修 士 論 文 の 和 文 要 旨 学院 氏 電気通信学研究科 佐中 名 論 文 題 目 博士前期課程 敦 量子・物質工学専攻 学籍番号 0333014 酸素同位体置換したSrTiO 3 の強誘電性相転移とラマン散乱 ペロブスカイト構造を持つSrTi16 O3 (STO16)は、105Kの立方晶Ohから正方晶D4hへの 構造相転移でR点のR25モードがソフト化し凍結する。温度を下げると誘電率は上昇して いくが、量子揺らぎのため発散せず強誘電性は示さない量子常誘電体として知られてい る。近年、東工大のItohらのグループにより酸 素同位体置換(16 O→18 O)することで Tc=24K以下で強誘電体となることが発見された[1]。本研究ではSTO18の強誘電性相転 移のメカニズムをラマン散乱分光により解明することを目的としている。 Fig.1はSTO18(96.1%)とSTO18(97%)(共に7×0.3mm3 、(110)cplate)の50K(>Tc)と 8K(<Tc)での偏光顕微鏡を用いたdomain構造の写真である。STO18(96.1%)には(001)c方 向に長い短冊状の試料を用いても必ずしも試料の大部分が単分域にはならないことが分 かった。Tc=24K以下の強誘電相では、常誘電相で見られなかった粒状構造が観測され ており、強誘電的domainと考えられる。 次に正方晶単分域のSTO18(97%)のラマンスペクトルをT<Tcで観測した。Γ 15 は極性フ ォノンなのでフォノンの伝播方向( Kp )に留意して測定を行った。 Fig.2はKp //Zとなる散乱配置で得られたラマンスペクトルの温度変化である。VV20cm-1 とVH11cm-1 に温度の低下とともにハード化するもピークが観測されている。極性フォノン であるΓ 15 からのTOがTC以下で誘起される自発分極が作る反電場の影響を受けハード 化していると考えると、20cm-1 のピークは自発分極と平行な成分を持つTOであると考えら れる。 Fig.3はKp //XYとなる散乱配置で得られたラマンスペクトルの温度変化である。Kp //Z でも観測された温度変化するTOに加えてVV5cm-1 にピークが観測された。形状が左右 非対称でありFMR的特徴をもつ。HV14cm-1 にはEgと思われるピークが観測されており、 VV5cm-1 と併せてSTO18は結晶全体が一様に転移するのではなく転移しない分域が点 VV(Y, Y) VH(X, Y) 在すると考えられる。 VV(Z,Z) HV(Y, Z) 3 [×10 ] 32.0K 97% 30.8K 27.3K 29.0K 25.5K 28.0K 24.6K 27.1K 6 Intensity(a.u 23.6K 4 22.6K 22.2K 21.1K 26.0K 25.1K 24.1K 20.2K 17.2K 17.3K 14.4K 15.8K 11.4K 13.0K 9.6K 10.6K 6.5K 10 20 30 40 0 10 20 30 -1 Frequency Shift(cm ) [1]M.Itoh et al. ,Phys.Rev.Lett 82(1999)3540 27.1K 22.2K 18.3K Fig.2 28.0K 24.0K 2 0 29.0K 25.0K 19.7K Fig.1 STO18 domain構造(50K) 30.8K 26.0K Intensity(a.u.) 96.1% 29.2K 0 10 20 30 40 0 6.5K 10 20 30 40 -1 Frequency Shift(cm ) Fig.3
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