Title 骨格筋量増加は腎臓組織のNOSを介して腎臓病モデルで の腎障害

熊本大学学術リポジトリ
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Title
骨格筋量増加は腎臓組織のNOSを介して腎臓病モデルでの
腎障害を軽減する
Author(s)
花谷, 信介
Citation
Issue date
2015-03-25
Type
Thesis or Dissertation
URL
http://hdl.handle.net/2298/32252
Right
花谷信介氏の学位論文審査の要旨
論文題目
骨格筋量増加は腎臓組織の NOS
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を介して腎臓病モデルでの腎障害を軽減する lacigolohtap
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骨格筋萎縮は慢性腎臓病に高頻度に生じる合併症である o また、腎臓病において筋力の低下が
予後悪化因子であることも報告されている。従来、腎血流を減少させるとの理由で、腎臓病患者へ
の運動療法は推奨されていなかったが、近年、有酸素運動・抵抗運動ともにその安全性や有用性
が報告されるようになっている しかしながら、その有用性の機序、とくに運動療法の結果得ら
れる骨格筋重量の増加にどのような効果があるのかという疑問に関しては、適切な動物モデルが
存在しなかったことなどからこれまで十分な検討がなされていない 申請者は、任意の時期に活
性 化 A k lt を骨格筋特異的に過剰発現させることで骨格筋量を増加させることができる遺伝子改
変マウスを用いて、骨格筋量の増加が腎障害に与える影響について検討した
実験には、野生型マウスおよび骨格筋特異的Ak 1t トランスジェニックマウス(Ak t
1TG
マウス)
を使用した。ドキシサイクリン投与によりAk 1t 過剰発現を誘導し、その 7 日後に腎臓病モデル
として一側の尿管のみを結君主する片側尿管結紫
laretalinu(
lareteru
noitcurtsbo
:UUO)
モデル
を作製した o さらにその 7 日後に臓器を摘出し、腎障害と骨格筋遺伝子発現との関連を検討する
とともに、骨格筋遺伝子改変による腎障害の程度の評価を組織学的手法や定量的 PCR 、ウエスタ
ンブロットにて行った さらに、シスプラチン腎症モデルを用いてシスプラチン投与 3 日後に臓
器を摘出し、同様の解析を行った また、筋から腎臓への作用における NOS の意義を検討した
その結果、野生型マウスでは UUO により、骨格筋におけるリン酸化Ak 1t が減弱し、筋委縮遺
発現増加を認めた。一方、Ak t1TG
マウスではリン酸化Ak 1t 増加、骨格筋
伝子である1-nigorta
増加が抑制された。腎組織では、野生型マウスの結禁腎で尿細管障害
量増加とともに、1-nigorta
1TG
ではこれらの変化が有意に減弱した o さらに、
および間質線維化が著明に誘導されたが、Ak t
線維化関連・炎症関連遺伝子の発現上昇やアポトーシス元進に関して、野生型マウスと比較し
で有意に抑制された。また、シスプラチン腎症モデルでも同様に、Ak t
1TG
マウスにお
Ak tlTG
いて明らかに賢機能障害の改善を認めた。Ak 1t による骨格筋量増加に伴う腎保護効果の機序を検
討するため、 UUO 後の腎組織細胞内シグナルを検討したところ、Ak t
1TG
マウスにおいて eNOS
活性化の有意の元進を認め、さらにこれらの腎保護効果は NOS 阻害剤投与により消失した。以上
より、Ak 1t を介した骨格筋量増加は腎保護的に作用すること、その機序として骨格筋由来の何ら
活性化を介している可能性が示唆された。
かの液性因子を介し、遠隔臓器である腎臓での eNOS
との関連、 )2 NOS アイソフオームの役割と腎保護作用の機序、 )3
審査では、 )1 Ak 1t と NOS
腎障害時の骨格筋におけるAk 1t 発現調節の機序、 )4 骨格筋由来液性因子(マイオカイン)の意
義と管保護作用を発揮する候補因子、 )5 腎臓以外の心臓など他臓器との関連、 6) UUO の腎障害
モデルとしての妥当性、 )7 Ak 1t を標的とする腎保護を目指した創薬の可能性、等の質疑がなさ
れ、申請者から概ね適切な回答がなされた。
本研究は、骨格筋と腎臓との関連に関する新たな知見を示し、骨格筋萎縮に伴う腎臓病進展の
病態に骨格筋由来の液性因子が関与する可能性を示した o さらに、生理的、あるいは病態時での
骨格筋と腎臓との臓器連関の解明とともに、慢性腎臓病の進展予防において、運動療法ないしそ
れを模した新たな薬物療法の開発につながる研究であり、学位の授与に値するものと評価した。
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審査委員長 腎臓内科学担当教授
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向山政之内