第 章 正則関数の空間と実解析 関数の空間

第 章 正則関数の空間と実解析
関数の空間
本章においては 様々な関数空間において コーシー・リーマンの
方程式の大域解の存在に関するヘルマンダーの定理を証明し これ
を用いて 多変数関数論の基本定理の一つである岡・カルタンの定
理 とその一般化を証明する
さらに 第 部と第
部の理解のために必要となる正則関数の
空間と実解析関数の空間についての基本的事項について概説する
これらについての詳細は 著書 伊東
第 章を参照してもらい
たい
本章において考える関数はすべて複素数値関数であるとする
次元複素ユークリッド空間
本節において 次元複素ユークリッド空間の概念を定義し その
であるとする
基本性質について考察する ただし
次元複素計量アフィン空間
を 次元複素ユークリッド空間
であると定義する.
特に 次元複素計量アフィン空間としての 次元複素ユークリッ
ド空間の概念については 次元実計量アフィン空間としての 次
元実ユークリッド空間の概念との類似によって定義する
次元複素ユークリッド空間を
と表す これを単に 次元複
素空間あるいは複素空間ともいう.
複素空間
の元を点と呼ぶ
次元複素空間
において 一つの直交座標系を定めるとき 点
とその座標
を同一視することができる このと
き この対応によって
次元複素空間
と複素数の順序付けら
全体の作る集合
を同一視することが
れた 組
ある
今後 個の複素数の順序付けられた組
全体
よりなる集合
に
次元複素ユークリッド空間の構造が定義されているとする
次元複素空間
の二つのベクトル
の内積
は 等式
によって定義されているとする
これによって 次元複素空間
の基本性質を対応する複素数体
の基本性質から導くことができる
複素空間
の元を点と呼び
における距離関数が次の関係式
によって与えられる
の点
に対し
を点 と の距離という.ここで
は点
に対応するベ
クトル
のノルムを表す ただし 記号
は 有向線分
の
同値類として定義されるベクトルを表す
関数
は
に対し 関係式
の 点
によって表される.
このとき
の関数
これは次の性質をもつ.
命題
を距離関数という.
上の記号を用いるとき 次の
とする.
ここで 条件
であることは同値である
が成り立つ:
が成り立つことと
正値性
対称性
三角不等式
の距離
を
と表すこともある.
の距離関数
を用いて
の位相に関する諸概念を定
義できる.
次元複素空間
の部分集合を点集合という.
数列に対応するものを点列といい 点列の収束 発散も同様に定
に対し ある点 があって
が
義される.すなわち 点列
に収束するとは
任意の
に対し ある自然数 があって
ならば
が成り立つ
ことをいう.
コーシー点列の定義も同様に行われる.一般に コーシー点列が
必ず収束するような距離空間は完備であるという.
は完備な距離空間で ハウスドルフ空間となるような位相が
与えられている.
特に 実数
に対し 点集合
を を中心とし 半径 の開球といい その閉包
を閉球という.
特に
に対し
を の 近傍といい
の記号を用
いる.
の点集合を とする.
点 が の内点であるとは 点 のある 近傍
で に含ま
れるものがあることをいう.
の内点であるとき
の外点であるという.
点 が の補集合
点 の任意の 近傍が の点も
の点も含むとき 点 は あ
るいは
の境界点であるという.
が内点のみからなるとき開集合といい
が開集合のとき は
閉集合であるという.
の内点のみからなる集合を の開核といい
など
と表す.このとき
が開集合であることと
なることが同
値である. は に含まれる最大の開集合である.
点 は その任意の 近傍が 以外の の点を無数に含むとき
の集積点であるという.
の集積点 は の点であるか の境界点であるかどちらかで
ある.
にその集積点をすべて付け加えて得られる集合を の閉包とい
い
などで表す. は を含む最小の閉集合である.
が閉集合であることと
なることは同値である.
の境界点の集合を
の境界といい
と表す.このとき
直和
が成り立つ
の部分集合 は
なるとき
の中で稠密であるという.
の集積点でない の点を孤立点という.
の二つの点集合
に対し 数
を
と の距離という.
の点集合 に対し 数
を
の直径という.
の場合もある.
点集合 はある球
に含まれるとき有界であるという.ここ
で
とおく.
次元複素空間
の点
に対し
とおく いま
とおくと
と表される これによって
を同一視して
の点
と直積空間
の点
あるいは
と表す このとき
の位相と
の直積位相を同一視
する
ここで
と
は位相空間と
しては同じであると考える
ここで
におけるボルツァーノ・ワイエルシュトラスの定理 カ
への拡
ントールの共通部分定理とハイネ・ボレルの被覆定理の
張を述べておく.
