乙8テーブル ジャッジ:広部

8番テーブル総評
青山学院大学 4 年 広部里奈
テーブルメンバー:増谷(早稲田 3)、高木(武蔵 3)、物井(獨協 3)、中元(東大 2)、吹田(東
大 2)、岡村(早稲田 2)、加藤(聖心 2)、池下(明治 2)、長谷川(立教 2)計 9 名
1 議論の流れ
ナローイング
増谷のナローイングによって task の意味が説明された際、吹田が task とは何かという質問に対し増谷が
make situation better であると答えた。続いて吹田が、m/s/b を決める基準は“make some of happiness”で
あるかという質問に対し一同騒然となり、増谷がまずは吹田の言いたいことの内容を理解しようという内容のプ
ロシージャを引き吹田の説明がなされた。「通常の PSF では“maximize the some of happiness”をすることによ
って t/p をするが、吹田はダウトを持っており、“minimize the minimum”をすることによって t/p すべきだ」という
意見だった。完全には浸透することなくさまざまな質問が飛び交った結果、物井が「普通の task も認めつつ、吹
田の task のほうがより良いという意見であるならば、オピニオンプレゼンターの候補者として立候補してはどうか」
という提案がなされ、増谷のカンファメーションによって浸透し、話が収束した。しかしその後、吹田はいずれかの
オピニオンプレゼンターの AD が取れた後にコンパリソンのやり方を話し合いたいという意思を示し、オピニオンプレ
ゼンターには高木・物井・増谷の 3 名が立候補した。
SQ
多数決によって高木が臓器移植のオピニオンプレゼンターとなり、TG: patients, QL: m/s, QT: A/L /1 で進められ
た。SQ は特に混乱もなく SOH・NFC は反論なく立証された。
APA
SOL において 3 つの反論がみられた。①物井による実行性に対する反論で、利害関係が無いにもかかわらず
脳死の患者を強制的にドナーにすることはできないという内容である。増谷が、t/p に際し SQ における関係性
が壊れてしまわないことが m/s/b より重視されるべきだという理由があるのならば検証し、ないのであればコンパリ
ソンで話そうという提案をした。それに対し物井は、理由を明確に答えられずコンパリソンでクライテリアを追加し
たいということで妥協し、流れた。②中元による実行性に対する反論で、脳死の患者を強制的にドナーにしてし
まうことで患者間に優劣が付けられ犠牲者を生み、臓器移植を受けたくなくなる患者が発生するという内容で
あった。増谷によって、臓器移植を受けたくなくなる患者は DA であるから DA として出してほしいという提案が出
されたが、なぜ SOL エリアで話せないのかという理由が述べられなかったため中元は承諾せず、物井が A/L/1
way があれば次にいけるため、今話すべきではないという意見に納得し、これ以降のエリアで意見を述べることで
収束した。③増谷の実行性に対する反論で、PLAN が憲法に反していて、権利をはく奪できるのは give&take
が成立している場合と有罪の者からはく奪する場合のみであるので t/p はできないというものであった。増谷は、
コンパリソンにおいてまず初めに権利について AD>DA を立証することを約束してくれるのであればコンパリソンで
話すと述べ、いくつか疑問が投げかけられたが、物井の提案により増谷の要求を受け入れることになり、AD を立
証し 3 時間の議論を終えた。
2 コメント
エクスプラネーションについて
冒頭のナローイングのくだりにおいて、吹田の説明が十分わかりやすかったとは言えませんでした。ナローイングと
いう、議論自体の提案をしている際に、他者が発言し口をはさむという時には特に「その発言は何が目的なの
か」をはじめに明示することが周りに不信感を抱かせず、話を聞いてもらえるようになる条件であると思います。ま
た、ワードチョイスにも気を付けると良いと思います。相手に辞書を引かせるようなワードは思考回路の停止を招
きます。一度の説明ですんなりと頭に入ってくるような言い換えで説明するといいでしょう。事前に友達にエクスプ
ラを聞いてもらって、伝わったか感想を聞いたりして改善していくといいと思います。CCF も忘れずにね!
