ISSN 1349-4856 C O D E N : T C I M C V 2 0 1 5 .4 165 目次 2 7 化 学 よもやま話 身 近 な 元 素 の 話 - 2 種 類の元 素でできた化 合 物( 2 ) 製品紹介 - 佐藤 健太郎 過酢酸を再酸化剤として利用するハイブリッド型酸化触媒 新しい3,3,3-トリフルオロプロペニル化試薬 (池田−表試薬) 酸化還元補酵素 JAK 阻害剤 骨再吸収阻害剤 生化学用界面活性剤 2015.4 No.165 ~身近な元素の話~ 2 種類の元素でできた化合物(2) 佐藤 健太郎 炭素は多数つながって丈夫な骨格を作れる上,多くの元素と安定な結合を作りうる。このため, 炭素プラスもう1元素の組み合わせだけで,極めて多彩な化合物世界が形成される。前回はハロカー ボン化合物を取り上げたが,今回は金属元素及び酸素との組み合わせを見てみよう。 炭素と金属元素 炭素と金属元素の組み合わせから成る化合物にも,いろいろなタイプが考えられる。2 種の元素 でできた物質という意味では,鋼鉄のような炭素を含む合金も,この範疇に含めることができる。 金属と炭素のみでできた化合物で有名なのは,カルシウムカーバイド(CaC2)だろう。比較的安 定な固体となるが,水と反応するとアセチレンを発生するため,古くから燃料源などとして用いら れてきた。ナトリウムや銅など多くの金属が,これに類似したアセチリド型の炭化物を作る。また Li4C3 や Mg2C3 のような組成を持った,「セスキカーバイド」と呼ばれる化合物も存在する。 これと全く異なった型の化合物も存在する。たとえば,グラファイトの層のすき間に金属イオン が入り込んだ形の, 「層間化合物」 (intercalational compound)がその一例だ。カリウム原子がグラファ イトの層の間に入り込んだ KC8 はその代表的なもので,高温でグラファイトをカリウム蒸気にさら すことで生成する。強力な還元剤となるため,重元素の多重結合形成反応などによく用いられる。 カリウム以外にも,多くのアルカリ金属やアルカリ土類金属が,グラファイトと層間化合物を作 ることが知られている。この中には超伝導性を示すものがあり,たとえば CaC6 は転移温度 11.5K と比較的高温で超伝導となることから,注目を集めている。 しかし超伝導といえば,カリウムなどの元素をドープしたフラーレンの方が有名だろう。1991 年, K3C60 の組成を持つ化合物が 33K というかなり高い温度で超伝導特性を示すことが発見され,フ ラーレンの特異な可能性を示す事例として大いに注目を浴びた。現在では,セシウムをドープした フラーレン Cs3C60 を加圧したものが,分子性超伝導体の転移温度の最高記録(38K)保持者となっ ている。 2 2015.4 No.165 カリウムをドープしたフラーレン K3C60 酸素と炭素から成る化合物 有機化合物において,酸素は水素に次ぐ,炭素の重要な相棒だ。では酸素と炭素だけから,どの くらいの化合物(オキソカーボン類)ができるだろうか?まず思いつくのは,一酸化炭素・二酸化 炭素などの単純な酸化物だろう。 この他,三酸化炭素及び四酸化炭素という化合物も知られている。もちろん極めて不安定であり, 二酸化炭素と酸素を放電などによって反応させた際の,反応中間体として観測されたのみだ。 O O O O O O O 三酸化炭素(左)と四酸化炭素(右)。三酸化炭素は,考えられる構造のひとつ。 この他,亜酸化炭素(または二酸化三炭素) C3O2 という化合物もある。O=C=C=C=O と,5 原 子が一直線に並んだ構造をとり,マロン酸が脱水した化合物とみなすこともできる。強い刺激臭を 持つ気体で,光などの刺激で容易に重合してしまう。 これより長い炭素酸化物としては,Maier らによって 1990 年に二酸化四炭素(O=C=C=C=C=O) が合成されたが,ごく不安定であることがわかっている。二酸化五炭素(O=C=C=C=C=C=O)は, やはり Maier らによって 1988 年に合成されている。純粋なものは重合しやすいが,溶液状態でな ら室温で保存可能な程度に安定だ。 これより短い炭素酸化物である二酸化二炭素(エチレンジオン,O=C=C=O)は,今に至るまで 生成・観測されたことがない。おそらく,最も単純な未踏化合物の一つだろう。直線状に炭素と酸 素が並んだだけの単純な化合物群だが,その性質はやはり容易に予測できるものではない。 3 2015.4 No.165 カルボニル基を環状につないだ形の (CO)n という化合物も考えられる。n が 3 から 6 のものが知 られているが,一酸化炭素へと分解してしまいやすいためにいずれも安定ではなく,質量分析など によって微量その存在が検出されるのみだ。 