アメリカ経済グラフポケット(2016 年 12 月号)

米国経済
2016 年 12 月 8 日
全8頁
アメリカ経済グラフポケット(2016 年 12 月号)
2016 年 12 月 6 日発表分までの主要経済指標
ニューヨークリサーチセンター
上野 まな美
エコノミスト 橋本 政彦
実質GDPの推移
(前期比年率、%、%pt)
政府支出
6
純輸出
4
在庫投資
2
住宅投資
0
設備投資
個人消費
-2
実質GDP成長率
-4
12
13
14
2014
(前期比年率、%、%pt) 10-12
国内総生産
2.3
個人消費
4.6
設備投資
-1.1
住宅投資
11.4
政府支出
-0.4
輸出
4.5
11.2
輸入
寄与度
個人消費
3.1
設備投資
-0.1
住宅投資
0.4
在庫投資
0.2
政府支出
-0.1
輸出
0.6
-1.7
輸入
15
1-3
(年)
16
2015
4-6
7-9
10-12
1-3
2016
4-6
7-9
2.0
2.4
1.3
13.3
2.6
-5.8
5.6
2.6
2.9
1.6
14.9
3.2
2.9
2.9
2.0
2.7
3.9
12.6
1.9
-2.8
1.1
0.9
2.3
-3.3
11.5
1.0
-2.7
0.7
0.8
1.6
-3.4
7.8
1.6
-0.7
-0.6
1.4
4.3
1.0
-7.7
-1.7
1.8
0.2
3.2
2.8
0.1
-4.4
0.2
10.1
2.1
1.6
0.2
0.4
1.0
0.5
-0.8
-0.9
1.9
0.2
0.5
-0.5
0.6
0.4
-0.4
1.8
0.5
0.4
-0.6
0.3
-0.4
-0.2
1.5
-0.4
0.4
-0.4
0.2
-0.3
-0.1
1.1
-0.4
0.3
-0.4
0.3
-0.1
0.1
2.9
0.1
-0.3
-1.2
-0.3
0.2
0.0
1.9
0.0
-0.2
0.5
0.1
1.2
-0.3
( 出 所 ) BEA, Haver Analytics よ り 大 和 総 研 作 成
株式会社大和総研 丸の内オフィス
〒100-6756 東京都千代田区丸の内一丁目 9 番 1 号 グラントウキョウ ノースタワー
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2/8
雇用環境1
◆ 2016 年 11 月の失業率は 4.6%と前月から 0.3%ポイント低下し、2007 年 8 月以来の低水準
に大幅に改善した。しかし、失業率の低下は就業者の増加に加え、労働力人口の減少に因る。
◆ 11 月の非農業雇用者数の前月差は 17.8 万人増と前月から伸びが拡大した。非農業雇用者数
の前月差の 6 ヵ月平均は 20.5 万人増と 4 月以来の 20 万人超に改善し、堅調な雇用の伸びを
示した。
非農業雇用者数と失業率
労働参加率と就業率
(前月差、万人)
60
(%)
12
非農業雇用者数
(%)
(%)
67
64
労働参加率
失業率(右軸)
就業率(右軸)
40
10
63
66
20
62
8
0
65
-20
61
6
60
64
-40
4
59
-60
2
-80
-100
0
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
63
58
57
62
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
(年)
(年)
(出所)BLS, Haver Analyticsより大和総研作成
(出所)BLS, Haver Analyticsより大和総研作成
理由別失業者数
定義別失業率
(万人)
400
(万人)
自己都合
1,200
再び職を探している
新たに職を探している
350
(%)
失業者+潜在的失業者(U-5)
18
失業者+就職を諦めた人(U-4)
1,000
会社都合(右軸)
失業率(U-3)
16
300
800
250
600
U-6
非自発的離職者
(U-2)
15週以上の
失業率(U-1)
14
12
200
U-5+経済的理由のパート労働者(U-6)
20
10
8
150
400
6
100
200
50
U-1
4
2
0
0
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
0
05
06
07
08
09
10
11
12
(年)
(出所)BLS, Haver Analyticsより大和総研作成
1
13
14
15
16
(年)
(出所)BLS, Haver Analyticsより大和総研作成
大和総研 ニューヨークリサーチセンター 橋本政彦「失業率は 2007 年 8 月以来の低水準」(2016 年 12 月 5
