1 <「校長室便り」60> 教師っていいもんだ 先週、小学校6年生のスキー

<「校長室便り」60>
教師っていいもんだ
先週、小学校6年生のスキー教室が本校の志賀
高原寮で行われた。すばらしい天気で2日目には
全員が横手山頂(2307m)に上り、大パノラ
マを楽しんだ。雪山にも春は近い。
唯、この間引率で養護教諭を含めた3人の職員
が出かけ、都合の悪いことに低学年担任の職員が
体調が思わしくなく、休むことになってしまった。
(本山ひろ子「春」)
そんなわけで、私もあまり役に立たないのだが、先週後半小学校の授業に5時間ばか
りつきあった。見ていると1年生などは先生が何か一言話すと、あっちでもこっちでも
おしゃべりを始める。とても元気がいい。注意すれば静かになるのだが、しかしそれも
5分程度。
このような教室で怒るのではなく、子供たちをうまく乗せて、しかも騒がしくならず、
授業を進めていくのはなかなか技術のいることだと思った。体育の授業ではグランドに
2本の曲線を引いてそれを川と見なし、川に落ちないように飛ぶ。川幅は、つまり2本
の曲線間の幅は、ところによって異なり、子供たちは自分の判断で広いところ、狭いと
ころを飛ぶ。自信がありそうなのに川に落ちてしまう子、飛べそうなのに最も川幅が狭
いところで何度も躊躇する子。見ているとおもしろい。
そのうち、川にはワニがいることになった。一頭は教科担当の先生ワニ。もう一頭は
校長ワニである。先生ワニと校長ワニが入って、川を渡ろうとする子供たちをとらえよ
うとする。すると子供たちは川のそばをあっちに行ったり、こっちに行ったり、大騒ぎ
してワニの隙をうかがう。中にはワニがこわくて川を渡れない子供もいる。それも泣き
べそをかいている。おもしろいものだ。
私もうまく使ってもらい、先生の指導技術に感心した1時間であった。
20日(土)は生活の時間に百人一首大会が行われた。
小学校1年生でも上の句を詠んだ途端、すぐ取る子がいて
驚かされた。それも一人や二人でない。子供たちの記憶力
とはすごいものだ。
その時間の中で一人の男の子がおなかの痛みを訴え私が
トイレについて行った。が、出ない。二度、三度とついて
いったがやはり出ない。その子は大きな涙を流して苦しが
っている。高校からの応援の先生、事務職員にも手伝って
もらったがだめで、高校の養護教諭にきてもらった。さす
がに養護教諭はなれたものでアドバイスも適切だった。
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ところで、やはり先週のことだが、中高では17日
(水)にロングホームルームの研修会があった。本校
では各種の研修会、研究会に力を入れていて、各教科
の研修は勿論のこと、このようなLHRの研修会も実
施している。
水曜日の6時間目は元々LHRの授業なのだが、
この日は該当2クラスを除いた6時間目を授業カット
して、中高の全職員が研修に参加した。中学の代表で1年担任の先生が実施したのは「真
実を探るクリティカルシンキング
~21世紀型学力の養成」というものだった。
生徒たちに主体性と社会性を持たせたいとの問題意識が根底にあり、そのためにアク
ティブラーニングとグループワークを中心とした5時間のLHRを実施した。本時の中
心的内容は本校の文化祭のポスターを改良せよ、という極めて具体的、実践的なもので
あった。
最後にまとめとして、生徒たちに訴えかけていたが、これは同時に参観していた数十
人の先輩教員たちに自身の人生観を披瀝するものでもあった。経済産業省の「社会人基
礎力」すなわち、
「前に踏み出す力」
(アクション)、
「考え抜く力」
(シンキング)、
「チー
ムで働く力」
(チームワーク)を踏まえ、2020年度から変わる大学入試への対応も意
識したものだった。ここまで考えてLHRを実施していることに感嘆した。
もう一人は高校1年の担任だった。テーマは「他者を敬う
~江戸しぐさに学ぶ思い
やりの心」というものだ。指導案の中には「クラス観」という項目があるのだが、そこ
には、クラスの生徒同士仲がよいのだが、その分あまりに率直に物を言って相手を傷つ
けてしまうことがある、またそのことと関わって他者にも自己にも厳しいため、それが
自己肯定感を持つ上で妨げになっている、とある。担任だけによく見ている。
テーマの「他者を敬う」は、他者の良さを示して
やることによりその者が自分の良さを再発見し、自
己肯定感を高めることができるだろうとの仮定から
出発している。国語の担当なので他者への配慮の具
体例を「江戸しぐさ」に取り、それをグループ分け
した各班に発表させるものだった。これも5時間の
授業計画に基づくものである。
やはり最後に自分の考えを生徒たちに披瀝していたが、自身の思いを率直に語り、迫
力があった。前に担任をした時よりも担任として随分成長しているなと感じた。校長と
してもうれしかった。
自分の技術で人を惹きつけ、自分の思いを率直に語れる、やはり「教員ってのはいい
もんだ」と改めて感じた一時間であった。
(2016.2.23)
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