81:光電効果 原則 ①振動数υの光子がもつエネルギーEは、E = hυ (h

81:光電効果
○原則
①振動数υの光子がもつエネルギーEは、E = hυ (h:プランク定数) となる。
②電流Iがt秒間に運ぶ電気量をQとすると、Q = It となる。
③光電効果において、仕事関数(電子が金属の外に飛び出すのに必要な最低のエネルギー)をWとおく。
1
電子の質量をm、金属を飛び出す電子の速さをvとしたとき、hυ = W + 2 𝑚𝑣𝑚𝑎𝑥 2 となる。
1
さらに、回路に電流が流れなくなる電圧−𝑉0 と電気素量e を使って、2 𝑚𝑣𝑚𝑎𝑥 2 = 𝑉0 𝑒 が成り立つ。
○解答の方針
Ⅰ
・問1は、原則①を使うだけです。
・問2は、電流と電気量の関係を使います。今回は「毎秒何個か」なので、原則②を使うとt = 1であり、さらに
電子の数をnとすれば、Q = (電気素量) × n となります。
・光電管 C から、最大の速度で飛び出した電子がギリギリ P にたどり着かないときの電圧が−𝑉0です。
これより、問3はエネルギーと仕事の関係から求めます。
・問4のように仕事関数の値を求めるときは、多くの場合原則③を用いて解くことになります。
この解き方の流れは覚えましょう。
Ⅱ
1
・問6について、原則③の式を変形し、 𝑚𝑣𝑚𝑎𝑥 2 = hυ − W > 0 が成り立てば、電位差を調節することによって
2
電流を流せます。この関係式から考えましょう。
・問7は、①~⑤までそれぞれ考え方がやや難しいでしょう。
「光の波動説」とは、光は波である、という説のこ
とです。
82:光電効果と CR 回路
○原則
①回路を流れる電流の量は、照射光の強さに比例する。
○解答の方針
・問1は、
「電位が 0V のときの、電子の最大の速さ」を求めることになっていますが、そのままでは求めるのが
困難です。光電管に当てる光は一定の強度 I なので、AB 間の電位差がどんな時でも電子の最大の速さは変化しな
いと考えて、電位差が 1.8V のときを考えます。
このとき電流は流れなくなるので、最大の速さをもつ電子も、ギリギリ P に到達できないような電圧といえるの
で、エネルギーと仕事の関係から求められます。
・問2は、81:光電効果の原則③を使い、2式を立てます。
・問4について、解説のように双曲線を利用したやり方ではなく、次のようにも解けます。
図2の実線の式は、i = −v + 1.8 だから、P = vi = v(−v + 1.8) = −(𝑣 − 0.9)2 + 0.81 なので、Pが最大となると
きv = 0.9 です。これより、Rが求められます。
・問5は、原則①に基づいて図2を書き直します。このとき、照射光の強度を変えても全体の電荷の量が減るだ
けなので、阻止電圧の値には影響を及ぼさないことに気を付けましょう。その後は問3と同様に解けます。
83:電子線回折とド・ブロイ波
○原則
ℎ
①電子の波長をλ、質量を m、速さを v とすれば、λ = 𝑚𝑣 (h:プランク定数) が成り立つ。
←これは光子に対しては成り立たないので注意しましょう。
②振動数υ、波長λ、光速 c としたとき、光子のもつエネルギーE は、E = hυ =
ℎ𝑐
𝜆
が成り立つ。
○解答の方針
Ⅰ
・問1は、ある1つの原子と、その真下にある原子に当たった電子線が干渉し合うことを考えればよいです。
・問2は、原則①の式を使うだけです。
・問3は、問1、2で求めた式を変形していきます。やや難しいのは、θをαで表す過程です。図1、2を見て
どのような関係があるかを考えましょう。
・問5は、光子である X 線についての問題です。問4までは電子を扱っていたので原則①を使って電子の波長を
求めていましたが、問5では光子を扱っているので原則②を使って X 線の波長を求めます。
