事業承継の現状と対応について 中小企業診断士 鐘井 輝 中小企業における事業承継 企業数開廃業率 事業承継対策の背景 事業承継計画 現状事業縮小・廃業検討理由 「中小企業経営実態調査」2007、1月、(株)東京商工リサーチ その他 資金繰苦しい 人手不足 後継者がない 代表者高齢化 競争激化 需要頭打ち 0 5 10 15 20 25 30 事業承継の意向 「何らかの形で引き継ぎたい」が51社の82.3%で大多数を占め、「自分の代で廃業する」は11社の17.7であった。 2-1事業承継の意向 n=62 自分の代 で廃業す る 17.7 何らかの 形で引き 継ぎたい 82.3 経営状況別に事業承継の意向 経営状況別に事業承継の意向について分析すると「経営状況が順調」と答えた10社すべてで何らかの形で引き継ぎたいと回答し、 経営状況が厳しくなるほど自分の代で廃業すると答えた企業が多い傾向がみられる。 何らかの形で引き継ぎたい 合計 n = 62 自分の代で廃業する 82.3 順調 n = 10 17.7 100.0 普通 n = 25 88.0 厳しい n = 23 12.0 73.9 非常に厳しい n = 4 26.1 50.0 0 25 50.0 50 経営状況別承継意向 75 100 (%) 事業を承継したい相手 事業を承継したい相手で一番多かったのが「息子・娘」で23社の45.1%、「従業員」が17社の33.3%、 「娘婿」、「第三者への事業売却」がそれぞれ3社の5.9%あった。 事業を承継したいその他の相手として「自社の役員」、「息子もしくは従業員」との回答があった。 2-2事業を承継したい相手 n=51 0 50 息子・娘 45.1 娘婿 兄弟姉妹 配偶者 その他親 族 5.9 2.0 0.0 3.9 従業員 33.3 第三者へ の事業売 却 第三者へ の経営委 任 その他 5.9 0.0 3.9 100 % 事業承継の準備状況 「不十分だが準備している」と答えた企業が一番多く30社の58.8%、「何もしていない」が20社の39.2%、 「十分に準備している」はわずか1社のみであった。 3-1事業承継の準備状況 n=51 十分に準 備してい る 2.0 何もして いない 39.2 不十分だ が準備し ている 58.8 後継者決定状況 既に「決まっている」が26社の51.0%で一番多く、「決まっていないが候補者がいる」が19社の37.3%、 「適当な候補者がいない」が6社の11.8%であった。 4-1後継者の決定状況 n=51 適当な候 補者がい ない 11.8 決まって いる 51.0 決まって いないが 候補者が 37.3 後継者を決めたい時期 後継者が明確に決まっていない企業では38.7%の12社が「4年~5年以内」に決めたいと答え、 29.0%の9社が「5年~10年以内」に、25.8%の9社が「1年~3年以内」に決めたいと答えている。 4-3後継者を決めたい時期 n=31 10年以 上 6.5 1~3年 以内 25.8 5~10 年以内 29.0 4~5年 以内 38.7 事業承継に関する相談先 相談先で一番多かったのが「税理士」で45社の73.8%、「金融機関」が25社の41.0%、 「商工会議所・商工会」が11社の18.0%、「中小企業診断士」が5社の8.2%であった。 5-1事業承継に関する相談先 n=61 0 50 商工会議 所・商工 会 18.0 金融機関 41.0 中小企業 診断士 8.2 税理士 その他 100 % 73.8 0.0 事業承継にあたり困っていること 困っていることで一番多かったのが「後継者の経営者としての力量」で34社の55.7%、「株式等の相続対策」が33社の54.1%、 「相続税等の税金対策」が16社の26.2%、「適切な相談先」が9社の14.8%であった。 