3. 子どもの貧困を背負う家庭の実態 4. 子どもの虐待の実態

・スクールソーシャルワーカー…子どもを取り巻く環境を多面的にみて、困りを
解決するために誰につないだら良いかを知って
いる専門家
(2)学校での限界…学校で子ども達の様子を見る事ができない時間帯がある。それ
は長期休業中と夜の時間である。学校がみられない時間を地域のNPOなど力
を使ってさ支えていく。そのような機関と機関,人と人をつないでいくのもス
クールソーシャルワーカーの役割の一つである。
3. 子どもの貧困を背負う家庭の実態
(1) 絶対的貧困と相対的貧困
・絶対的貧困…アフリカの難民のような衣食住が危ぶまれる
・相対的貧困…憲法で規定されている生存権が侵されている。6人に1人が
相対的貧困。一人親家庭では2人に一人が相対的貧困。
(2) ワーク「子どもの貧困を家計から考える」
国民の所得の中央値が月収
37万円。その中央値の半
分にあたる家庭の月収が1
7万円。それぞれの収入
で,生活費や交通費を割振
りして,リアルな生活の現
状を考えた。
4.
子どもの虐待の実態
(1) 虐待のパターン…最近多くなってきているのは,心理的な虐待。夫婦仲の
悪さやDVの様子を子どもが見聞きする。保護者からの言葉の暴力などが
ある。
(2) 98%が在宅支援…虐待を受けている子どもの98%が在宅で支援を受け
ている。学校に通いながら、児童相談所や要保護児童対策会議によるネッ
トワーク支援を受ける。背景には、施設に入ってしまうとその後が難しく
なってしまうからである。
(3) 虐待が生み出す愛着障害…虐待の結果、子どもたちに起こる愛着障害は,
発達障害と似た行動を子どもたちにおこす場合がある。例えば、家の中が
ネグレクトでゴミだらけの環境で育ってきた場合、学校の整っている環境
は、子どもにとって普段と違う環境であり、落ち着けない環境になる場合
がある。
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第4分科会
ネット社会と学校~ネット上の『いじり』や『さらし』の問題を通して~
佛教大学教育学部教授 原 清治
参加者全員の自己紹介からスタートした
第4分科会では,テーマの下,原先生と参加者
のやり取りを交えながらの和やかで学び多い分
科会となりました。
■講義内容
「近年,学生や子供たちを見る中で,互いに
真の人間関係を築く力が下がってきたように感じ
られる。」という原先生の言葉ではじまった今回
の講義。そのような様子が見られる具体的事例として,まず,ここ数年で中高生の間で流
行している Mix Channel(ミックス・チャンネル:恋人同士のキス動画などを編集しアップ
することができるというアプリ)について取り上げられた。大人からすると,顔が見える
プライベートな動画が半永久的に残ってしまう危険極まりない代物であるにも関わらず,
10 代の若者には大ヒットしているという。これは,インターネットというシステムについ
ての無知だけによるものではなく,「SNS という媒体を介してしか,自己の承認欲求を満
たせなかったり,自身が愛されているという自己確認ができなかったりするという多くの
若者の現状を示しているのではないだろうか」という点が示唆された。
また,原先生ご自身が学校現場の生徒に対して実践された「5 人のグループを作ってみ
よう」の取り組みでの子どもの様子も紹介された。「仲の良い友達と 5 人グループを作っ
てみよう」という指示にも関わらず,フライングをして近くの生徒同士で目配せをし先に
保険をかけてしまう生徒や,特に仲良くもないが形だけの 5 人グループを作る生徒などが
多く見られたという。この様な子ども達の姿もまた,群れる力が低下していたり,希薄な
人間関係しか作れなかったりという若者の現状を顕著に表している一例である。
他にも,大学の学食で見られはじめた「ぼっち席」(相席したがらない学生のために,
仕切りを使いあえて作られた一人用の席)や,一人カラオケや一人で食べるラーメン店の
流行…など,参加者も驚くような例も紹介された。これらの要因としては,「つながり」
や「絆」という社会の声が過剰なあおりとなり,それに反して,外の視線が気になる若者
が増えているということが考えられるとのこと。ネット(メディア)社会の所作が若者や子
ども達に及ぼしている影響の一つともいえるだろう。
これらの例から,現代の子ども達の構築している人間関係の「島宇宙化」や「互しゅう
性の欠乏」について解説が加えられた。「島宇宙化」とは、宮台真司氏の著書『制服少女
たちの選択』(講談社,1994)の中で,90 年代以降の若者の人間関係が「自分と同じ価値観を
持つ者としか友人関係を築かず,他のグループにほとんど関心が向かない」という様態を
表した言葉である。また,「互しゅう性」とは「人間同士の持ちつ持たれつの関係」を言
い,大学での出席確認やレポート提出にみる互しゅう性の今と昔について例を挙げられ,
笑いを誘われていた。 また,この希薄になりつつある互しゅう性を補うスタイルとして
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