〜 戦 挑 の へ 〜可能性 特 集 地域おこし協力隊 町では、環境と調和した農業と観光・商業が連携したバランスのある まちづくりを目指しています。このため、地域外からの人材や新たな発 想・能力を積極的に誘致し、地域力の維持・強化につなげ、かつ定住・ 定着を図っていきたいと、「地域おこし協力隊」の募集を行いました。 今月の広報二セコでは、今年度採用となった5人の紹介を兼ね、隊員 の声をお伝えします。 また、二セコ町では平成23年度に3人、24年度に1人、25年度に3 人の合計7人の隊員を採用しましたが、現在、町に定住して活動してい る元隊員は3人です。元隊員の「今」も併せて紹介します。 ― ニセコ町の活性化にひと役 ― こ の ま ち で 生 き る ! 二 セ コ 町 を 選 ん だ 7月号 1 25年間、東京でIT(情報技術)系の仕 特 集 事に従事。他業界の仕事がしたい。特に農 業や酪農業に関心があった。年齢的に最後 のチャンスだと思い、一大決心しました。 趣味は登山で、何度も北海道に来ています。 特に羊蹄山や二セコ連峰の眺めは最高です。 現在、農政課で酪農関係の仕事のお手伝 いなどを主にしています。牛の入牧や共進 会開催の作業など初めての体験ですが、み んな親切にしてくれます。この後、農作業 のお手伝いをする予定です。将来、農業か 酪農業の仕事をするのに、貴重な体験であ り勉強になります。 二セコ町に住んで、気温の寒暖差を感じて いたら、これが土地を豊かにして、おいし そ れ も 羊 蹄 山 の ふ も と の 町 で ⋮ 第 1 次 産 業 に 従 事 す る の が 長 年 の 夢 最 後 の チ ャ ン ス ! 地域おこし協力隊 (神奈川県相模原市出身) こんどう のぶかつ 近藤 信勝 (49歳) 二セコ町役場農政課に配属 い作物になるんだと知りました。 休日は、オートバイで温泉巡りをしています。二セコには源泉の違 う温泉がたくさんあるので楽しみです。それと、自宅には畑もあるの で、家庭菜園をしようと思っています。 地域おこし協力隊の最年長隊員ですが、夢は、農業に従事し、6次 産業化することです。IT一筋の専門家でやってきた知識と経験を生 かして、生産・製造・販売まで手がけたいです。一人でなく、同じ夢 を持っている仲間と起業するのもいいかもしれないと、熱い思いを話 してくれました。 「19歳からスノーボードをしています。毎年シーズン になると、東京周辺の山で滑っていましたが、昨年は仕事 地域おこし協力隊 を辞め、二セコに3ヵ月間滞在して、スノーボードに明け (茨城県取手市出身) そめしま か よ 暮れていました。すっかり二セコが気に入ってしまいまし こ 染島佳代子 (30歳) 二セコ町役場農政課に配属 た」と、笑顔で話す染島さん。 二セコ町に来る前は、東京で看護師として働いていまし たが、好きなことができるところに住みたいという思いで、 インターネットを検索していると、二セコ町で地域おこし協力隊の募集を知り応募しました。 スノーボードができ、自然の中で気持ちよく生活できる二セコ町に住めることが嬉しいです。 現在、農家のお手伝いをしていますが、初めての経験の中に新しい発見があり、種まき作業に汗 を流しています。トラクターの運転も楽しみにしています。 「まちの人と話をして、みんな二セコ町が好きなのが分かります。二セコ町には日本のまちの良 さがあります。その良さを引き出したまちづくりに関わりたい」と話す染島さんからは、隊員とし こ の ま ち に 住 め る こ と が 幸 せ ! 大 好 き な ス ノ ー ボ ー ド が で き る 二 セ コ の 雪 に 恋 を し て し ま っ た ての意欲を感じました。 そして、二セコ町で農業関係の仕事に就くか、看護師として働くか、気持ちが揺れ動いていると のことでした。 ― ニセコ町の活性化にひと役 ― 2 広報ニセコ 二セコ町へ来る前は、福岡県で大手自動車会社の社 長秘書をしていました。 国際リゾートを目指している二セコで、今までの経 験と人脈を活かして観光客の誘致に貢献したいのと、 超便利な世の中を一歩離れた環境で子育てをしたい思 いからニセコ町での地域おこし協力隊へ応募しました。 人生初の二セコ町ですが、羊蹄山やアンヌプリが見 える景色と美味しい空気や水と新鮮な野菜がすっかり 気に入りました。それに、子どもも二セコ町の魅力に すっかり取りつかれ、毎日楽しく過ごしています。 地域おこし協力隊 (東京都杉並区出身) リプソンまゆみ(42歳) 二セコ駅前温泉綺羅乃湯に配属 地域おこし協力隊として、人と人をつないで二セコ 町へ多くの人たちが訪れてくれるよう、情報を発信し ていきたいです。二セコ町は、日本が誇る国際リゾー ト地になる可能性が十分にありますね。 モ ッ ト ー に 二 セ コ 町 を P R し た い ﹁ 人 と 人 を つ な い で 人 を 呼 ぶ ﹂ を 自 然 の 豊 か な 二 セ コ が 気 に 入 っ た 特 集 現在、二セコフロマージュでチーズ作りや接客を、 二セコ食品加工研究サークルでは、「じゅうごばぁ」と 呼ばれる大先輩からニセコの食について学んでいます。 将来は、ショコラティエやパティシエの経験も活かして、観光客や町民 に愛されるお店を開くのが夢ですと,笑顔で話してくれたのが印象に残りま した。 東京で6年間、カナダで4年間、ヘアスタイリス トとして働いていました。 2年前にスノーボードを滑りに、初めて二セコに 来たとき、雪質はもちろんですが、日本人も外国人 も関係なく楽しんでいる光景を見て、ここが日本な のかと衝撃を覚えました。そして、ここのまちが面 白い。ここのまちで何かをやってみたいという思い が、心の中に残っていました。 二セコ町の地域おこし協力隊の募集記事をみて、 何 か が で き る 予 感 が す る 運命的なものを感じています。 現在、二セコ町商工会で新しいサービスの発案や 商品開発を担当していますが、自分の中でのキーワ 今 、 自 分 が こ こ に 居 る 二 セ コ と の 出 会 い が 人 生 を 変 え た ードとして、『お洒落』『オーガニック』そして外国 人も注目するものを開発できればいいなと思ってい ます。 冬の二セコ以外の季節は初めてですが、温泉巡りや二セコのお店を回っ て、いいところ探しをしています。そこから何かヒントを得られるかもし れません。 自分が開発した製品が二セコブランド品になって、お店に並び、お客さ んが喜び、二セコのまちも活性化につながれば最高です。 隊員の任期が終えたら、ヘアメイクの技術もあるので、二セコ町で若い 人や外国の人たちがお洒落のできるお店を持ちたいと思っています。 地域おこし協力隊 (青森県青森市出身) さわだ けんと 澤田 健人(30歳) 二セコ町商工会に配属 ― ニセコ町の活性化にひと役 ― 7月号 3 17歳まで二セコ町に住んでいま 全国 特 集 した。その後、海外や東京で生活し 地域おこし協力隊の活動状況 ましたが、いつか二セコ町のために 貢献できるプロジェクトをしたいと 思っていました。二セコ町が「環境 モデル都市」に選定されたことを知 り、環境モデル都市としてのニセコ 地域おこし協力隊とは… 町の魅力を国内外に広めていくお手 地方自治体が、都市住民を受け入れ委嘱。地域お 伝いができればと考えていたとこ こしの支援や農林業の応援、住民の生活支援など、 ろ、偶然、地域おこし協力隊の募集 「地域協力活動」に従事してもらい、あわせてその定 を知り、プロジェクトを始めるきっ 住・定着を図りながら、地域の活性化につなげる。 かけになればと今回応募しました。 