ミキサー食を提供している中での改善の取り組み

【一般口頭発表】
15:20~15:30
【一般口頭発表】
(第 5 会場・市民ホール)
医療と介護の質及び安全Ⅳ
栄養部門
ミキサー食を提供している中での改善の取り組み
15:30~15:40
(第 5 会場・市民ホール)
医療と介護の質及び安全Ⅳ
栄養部門
栄養管理の充実に向けて
~二年間の成果と今後の課題~
《演者》
戸塚共立第 1 病院
《演者》
森泉 真野
戸田中央総合病院
入澤 純一
1.目的(はじめに)
当院では、料理をミキサーに入れて撹拌する際の加
水量は調理担当者により異なり、ミキサー撹拌後の食
器に盛付けられる分量以外の残量は破棄している。そ
の為、提供栄養量が不明確であり投与栄養量の把握
が困難であった。そこで、当院で提供しているミキサー
食の栄養量を把握し、今後のミキサー食の調理方法の
改善を目的として実施した。
【背景・目的】
当院では、ハイリスク患者を定期的に評価出来てい
ないという栄養管理の問題があった。その背景には、給
食管理や栄養指導などその他の業務で時間に追わ
れ、十分な栄養管理の時間が設けられていないこと
や、栄養管理の基準・方法が統一されていないことが
原因となっていた。この二年間、栄養管理の時間拡大
や充実を目的に取り組んだ成果を報告する。
2.方法(内容)
1 週間の朝食・昼食・夕食について、ミキサー撹拌前
の重量、加水量・破棄重量を測定した。ミキサー撹拌前
の重量と加水量の合計重量に対するミキサー撹拌前の
重量比率(%)を算出した。求めたミキサー撹拌前の重
量比率(%)を用いて、提供されたミキサー食に含まれて
いる料理の重量を算出し、献立の栄養価を基準値とし
て比較を行った。
ミキサー食は分粥食をミキサーで撹拌し、調理・提供
を行っている。ミキサー食の主食は全粥をミキサーで撹
拌しトロミ調整食品を加えたミキサー粥を提供している。
その為、基準値はミキサー食に使用する分粥食副食の
栄養価と、全粥全量(360g)の栄養価の合計値となる。
基準値は、エネルギー1531kcal、蛋白質 57.9g、脂質
26.8g、炭水化物 258.8g、水分 1109ml である。
【方法】
1、給食管理業務の短縮を行う
2、栄養管理の基準、方法を統一する
①栄養評価基準を設定する
②栄養管理経過表を作成、活用する
③週 1 回ミールラウンドと栄養管理の日(午後)を確
保し、中・高リスク患者の栄養管理を行う
3、成果検証のため、栄養士にアンケートを実施する
3.結果(結論)
基準値に対するミキサー食の充足率は、エネルギー
78%、蛋白質 56%、脂質 45%、炭水化物 88%であっ
た。加水を行う副食のみ で 比較すると、エネ ルギー
49%、蛋白質 45%、脂質 43%、炭水化物 53%であっ
た。
4.まとめ
当院で提供しているミキサー食は、加水を行う副食で
は 50%前後まで栄養価が減少している事が分かった。
主食は加水せず提供される為、エネルギーと炭水化物
の充足率は蛋白質と脂質の充足率に比べて高い結果
となった。今後、栄養補助食品の添加や加水せずに提
供できる栄養補助食品の追加を進めていくことが課題
である。
第 53 回TMG学会
【結果】
1、一人当たり約 2 時間/週の栄養管理の時間拡大に
繋がった。
2、全体の中・高リスク患者の占める割合は 29%だっ
た。
(その内、経口摂取 46%、経管栄養 10%、静脈栄養
44%)
3、中・高リスクのうち、栄養管理を介入出来た患者は、
経口摂取で 87%だったが、経管栄養・静脈栄養の患
者には積極的な介入は出来なかった。
4、栄養管理の日を設けたことで、病棟での業務時間が
長くなり、医師や看護師と会話が増え連携をとりやす
くなった。また、定期的なミールラウンドや経過を追う
ことにより、患者の情報がより詳細に把握でき、食事
内容の変更や補助食品の提案など、病棟レベルで
改善できることが増えた。
【考察】
今回の取り組みにより、栄養管理の時間拡大や充実
に繋げることが出来た。しかし、経管栄養・静脈栄養患
者の栄養管理が十分に行えておらず、今後の課題であ
る。また、平成 26 年 12 月から稼動の電子カルテ活用
により、更に充実した栄養管理が行えるように取り組ん
でいきたい。