未来に生きる思考力・表現力を育む数学教育 「未来に生きる思考力・表現

研究テーマ
「未来に生きる思考力・表現力を育む数学教育
~考え合う楽しさを味わいながら,数学を創造する授業をめざして~」
〈テーマ設定の理由〉
従来テーマ「算数的活動・数学的活動を通して,考え合う楽しさを味わう授業をめざして」
のもと,多くの授業実践や授業研究を積み重ねてきた結果,多くの成果が得られたと同時に
課題についても明らかになってきました。
【成果】
○各学校で,算数的活動・数学的活動を意識した授業が行われ,子どもたちが意欲的に授業に
取り組めている
○学習形態の工夫等により,基礎・基本の定着が図られている
○学習課題の工夫などにより,子どもたちから多様な考えを引き出すことができている
【課題】
◎子ども一人一人が主体的に課題解決にあたり,自分と他者の考えを重ね合わせながら考察・
検証をしあうことで思考力や表現力を育んでいくような授業実践を引き続き行っていくこ
と
◎既習内容を,実生活や他領域に活用していく力の育成
数学的活動を通して,子どもたちが考え合う楽しさを味わい,意欲的に取り組むことができるよ
うになったという成果の上に,今後は数学の授業で付けるべき力を育んでいくことが求められるの
でしょう。その中でも,今後特に大切なのが,「思考力」「表現力」の育成だと考えます。これは,
「さまざまな事象に対して進んでかかわり,解決に向けて見通しをもち,筋道を立てて考える力」
や「自分で考えたことを,言葉や数,式,グラフ,表,図を用いて適切に表現する力」を育んでい
くことともいえるのではないでしょうか。
上記の力を育むためには,子どもたちがさまざまな事象に対して「なぜだろう」「不思議だ」と
いう切実感の伴った思いを抱き,数学的な見方や考え方を駆使しながら,他者とともに課題解決に
向けて取り組むことができるような授業構想および授業実践が必要となってきます。その際大切に
したいことの一つが,「振り返る」ことです。自分や他者の思考や表現を振り返ることで,子ども
たちの中で思考や表現が繰り返され,そのことによって考えがより深いものになったり,考える視
点が広がったりしていくでしょう。「振り返る」ことによって高められた数学的な思考力・表現力
は,その後の数学的活動の充実に繋がっていきます。「振り返る」ことを積み重ねていくことによ
り,既習内容を実生活や多領域に活用していく力が育まれるのではないでしょうか。また,単に
知識を習得させるのではなく,そこにいる全員で話し合い,表現し合いながら,自分たちなりの数
学の世界を創造していくことが出来たのならば,子どもたちの中に新たな知を創造していく楽しさ
や,他者とかかわることでより深みのある考えを生み出すことができるすばらしさが実感として残
るはずです。そして,「もっと知りたい」「他の場合にはどうなっているのだろう」といった思い
を抱き、蓄積された知識や思考力・表現力を,さらなる課題解決に進んで活かそうとしていくでし
ょう。これらのことは,まさに「未来に生きる数学的な思考力・表現力を育んでいる」ととらえる
ことができます。
従来テーマで大切にしてきた「考え合う楽しさを味わう授業」を継承しつつ,上記のような授業
を実践していくことが,子どもたちに,「未来に生きる数学的な思考力・表現力」を育んでいくこ
とに繋がるととらえ,そしてこのような実践の積み重ねこそ,子どもたちにこれからの時代を「た
くましく幸せに生きていく力」を育んでいくと考え,「未来に生きる思考力・表現力を育む数学教
育~考え合う楽しさを味わいながら,数学を創造する授業をめざして~」という研究テーマを設定
しました。
〈研究の重点〉
① 多様な学習形態の工夫だけでなく,子どもたちの「知りたい」「学びたい」という思い
を喚起し,基礎・基本の定着が図られるような指導の工夫を行う。
② 子どもたちが,数学的な見方や考え方を駆使しながら,他者とともに課題解決に向けて
取り組むことができるような授業構想および授業実践を行っていく。
③ 子どもたちが,自分や他者の思考や表現を「振り返る」ことで,考えがより深まった
り視点が広がったりできるようにする。
④ 子どもたちが,「自分たちで数学を創った」と実感できるような指導の工夫を行う。
⑤ 獲得した知識や考え方,表現の仕方を,他の場面でも進んで活かすことができるよう
な手だてを工夫する。
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