このうち n=6 のシクロヘキサンヘキソンは,「トリキノイル」(triquinoyl)の名でも呼ばれる。 試薬としても販売されているが,これは実際には水和物となっており,ドデカヒドロキシシクロヘ キサンの形をとっている。 O O O O O O シクロヘキサンヘキソン(トリキノイル) その他にも,紙の上では炭素と酸素のみから成る化合物をいくらでも考えることはできる。ただ しそのほとんどは合成不能か,できても極めて不安定だ。たとえば下図の化合物群は,いまだ合成 がなされていない。もし作られても,すぐさま一酸化炭素や二酸化炭素へと分解してしまうであろ うことは,容易に想像がつく。 O O O O O O O O O O O O O O O O O また,合成されてはいるものの,ごく短寿命のもの,NMR などで存在が確認されているのみの 化合物もある。下図の化合物はそうした例だ。 O O O O O O O O O O O O O O O O O O O O O O O O O O O 4 O O O O O O 2015.4 No.165 安定なオキソカーボン類としては,メリト酸無水物がある。ベンゼンヘキサカルボン酸(メリト酸) から 3 分子の水を除いた構造であり,C12O9 の分子式を持つ。発見者は有機化学の創始者といって もよい Liebig と Wöhler,発見されたのは 1830 年という,大変に歴史ある化合物だ。意外なことに, 蜜蝋石(mellite)と呼ばれる鉱物から得られている。蜜蝋石は,メリト酸のアルミニウム塩が主成 分という珍しい鉱石であるから,この化合物が得られても不思議ではない。 O O O O O O O O O メリト酸無水物 ナノカーボンの酸化物 こうしたオキソカーボン類の化学は,1990 年代以降にナノカーボンの時代を迎えて,より多彩さ を増すことになった。これら新しい炭素同素体の酸化物が,次々と報告されるようになったのだ。 たとえばフラーレン C60 は,各種酸化剤の作用によってエポキシド C60O となる。これは,さま ざまなフラーレン誘導体合成の起点となる。条件によって C60O2,C60O3 などのポリエポキシドも 生成するし,C70O の各種異性体なども知られている。その他,オキソラン環を介してフラーレン 骨格が 2 つつながった C120O など,各種のフラーレン酸化物が作り出されている。 2012 年には,フラーレンを酸化することで,骨格に穴が開いた形のビスラクトン C60O4 が作ら れた。また,ここから一酸化炭素が抜けた形のオキサフラーレン C58O2 なども質量分析で検出され ている。フラーレン由来のオキソカーボン類は,まだまだ数を増やしそうだ。 ビスラクトン C60O4(左)とオキサフラーレン C58O2(右) 5 2015.4 No.165 近年注目を集める材料に,酸化グラフェン(graphene oxide)がある。グラファイトを過マンガ ン酸カリウムなどで酸化して得られるもので,意外なことにグラフェン自身よりも半世紀近く前 (1958 年)に発見されている。 酸素がグラフェンの炭素に対してエポキシドの形で結合している他,アルデヒドやカルボン酸に なっている部分もあると見られるため,酸化グラフェンは正確には「炭素と酸素のみ」の化合物と はいえない。ただし,酸化度を変えることによって導電度などの性質を調節することができ,電極 材料等として期待が高まっている。また,他の官能基を導入する足がかりとしても重要だから,今 後さらに研究例が増えそうだ。 このような次第で,炭素と酸素だけでも実に多彩な化合物ができあがるものだと感心させられる。 次回は,炭素と窒素から成る化合物などを取り上げよう。 執筆者紹介 佐藤 健太郎 (Kentaro Sato) [ ご経歴 ] 1970 年生まれ,茨城県出身。東京工業大学大学院にて有機合成を専攻。製薬会社にて創薬研究に従事する傍ら, ホ ー ム ペ ー ジ「 有 機 化 学 美 術 館 」(http://www.org-chem.org/yuuki/yuuki.html, ブ ロ グ 版 は http://blog.livedoor.jp/ route408/)を開設,化学に関する情報を発信してきた。東京大学大学院理学系研究科特任助教(広報担当)を経て,現在は サイエンスライターとして活動中。著書に「有機化学美術館へようこそ」(技術評論社),「医薬品クライシス」(新潮社),「『ゼ ロリスク社会』の罠」(光文社),「炭素文明論」(新潮社)など。 [ ご専門 ] 有機化学 6 2015.4 No.165 過酢酸を再酸化剤として利用するハイブリッド型酸化触媒 I0908 4-[2-[2-(4-Iodophenoxy)ethoxy]carbonyl]benzoyloxy2,2,6,6-tetramethylpiperidin-1-oxyl (1) 100mg 15,900 円 矢倉らは,新しい有機ハイブリッド型の酸化触媒 4-[2-[2-(4- ヨードフェノキシ ) エトキシ ] カルボ ニル ] ベンゾイルオキシ -2,2,6,6- テトラメチルピペリジン -1- オキシル(1)を合成し,これを用い た一級アルコールの酸化反応を報告しています。