プ ロ ジ ェ ク ト を 立 ち 上 げ た い エ コ タ ウ ン と な る た め の ニ セ コ が 世 界 で 一 番 住 み よ い 今まで、外資系出版社やファッシ ●期間 概ね1年以上最長3年 ●総務省の支援 特別交付税により財政支援 ョンブランドのPRなどの仕事に携 わりましたが、平成19年より、環 境や社会に配慮した暮らしを提案す 地域おこし協力隊導入の効果 るNPOを設立し、山梨県八ヶ岳で ∼地域おこし協力隊・地域・地方公共団体も 「三方よし」の取組∼ 循環型の農ある暮らしを学ぶワークショップを4年に わたり企画運営したり、障がい者の自立支援のための デザインプロジェクトや、東日本大震災の被災地支援 地域おこし協力隊 ○自身の才能・能力を 活かした活動 ○理想とする暮らしや 生きがい発見 など、さまざまな社会貢献活動を行ってきました。 二セコ町は国際的な観光のまちとしてメディアに紹 介されていますが、観光客だけでなく、住む人にとっ 地 域 ○斬新な視点 (ヨソモノ・ワカモノ) ○協力隊員の熱意と 行動力が地域に 大きな刺激を与える 地方自治体 ○行政ではできなかった 柔軟な地域おこし策 ○住民が増えることによる 地域の活性化 ても魅力的なまちになるよう、まちの方々と交流しな がら、私ならではの方法でニセコ町に貢献していきた いと語ってくれました。 隊員数、取組団体数の推移 隊 員 数 団体数 21年度 89名 31団体 22年度 257名 90団体 23年度 413名 147団体 24年度 617名 207団体 25年度 978名 318団体 26年度 1,511名(1,629名) 444団体 ※26年度の隊員数のカッコ内は, 『田舎で働き隊』の隊 員数(118名)とあわせた隊員数 地域おこし協力隊 (二セコ町出身) 隊員の約4割が 女性 はやし たみこ 林 民子(46歳) 在宅(テレワーク)勤務 隊員の約8割が 任務終了後約6割 20歳代と30歳代 が同じ地域に定住 H25.6末調査時点 資料/総務省 4 広報ニセコ ※テレワークとは、情報通信機器を利用して、会社以外の場所で事業 所から任された仕事を行う勤務形態 ― ニセコ町の活性化にひと役 ― 地域おこし協力隊 今 特 集 元隊員の活動 齋藤さんは、23年度に二セコ町が初めて受入れた地域おこし協 力隊の3人のうちの1人です。 隊員として、農政課に所属し、米粉を活用した特産物の開発に 地域の素材にこだわる その信念が認められた 関わりました。 特に、安全・安心な素材にこだわり、地元でYes Clean農法で 生産された二セコ米を原料とした米粉のお菓子を商品化しました。 齋藤さんが開発した商品は、道の駅「ニセコビュープラザ」や スキー場などで、二セコブランド品として販売されています。 隊員2年目で起業し、商品開発だけでなく、6次産業化や地域経 済の活性化につながる取組が認められ、経済産業省の「がんばる 中小企業・小規模事業者300社」に選ばれました。 現在は、米粉麺の開発を行うなど、常に積極的な事業を展開し ています。 今では、齋藤さんの活動は、地域おこし協力隊のモデルケース としてマスコミなどから注目されています。 元地域おこし協力隊 最後に齋藤さんに「二セコ町は住みやすいですか?」とたずね さいとう ゆきや ると、「異文化(外来種)を地域が受入れるかどうか。二セコに1 齋藤 行哉 人で居ても楽しいか。この自然を愛せるかで決まる」と、実感に 二セコフードコミッション企業組合理事長 (60歳) あふれた言葉が返ってきました。 地域おこし協力隊として24年6月から2年間、二セコ町商工会 地ビール造りへの挑戦! に勤務していた中島さん。現在、二セコビール㈱で地ビールを醸 このまちには可能性がある 造しています。 地ビールを醸造することになったいきさつを聞くと、「いろい ろなことがあり、話すと長くなるから、商工会に勤務した後、二 セコビールで地ビールを造っていますとの紹介だけでいいです よ」とクールな答えが返ってきました。 