5-2事業承継にあたり困っていること n=61 0 50 適切な相 談先 14.8 後継者の 経営者と しての力 55.7 株式等の 相続対策 54.1 相続税金 等の税金 対策 その他 100 % 26.2 0.0 関心のあるセミナーテーマ 関心のあるセミナーテーマで一番多かったのが「事業承継全般」で35社の57.6%、「企業価値算定」が24社の40.7%、 「事業承継計画作成」が14社の23.7%、「M&A」が6社の10.2%であった。 5-5関心のあるセミナーテーマ n=59 0 50 事業承継 全般 57.6 事業承継 計画作成 23.7 M&A 10.2 企業価値 算定 その他 100 % 40.7 0.0 承継時の課題 《親族内承継時の課題》 a.親族内に、経営の資質と意欲を併せ持つ後継者候補がいるとは限らない。 b. 相続人が複数いる場合、後継者の決定・経営権の集中が難しい。(後継者 以外の相続人への配慮が必要) 《親族外承継時の課題》 a.親族内承継の場合以上に、後継者候補が経営への強い意志を有しているこ とが重要となるが、適任者がいない恐れがある。 b.後継者候補に株式取得などの資金力がない場合が多い。 c.個人債務保証の引継ぎ等に問題が多い。 《売却時の課題》 a.希望の条件(従業員の雇用、価格等)を満たす買い手を見つけるのが困難 である。 b.経営の一体性を保つのが困難である。 整理シート① 1 2 承継概要 経営理念、事業中期目標 整理シート② (1) 関係者の理解 (2) 後継者教育 整理シート③ (1) 株式・財産分配 4 その他 事業承継のための経営改善課題の抽出 自社概況・現状 収支面 自社課題 自社の問題点 財政面 課題としてとりあげた理由 優先順位 自社概況(収支面・財政面)例 ○○株式会社 経営課題の抽出 自社概況・現状 ・ 売上高の暫減傾向 ・ 売上高の暫減傾向 ・ ・ 2007年末ベテラン従業員の 2007年末ベテラン従業員の 退社 退社 ・営業力弱体化、苦情発生 ・営業力弱体化、苦情発生 ・ ・ △△との協力体制強化のた △△との協力体制強化のた め新たな投資発生 め新たな投資発生 収支面 財政面 利益率ダウン26%(2006年 利益率ダウン26%(2006年 ・・ 自己資本率低下 自己資本率低下 ・ 比) ・ 固定長期適合率悪化 固定長期適合率悪化 比) ・ 流動比率低下 ・ 固定費2006年より増加 ・ 流動比率低下 ・ 固定費2006年より増加 ・ 高コスト化による利益の減 ・ ・ 高コスト化による利益の減 ・ 長期借入金の増加 長期借入金の増加 少 少 ・ ・ 自社問題点から課題の整理 自社の問題点 取扱商品(メニュー)削減に 取扱商品(メニュー)削減に よる売上の減少 よる売上の減少 ・ ・ サービス体制の高コスト化に サービス体制の高コスト化に 伴う利益の減少 伴う利益の減少 ・ ・ ベテラン従業員の退社に伴う ベテラン従業員の退社に伴う 営業への支障 営業への支障 ・ ・ 一般社員への今後の方向性の 一般社員への今後の方向性の 不徹底 不徹底 従業員に当社の将来像を示す必要 従業員に当社の将来像を示す必要 1 1 安全の食作りと利益確保 安全の食作りと利益確保 ・ ・ 食の安全・安心と利益確保の両立 食の安全・安心と利益確保の両立 人事考課制度の導入 人事考課制度の導入 役職者が責任を果たし、従業員への公正な評価導入 役職者が責任を果たし、従業員への公正な評価導入 評価 評価 コミュニケーション円滑化 コミュニケーション円滑化 従業員の当社への帰属意識高め、やる気を出さす 従業員の当社への帰属意識高め、やる気を出さす 2 2 3 3 4 4 当面の経営改善目標と経営改善スケジュール 第1四半期 第2四半期 経営改善目標 改善策 担当 第3四半期 第4四半期
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