原則①と②は混ぜて使ってしまいがちですが、使える場面をしっかり区別しましょう。
Ⅱ
・問6は、82:光電効果と CR 回路の原則①を参考にして考えます。
「電子の量が2倍」とは、
「流れる電流の量
が2倍になった」とも言えるので、光の強度は2倍になります。
また、最短波長の位置に関しては、前問で求めたλ =
ℎ
√2𝑚𝑒𝑉
を利用して考えます。
・問7は、81:光電効果の原則③を用いて2式を立て、連立します。
84:原子の構造とボーアの理論
○解答の方針
・問1は、誘導にしたがって式変形していくだけなので簡単です。
(2)は、電子について考えているので、83:電子線回折とド・ブロイ波の原則①を使って波長を求めます。
(3)は、電気量の大きさ e の電子が、電気量 Ze の原子核からうける電気力について考えます。
(5)の位置エネルギーは、無限遠を基準にしています。
・問2は、問1(10)の結果をもとにして、m や n を変化させたときにどうなるかを考えます。
1
1
𝜆
𝑚2
・問3は、λ = 1に注目します。 図の中で、 が最大となるとき、λ = 1 であり、(
−
1
𝑛2
) が最大になればよ
い。したがってこのとき、m = 1 , n → ∞ になります。
ここから、Z の値が分かれば、どんなイオンであるかが特定できます。
・問4は、λ > 0 よりn > m から、n の値が分かります。
・問5について、電子が原子核から完全に引き離されたときのエネルギーは、n → ∞ としたときの𝐸𝑛 の値です。
85:軌道電子捕獲
○原則
①
𝐴
𝑍𝑋
と表される原子があるとき、質量数(陽子と中性子の個数の和)は A、原子番号(陽子、または原子の電子の
個数)は Z となる。
②ボーアの理論に基づいて原子や電子の運動を考えるときは、「電子の軌道1周の長さが、電子の波長の整数倍
に等しい」ことと、
「円軌道の運動方程式」の2式を立てる。
○解答の方針
・問1、2は、原則①の関係がわかっていれば簡単です。
・問3は、原則②を使って、r(円軌道の半径)を表します。 84:原子の構造とボーアの理論では問題文にしたが
って解き進めていくだけでしたが、今回は自分で式を立てる必要があります。
・問4について、電子の持つエネルギーは、運動エネルギーと静電気力による位置エネルギーの和になります。
・問6について、𝐸0 はn = 1のときの Mn のエネルギーですが、n = 2 のときのエネルギーも𝐸0 を用いて表せま
す。
86:X 線の発生
○解答の方針
・問1は、X 線は光子より 83:電子線回折とド・ブロイ波の原則②を使って式を立てられます。
・問2(1)は、電子について考えているので 83:電子線回折とド・ブロイ波の原則①を使って式変形します。
また、量子条件の物理的意味については、
「電子波が円軌道上に定常波をつくる」ことが重要な解答ポイントで
す。
(2)も電子の運動について考えているので、やはり 85:軌道電子捕獲の原則②を使います。
(3)の後半について、n = 2 からn = 1の軌道へ電子が移るときに発生するエネルギーは、電磁波がもつエネルギ
ーになります。
(4)について、今までは電気量 e の電子1つに対して電気量 Ze の原子核が対応しているものと仮定していまし
たが、(4)では電子は複数存在しているので、電子1つに対応する原子核の電気量は小さくなるといえます。
つまり、Z が(3)以前よりも小さい値になったといえるでしょう。
ここから波長の大きさについて、(3)の答えをもとにして考えます。
87:放射性崩壊
○原則
①放射線において、α線(ヘリウム原子核)は正の電荷を帯びていて、β線(電子)は負の電荷を帯びている。