日)参照。http://www.dir.co.jp/research/report/overseas/usa/20161205_011465.html
3/8
個人消費
◆ 2016 年 10 月の小売売上高は前月比 0.8%増と、2 ヵ月連続で増加した。コア小売売上高も
0.8%増加し、好調であった。
◆ 11 月の自動車販売台数は前月比 0.8%減少し、年率換算で 1,787 万台であった。国産のライ
トトラックの販売減少により 3 ヵ月ぶりに減少に転じたものの、高水準を保った。
◆ 11 月のロイター/ミシガン大消費者センチメントは、前月の 87.2 から 93.8 へと上昇した。
大統領選の結果を受けて現況指数と期待指数の双方が上昇し、5 月以来の高水準となった。 小売売上高の推移
消費と株価
(億ドル)
(億ドル)
5,000
小売売上高
コア小売売上高(右軸)
(3ヵ月前比、%)
6
2,800
4
2,600
2
10
2,400
0
0
2,200
-2
-10
2,000
-4
-20
1,800
-6
-30
1,600
-8
-40
1,400
-10
4,500
4,000
3,500
(3ヵ月前比、%)
30
3,000
小売売上高
株価(右軸)
20
3,000
2,500
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
(年)
(年)
(注)コア小売売上高は自動車ディーラー、ガソリンスタンド、
建材・園芸、飲食サービスを除く。
(出所)Census, Haver Analyticsより大和総研作成
(注)株価はWilshire5000。
(出所)Census, Dow Jones, Haver Analyticsより大和総研作成
消費者マインド
自動車販売台数
(年率換算、万台)
消費者信頼感指数(1985=100)
120
-50
05
16
2,200
ロイター/ミシガン大消費者センチメント(1966Q1=100)
2,000
100
1,800
80
1,600
60
1,400
40
1,200
20
1,000
0
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
(出所)ロイター/ミシガン大, Conference Board, Haver Analyticsより
大和総研作成
800
16
(年)
05
06
07
08
09
10
11
12
(出所)Autodata, Haver Analyticsより大和総研作成
13
14
15
16
(年)
4/8
住宅市場
◆ 2016 年 10 月の新築住宅着工(一戸建てと集合住宅を含む)は、前月比 25.5%増の年率換算
132.3 万戸であった。一戸建ての増加に加えて、変動が大きい集合住宅が前月の大幅減から
急増して全体を押し上げた。
◆ 10 月の中古住宅販売(一戸建て)は、前月比 2.3%増の年率換算 499.0 万戸であった。2 ヵ
月連続で増加し、2007 年 2 月以来の高水準となった。
◆ 10 月の新築住宅販売(一戸建て)は、前月比 1.9%減の年率換算 56.3 万戸となった。前月
から減少に転じたものの、高水準を維持している。
◆ 9 月のケースシラー住宅価格指数(20 都市)は前月から 0.4%上昇した。3 ヵ月連続で上昇
し、住宅価格は緩やかな上昇傾向にある。
住宅ローン申請件数
住宅販売(一戸建て)
(年率換算、万戸)
(年率換算、万戸)
140
700
(2005=100)
450
新規申請
中古住宅販売
650
新築住宅販売(右軸)
借換申請
400
住宅ローン申請件数
120
350
600
100
550
300
250
500
80
200
450
60
400
150
100
40
350
50
300
20
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
0
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16
16
(年)
住宅価格
住宅着工と建設業者の景況感
(最大=100)
(年率換算、万戸)
80
(2000/01=100)
(1991/01=100)
240
220
220
210
200
200
240
180
190
230
160
180
220
140
170
210
120
160
200
100
150
190
80
140
180
60
130
170
40
120
260
ケースシラー住宅価格指数
(20都市)
FHFA住宅価格指数(右軸)
建設業者の景況感
70
新築住宅着工(右軸)
60
50
40
30
20
10
0
05
06
07
08
09
10
(年)
(出所)MBA, Haver Analyticsより大和総研作成