定理
ボルツァーノ・ワイエルシュトラスの定理 有界な無限点集合には必ず集積点が存在する.
定理
の列
カントールの共通部分定理 において
が満たされるならば これらの集合
一つ存在する.
の
の有界な閉集合
に共通に含まれる点がただ
定理
ハイネ・ボレルの被覆定理 の有界な閉集合
が無数に多くの開集合で覆われているとき それらの開集合のう
ちの有限個で を覆うことができる.
正則関数の定義
本節においては 変数の複素関数の微分可能性について考察す
とする.
る ただし
いま
は 次元複素ユークリッド空間であるとする 以後
の点 は列ベクトル表示によって
と表す
は
の開集合であるとするとき
上定義された関数
が正則であることの定義を与える
いま 関数
は 点
の近傍において定義されているとする.
このとき
とおく.ここで
さらに は点
は 次元複素数ベクトルと考えている.
と点
の距離を表す これは
に等しい
このとき 次の定義を与える
定義
分
上の記号を用いる このとき 点 において
を
の増
とおく.ここで
依存しないとする.
いま 固定した点 に対し
あるということは 条件
は の関数であって
には
は と
の複素数値関数である.
は点 において微分可能で
のとき
が満たされることであると定義する
このとき
注意
定義
て決められている
と定義を拡張することにする.
において
は 次の関係式によっ
のとき
のとき また 点 における
の値
は関数
微分係数でなければならないことが後で分かる
定理
らば
複素数値関数
が点
はこの点において連続である
の
に関する偏
において微分可能な
定義
が
の領域 の各点において微分可能
であるとき
は において微分可能であるという.このと
き 関数
は において正則であるという
において正
則な関数は正則関数であるという
定理
関数
が領域
は において連続である.
系
変数関数
あるための必要十分条件は
において正則であるならば
が の領域 において正則で
の各点 において極限
が存在することである
このとき 系
係式
の関数
に対し 領域
によって定義された関数
を
次に
とするとき 関数
の領域 において正則であるとする
このとき
に対し 関係式
によって定義された関数
関数であるという
したがって 定義
が成り立つ
を 関数
の記号
において 関
の導関数であるという
が
の
に対し 等式
に関する偏導
正則関数の空間
いま は正の自然数であるとし
は 次元複素ユークリッド
の点 は列ベクトル表示によって
空間であるとする
と表す
このとき
と
は 関係式
によって定義する ここで 次の記号を用いている:
ただし
このとき
とする
の微分 は
と表される
は
の開集合であるとし
するとき が
に係数をもつ
は
上の関数空間であると
型の微分形式であるとは
と表されることをいう ここで
に対し
は集合
の元からなる多重指数で
は多重指数 の多重度が であることを表す また
または
のとき それぞれ あるいは は空集合であるとする
さらに 記号
を用いている
特に
型の微分形式
を
と表すことができる ここで
は 多重指数
が
を満た
すようなものについての和を表す このような表現では 係数
は一意に定まる 一般の表現
の場合
は
内の指数
に関してそれぞれ交代的であるように定められているものとする
係数の
型微分形式全体の集合を
と表す すべ
と表すと
ての微分形式全体の集合を
と表せる ここで
とおいている
のとき 外微分
を
によって定義すると
と表される ここで
とおいている このとき
さらに
である
が成り立つ したがって
ン方程式
に対し コーシー・リーマ
を満たす
が存在するならば
でなければならない
これによって たとえ関数 に対するコーシー・リーマン方程式
に主たる関心があるとしても
型の微分形式 したがっ
型の微分形式等々に対して 作用素を考えることが自然
て
であることがわかる
以下において コーシー・リーマン方程式
の大域解の存在に関するヘルマンダーの定理を証明する
これを用いて 多変数関数論の基本定理の一つである岡・カルタ
ンの定理 を証明する
このとき
としては 上の局所 乗可積分関数の空間
あるいは 上の
級関数の空間
などを考える
方程式の
大域解は
の一般の開集合 においては必ずしも存在しない そ
こで
の擬凸開集合を考える必要が生じる
ここで 複素関数
が
級であるという
を 変数の実関数と考えて
級であることを意味す
ことは
る ただし
とする
そのための準備から始める まず 次の定義を与える
定義
の開集合 において定義され
に値をもつ関数 が多重劣調和であるとは 次の条件
