生化学Ⅰ 第 3 回小テスト 2015.1.29 1.以下のタンパク質の立体構造に関する文章を読み,関連する質問 i~v に答えなさい。 タンパク質の構造を議論するとき,構造の特性に合わせて 4 つの階層に分けて説明する。 タンパク質の一次構造,二次構造,三次構造,そして四次構造はそれぞれ,タンパク質が 水中で形成する立体構造の重要な特性を表す。 一次構造はタンパク質が持つ最も基本的な構造の情報に相当し,より高い次元の構造す ① べての基礎をなしている。タンパク質の②二次構造はポリペプチド鎖主鎖の構造を主に議論 し,そして③ポリペプチド鎖 1 本が形成する構造全体が三次構造である。タンパク質の④四 次構造はしばしばタンパク質の働きを調節する上で重要である。 i. 下線部①のタンパク質の一次構造は何を指すか,答えなさい。 ii. 下線部②のタンパク質の二次構造にふくまれる「αヘリックス」 「βシート」について, その構造を安定化するために最も大きく貢献する分子結合についてそれぞれできる限 り詳しく答えなさい。 iii. 下線部②に関連して,βシートにおいてアミノ酸の側鎖はどのように配置されますか? 具体的に説明しなさい。 iv. 下線部③について, 20 種類の天然アミノ酸の中からタンパク質の三次構造において 「水から隔離された分子内部」「水に接触する分子表面」で頻繁に見かけることができ るアミノ酸の代表例をそれぞれ2つずつ挙げなさい。解答は名前,略語のいずれでも良 い。また,「水から隔離された場所にあるアミノ酸」がどのようにタンパク質の構造安 定化に貢献するのか,説明しなさい。 v. 下線部④に関連する以下の説明文の空欄❶∼❸に適当な単語を挿入し,文章を完成させ なさい。 複数のポリペプチド鎖が会合して四次構造を形成している場合,そのタンパク質分子 全体は ド鎖は ❶ ❷ を形成しているという。 ❶ または ❸ と呼ぶ。 を構成するそれぞれのポリペプチ 問題2. A,B,2 種類のタンパク質があります。Aは分子量約 50 万で大変大きく,Bの分子量は 分子量約 3 万で比較的小さいタンパク質です。この 2 つのタンパク質を少量の緩衝液に溶 解してゲル濾過クロマトグラフィーカラムに添加し,その後同じ緩衝液をカラムに流し続 けてカラムの下で溶液を回収すると最初に薄い黄色の溶液が,2 番目に薄い青色の溶液が 順に回収されました。以上の一連の実験について,以下の質問に答えなさい。 i. 上の説明文の中でゲル濾過カラムクロマトグラフィーの「移動相」に相当する単語を一 つ選び,答えなさい。 <裏に続く> 14Seika1-3 問題2.(続) ii.タンパク質A,タンパク質Bの色はそれぞれ何色か,答えなさい。 問題3. CH2OH 右に掲載した構造式は「Dガラクトピラノース」 という糖の構造式です。この構造式を参考にして「糖」OH に関する以下の問いに答えなさい。 i.「糖」の化学的定義を答えなさい。 ii. 右図で用いている構造表示法の名前を答えなさ い。 O H OH H H iii. Dガラクトースの直鎖状構造をフィッシャー投 OH H H OH 影法で図示しなさい。 iv. 図中の矢印は Dガラクトピラノースの還元末端を指しています。この図の Dガラク トピラノースはどちらのアノマー体ですか?答えなさい。また,講義では,この箇所を さしてアルコールとアルデヒドが反応してできるある分子結合の名前を紹介しました。 その結合の名前を答えなさい。 v. D-グルコースは D-ガラクトースの4位炭素の立体配置を反転させた異性体である。α Dグルコピラノースの構造を図示しなさい。 vi. Lガラクトースの直鎖状構造を図示しなさい。 vii. DフルクトースはDグルコースと3,4,5位の炭素の立体配置が同じである六炭 糖の「ケトース」である。Dフルクトースの直鎖状構造を図示しなさい。 viii.「OβDガラクトピラノシル(1→4)βDグルコピラノース」の構造式を 図示しなさい。この糖に還元末端はありますか?もしあれば,その場所を矢印で示しな さい。 ix. 「セルロース」と「アミロペクチン」。グルコースから作られるこの2種類のホモ多糖 (グルカン)の構造上の違いをすべて挙げなさい。 14Seika1-3 解答用紙 所属 学籍番号 氏名 問題1.(40点) i.(5 点) アミノ酸配列 ii.αヘリックス (5 点) ある特定のアミノ酸残基の主鎖にあるカルボニル(C=O)酸素はその残基の4個先に あるアミノ酸残基の主鎖にあるアミド(N−H)水素と水素結合を作る。 βシート(5 点) アミノ酸配列上では遠く離れているアミノ酸の主鎖にあるカルボニル酸素とアミド水 素が水素結合を形成して各々のβストランドをシート上に結び付けている。 iii. (6点) βシートの側鎖は,主鎖が形成するシート(紙)上の構造に対し垂直に配置される。また, 配列に沿って平面から交互に(上→下→上。。。)配置されるのも特徴の一つである。 iv.隔離(4 点) 疎水性のアミノ酸残基数例 接触 (4 点)電荷を持つ残基,水素結合 が形成できる残基より数例 iv.水から隔離されたアミノ酸は(5 点) 側鎖同士を会合し,疎水効果を発揮することによって タンパク質を安定化する v.❶(2 点) ❷(2 点) オリゴマー サブユニット ❸(2 点) プロトマー(モノマー);❷,❸は入替可 問題2.(15点) i. (5 点) 緩衝液 ii.A(5 点) 薄い黄色(大きいタンパク質が先) B(5 点) 薄い青色(小さいタンパク質が後) <裏に続く> 14Seika1-3 問題3.(50点) i. (6 点)炭素原子が3個以上で,直鎖状のポリヒドロキシアルデヒドまたはポリヒド ロキシケトン。 ii.(5 点)ハース(Haworth)式 iii. (5 点) iv.アノマー (5 点)βアノマー 結合名 (4 点)ヘミアセタール結合 v. (5 点) O H H OH H H H OH OH H OH viii. (5 点)CH2OH H O H H C C OH HO C H HO C H H C OH O CH2OH C O HO C H H C OH HO C H H C OH H C OH HO C H H C OH O H OH CH2OH OH OH H H H H CH2OH O H OH O vii. (5 点) CH2OH OH C CH2OH vi. (5 点) CH2OH H H H OH ix. (5 点) セルロースはグルコースがβ(1→4)グリコシド結合で連結した直鎖状高分子で,アミロ ペクチンはグルコースがα(1→4)グリコシド結合で連結し,なおかつ 24∼30 残基おきに α(1→6)グリコシド結合で「枝分かれ」を形成している分岐鎖の高分子である。 14Seika1-3 14Seika1-3
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