楕円断面超伝導線材の斜め磁界損失特性 AC loss property of elliptic superconducting wires exposed to transverse magnetic field with arbitrary angle 九大超伝導センターA,九大シ情B ○柁川一弘A,B,林敏広B,船木和夫A,B ○ Kazuhiro KajikawaA,B, Toshihiro HayashiB, Kazuo FunakiA,B A RISS, Kyushu Univ., BGraduate School of ISEE, Kyushu Univ. E-mail: [email protected] 1. はじめに 楕円柱型超伝導体における交流損失の断面アスペクト 比及び磁界印加角度依存性を明らかにする目的で、外部 磁界振幅が非常に小さな場合と大きな場合の2つの極限 条件下における理論式を導出した。また、これらの解析 式を補間する近似式も提案し、数値計算結果と比較する。 参考文献 1) W.J. Carr, Jr.: “AC Loss and Macroscopic Theory of Superconductors (2nd Ed.),” Taylor & Francis, London (2001) 2) K. Kajikawa et al.: Supercond. Sci. Technol. 17 (2004) 555 2. 交流損失の理論表式の導出と近似式の提案 ここでは、臨界電流密度 jc が局所磁界の大きさに依存 しないBeanモデルを仮定する。長軸 2a・短軸 2b ( b < a ) の楕円断面を有する無限長の超伝導線材を考え、長軸に 対して角度 θ を持つ振幅 Hm の外部交流横磁界を印加す る。磁界振幅が非常に小さな場合、単位体積・一周期当 たりの交流損失 W1 は、解析的に ( ) w1 ≡ W1 / µ 0 H 02 = C1 (α ,θ )h m3 (1) と求まる。ここで、H0 = jc(ab)1/2, hm = Hm / H0 であり、ア スペクト比の逆数 α = b/a を用いて、C1 は € 8(1 + α ) 2 cos 2θ C1 (α ,θ ) = 3π (1− α ) α (3 sin θ − α + 2 2 1− α (sin θ − 3α 2 + 2 ) cos 2θ cosθ 2 ) cos 2θ sin θ α 1− α 2 Fig. 1. Loss parameter C1 of elliptic wires in external magnetic fields with very small amplitude as a function of their angle θ. arctanh 1− α 2 cosθ 1− α 2 sin θ (2) arctan α で与えられる。Fig. 1 に、損失パラメータ C1 の磁界印加 角度依存性を示す。磁界印加角度の増加とともに、交流 損失も増大している。また、垂直磁界中では、アスペク ト比の増加とともに交流損失が大きくなることもわかる。 逆に、磁界振幅が非常に大きな場合の交流損失 W2 は € ( € € ) w 2 ≡ W2 / µ 0 H 02 = C 2 (α ,θ )h m (3) QC 2 (α ,θ ) = (16 / 3π ) α cos 2 θ + sin 2 θ /α (4) Fig. 2. Loss parameter C2 of elliptic wires in external magnetic fields with very large amplitude as a function of their angle θ. となる。損失パラメータ C2 の磁界印加角度依存性を、Fig. 2 に示す。平行磁界印加の場合、アスペクト比の増加と ともに交流損失は小さくなっている。一方、垂直磁界中 では、その傾向が反対となる。 前述の2つの極限条件下における解析式を用いて、次 式のような交流損失 W の近似式を提案する1)。 ( ) { } w ≡ W / µ 0 H 02 = w1 w 2 / (w1 + w 2 ) = C1 h m3 / (C1 /C 2 )h m2 + 1 (5) € この提案した近似式を検証するために、磁気エネルギー 最小化条件 2) を用いた数値計算を実施した。数値計算結 果と近似式の比較の一例を、Fig. 3 に示す。磁界振幅が 比較的小さい場合と大きい場合、両者はほぼ一致する。 一方、中心到達磁界付近では両者間にずれが見られ、小 さいが有限の角度の場合に最大4割程度となる。 Fig. 3. Comparison between numerical results (solid lines) and proposed approximated expression (dashed lines) of AC losses.
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