たされることをいう:
の中
が満
は上半連続である
任意の
義されるような
に対し 関数
は それが定
の部分集合において劣調和である
定義
の開集合 が擬凸開集合であるとは
が存在して 任意の実数 に対し
続多重劣調和関数
の閉包が
上の連
のコンパクト部分集合になることをいう
上の定義の条件
において
は
級であると仮定してお
いても十分であることを注意する
ここで
は
の開集合であるとするとき
は 上の局
所 乗可積分関数全体のつくるベクトル空間を表す
いま
は
の開集合であるとする
は 上の実数値連続関
数であるとする このとき
と表す ただし
はルベーグ測度を表す
は 内積を 関係式
によって定義するとき ヒルベルト空間になる
このとき 次の命題が成り立つ
命題
ヘルマンダー 上の記号を用いるとき 等式
が成り立つ ここで 右辺は
る合併集合を表す
上の実数値連続関数
の全体にわた
このとき 次の定理が成り立つ
定理
ヘルマンダー は
の擬凸開集合であるとする
そのとき
が条件
を満たすならば 方程式
は解
をもつ ただし
とする
ここで は非負整数であるとし
は
の開集合であるとする
とき
は
の各コンパクト集合において 階までのすべ
ての偏導関数が
収束の位相の意味において存在するような関数
全体のつくるベクトル空間であるとする
このとき コーシー・リーマン方程式の解の正則性について考察
するために 次の定理を証明する
定理
は
の擬凸開集合であるとし
であ
るとする そのとき
が条件
を満たすなら
は解
をもつ ただし
ば 方程式
とする
のとき 方程式
のすべての解がこの性質をもつ
例
は
の開集合であるとすると
上の
関数全
体のつくるベクトル空間
は
空間である
空間の概念については 著書 伊東
らいたい
系
第
章を参照しても
は
の擬凸開集合であるとする そのとき
が条件
を満たすならば 方程式
は解
をもつ ただし
とする
のとき 方程式
のすべての解がこの性質をもつ
ここで 正則関数の定義の再定義を与える このとき 定義
と定義
は同値である
定義
は
の開集合であるとするとき
上定義さ
は
の元であって コー
れた関数 が正則関数であるとは
シー・リーマンの方程式
を満たすことであると定義する
系
式
は
の解
の擬凸開集合であるとする そのとき 方程
は において正則である
注意
一般に コーシー・リーマン方程式の解であるとい
う条件によって定義された正則関数は
級関数であるから 正則
関数の定義の条件は
級関数に対して満たされるということだけ
で十分である
このとき
と表す
上定義された正則関数全体のつくるベクトル空間を
上の層 は層
わち 前層
は
を満たしている:
の開集合
る
らば
の開被覆
が 任意の
が成り立つ
の開集合
る
は の開集合 であるとする すな
の開集合 が層になるための条件
が与えられているとす
に対し 条件
の開被覆
各 に対し
に対し 条件
を満たすな
が与えられているとす
が与えられていて すべての
が満たされるならば ある
が存在して
が成り立つ
この二つの条件は
局所一意性の条件
理ということである
以後 このような注意は省略する
定理
岡・カルタンの定理
るとすると 等式
が成り立つ ただし
ここで
と表す
は
張り合わせの原
の擬凸開集合であ
であるとする
は
のコンパクト集合であるとするとき
いて正則な関数全体のつくるベクトル空間を
のある近傍にお
と表す
例
空間でる
は
のコンパクト集合であるとすると
は
空間の概念については 著書 伊東
第 章を参照しても
らいたい
次に ベクトル値正則関数に対して同様の定理が成り立つことを
示す
定理
とし
は
岡・カルタンの定理
はフレッシェ空間である
の擬凸開集合であるとすると 等式
が成り立つ ただし
であるとする
上の定理において
上の層
は層
は の開集
合 であるとする ここで
は 上定義された 値正則関
数全体のつくるベクトル空間である
さらに
と表す
定理
はフレッシェ空間であるとし
は
の擬凸開
集合であるとする そのとき
が条件
を
は解
をもつ ただし
満たすならば 方程式
とする
特に
のとき 方程式
のすべての解がこの性質を
もつ
実解析関数の空間
いま は正の自然数であるとし
間であるとする
は
次元実ユークリッド空
は
のあるコンパクト集合であるとするとき
において実解析的な関数全体のつくるベクトル空間を
このとき 等式
のある近傍
と表す
が成り立つ
は
のある開集合であるとするとき
において実解析的な
関数全体のつくるベクトル空間を
と表す
このとき 関数空間
の位相について