1 は,アルコール酸化触媒として用いられている 2,2,6,6- テトラメチルピペリジン -1- オキシル(TEMPO)と,その共存酸化剤となるヨードベンゼ ンジアセタート(PIDA)の前駆体であるヨードベンゼンを共有結合で繋げた構造をしています。そ れにより,触媒量の 1 を添加するだけで,過酢酸を共存酸化剤としてアルコールを酸化することが 可能です。この酸化反応は,用いる過酢酸が反応終了後に酢酸となる環境調和型反応です。 O O O O O CH3 R OH R = CH3, NO2, F, Cl CH3 CH3 N O CH3 O I (1) [I0908] (cat.) R OH CH3COOOH in CH3COOH 文献 Novel 2,2,6,6-tetramethylpiperidine 1-oxyl–iodobenzene hybrid catalyst for oxidation of primary alcohols to carboxylic acids T. Yakura, A. Ozono, Adv. Synth. Catal. 2011, 353, 855. 7 2015.4 No.165 新しい 3,3,3-トリフルオロプロペニル化試薬(池田-表試薬) 1g 14,500 円 5g 50,600 円 T2977 (E)-Trimethyl(3,3,3-trifluoro-1-propenyl)silane (1) β-トリフルオロメチルプロペニルベンゼン誘導体は,液晶材料や有機 EL 材料として有用である ことが報告されています 1)。(E )-トリメチル (3,3,3-トリフルオロ -1-プロペニル) シラン(池田-表試 薬)(1)は,表らにより開発された新しい 3,3,3-トリフルオロプロペニル化試薬です。1 を用いるよ う化アリールとの檜山カップリングでは,対応する β-トリフルオロメチルスチレン類が高収率で得 られます 2-4)。このスチレン誘導体から誘導される 2- アリール -3-トリフルオロメチル化キノリン類 は,創薬研究に寄与可能な興味深い化合物です 3,4)。また,1 とアリールアルデヒドを CsF 存在下 で反応させると,対応するアリール 3,3,3-トリフルオロプロピルケトンが得られます 5)。 I (1 eq.) NH2 3) CuF2 (2 eq.) 2,2'-bipyridyl (2 eq.) Pd(dppe)2 (5 eq.) (CH3)3Si 1 1,2,4-trichlorobenzene NH2 (Y. 90%) β-Trifluoromethylstyrene O CF3 . CF3 DMF, 80 °C, 19 h (2 eq.) ArCHO [Cu(OTf)] 2 C6H6 CF3 N Ar (Y. 82% ) 2-Aryl-3-CF3-quinolines H (10 eq.) Br CsF (1 eq.) (2 eq.) DMF, 80 °C, 1 h 5) O CF3 Br (Y. 79% ) Aryl 3,3,3-trifluoropropyl ketone 文献 1) M. Shimizu, Y. Takeda, M. Higashi, T. Hiyama, Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, 3653. 2) M. Omote, M. Tanaka, A. Ikeda, S. Nomura, A. Tarui, K. Sato, A. Ando, Org. Lett. 2012, 14, 2286. 3) M. Omote, M. Tanaka, M. Tanaka, A. Ikeda, A. Tarui, K. Sato, A. Ando, J. Org. Chem. 2013, 78, 6196. 4) 樽井敦 , 佐藤和之 , 表雅章 , 安藤章 , 有機合成化学協会誌 2014, 72, 680. 5) A. Ikeda, M. Omote, S. Nomura, M. Tanaka, A. Tarui, K. Sato, A. Ando, Beilstein J. Org. Chem. 2013, 9, 2417. 