米国労働市場の現状と課題 大和総研 ニューヨークリサーチセンター エコノミスト 橋本政彦 ◆ 本日の内容 ◆ 労働市場の現状 労働市場に残された課題 今後の見通し ◆ 雇用者数は着実に増加し、リーマン・ショック前の水準を回復 非農業部門雇用者数 80 (100万人) (万人) 200 非農業部門雇用者数前月差 60 180 40 20 160 0 140 -20 -40 120 非農業部門雇用者数 (右軸) -60 -80 100 -100 90 92 94 96 98 00 (出所)BLS, Haver Analyticsより大和総研作成 02 04 06 08 10 12 14 80 (年) ◆ 失業率も低下傾向が続き、完全雇用に近い状態 失業率と自然失業率 11 (%) 10 失業率 9 8 7 6 5 4 自然失業率 3 90 92 94 96 98 00 02 (出所)BLS, CBO, Haver Analyticsより大和総研作成 04 06 08 10 12 14 (年) ◆ 長期失業者、経済的理由によるパートタイム労働者は高止まり 長期失業者数と経済的理由によるパートタイム就業者 (%) 50 (%) 3.0 長期失業者数/失業者数 40 3.5 2.5 30 2.0 20 1.5 1.0 10 0.5 経済的理由によるパートタイム労働者/就業者数(右軸) 0 90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 (注)シャドーは景気後退期。長期失業者は、失業期間27週以上の失業者。 (出所)BLS, Haver Analyticsより大和総研作成 12 14 0.0 (年) ◆ 自発的失業は低水準、労働参加率は低下が続く 自発的失業者数と労働参加率 (%) (%) 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 70 自発的失業者数/失業者数 68 66 64 62 労働参加率 (右軸) 90 92 94 96 98 00 (注)シャドーは景気後退期。 (出所)BLS, Haver Analyticsより大和総研作成 02 04 06 08 10 12 14 60 (年) ◆ 失業率が低下する中でも賃金は伸び悩み 民間部門の時給と失業率 5 (%) (前年比、%) 失業率 (右軸、逆目盛) 4 1 3 5 3 7 2 9 1 11 民間部門時給 0 90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 12 (注)シャドーは景気後退期。2007年2月以前の民間部門時給は、管理職を除くベース。 (出所)BLS, Haver Analyticsより大和総研作成 14 13 (年) ◆ 増加基調が続く求人件数と、伸び悩む新規雇用 求人件数と新規雇用者数 600 (万件) 550 新規雇用者数 500 450 400 350 300 求人件数 250 200 01 02 03 04 05 06 07 (出所)BLS, Haver Analyticsより大和総研作成 08 09 10 11 12 13 14 15 (年) ◆ ヘルスケア、金融などでは労働力を確保しづらい 業種別にみた求人件数シェア、新規雇用者数シェア (%) (%pt) 新規雇用者数シェア-求人件数シェア (右軸) 求人件数シェア 8 6 4 2 0 -2 -4 -6 宿泊・飲食 建設 小売 教育 娯楽 鉱業 (注)データは2015年8月。 (出所)BLS, Haver Analyticsより大和総研作成 運輸 労働力を確保できていない 情報 新規雇用者数シェア 卸売 製造業 専門・企業向け サービス 金融 ヘルスケア 25 20 15 10 5 0 5 10 15 20 25 労働力を確保できている -8 ◆ ハイスキル労働者で高まる賃金上昇圧力 業種別労働需給と賃金 40 (時給、ドル) 情報 専門・企業向けサービス 35 金融 30 鉱業 ヘルスケア 建設 卸売 25 娯楽 製造業 20 運輸 15 小売 10 宿泊・飲食 5 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 (新規雇用者数シェア-求人件数シェア、%pt) 労働力を確保できていない (注)データは2015年8月。 (出所)BLS, Haver Analyticsより大和総研作成 労働力を確保できている ◆ 米国労働市場の現状と課題 ◆ 現状 雇用者数は増加が続き、リーマン・ショック前を上回る 失業率は自然失業率に接近、完全雇用に近い状態 残された課題 賃金など、質の改善も進むが、もう一段の改善余地 今後の見通し 特にハイスキル労働者で高まる賃金圧力 一方、低賃金業種の雇用増が賃金上昇を抑制し、 賃金、物価は緩やかな増加が続く
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