γ線(電磁波)は中性である。
○解答の方針
・問1は、磁場の影響の受け方から、原則①を参考にして考えます。a と c は、粒子の質量の大小から区別しま
す。
またフレミング左手の法則を使って、α粒子に注目すると電流の向き(中指)が上、力をうける向き(親指)が左を
さすので、磁場の向き(人差し指)が分かります。
・問2(1)は、α粒子の電気量が 2e であることに注意しましょう。
(2)は、運動量保存則とエネルギー保存則の2式を立てましょう。
1
解説で突然出てきた、p = √2𝑚𝐾 の式は、p = mv 、K = 𝑚𝑣 2 から求められるので覚える必要はありません。
2
・問3は、𝐾𝑐 の最大・最小を考えるので、𝑝𝑐 の最大・最小を求めればよいことになります。
計算式のみで考えていくのは大変なので、運動量を使って図を描くことで図的考察をしたほうがよいでしょう。
・問4(3)は、半減期を何回繰り返すと、原子核数が
1
512
になるか考えます。
88:エネルギー・質量等価の原理
○原則
①質量mの粒子がもつエネルギーEは、E = m𝑐 2 である。(c : 真空中の光速)
←原則①は、粒子の崩壊のときによく使われる関係式です。
②反応式において、(生成物の結合エネルギー)-(反応物の結合エネルギー)=(反応で発生するエネルギー)とな
る。
○解答の方針
Ⅰ
・問1は、原則①を使ってエネルギー保存の式から答えを求めます。
Ⅱ
・問2は、中性子が電子と陽子に分かれ、そのうち電子が外部に飛び出したことから考えます。
・問3は、もともと原子核に存在していた陽子と外部の電子がくっついて、中性子ができたということです。
Ⅲ
・問4は、𝑄1 を求めたいので、まず反応前後でのエネルギー保存則の式を立てます。しかし、この式には∆E(4,2)
が含まれておらず、このままでは題意を満たさないので、Ⅲの問題文中に与えられた式も使います。
・問5は、原則②から簡単に求められます。
・問6は、問4と同様に求められます。
89:対消滅とγ線のエネルギー
○原則
①光子の振動数、波長、光速をそれぞれυ、c、λとすると、光子の運動量p は、p =
ℎ𝜐
𝑐
ℎ
= が成り立つ。
𝜆
○解答の方針
Ⅰ
・問1は、問題文中に「運動量の保存則が成立する」と書かれていることから考えます。
Ⅱ…光子のエネルギーと運動量の大きさの表し方(問題文中に明記されています。) を使って式を立てていくだ
けの、簡単な問題です。
仮にこの表し方が問題文に書かれていなくても、原則①や、83:電子線回折とド・ブロイ波の原則②を用いて自
ら解けるようにしておきましょう。
90:原子と光子の衝突
○原則
①運動量と力積には、(1秒間に受ける力)=(1秒間の運動量変化) という関係がある。
○解答の方針
Ⅰ
(5)について、𝐸1 や𝐸2 は「ある状態のエネルギーの値」なので、決まった値(=定数)であることがわかります。
このことを考慮して、(4)で求めた式の𝑉1 の値を0にしたりすると、光の振動数や波長の値がどうなるかを調べ
ます。
Ⅱ
・(7)について、
「多数の光子の放出過程においては、平均として水素原子は力を受けない」とあることから、吸
収過程における力のみ考えればよいことになります。
吸収過程では、水素原子は1個の光子を受け取ることで運動量が変化します。ここから原則①(この原則は力学
の分野でも扱いました。忘れている場合は復習しましょう。) を使って受ける力を求めます。
(11)について、初速度が小さいほど、速くz = 0に戻ってきます。
板がなければ、時間が経った後に初速度の大きい原子が戻ってくるはずですが、実際はこのような原子は板に吸
収されてしまいます。
(12)は、t = 𝑡𝑐 がギリギリ板に吸収されずに原子が戻ってくるときの時間です。