科目名 動物育種学 (英語表記)Animal Breeding 配当〔2 年次 後期 2 単位 必修 講義〕 〔コーディネーター 岡林 壽人(動物資源育種学研究室) 〕 授業の概要 動物の育種とはどういうものか?それが動物応用科学とどのように関わっているか?育種の理論と実際の方法について 学ぶ。育種の方法には大きく分けて二つの方法がある。選抜と交配である。これらについて詳細に学ぶ。先端的技術の 導入による育種方法の実際についても学ぶ。現状の問題点と将来のあり方についても学ぶ。 教育目標 (ねらい) 動物を応用する以上、自ずと飼育目的がある。それによりよく適した動物を作ることは、生産者にも消費者にも利益が生ま れる。育種なくして動物応用科学なしとも言える。その育種学を理解し、また技術を応用できることを目指して講義が行わ れる。 到達目標 成績評価方法 の割合 ・ 動物育種学と動物応用科学との関連性についてよく知っている。 ・ 動物を育種的観点から見ることができるようになる。 ・ 動物を飼う現場に行っても育種の方法を実践できる。 定期試験、追再試験による。 教科書 参考文献 教科書:「新家畜育種学」(朝倉書店) 履修条件 特になし。 学習課題 授業の資料が RENANDI に事前に登録されるので、これを元に,予習復習をする。 (予習・復習) オフィスアワー 回 担当者 メールによる予約をして研究室で応相談。 連絡先:[email protected] 授業内容 1 岡林 動物応用科学の中の動物育種学の位置づけについて学ぶ。「動物応用科学」について改めてその概要を勉強し、その 上で「動物育種学」の概要とその意義を学ぶ。育種の対象となる動物種について学ぶ(ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ラ クダ、ゾウ、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、ハムスター、ネズミ、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、バリケンなどと原種およ び近縁野生種)。 2 岡林 動物育種学の全体像を学ぶ。すなわち、動物を飼ってそれを何らかの目的に使うのならば、当然のことながら人はその飼 育目的により合った動物を求めることになる。そのための科学的方法の一般的な概念を学ぶ。 3 岡林 現存している家畜は野生動物から家畜化されたものである。具体的に、野生動物(原種)からの家畜化とその成立要因に ついて学ぶ。家畜化の過程における原種と近縁の野生種との関係についても学ぶ。 4 岡林 品種,在来種という概念は、家畜に限って使われる用語である。家畜に特有な品種・在来種の概念と、系統の定義を知 る。どのような「品種」、「在来種」があるかについて具体的に学ぶ。 5 岡林 動物育種学の用語である「質的形質」と「量的形質」の遺伝子支配あるいは環境による影響について学ぶ。このうち量的 形質は経済形質でもあり、重要なので、特にこれについて詳しく学ぶ。 6 岡林 引き続き、「量的形質」の遺伝子支配と環境の影響について学ぶ。表現型値と遺伝子型値および環境偏差の関係。相加 的遺伝子型値と非相加的遺伝子型値の関係、優性偏差と相互作用偏差の関係、表現型分散の相加的遺伝分散、非相 加的遺伝分散、優性分散、相互作用分散への分割についても学ぶ。 7 岡林 動物育種学の中でも特に重要な「遺伝率」、「育種価」について学ぶ。「遺伝率」には遺伝子の相加的効果の概念が必要 であり、遺伝子の非相加的効果とのちがいについても学ぶ。「育種価」は動物育種学のなかで最も重要な概念であり、とく にその推定意義と実用的な側面についても学ぶ。 8 岡林 動物育種の方法の一つが「選抜」である。選抜の種類、選抜差と選抜強度、選抜反応、選抜の限界、実現遺伝率、選抜 の正確度と選抜反応の予測などについて詳しく学ぶ。とくにウシの選抜法について学ぶ。 9 岡林 遺伝と環境の相互作用について学ぶ。遺伝子の発現には遺伝子の効果と環境の作用の2つが互いに足し算で説明しき れないように相互作用をしている。どのような相互作用があるのか、相互作用があると動物育種にどのような不都合がある のか?また、相互作用ある場合に育種を続けるには、どうすればよいのか、などについて学ぶ。 10 岡林 一生涯に複数の能力記録がある場合にはそれらの記録の似通い(相関)を調べることができる。これは動物育種学では 反復率とよばれる。この反復率について詳しく学ぶ。反復率と遺伝率との関連性についても学ぶ。 11 岡林 動物育種の方法の中で、「選抜」と並んで重要なのが交配である。まずは遠縁交配について学ぶ。遠縁交配とはどのよう な交配のことか?この交配方法のもつメリットとは何か。具体的な実例を用いて学ぶ。 12 岡林 次に近縁交配について学ぶ。近縁交配とはどういうものか。遠縁交配との違いについても学ぶ。近縁交配のもつメリットと はどのようものか?実例は遠縁交配に比べて多くなる。それらの理由はなぜか、などについて学ぶ。 13 岡林 家畜では近親交配を行うことがある。近親交配とそのメリット、デメリットについて学ぶ。メリットは早く遺伝的に集団を固定 できること、すなわち、優良遺伝子を持つ個体がいれば、この遺伝子にいち早く固定できることである。一方で劣性の不 良形質もまたいち早く固定できる点もある。さらには遺伝子ホモ化が進むことで近交退化も重要である。 14 岡林 「雑種強勢」は交配と関連して重要な用語である。雑種強勢とは何か?雑種強勢の評価方法、さらには雑種強勢を高め る選抜方法について学ぶ。ブタやニワトリで用いられている雑種強勢の効率的な利用方法についても学ぶ。 15 岡林 新たな育種技術の導入とその効果について学ぶ。さらには育種目標の立て方と今後の展望について学ぶ。育種の成果 はすぐに現れるものではない、将来の需要を見越して育種目標を立てる必要がある。それにはどのような形質・能力に注 目すべきかについて学ぶ。
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