(出所)Census, NAR, Haver Analyticsより大和総研作成
11
12
13
14
(出所)Census ,NAHB, Haver Analyticsより大和総研作成
15
16
(年)
250
160
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
(年)
(出所)S&P, FHFA, Haver Analyticsより大和総研作成
5/8
企業動向
◆ 2016 年 10 月の鉱工業生産指数は、前月比 0.0%上昇した。指数全体の約 8 割を占める製造
業(SIC ベース)は同 0.2%上昇したものの、暖房需要の低速による公益部門の落ち込みが
全体の指数を押し下げた。
◆ 10 月の国防・民間航空機を除く資本財受注(コア資本財受注)は前月比 0.2%増と、前月か
ら増加に転じた。
◆ 11 月の ISM 製造業指数は前月から 1.3%ポイント上昇し、53.2%であった。3 ヵ月連続で基
準となる 50%を上回り、6 月以来の高水準となった。非製造業指数は同 2.4%ポイント上昇
し、57.2%となった。
鉱工業生産と設備稼働率
企業の景況感
(%)
(2012=100)
110
85
鉱工業生産
設備稼働率(右軸)
83
105
(%)
ISM製造業
ISM非製造業
65
60
81
79
100
77
55
50
75
95
73
90
71
45
40
69
85
35
67
65
80
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
(年)
(出所)FRB, Haver Analyticsより大和総研作成
30
05
06
07
耐久財受注
(前年比、%)
(億ドル)
在庫
10
11
12
13
14
15
16
(年)
(億ドル)
3,000
750
耐久財受注
出荷
15
09
(出所)ISM, Haver Analyticsより大和総研作成
製造業の出荷・在庫
20
08
資本財受注(国防・民間航空機除く、右軸)
2,800
700
10
2,600
5
0
2,400
-5
2,200
650
600
550
-10
2,000
-15
500
1,800
-20
450
1,600
-25
-30
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
400
1,400
16
05
06
07
08
09
10
11
12
13
(年)
(出所)Census, Haver Analyticsより大和総研作成
14
15
16
(年)
(出所)Census, Haver Analyticsより大和総研作成
6/8
物価動向
◆ 2016 年 10 月の CPI(消費者物価指数)は前年比 1.6%上昇し、2014 年 10 月以来の高い伸び
となった。コア CPI は、同 2.1%上昇した。
◆ 11 月の 2 年先期待インフレ率は 1.71%と前月から上昇し、5 年先期待インフレ率も 1.65%
と前月から上昇した。
◆ 11 月末の WTI 原油先物価格は 49.44 ドル/バレルで、10 月末の 46.86 ドル/バレルから上昇
した。11 月前半は価格が下落傾向にあったものの、11 月 30 日に OPEC が 8 年ぶりとなる減
産に合意したことにより、価格が急騰した。 消費者物価指数
期待インフレ率
(%)
(前年比、%)
6
3.5
コアCPI
2年先・期待インフレ率
5年先・期待インフレ率
CPI
5
3.0
4
2.5
3
2.0
2
1
1.5
0
1.0
-1
0.5
-2
-3
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
0.0
16
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
(注)コアCPIは食品、エネルギーを除く。
(出所)BLS, Haver Analyticsより大和総研作成
(出所)Cleveland Fed, Haver Analyticsより大和総研作成
(ドル/バレル)
(1973=100)
実効為替レート(ブロード)
コモディティ価格
(1967=100)
130
16
(年)
(年)
500
実質実効ドル(1973年3月=100)
名目実効ドル(1997年1月=100)
(ドル/バレル)
160
RJ/CRB先物指数
WTI原油先物価格(直近限月、右軸)
450
140
120
400
120
110
350
100
300
100
250
90
80
200
60
150
80
40
100
70
20
50
0
60
05
06
07
08
09
10
11
12
