2015 年 3 月 15 日発行 184 いつも有機野菜をお買い上げありがとうございます。 毎週、旬の情報をお伝えします‼ 3 月 3 日(火) 、札幌エルプラザにおいて『有機農業を繋ぐ担 い手の育成』というテーマで、 「平成26年度有機農業生産者技術 交流会」が行われました。 主催は「NPO 法人北海道有機農業研究協議会」。この法人は、 有機農業をはじめとした環境保全型農業の調査・研究を進めると ともに、研究技術情報の収集、普及を図り、北海道農業の振興と 消費者の需要に応えるため、安全・安心な農産物の生産と流通に 貢献することを目的とする法人です。 今回の、「有機農業の新規就農者をどのようにして増やすか。」 というテーマには関心が高く、生産者や大学の研究者、行政の関 係者などで会場は満員。道内で就農した三名の方、それぞれの就 農に至るまでの経験に熱心に耳を傾けていました。また、アドバ イザーは、北竜町に就農して 22 年目のファームトゥモロの土井 さん。ご自身の経験から貴重なアドバイスをいただきました。 これらは、有機農協にとっても大切なテーマですので内容を報 告します。 河島ファーム(当麻町) 河島峰樹さん (研修開始から 10 年) 河島さんは都内の大学を卒業後、衣料品 販売会社に入社しました。しかしドラマ「北 の国から」にあこがれ、北海道に転勤を希 望して道内の店舗に移動。そして、このま ま北海道に住み続けたいという思いから、 「北海道に住むなら農業だろう。」と就農を 決意しました。 はるか農園(千歳市) 三浦賢悟さん (2001 年新規就農) もともと哲学に興味があり、「『いのち』 とはホントはどういうことだろう。」と考え て、 「『いのち』を扱う有機栽培をしよう。」 と就農しました。 白石農園(岩見沢市栗沢) 白石俊英さん雅子さん (1995 年新規就農) 東京・多摩地区出身の雅子さんは、自然 の中で暮らしたい、田舎暮しをしたいとの 思いで「たまごの会八郷農場」のスタッフ として 4 年間働き、平飼いの技術を学びま す。そこで俊英さんと出会い結婚。本州で は土地の単価が高いため、俊英さんの故郷 の北海道での就農を目指しました。 ファームトゥモロ (北竜町) 土居健一さん 一つ目の壁~新規就農についての情報がない! 河島さんは、行政や JA を回っても研修先の情報がなかなかもらえ ず苦労しました。一方三浦さんは、役所を回るとたらい回しになると 考え、自分で先に研修先を決めてから「新規就農担い手センター」に 行き、スムーズに研修に入りました。 二つ目の壁~生活資金が足りない! 川島さんは研修中、現金収入がないため生活資金が不足し、研修先 からいただいたお米を食べてなんとか凌ぐという生活になりました。 また、就農にあたって資材を購入する資金を借り入れるのにも苦労し たそうです。就農したあとも、有機 JAS の認証が取れるまでの2年間 は研修先でパート勤務をしていました。 三浦さんと白石さんは、最初から平飼いの鶏の卵を出荷するという 計画を立て、個人のお客さんや直売所を利用して卵を販売。就農した 早い段階から収入を得られるように工夫しました。 三つめの壁~農地の取得に関する情報がない! 河島さんは、農業委員会からの情報がなかなかもらえず、クチコミ などを頼りにして農地を取得しました。 コストをかけない 機械や人を使わないこと、安い 資材(鶏糞・消石灰)を使うこと でコストを抑えています。三浦さ ん、白石さんは自分の飼育してい る鶏の鶏糞を使っています。 河島さんは苗の本数を抑えた 栽培の仕方でもコストを抑えて います。 三人の報告を聞いて、地域や JA の理解度がネックとなっているという悩みは共通の ものだと感じました。 地域の農家の取り組みはいろいろあっても良いのではないでしょうか。また、研修も有機栽培 と慣行栽培の境目なく研修して学べるようになっても良いのではないかと思います。 野菜の売れ方は漬物用の野菜など重量野菜が売れなくなったり、一人の人が野菜を買う量が少 なくなるなど変化しています。生活スタイルの変化や高齢化などの影響があるのでしょう。その ような状況では、売れ筋を追うよりも、売れ筋を作るような商品開発や営業努力も大事になりま す。どんな人にどう食べてもらうかをイメージして、売り先を開拓したり、トレンドを作るよう なことも可能だと思います。 新規就農者を増やすために解決しなければいけない課題としては、離農する人と就農希望者と のニーズの差を埋める支援が必要とされています。
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