第 章を参照してもらいたい
は 著書 伊東
次に グラウエルトの定理を述べる
定理
グラウエルト は
の任意の部分集合であると
が のある複素近傍であるならば
となる擬凸開
し
近傍 が存在する すなわち
は擬凸開集合からなる基本近傍系
をもつ
定理
と 等式
マルグランジュ が成り立つ ただし
への制限を表す
は
の部分集合であるとする
とする ここで 層
は層
の
次に ベクトル値実解析関数に対して同様の定理が成り立つこと
を示す
定理
マルグランジュ はフレッシェ空間であるとし
は
の部分集合であるとすると 等式
が成り立つ ただし
とする ここで 層
の
への制限を表す
は層
緩増加正則関数の空間と急減少正則関数の空
間
いま は正の自然数であるとし
は 次元実ユークリッド空
間であるとし
は 次元複素ユークリッド空間であるとする
ここで 論文 河合
定理
に従って 次元実ユークリッド
空間
の方向コンパクト化
の定義を思い出しておく
定義
河合 によって
の方向コンパクト化
を表す ここで
は
と無限遠にある
次
元球面
との直和を表す
が
のベクトルであるとき
と
の同一視において を代表元とする
の
点を
と表す ここで
は正の実数全体の集合で
の
元に乗法的に作用しているとする
空間
においては次のように基本近傍系を与えることによって
自然な位相が定義されているとする
の点 が
に属するならば
開球全体の族によって与えられる
の基本近傍系は
を含む
の点 が
に属するならば
の基本近傍系
は族
によって与えられる ここ
で
は に頂点をもつ
の錐で
は
のある開
は錐
近傍によって生成される原点に頂点をもつ錐を表し
の無限遠点集合を表す
と を動かして得られ
る族
を基本近傍系と考えているのである
は
の方向コンパクト化であるとし
と表す ここで
においては直積空間の位相が定義されているとする ただし
は虚数単位であるとする
定義
緩増加正則関数の空間
あるとするとき
上の緩増加正則関数の空間
の正則函数
であって 任意の正の数 と
ト部分集合 に対し 評価
を
の開集合で
は
上
の任意のコンパク
を満たすもの全体からなる空間であるとする ここで
とおいた また
は指数関数を表す
上の層 は層
は の開集合 であるとする
層 は核型フレッシェ層になる すなわち
の任意の開集合
に対し
は核型フレッシェ空間になっている
核型空間とフレッシェ空間の概念については 著書 伊東
第
章を参照してもらいたい
上の定義から
が成り立つことは容易にわかる
定義
急減少正則関数の空間
あるとするとき
上の急減少正則関数の空間
は
の開集合で
は
の正則関数
であって
の任意のコンパクト部分集合
し ある正の数
があって 評価
を満たすもの全体からなる空間であるとする
上の層
は 層
は
の開集合
であるとする
上
に対
層
は核型フレッシェ層になる これは 層
ある
上の定義から
定義
が成り立つことは容易にわかる
の開集合
が成り立つことをいう
が
とおき
は
擬凸開集合であるとは 次の
ここで
のユークリッドノルムを表す
上の連続多重劣調和関数
を満たす
任意の実数 に対し
の
における閉包
ある
の場合と同様で
は
が存在して 次の
のコンパクト部分集合で
の任意のコンパクト部分集合
において上に有界である
上の定義の条件
において
は
いても十分であることを注意する
まず 緩増加局所 乗可積分関数の層
に対し
は
級であると仮定してお
の定義を述べる
定義
は
の開集合であるとするとき
上の緩増
加局所 乗可積分関数の空間
は
であっ
て 任意の正の数 と の任意の相対コンパクト開集合 に対し
となるもの全体からなる空間である
ここで
は 関数
の への制限を表
し
は ノルム
を
かつ凸関数となるように軟化子によって修正したものを表す
上の層 は層
は の開集合 であるとする
このとき
は
柔軟層になる すなわち
の任意の開集合
に対し
は
空間である
空間と柔軟層の概念については それぞれ著書 伊東
第
章と第 章を参照してもらいたい
定義
空間
いま
であるとし
を
の開集合であるとするとき
上の空間
は
で
あって
となるもの全体からなる空間を表す ただ
し
であるとする 特に
とおく
上の層
このとき
定理
は層
は の開集合 であるとする
は のグラフ位相に関して
柔軟層になる
ヘルマンダー・金子 いま
とおいて
は に含まれる
の任意の 擬凸開集合であると
する ここで
とする そのとき
満たす任意の
に対し 方
程式
を満たす解
が存在する ここで と は
非負整数とする
これを用いて 岡・カルタン・河合の定理