相手を理解するためになにをするか
今回の吹田のナローイングでの発言に対し、話している最中に様々なアサンプションによる質問が飛び交いまし
たが理解度はそれほど深まらなかったように見受けられました。議論中に増谷も言っていましたが、「まずは最後
まで説明して!」という姿勢はとても大切だと思います。その説明を受け、話を細分化しながらわからないポイン
トを一つ一つリストアップし、順に確認していきましょうという提案ができれば建設的に話ができるのではないかな
と思います。まずは、わからない単語の意味を明確にし、定義を定めます。そして、意見の輪郭をつかんだ後
に、その意見によって何がしたいのかを確認します。今回で言えば物井の発言でも触れていましたが、①従来の
task の否定②従来の task より新しい task のほうがより良いので task を変更したい③other というように聞き
ましょう。エフェクトも書いておくとより良いと思うので考えてみてください。細分化をすることはとても難しいことかも
しれませんが、トレーニングすれば段々できるようになるはずです。どんな単語が出てきた?どんな概念について
話した?どんな意見だった?というように物事を大小様々な断面で切ることができるようになると、相手を正確
に理解する力につながってゆくはずです!ミクロに話しすぎても時間が足りなくなってしまうので、その時その時の
議論の残り時間やテーブルの方向性またはハンドリングしたい方向性によって、トリートの方法や時間設定は変
えるべきですが、相手の意見に耳を傾け興味を持ち尊重しどうしたら上手く議論に組み込むことができるか?を
考えるのもディスカッションの技能の一つかなと個人的には思いますよ。
「流す」という行為
SOL で中元が周囲に様々な提案を受けたが、承諾しなかった場面がありました。なぜ SOL エリアで話せないの
かという理由が明確でなかったため、受け入れられないということを言っていましたね。そもそも別のエリアで話すべ
きだという提案は、今話すべきでないという理由が大前提で発言された上で、○○のエリアでこのように話せます
よ?という追加的なものです。もちろんその追加的な提案が、相手の妥協する心をくすぐる場合は大いにありま
すが、それだけでは論理性に欠けます。相手の意見を丁寧に扱うことにもつながるので、横着せずにトリート・提
案をしましょう。
3 順位
1 位 増谷(早稲田 3)
コンスタントな介入・相手を理解しようという姿勢(カンファメーションの質の高さ)・推進力のある発言を評価し
た。話を進めていく責任感を持ち、どんな話にも自らのカンファメーションによってテーブルに浸透させ議論を進め
ていくうえでなくてはならない存在であった。ただし、テーブルのニーズと思われるコンパリソンエリアへテーブルメンバ
ーを導くことができなかったことは残念。テーブルのムードメーカーとして活躍したバード君には、これからより早稲
田を強くするべく、エデュケーターとしても期待している。
2 位 物井(獨協 3)
要所要所で話を収束させる質の高い発言がみられ、話全体を把握し冷静に判断した介入があったため、2 位
とした。ただし、その発言は増谷のおかげでテーブルに浸透したことも多くあり、部分的な貢献であったことが懸念
ポイント。しかし、介入の質は最も良かったと感じたので、これまで培った経験や能力を活かしてこれ以降も後輩
たちの指導・育成に注力してほしい。
3 位 高木(武蔵 3)
オピニオンプレゼンターとしてそつなく役割をこなしていたことや、AD を立証することができたため 3 位とした。しか
し、AD をとることができたのは高木の推進力のおかげとはいいがたく、まだまだ活躍できる場面はあったと感じた。
基礎力は十分にあると思うので、自信をもって後輩を指導しながら、引退までディスカッションを楽しんでくださ
い。
4 位 中元(東大 2)
周囲の発言を論理的に受け止め、それに合わせて的確に対応した発言をしていた点を評価し 4 位とした。介
入が限定的であった点は改善してほしい。プレイヤーを引退した先輩方にたくさんアドバイスを受けながら、同期
と切磋琢磨して、来年のランクをぜひ目指してください。
5 位 吹田(東大 2)
自らの意見をテーブルに発信し、新規性のある流れを創り出そうとした姿勢があったため 5 位とした。しかし、浸
透させることが上手くいかなかった点については、改善の余地がある。様々な視点から PDD を見つめなおす姿
勢は忘れずに、これからもディスカッションに必要な技術を学んでほしいと思う。
6 位 加藤(聖心 2)
質問をしている機会はあったが極めて介入が少なかった。用意しておく質問をより多くしていけると介入量が増え
ると思われるので、努力してほしい。
7 位 岡村(早稲田 2)、池下(明治 2)、長谷川(立教 2)
介入が極めて少なかったため 7 位とした。アイディアを練って用意してくると介入の機会が生まれるので参考ま
で。
質問などありましたら、青学の友達に連絡先を聞いて連絡ください!皆さんお疲れさまでした!