2009 年度 京都女子大学 HP 用過去問題解説(日本史) ◎問題解説 日本史は,各日程それぞれ大問5題という構成で,古代から近現代まで,時代・分野に偏るこ となく幅広く出題されています。受験日本史においては,中心になるのは何といっても政治史で あり,また出題率が比較的高いにも関わらず,苦手とする受験生が多いのが文化史です。そこで この2つの分野を中心として,2009 年度前期 B 方式の大問Ⅱ(戦国時代に関する問題)と,2009 年度前期A方式(1/29 実施)の大問Ⅳ(連歌と俳諧に関する問題)を題材として取り上げ,解説 をしていきたいと思います。両問とも教科書レベルの標準的な出題で,教科書に記載されている 史実を正確に理解していれば十分対応できる問題です。 ●2009 年度 一般入試前期A方式(1/29 実施) 大問Ⅳ(連歌と俳諧に関する問題) 室町時代から明治にかけての連歌と俳諧を中心とした文芸に関する出題(江戸時代が大半を占 めている)で,記述式の空欄補充と単答問題で構成されています。特に文化史というのは,受験 生の間で得点差のつきやすい分野です。教科書の範囲内の知識で十分に解ける標準的な問題ばか りですので,最初から苦手意識を持たずに,しっかりと準備をしておきましょう。各時代の文化 の特色や文化事象を覚えるだけでなく,その時代背景や他分野との関連性にも注意することが必 要です。 【設問及び解答方法について】 1 ①「二条良基の連歌の規則書」とあるので「応安新式」とわかります。 ②西山宗因の一派の俳風は談林派です。空欄の直前に「門人の結社名」とありますが,ここから は判断できなくても大丈夫です。また空欄の直後に「派」とあるので「談林」と解答すること に気をつけましょう。 ③松尾芭蕉とその一派の俳風は「正風(蕉風) 」です。空欄の直後に「俳諧」とあるので解答する 際に注意しましょう。 ④「前句付から発達」などと記述されているので,難しく感じた受験生が多かったかもしれませ んが,空欄の直前に「世相風刺や人情の機微を詠んだ」とあることから判断して「川柳」とな ります。 2 (ア) 「後鳥羽上皇ゆかりの摂津国の神社」から判断するのは難しいかもしれませんが,宗陶が「肖 柏・宗長との3人で詠んだ連歌」から「水無瀬三吟百韻」とわかります。 (イ) 『日本永代蔵』や「浮世草子」から「井原西鶴」とわかります。彼はもと談林派の俳諧師で す。 (ウ)松尾芭蕉の「曽良をともなった東北・北陸地方の俳諧紀行文」は,言うまでもなく「奥の 細道」です。 (エ) 「中国の南画風の画風」は「文人画」で,与謝蕪村は池大雅との合作である十便十宜図を残 1 しています。 (オ)「越後出雲崎出身の禅僧」「万葉調の童心あふれる和歌」から判断して「良寛」とわかりま す。 (カ)正岡子規の関わった文芸雑誌はcの「ホトトギス」です。 ◎学習方法のアドバイス 上でも述べたように,京都女子大学では原始から戦後まで幅広い時代から出題されており,ま た分野においても政治史を中心に外交・社会経済・文化と多岐に及んでいるため,特定の時代や 分野にヤマをかけるのではなく,まんべんなく学習しておく必要があります。いわゆる難問や奇 問は見られず,標準的な問題が中心なので,この時期はまず教科書レベルの知識を正確に身につ けることを心がけましょう。教科書を読む際も,ただ丸暗記しようとするのではなく,出来事の 因果関係を正確に理解しながら読んでいくようにすべきです。 ある程度の知識が身についたら,次に標準的な入試問題集を使って学習するのが効果的でしょ う。入試問題に使われるリード文というのは,必要な情報がコンパクトに詰まっていますので, 勉強するには格好の素材になります。まず問題のリ-ド文の記述内容を十分に理解し,わからな い点や関連事項を教科書・用語集を使って確認しましょう。次に問題を解きます。わからないと ころが出てきた場合は,無理やりに勘で答えるのではなく,教科書や用語集を参照するとよいで しょう。解答は必ずノ-トに書き,答え合わせをします。よくわからなかったり,間違えたりし た設問については,自分なりに検討・学習して,理解した内容をノ-トに書きとめておくとよい でしょう。疑問点はすべて解決してから先に進んでください。一通り終わったら,最初に戻り, 今度は教科書や参考書を見ずに自力で解答しましょう。1冊の問題集を二度,三度と繰り返し, 8割以上の正解率が得られるようにがんばってください。 本学は史料問題や系図・図版も出題されるので,史料集や図表集も活用することが大事です。 たとえば今回取り上げたB方式の大問Ⅱの出題テ-マである戦国大名などは,地図を利用して戦 国大名の勢力範囲や分国法を覚えるのがよいでしょう。苦手なテ-マに関してはある程度まとま った時間をとり,自分なりに整理しておくと,以後の学習に役立ちます。たとえば事件・争乱は 年代・事件名・人物関係を一覧表にまとめておくと便利です。 また,もう一つ取り上げた連歌と俳諧に関する問題は,江戸時代の文化史がテーマとなります が,文化史については人名を中心に押さえておくと効果的です。表に人名,裏に活躍した時期・ 業績・著作や作品を整理したカ-ドを作成し,日ごろから持ち歩いて覚えるのも一つの方法です。 そのほか,今回は取り上げませんでしたが,仏教史・教育史などはテ-マごとに整理することも 必要です。美術史などは図表集の写真とともに美術作品を覚えると効果的です。 2
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