一般会計等・市決算特別委員会から

2015年12月14日
決算特別委員会とは?
一般会計等・市決算特別委員会から、
上記会議は12月1日~7日まで開催された。大阪市公営・準公営企業会計・決算特
別委員会同様、この度も橋下市長を答弁に招いたのは大阪維新の会のみであった。決算
委員会であるにもかかわらず会派を問わず、子供の教育や高齢者・障害者の福祉等につ
いての質疑が多いのは、市長の指摘の通り、大阪市会議員が地元の支持者の要望という
局所的視点だけからしか問題を捉えられず、市財政を俯瞰する広い視野での問題点の把
握ができていないからではないかと危惧される。
平成26年度大阪市決算審査意見書を要約すると、
(1)一般会計意見
ア
未収金について
平成26年度末の未収金残高は544億円(全会計では552億円)
。
徴収職員の業務の効率的配分、徴収コスト、管理コストを勘案し効率的な回収
業務を行う必要がある。
イ 扶助費について
被保護者世帯は約12万世帯、費用は約3千億円。
扶助費は生活扶助費、住宅扶助費、医療扶助費、介護扶助費等で構成されている。
扶助費全体の約45%が医療扶助費で約1,300億円にもなり適正化対策が必
要。
ウ 財産の管理及び有効活用について
未利用地は市民の貴重な財産であり、事業化等については充分な検討の上早期に
解消を諮る必要がある。
平成27年6末現時点の未利用地の状況は、処分検討地が342件、継続保有地
が222件、事業予定地が282件で合計846件。
エ 区画整理事業について
淡路駅周辺地区、三国東地区の区画整理事業については、事業の早期終息に務め
る、此花西部臨海地区土地区画整理事業に於いては227億円の多額の累積収支
不足が見込まれるため、事業収支の改善をするべき。
オ 区画整備事業等の適正な管理について
平成26年4月現在、大阪市所有の公共施設等(一般施設、市営住宅、学校建築
物と道路、橋梁等のインフラ施設)の施設建築物が約3,100施設(全会計)
はインフラの整備が必要。
長期的視点に立った老朽化対策等の推進、適切な維持管理・修繕の実施、トータ
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ルコストの縮減・平準化、計画の不断の見直し・充実などを踏まえた施設分類ご
との個別維持管理計画を策定することが必要。
カ IТ経費について
IТ関連経費における「経常経費」の抑制を諮る取組みを進めている。
平成26年度末時点で整備・運用されている情報システムは147システムあり、
平成26年度決算額は148億円と前年比約18億円の増となっている。
システム経費の圧縮等有効で効率的なIТ投資を実現するべき。
(2)特別会計意見
ア 国民健康保険事業会計について
平成26年度の決算は歳入歳出差引額123億円で赤字。
平成26年度の保険料収納率は86.8%、依然として多額の滞納状況が続いて
いる、更なる未収納対策が必要。
イ
市街地再開発事業会計について
阿倍野地区市街地再開発事業については事業全体で約2千億円の収支不足を
生じる見込みで、平成26年度の収支不足は189億円であり、不足額は全て
一般会計から繰り入れている。
今後も多額の収支不足を税等で補填することから、阿倍野再開発事業について
総括し、事実関係、原因及び当初計画から事業終息に至るまでの意思形成過程
等を明らかにしたうえで市民への説明責任を果たされたい。
ウ
都市先行取得事業会計について
道路・公園等の都市基盤整備や公共施設等の立地に適した土地などの取得に平
成26年度末で281件。
本事業会計設置当初の意義と現状の乖離が大きいと判断した場合は再検討し
土地所管局は総括するべき。
等々の報告・指摘をしている。決算委員会の場に於いてはこれら指摘事項にどう取り組
むのか、改善策等の具体について問うべきだろう。
自民党の有本委員は(2)特別会計のイ、市街地再開発事業会計となる阿倍野地区市
街地再開発事業について、2千億円の収支不足は事業収入で償還できない状態であると
の市の答弁から、「一般会計からの繰入をするのであれば特別会計の閉鎖をするべき」
と意見を述べた、が、ただ事業終息するから特別会計を閉鎖するべきとの発言には怒り
を覚える。当時の政権与党として自民党はこの阿倍野再開発事業に率先して加担したは
ずだ、2千億円もの収支不足に平成26年度は189億円を一般会計から繰り入れると
いうことは、189億円の市民負担となるということだが、今後も継続してこの債務を
市民が償還し続けるのだ。市民に対する謝罪の言葉を口にすることもなく、まるで誰の
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責任でもないと言わんばかりに、会計口を変えるべきなどと、あたかも市民の目から隠
せば責任を問われないで済む、とでも考えているのではないかと思われるような無責任
な発言をする議員に議員としての資質を疑わざるを得ない。
さらに自民党北野委員は橋下市政下で職員採用方法を変更したが優秀な人材を確保する
為には採用方法を元に戻すべきと主張したが、優秀な人材とは何か?
営に加担する職員が優秀な人材なのか?
市民を欺く市政運
決算意見審査意見書などは過去には別掲されて
いなかったが、簡単にホームページで閲覧出来るようになり、概ねの市の施策運営が市民
にも一目で分かるようになった。この審査書には施策運営上の問題点の指摘があり改善点
等を明らかにしていることから概ねの市決算状況が把握できるようになっている。このよ
うに市政の実情を分かりやすくガラス張りで市民に周知することが市民サービスの向上に
繋がるといえるのであり、その意味で橋下市政下の職員の質が悪くなったとは思えない。
橋下市長は、維新の会の質疑に「市議会は地域の実情に捉われ広域的な視点が欠如して
いる、次期市長の元で周辺を考えて広域的な視点で考えて欲しい。大阪が発展しなかった
のは地元に留まったこと、地元に捉われず大きな視点で世界を視野に発信して欲しい。又、
市長一人が大阪市内24区を同じように運営することはデメリットの方が大きい、今後市
議会議員は問題点を議論するべき。
」と答弁したが、確かに、
市長が再三に渡って指摘するように、この決算委員会のおける議員の質疑をみても、維
新の会を除く市議会議員は地元の意見を優先させる質疑が大半だ、これまでも大阪は大都
市であるにもかかわらず大阪全体を見据える視点での議論をしないできた。嘗て市議会の
地下鉄8号線鉄延伸工事の要望に、橋下市長は交通網は広域的視点で周辺との連携を持た
せる必要があると述べて反対した、が大規模な公共工事となる地下鉄8号線延伸工事の要
望などは正に地元の要望の典型例だ。議員が広域的な視野で市政運営を見ることができな
いとしたら、区を再編し基礎自治体の役割と広域的役割を分担する「都構想」を実現しな
いと大阪の経済活性は望めないということになる。
今年もまた阿倍野再開発事業のみならず、土地信託事業オーク200の和解等々大規模
公共事業の失敗による多額の債務が露呈した。これらの債務の全ては市民負担となるのだ。
毎年度開催される決算委員会に於いて、職員・議員がその都度適切な精査検討を行えば大
きな損失を招く事態にはならなかったはずだ。大阪市会議員は地元の支持者の要望に沿う
だけではなく、大阪市が抱える問題を広域的・大局的視点を持つことができなければなら
ない。今後議員は決算特別委員会の本来の役割を認識し、大阪市の抱える問題点をどう改
善するのか、職員と共に議論を尽くして欲しい。
以上
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