8 2015.4 No.165 酸化還元補酵素 100mg 29,000 円 T2979 Thionicotinamide Adenine Dinucleotide oxidized form (1) T2980 Thionicotinamide Adenine Dinucleotide Disodium Salt reduced form (2) 100mg 38,000 円 S S C NH2 C NH2 O O O P O N O P O O O OH OH NH2 OH N N NH2 N N N O ONa OH OH N O P O O OH OH N N O P O N O ONa OH OH Thio-NADH (2) Thio-NAD+ (1) 酵素サイクリング法は微量の基質や酵素活性を測定するための感度を増幅するためにデザインさ れてきました 1)。この方法に関する初期の研究は DAN+,NADP+,CoA について言及しています 2-4)。 Thio-NAD+(1)は酵素サイクリング法の改良に寄与してきました 1,5-8)。 2 thio-NAD+ 2 thio-NADH MVA + CoA HMG-CoA 2 NAD+ 2 NADH Conversion of MVA to HMG-CoA by HMG-CoA reductase6) 酵素サイクリング法への 1 の応用の一例を上に示します。1 はこのような酵素反応によって thioNADH(2)へ転換されるため,反応は生成した 2 を測定することで追跡できます。2 の蓄積はその 吸収(400 nm)の増加で検出でき,これは NADH(340 nm)より長波長です 8)。一方,2 は活性型 のブレオマイシンの解析にも使用されました 9)。 文献 1) Carnitine determination by an enzymatic cycling method with carnitine dehydrogenase M. Takahashi, S. Ueda, H. Misaki, N. Sugiyama, K. Matsumoto, N. Matsuo, S. Murao, Clin. Chem. 1994, 40, 817. 2) An enzymatic cycling method for nicotinamide-adenine dinucleotide with malic and alcohol dehydrogenases T. Kato, S. J. Berger, J. A. Carter, O. H. Lowry, Anal. Biochem. 1973, 53, 86. 3) The measurement of pyridine nucleotides by enzymatic cycling O. H. Lowry, J. V. Passonneau, D. W. Schulz, M. K. Rock, J. Biol. Chem. 1961, 236, 2746. 4) Distribution of enzymes between nucleus and cytoplasm of single nerve cell bodies T. Kato, O. H. Lowry, J. Biol. Chem. 1973, 248, 2044. 5) ALT reagent with thionicotinamide adenine dinucleotide P. A. Dolan, C. D. Pennington, D. A. Yost, Clin. Chem. 1989, 35, 1857. 6) An ultrasensitive enzymatic method for measuring mevalonic acid in serum T. Matsuoka, S. Ueda, H. Matsumoto, M. Kawakami, J. Lipid Res. 2012, 53, 1987. 7) Spectrophotometric method for the assay of steroid 5a-reductase activity of rat liver and prostate microsomes A. Iwai, T. Yoshimura, K. Wada, S. Watabe, Y. Sakamoto, E. Ito, T. Miura, Anal. Sci. 2013, 29, 455. 8) Ultrasensitive enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) of proteins by combination with the thio-NAD cycling method S. Watabe, H. Kodama, M. Kaneda, M. Morikawa, K. Nakaishi, T. Yoshimura, A. Iwai, T. Miura, E. Ito, Biophysics 2014, 10, 49. 