(出所)FRB, Haver Analyticsより大和総研作成
13
14
15
0
05
16
(年)
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
(年)
(出所)Wall Street Journal, CRB, Haver Analyticsより大和総研作成
7/8
輸出入・経常収支
◆ 2016 年 10 月の貿易収支(財・サービス)は、輸出が前月比 1.8%減少し、輸入が同 1.3%
増加した。この結果、貿易赤字は同 17.8%増の約 426 億ドルに大きく拡大した。
◆ 輸出入(財)を商品別に見ると、輸出では食品・飼料・飲料の分野で大豆の減少が目立ち、
輸入ではホリデー商戦を控えて消費財が増加した。
◆ 地域別(財)では、中国への輸出が前年比 11.3%増加し、日本向けも同 10.9%増加したが、
欧州向けは同 2.0%減少した。輸入は、日本からの輸入が同 8.2%増加した一方で、中国か
らの輸入は同 1.2%減少し、欧州からの輸入も同 4.6%減少した。中国からの輸入は 8 ヵ月
連続で前年を下回った半面、日本からの輸入は 5 ヵ月連続で前年を上回った。
貿易収支動向
経常収支の推移
(億ドル)
(億ドル)
(%)
3,000
0
0
貿易収支(右軸)
輸出
輸入
2,500
(億ドル)
0
経常収支(右軸)
-100
経常収支/GDP
-1
-500
-200
-2
-300
-3
-400
-4
-500
-5
-600
-6
-700
-7
2,000
-1,000
1,500
-1,500
1,000
-2,000
500
0
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
05
06
07
国・地域別輸出動向
国・地域別輸入動向
(前年比、%)
中国
10
11
12
13
14
-2,500
16
(年)
15
(出所)BEA, Haver Analyticsより大和総研作成
(前年比、%)
欧州
09
(年)
(出所)Census, Haver Analyticsより大和総研作成
30
08
50
日本
25
40
20
30
15
欧州
中国
日本
20
10
10
5
0
0
-10
-5
-20
-10
-30
-15
-40
-20
12
13
14
15
12
16
13
14
(出所)Census, Haver Analyticsより大和総研作成
15
16
(年)
(年)
(出所)Census, Haver Analyticsより大和総研作成
8/8
金融・財政
◆ 2016 年 11 月の FOMC(連邦公開市場委員会)において、政策金利である FF(フェデラルフ
ァンド)レートの目標レンジが据え置かれた。また、保有する資産規模については、現在の
水準を維持することが決定された。FRB の資産残高は、直近の 11 月 30 日の週平均が約 4 兆
5,000 億ドルであった。
◆ 11 月の長期金利(10 年債利回り)の平均値は 2.14%となった。トランプ氏が次期大統領に
選出され、新たな経済政策への期待などから、1 月以来初めて月中平均値として 2.00%を超
えた。
◆ 連邦政府の財政収支(12 ヵ月平均)は、このところ赤字幅が拡大している。
タームプレミアム(10年)
政策金利・長期金利
(%)
(%)
6
FFレート誘導目標
6
期待短期金利
タームプレミアム
10年国債利回り
10年債利回り
5
5
4
4
3
3
2
2
1
1
0
0
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
-1
16
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
(年)
(出所)FRB, Haver Analyticsより大和総研作成
FRBの資産構成
連邦政府の財政収支
(兆ドル)
(億ドル)
5.0
4.5
4.0
16
(年)
(出所)NY連銀, Haver Analyticsより大和総研作成
(億ドル)
0
3,500
-200
3,000
-400
2,500
-600
2,000
-800
1,500
-1,000
1,000
その他
3.5
3.0
MBS、政府
機関債
2.5
2.0
国債
1.5
1.0
財政収支
歳入(右軸)
歳出(右軸)
-1,200
0.5
0
-1,400
0.0
07
08
09
10
11
12
13
14
15
05
16
(年)
(出所)FRB, Haver Analyticsより大和総研作成
500
06
07
08
09
10
11
12
13
(注)データは12ヵ月移動平均。
(出所)米財務省, Haver Analyticsより大和総研作成
14
15
16
(年)