(2004.05.25) 第70回低温工学・超電導学会 予稿

楕円断面超伝導線材の斜め磁界損失特性
AC loss property of elliptic superconducting wires exposed to transverse magnetic field with
arbitrary angle
九大超伝導センターA,九大シ情B ○柁川一弘A,B,林敏広B,船木和夫A,B
○
Kazuhiro KajikawaA,B, Toshihiro HayashiB, Kazuo FunakiA,B
A
RISS, Kyushu Univ., BGraduate School of ISEE, Kyushu Univ.
E-mail: [email protected]
1. はじめに
楕円柱型超伝導体における交流損失の断面アスペクト
比及び磁界印加角度依存性を明らかにする目的で、外部
磁界振幅が非常に小さな場合と大きな場合の2つの極限
条件下における理論式を導出した。また、これらの解析
式を補間する近似式も提案し、数値計算結果と比較する。
参考文献
1) W.J. Carr, Jr.: “AC Loss and Macroscopic Theory of Superconductors (2nd Ed.),” Taylor & Francis, London (2001)
2) K. Kajikawa et al.: Supercond. Sci. Technol. 17 (2004) 555
2. 交流損失の理論表式の導出と近似式の提案
ここでは、臨界電流密度 jc が局所磁界の大きさに依存
しないBeanモデルを仮定する。長軸 2a・短軸 2b ( b < a )
の楕円断面を有する無限長の超伝導線材を考え、長軸に
対して角度 θ を持つ振幅 Hm の外部交流横磁界を印加す
る。磁界振幅が非常に小さな場合、単位体積・一周期当
たりの交流損失 W1 は、解析的に
(
)
w1 ≡ W1 / µ 0 H 02 = C1 (α ,θ )h m3
(1)
と求まる。ここで、H0 = jc(ab)1/2, hm = Hm / H0 であり、ア
スペクト比の逆数 α = b/a を用いて、C1 は
€
8(1 + α )
2

 cos 2θ
C1 (α ,θ ) =
3π (1− α ) α 
(3 sin θ − α
+
2
2
1− α
(sin θ − 3α
2
+
2
)
cos 2θ cosθ
2
)
cos 2θ sin θ
α 1− α 2
Fig. 1. Loss parameter C1 of elliptic wires in external magnetic
fields with very small amplitude as a function of their angle θ.


arctanh 1− α 2 cosθ 




1− α 2 sin θ 
 (2)
arctan


α


で与えられる。Fig. 1 に、損失パラメータ C1 の磁界印加
角度依存性を示す。磁界印加角度の増加とともに、交流
損失も増大している。また、垂直磁界中では、アスペク
ト比の増加とともに交流損失が大きくなることもわかる。
逆に、磁界振幅が非常に大きな場合の交流損失 W2 は
€
(
€
€
)
w 2 ≡ W2 / µ 0 H 02 = C 2 (α ,θ )h m
(3)
QC 2 (α ,θ ) = (16 / 3π ) α cos 2 θ + sin 2 θ /α
(4)
Fig. 2. Loss parameter C2 of elliptic wires in external magnetic
fields with very large amplitude as a function of their angle θ.
となる。損失パラメータ C2 の磁界印加角度依存性を、Fig.
2 に示す。平行磁界印加の場合、アスペクト比の増加と
ともに交流損失は小さくなっている。一方、垂直磁界中
では、その傾向が反対となる。
前述の2つの極限条件下における解析式を用いて、次
式のような交流損失 W の近似式を提案する1)。
(
)
{
}
w ≡ W / µ 0 H 02 = w1 w 2 / (w1 + w 2 ) = C1 h m3 / (C1 /C 2 )h m2 + 1 (5)
€
この提案した近似式を検証するために、磁気エネルギー
最小化条件 2) を用いた数値計算を実施した。数値計算結
果と近似式の比較の一例を、Fig. 3 に示す。磁界振幅が
比較的小さい場合と大きい場合、両者はほぼ一致する。
一方、中心到達磁界付近では両者間にずれが見られ、小
さいが有限の角度の場合に最大4割程度となる。
Fig. 3. Comparison between numerical results (solid lines) and
proposed approximated expression (dashed lines) of AC losses.