が証明される
定理
岡・カルタン・河合の定理
は定理
と同
は に含まれるある 擬凸開集合を 方向に平
じであるとし
行移動した
の開集合であるとする このとき 等式
が成り立つ ただし
ここで
次に
であるとする
と表す
上の緩増加
関数の層
定義
関数の空間
は
の開集合であるとするとき
は次のように定義される
任意の
ト集合
を定義する
と任意の
と
上の緩増加
の任意のコンパク
に対し 評価
が成り立つ
ここで
とする
上の層 は層
は
は核型フレッシェ柔軟層となる
このとき 次を得る
の開集合
であるとするとき
定理
ヘルマンダー は定理
と同じであるとし
は に含まれる 擬凸開集合を 方向に平行移動した
の開
集合であるとする このとき
を満たす任意の
に対し 方程式
の解
が存在する ここで
は
非負整数とする
いま
上の急減少局所
乗可積分関数の層
を定義
する
定義
の開集合
に対し
上の空間
は次のよ
うに定義される
任意の
に対し ある
が存在して
上の層
となる
は層
このとき 層
は
は
このとき
であるとし
上の空間
によって定義する
上の層
であるとする
柔軟層になる
定義
であるとするとき
の開集合
を
上の開集合
を
とおく
は層
は
は
の開集合 であるとする
のグラフ位相に関して
柔軟層になる
このとき 次を得る
定理
ヘルマンダー・金子 いま
とおく
を任意の
を満たす任意の
に対し
擬凸開集合で に含まれるものとする
を考える このとき 任意の
において方程式
る ただし
を満たす解
が存在す
であるとする
は
のコンパクト集合であるとするとき
のある近
傍において定義された急減少正則関数全体のつくる正則な関数全体
と表す
のつくるベクトル空間を
このとき 次の定理が得られる
定理
は定理
と同じであるとする いま
ンパクト部分集合 は次の条件
を満たすとする
は のコンパクト部分集合で
近傍系をもつ
は
を
のコ
擬凸開集合からなる基本
方向に平行移動して得られる
このとき 等式
が成り立つ ただし
であるとする
次に ベクトル値関数に対して同様の定理が成り立つことを示す
はフレッシェ空間であるとし
値緩和増加正則関数の層
に対する岡・カルタン・河合の定理 を証明する
は 上
のフレッシェ位相を定義する連続セミノルムの族とする
まず 層
と
の定義を述べる
定義
緩和増加 値正則関数の空間
の任意の開集合 に対し 緩和増加 値正則関数の空間
は次のように定義される
任意の
ト部分集合
と任意の
の任意のコンパク
に対し
が成り立つ
ここで
表す
上の層
は開集合
は層
上の
は
値正則関数の空間を
の開集合 であるとする
層
を緩和増加
値正則関数の層という
定義
緩増加 値
の開集合 に対し 緩増加
うに定義される
関数の空間
値
関数の空間
任意の
部分集合
任意の
の任意
は次のよ
の任意のコンパクト
と任意の
に対し
が成り立
つ
ここで
上の 値
とし
関数の空間を表す
上の層
は層
き 層
は柔軟で
は の開集合
の開集合 に対し
は開集合
であるとすると
が成り立つ
このとき 次を得る
定理
ヘルマンダー は定理
と同じであるとする
このとき
を満たすすべての
に対し 方程
の解
が存在する ここで
である
式
とする
定理
岡・カルタン・河合の定理
はフレッシェ空間
であるとする
は定理
と同じとする このとき 等式
が成り立つ ただし
ここで
とする
と表す
緩増加実解析関数の空間と急減少実解析関数
の空間
は
のあるコンパクト集合であるとするとき
のあ
る近傍において定義された急減少実解析関数全体のつくるベクトル
と表す
空間を
このとき 等式
が成り立つ
は
のある開集合であるとするとき
において定義さ
れた急減少実解析関数全体のつくるベクトル空間を
と表す
このとき 関数空間
は 著書 伊東
の位相について
第 章を参照してもらいたい
次に グラウエルトの定理を述べる
定理
とし
グラウエルト は
の任意の部分集合である
が
における
のある近傍であるとする このとき
なる 擬凸開近傍 が存在する すなわち
は 擬
凸開集合からなる基本近傍をもつ
定理
等式
マルグランジュ が成り立つ ただし
の
の任意の部分集合
とする ここで
に対し
は
への制限を表す
定理
マルグランジュ に対し 等式
の任意のコンパクト部分集合
が成り立つ ただし
の
とする ここで
は
への制限を表す
次に ベクトル値関数に対して同様の定理が成り立つことを示す
定理
と
マルグランジュ はフレッシェ空間であるとする
の任意の部分集合 に対して 等式
が成り立つ ただし
の
への制限を表す
とする ここで
は