動・安静・ ためらうことなく
Ⅲ度 いなど)
・けいれん・運動障害(普段どおり 体を冷やす(保冷剤などを 救急車(119 番)
に歩けないなど)
利用)
を要請
水分のみの補給では塩分濃度が薄くなりけいれんが起こりやすくなったり、水利尿により脱水が改善しな
いため塩分の補給も必要です。0.1~0.2%程度の食塩水(1 リットルの水に 1~2g の食塩)に大さじ 2
~4 杯の砂糖を加えたものがお勧めですが、現実的には市販の経口補水液(OS-1;大塚製薬など)が簡便です。
熱中症は適切な予防をすれば防ぐことが可能です。
熱中症を予防するには「暑さを避けること」と「水分補給」が大切です!
「暑さを避ける」
*室内では:
○扇風機やエアコンで温度を調節(節電を意識するあまり、熱中症の予防を忘れないようにご注意下さい!)
。
○遮光カーテン、すだれ、打ち水を利用。○室温をこまめに確認。○暑さ指数(WBGT 値)も参考に(環境省
のホームページ;熱中症予防情報サイトに観測値と予想値が掲載されています)
。
*外出時には:
○日傘や帽子の着用。○日陰の利用、こまめな休憩。○天気の良い日は日中の外出をできるだけ控える。
*からだの蓄熱を避けるために:
○通気性の良い、吸湿性・速乾性のある衣服を着用する。○保冷剤、氷、冷たいタオルなどで身体を冷やす。
「水分補給」
のどが渇いたときはもちろんですが、のどの渇きを感じなくても、外出時でも、家の中にいる時もこまめに
水分・塩分・経口補水液などを補給してください。
高齢者(汗をかきにくい、暑さを感じにくいため自覚が無いのに熱中症になる危険があります。)や小さ
い子ども(地面からの照り返しにより高温にさらされる、体温調節が未熟なために熱中症にかかりやすい。)
は特に注意が必要ですので周りの人が協力して見守ってください。
熱中症を予防して元気に夏を楽しみましょう!
小児科
比嘉 勇介
夏といえば、プール、海水浴、ハイキングと、楽しいお出かけイベントが盛り沢山ですね。
しかし、お出かけで困るのが「虫刺され」。
蚊、蜂、アブ、ダニ、ブヨ・・・などなど、原因となる虫はたくさんいます。
その中でも、特に馴染のある「蚊」について、今回は特集します。
◎夏は蚊の季節◎
蚊は、春~秋にかけて発生し、卵を育てるためにメスだけが血を吸います。蚊に刺されると、
局所的な腫れ、かゆみを引き起こします。軽症なら、刺されてから 20 分後が症状のピークで、
2 時間ほどで症状が軽くなることが多いです。
しかし、数時間後からかゆみの強い湿疹のようになり、翌日~翌々日ごろに水ぶくれのよう
になることもあります。また、刺された部分の周囲まで真っ赤に腫れ、痛みを伴うこともあり
ます。
これらのように重症化した場合には、炎症を抑える作用のあるステロイド軟膏、かゆみを抑
える抗アレルギー薬の内服が必要な場合がありますので、すぐに近くの病院を受診しましょう。
◎蚊が原因になる病気◎
①とびひ
刺された部分をかきむしると、そこにばい菌が感染し、さらにその指で他の身体の部分をか
きつぶし、ジクジクした湿疹がどんどん広がっていくこともあります。「とびひ」はばい菌が
原因なので、ひどいときには抗生剤入りの軟膏治療や抗生剤の内服治療が必要になります。
②蚊が媒介する感染症
蚊は、ヒトやヒト以外の動物から血を吸ったとき、一緒にウイルスやばい菌などを吸い込み、
体内で繁殖させることがあります。昨年の関東を中心として発生したデング熱は記憶に新しい
ですね。これは、蚊がデングウイルスに感染した人から血を吸い、同じ蚊が他の人の血を吸う
ときに、ウイルスが人の体内に入り込むためうつっていきます。他にもいくつかの感染症が蚊
によって媒介されますが、多くは 1~2 週間の潜伏期間のあとに、発熱、頭痛、関節痛、筋肉
痛、発疹などの全身症状を起こします。海外旅行から帰ってきた後にこのような症状が起こっ
た場合には、地元の保健所に連絡し、どの病院へ受診するべきかも含めて相談してください。
◎蚊に刺されないためには◎
蚊に刺されないようにするためには、家の風通しを網戸つきの窓で行う、寝るときに蚊帳(か
や)を使う、出かけるときは虫よけスプレーを使う、蚊取り線香を使う、などの対策が有効で
す。ただし、アトピー性皮膚炎などで皮膚が敏感な方は、虫よけスプレーの刺激によって皮膚
炎が悪化することもありますので、しっかりとスキンケアをして皮膚を正常化したうえで、低
刺激性のものや無添加のものを使用するようにしましょう。蚊取り線香も喘息を悪化させる可
能性があるので、喘息をもつお子さまがいる場合には注意が必要です。また、蚊は水たまりに
発生することが多いので、身の回りの空き缶、タイヤ、植木鉢の受け皿、雨除けシートのくぼ
みなどに、水をためないよう気を付けましょう。