9) The redox state of activated bleomycin R. M. Burger, J. S. Blanchard, S. B. Horwitz, J. Peisach, J. Biol. Chem. 1985, 260, 15406. 9 2015.4 No.165 JAK 阻害剤 20mg 4,000 円 100mg 14,000 円 1g 74,000 円 T2962 Tyrphostin AG490 (1) O HO HO CN N H 1 ヤーヌスキナーゼ(JAK)ファミリーは非レセプターチロシンキナーゼファミリーの一つです。 それぞれのタンパク質はキナーゼドメインと触媒的に不活性な偽キナーゼドメインを有し,FERM ドメインを通してサイトカインレセプターと結合します 1)。JAK はサイトカインのレセプターへの 結合で活性化されます 1,2)。活性化された JAK はそのレセプターをリン酸化し,シグナリング分子 である STAT ファミリーのドッキング部位を形成します 2)。 チルホスチン AG490(1)は EGFR チロシンキナーゼの阻害剤の一つです 3)。1 は前駆 B リンパ 芽球性急性白血病(ALL)細胞の JAK 2 の活性化 を阻害します 4)。1 は JAK3/STAT や JAK3/AP-1, JAK3/MAPK のシグナリング経路や JAK3 の自己リン酸化も阻害します 5-7)。 JAK:Janus kinase FERM ドメイン:Band 4.1(four-point-one) ,ezrin,radixin,moesin のような分子に見出されるドメイン構造 STAT:signal transducer and activator of transcription EGFR:epidermal growth factor receptor ALL:acute lymphoblastic leukemia 文献 1) The Janus kinases (Jaks) K. Yamaoka, P. Saharinen, M. Pesu, V. E. T. Holt III, O. Silvennoinen, J. J. OʼShea, Genome Biol. 2004, 5, 253. 2) Janus kinases: Components of multiple signaling pathways S. G. Rane, E. P. Reddy, Oncogene 2000, 19, 5662. 3) Tyrphostines. 2. Heterocyclic and α-substituted benzylidenemalononitrile tyrphostins as potent inhibitors of EGF receptor and ErbB2/neu tyrosine kinases A. Gazit, N. Osherov, I. Posner, P. Yaish, E. Poradosu, C. Gilon, A. Levitzki, J. Med. Chem. 1991, 34, 1896. 4) Inhibition of acute lymphoblastic leukaemia by a Jak-2 inhibitor N. Meydan, T. Grunberger, H. Dadi, M. Shahar, E. Arpaia, Z. Lapidot, J. S. Leeder, M. Freedman, A. Cohen, A. Gazit, A. Levitzki, C. M. Roifman, Nature 1996, 379, 645. 5) JAK3, STAT, and MAPK signaling pathways as novel molecular targets for the tyrphostin AG-490 regulation of IL-2-mediated T cell response L. H. Wang, R. A. Kirken, R. A. Erwin, C.-R. Yu, W. L. Farrar, J. Immunol. 1999, 162, 3897. 6) Tyrphostin AG-490 inhibits cytokine-mediated JAK3/STAT5a/b of signal transduction and cellular proliferation of antigen-activated human T cells R. A. Kirken, R. A. Erwin, D. Taub, W. J. Murphy, F. Behbod, L. Wang, F. Pericle, W. L. Farrar, J. Leukoc. Biol. 1999, 65, 891. 