道徳通信 江田島市立大古小学校 平成 27 年度 5月号 文責:江川真由美 ◆今年度も,大古小学校・大柿中学校・柿浦小学校が 合同で研修を進めています。◆ 5月も半ばを過ぎ,子どもたちは,運動会の練習に向けて毎日がんばっています。 さて,今回の道徳通信「ひだまり」では,大柿中学校区3校が合同で進めている道徳教 育について,ご紹介したいと思います。簡単にまとめると,「全ての児童生徒に“出番” を与える」授業です。一人ひとりの児童生徒が,自分の考え方,感じ方をもって(自己決 定),それをみんなの前に表す(自己存在感)。そして,児童生徒は互いにそれぞれの相 手を受容していく(共感的人間関係)。これを授業の中でめざしていきます。具体的な手 立ての一部を例に挙げると,以下のようなものです。 ○ 自己決定させるために,自分で気づいたことや考えたことをワークシートに書か せるなど,発表や意見交流の前に一人で考える時間を確保。 ○ 自己存在感を与えるために,児童生徒が協力して学習できるよう,ペアやグルー プなど学習形態の工夫。 ○ 共感的人間関係を育成するために,友だちの発表に対して,発表者の方を向いて 聞かせたり,拍手をしたりするような雰囲気づくり。 これらのめざす授業の共通理解をもとに,大柿中学校区3校の教員で研修を進めてい きます。 さらに,この研修と兼ね合わせて,大古小学校では,道徳の時間に学ぶ心の部分と, 他教科や行事など学校生活での実践の場を結びつけるよう組み合わせた「道徳学習プロ グラム」の研究も進めています。 5月13日は,大古小学校5年生のクラスで,江川教諭の授業研究を通して,3校の 教員で研修しました。その道徳の授業の様子をご紹介します。 道徳の時間に用いた資料: 「江戸しぐさ」 (東京書籍) 江戸時代には「江戸しぐさ」と呼ばれる独特の礼儀の形がありました。傘をさしてすれちがう時, 互いに傘を外側に傾けて通り抜ける「傘かしげ」と呼ばれるしぐさや,「肩引き」 「かに歩き」といっ て,一方の肩を引き,横歩きをしてお互いすれちがう しぐさなどです。このような「江戸しぐさ」の心を考 え,今に生きる「現代しぐさ」についても考えたくな るような資料です。 5年生 道徳の時間「江戸しぐさ」 ~「相手を思う心を行動で表すことの大切さが実感できる道徳学習プログラム」第3時~ たくさんの先生たちが参観していましたが, 「緊張していません。 」と言っていた5年生。その言葉通り,高 学年らしく,堂々と,意欲的に授業に臨んでがんばりました。 まず,雨の日の登下校などで,傘がぶつかったり,しずくでぬれたりなどして,困ることがあるよねと体験 を思い出してからお話に入りました。 「江戸しぐさ」というものがあることを初めて知った5年生。まずは実 際に体験してみて,感想を発表しました。 「傘かしげ」 難しかったけど, うまくすれ違えてうれしいな。 「こぶし腰うかせ」3人しか座れないと思っ 「肩引き」「かに歩き」 たけど5人目でも入れてもらえてうれしかった。 も意外に通れた。すらすら通れてすごい。 狭くて それから,これらの「江戸しぐさ」にこめられた江戸の人の願いを考え ました。一人一人しっかり考えて学習シートに書き込むことができました。 そして「少しのことでもめない。」 「けんかをせず安全にくらしたい。」 「相 手のことを考えよう。」 「自分だけでなくみんなのことを考えよう。 」 「みん なの場所だから気をつけよう。 」 「不安にさせず楽な気持ちで過ごそう。 」 などたくさんの意見を発表することができました。それから,みんなの意 見を使って,それらに共通する思いは何かを考えるという,話し合いに挑戦しました。発表された友達の意見 を見ながら,よく考え,「みんなの場所では,みんなのために,け んかせず安全に過ごしたい。」という心だと自分たちでまとめるこ とができました。こうして,「江戸しぐさ」という礼儀は,このよ うな心が形に表されたものだったんだと考えることができました。 最後に,江戸時代だけ でなく現代においても, どんな心をこめて,ど んな「現代しぐさ」を大切にしたいかを考えました。「はしっこ しぐさ」「思いやりしぐさ」など,自分たちで考えて,すてきな しぐさが発表されました。これからも,心のこもった礼儀を大切 にすることで,みんなが気持ちよく過ごしていけるといいですね。
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