話の中で、資格がなくてもビールを醸成できることや、法規制 や販売に対する勉強が必要なことを教えてくれましたが、その大 変さを表に出すことはありませんでした。人知れず苦労や努力が あったのではないかと感じましたが、語ることなく、これからも 勉強し、地ビール造りに進むのみというパワーが伝わってきまし た。 醸造用水は、ビールの品質に大きな影響を与えると言われてい ます。二セコ山系の湧水はビールに適しており、その水を使った 元地域おこし協力隊 なかじま ビールや地元で採ることの出来る鮭節などで風味付けしたビール まさはる 中島 正晴 (39歳) 二セコビール株式会社に勤務 は、二セコブランド品として地域の活性化につながっています。 中島さんは、醸造責任者だけでなく、「レストラン二階にぜひ 来てください」と営業の顔も持ち合わせていました。 ― ニセコ町の活性化にひと役 ― 7月号 5 旅好きで全国を回った。スキ 特 集 このまちが好きで、 まちづくりに関わって いく覚悟を決めた ーが好きだったこともあり、北 海道には毎年1回から2回は来 ました。特に二セコは山も景色 も水もいい。3拍子揃ったまち に魅力を感じていました。 栃木県で、繊維関係の商売を していましたが、この業界は右 元地域おこし協力隊 肩下がりの状況なことから、新 新井 正治 あらい たな生活を模索していたとき まさはる (45歳) 二セコ町議会議員 に、二セコ町で地域おこし協力 隊の募集を知りました。北海道の移住には不安がありませんでした。 2年間、農政課に所属し、農家のお手伝いや収穫体験の実施などを通して、また観光客や消費者の人が、新鮮なも のを食べて喜ぶ姿を見て、食に関わる仕事がしたいと思っていました。 そんなとき、娘が二セコに遊びに来て、「二セコは環境は良いけれど、遊ぶところがないので、住むのはイヤだ」 と言われ、暮らしやすいまちにしたい思いが強くなりました。 若者がずっと住んでいられるようなまちにしたい。若者をこの町から逃がさないまちづくりがしたくて、町議会議 員になりました。 今、議員として勉強中ですが、私を育ててくれた二セコ町に恩返ししたい思いでいっぱいです。二セコ町が私の居 場所となりました。 この制度は、総務省が平成21年から肝いりで始めた事業で、6年が経過し ています。全国では成功している事例もありますが、課題も数多くあります。 [隊員側の課題] ・何がやりたくて隊員になったのか明確でない 地域おこし 協力隊 ・生活するための所得を得るという意識が希薄である ・コミュニケーションを取れない。取ろうとしない など [受け入れ側(行政)の課題] ・地域が求めていることを明確にしていない。 (隊員に伝わっていない) 全国的な課題 ・活動に対しての支援(研修や交流の場の用意も含む)やアドバイスをして いない ・隊員との連携や調整が取れていない ・隊員からの相談体制が出来ていない ・地域とのコミュニケーションを取れるように橋渡しをしていない などがあります 二セコ町では、これらの全国的な課題を認識しながら、地域おこし協力隊 のサポートをしていきます。 ■問合せ/農政課農政係 ☎0136−44−2121 担当=中川・佐藤 悩んで悩んで地域おこし協力隊になった。これからの生活のことを考えると不安で目が覚めることがある。 でも、このまちが私を必要としてくれる。優しさが身に染みることもある。このまちのために私のできるこ とを精一杯しよう。ここには私の居場所がある。このまちで生きることの覚悟を決めた。 二セコ町を選んでくれた人たちに私たちは声をかけよう。そして温かく見守ろう。彼らの夢が実現できる よう後押しすることが、二セコ町の活性化につながっていく。 このまちには、 「相互扶助」の精神がある。それが二セコ町の誇りである。 ― ニセコ町の活性化にひと役 ― 6 広報ニセコ
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