7) JAK2 tyrosine kinase inhibitor tyrphostin AG490 downregulates the mitogen-activated protein kinase (MAPK) and signal transducer and activator of transcription (STAT) pathways and induces apoptosis in myeloma cells J. De Vos, M. Jourdan, K. Tarte, C. Jasmin, B. Klein, Br. J. Haematol. 2000, 109, 823. 10 2015.4 No.165 骨再吸収阻害剤 Z0031 Zoledronic Acid Monohydrate (1) 1g 6,100 円 5g 20,800 円 O HO P OH N N CH2 C OH . H2O HO P OH O 1 ゾレドロン酸(1)は骨再吸収を阻害するビスホスホネート(BP)で,第三世代の複素環式窒素 含有 BP に分類されます 1,2)。この第三世代の BP はファルネシルピロリン酸合成酵素を阻害します 2)。 他の BP 同様,1 はリン酸カルシウムの骨無機質のハイドロキシアパタイトに高い親和性で結合し, in vitro での比較では最も強い親和性を示します(1 >アレンドロン酸>イバンドロン酸>リセドロ ン酸>エチドロン酸>クロドロン酸)3)。1 は骨粗鬆症 4) や骨ぺージェット病(パジェット病ともい う)5),悪性腫瘍による高カルシウム血症 6) の処置に使用されてきました。 本製品は試薬であり,試験・研究用のみにご利用ください。 文献 1) R. Graham, G. Russell, Ann. N.Y. Acad. Sci. 2006, 1068, 367. 2) K. Ohno, K. Mori, M. Orita, M. Takeuchi, Curr. Med. Chem. 2011, 18, 220. 3) G. H. Nancollas, R. Tang, R. J. Phipps, Z. Henneman, S. Gulde, W. Wu, A. Mangood, R. G. G. Russell, F. H. Ebetino, Bone 2006, 38, 617. 4) A. Räkel, A. Boucher, L.-G. Ste-Marie, Clin. Interv. Aging 2011, 6, 89. 5) L. Michou, J. P. Brown, Drug Des. Devel. Ther. 2011, 5, 225. 6) P. Major, Oncologist 2002, 7, 481. 生化学用界面活性剤 250mg 8,800 円 1g 26,500 円 T3071 Tris Dodecyl Sulfate (1) O CH3(CH2)11O S OH . HOCH2 CH2OH C NH2 CH2OH O 1 ドデシル硫酸トリス(1)はドデシル硫酸を含むアニオン性界面活性剤の一種です。その性質は ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)とは異なり,生化学的分析において,SDS に比べ様々な利点を有 します。 Booth は膜タンパク質の二次元電気泳動において 1 が良好な分離能を提供することを報告しまし た 1)。 Kubo と Takagi は,Weber と Osborn の電気泳動系へのいくつかのドデシル硫酸アルカノー ルの効果を報告しました 2)。それによると,ドデシル硫酸類のクロロフィルタンパク質の分子的な 集合体に対する解離能は 1 >トリエタノールアンモニウム塩>トリイソプロパノールアンモニウム 塩の順で減少することが見られました。 抗原と抗体によってはイムノブロッティングにおいて,1 は SDS とは異なる抗原-抗体の反応性 を提供します 3)。1 はラット尾腱のコラーゲンの単量体からの分離にも使用されました 4)。 文献 1) A. G. Booth, Biochem. J. 1977, 163, 165. 2) K. Kubo, T. Takagi, J. Biochem. 1986, 99, 1545. 3) H. Fukushi, K. Hirai, Microbiol. Immunol. 1993, 37, 515. 4) K. Kubo, N. Okabe, T. Takagi, Collagen Rel. 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