高知大学医学部における 人を対象とする医学系研究に係る 試料及び情報等の保管に関する標準業務手順書 制定日:平成 27 年 11 月 12 日 1. 背景 これまで高知大学医学部「以下「本学」という。 」では人を対象とする医学系研究に 関する試料、情報及び当該情報に係る資料(以下「情報等」という。 )の管理は研究者 に一任しており、その取扱いは明確に定められていなかった。「人を対象とする医学系 研究に関する倫理指針(平成 26 年 12 月 22 日文部科学省・厚生労働省告示第 3 号)に おいて「研究に係る試料及び情報等の保管」について明記されたことを受け、必要な 期間、適切に保管するよう学内手順を明確にし、管理する必要がある。 (人に関する医学系研究に関する倫理指針第 8 章第 19) 2. 目的 研究責任者・分担者が、 「研究に係る試料及び情報等の保管」の取り扱い手順を理解 し、適正に保管・管理することを目的とする。 3. 本標準手順書の対象となる研究 「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」および「ヒトゲノム・遺伝子解析 研究に関する倫理指針」に基づいて行われる医学系研究を対象とする。 4. 用語の定義 この指針における用語の定義は、次のとおりとする。 1) 人体から取得された試料 試料とは、血液、体液、組織、細胞、排泄物およびこれらから抽出した DNA 等、 人の体の一部であって、研究に用いられるもの(死者に係わるものを含む。)をい う。 2) 研究に用いられる情報 研究対象者の診断及び治療を通じて得られた傷病名、投薬内容、検査又は測定の 結果等、人の健康に関する情報その他の情報であって研究に用いられるもの(死者 に係わるものを含む。 )という。 4) 同意書 被験者(または代諾者)が自由意思に基づいて当該研究への参加又は継続につい て自署した文書。 5) 登録者識別コードリスト 当該臨床研究の参加に同意した被験者のカルテ ID・氏名と新たに付与されたコ ード(被験者識別番号、登録番号等)を対応させる表。 6) 匿名化 特定の個人(死者を含む。以下同じ。)を識別することができることとなる記述 1 等の全部又は一部を取り除き、代わりに当該個人と関わりのない符号又は番号を付 することをいう。 7) 医学系研究ファイル 研究毎に準備を行うファイル(研究によっては製薬会社・主管施設より提供を受 ける場合もあり) 。背表紙に研究名を記載した上で、破棄厳禁シールが貼付された A4 規格のファイルで、研究に係る保管書類(登録者識別コードリスト、同意文書、 登録票、など)を紛失しないように保管するもの。 8) 破棄厳禁シール(案別添) 保管期間中に医学系研究ファイルが破棄されないよう、注意を促すシールであり、 背表紙に貼付して使用する。 5. 対象とする記録類 人を対象とする医学系研究に伴う以下の記録類を保管対象とする。 ただし、本学に所属する研究者が研究代表者または記録保管責任者等として実施され る多施設共同研究において、本学における保管が研究計画書で定められている記録類が ある場合、それらの記録類を含む。 ① 倫理委員会申請書・決定通知書・報告書 *審査時に提出された添付資料および変更申請書・有害事象報告書・経過および最 終結果報告書を含む。 ② 原資料 各研究において、以下に該当する資料がある場合、当該資料を対象とする。 1) 電子カルテ上の診療情報 スキャン等により電子化された原資料データが電子カルテ上にある場合、当該デ ータを含む。 2) 電子カルテ上にない診療情報 (紙媒体・画像データ等) 3) 調査票 4) 症例報告書 5) 同意書 6) 同意撤回書 7) 割付表 ③ 二次資料 各研究において、以下に該当する資料がある場合、当該資料を対象とする。 1) 解析用データセット 2) 解析プログラム 解析に用いた統計ソフトにおける解析プログラム・アルゴリズム等、解析結果の 再現性を検証するための資料。 2 3) 解析結果報告書 ④ 追跡用資料 各研究において、以下に該当する資料がある場合、当該資料を対象とする。 1) 「③ 二次資料」の入手、修正、固定に関する記録 2) 登録者識別コードリスト 3) 症例逸脱記録 4) 人体から取得された試料の保存記録 6. 研究者等の責務 研究者等は、情報等を正確なものとするため、それらの収集、整理、保管および分 析にあたり万全の注意を払うものとする。 7. 研究責任者の責務 (1) 研究責任者は、人体から取得された試料および情報等を保管するときは、研究計画書 にその方法を記載するとともに、研究者等が情報等を正確なものにするよう指導・管 理し、人体から取得された試料および情報等の漏えい、混交、盗難、紛失等が起こら ないよう 必要な管理を行う。 (2) 研究責任者は、(1)の規定による管理の状況について研究機関の長へ少なくとも年1回 報告するものとする。また研究を終了ないし中止するときは、当該研究で用いた人体 から取得された試料および情報等の管理の状況を明らかにする資料を添えて、研究機 関の長へ報告するものとする。 8. 研究機関の長の責務 研究機関の長は、本学が実施する研究に係る人体から取得された試料および情報等 が適切に保管されるよう、監査などにより必要な監督を行う。 9. 文書管理(医学系研究ファイル作成)の具体的な手順の例 1) 研究責任者は研究計画書作成から申請時までにあらかたの原資料の特定を行う。 2) 研究責任者は倫理委員会の承認通知を受けてから、1 例目の登録までに準備を行う。 A4 ファイルの背表紙に【○○臨床研究】破棄厳禁又は【○○臨床研究】と破棄厳禁 シールを貼付する。登録者識別コードリスト・同意書・登録票・(必要時)参加研究 者リストを保管できるように 30 穴ファイルやハーフポケットファイルを準備する。 3) 研究責任者は、ファイル保管場所を決定し、ファイルの使用目的・方法、保管場所 等について研究者等へ周知する。ファイルは、施錠が可能な場所に保管するものと する。 3 10. 文書保管期間 侵襲(軽微な侵襲を除く)を伴うものであって、介入を行う医学系研究に係る医学系研 究ファイルは、当該研究の終了について報告された日から 5 年を経過した日又は当該 研究の結果の最終の公表について報告された日から 3 年を経過したいずれかの遅い日 までの期間、適切に保管する。 11. 廃棄の手順 保管期間終了後にファイルを破棄する場合は、研究者以外の者が保管期間終了を確 認した後、個人が特定できないよう、匿名化のまま破棄する。 12. モニタリング・監査時の提出 モニタリング・監査実施時には、当該「医学系研究ファイル」及び当該研究での人 体から取得された試料及び情報等を提出する。また、1 年に 1 回の中間報告時に倫理委 員会が医学系研究ファイル及び人体から取得された試料及び情報等の提出を求めた場 合にも、その求めに応じて提出する。 附則(平成 27 年 11 月 12 日承認) 本手順書は、平成 27 年 11 月 12 日から施行し、平成 27 年 4 月 1 日以降に新たに承認さ れた研究から適用する。 4
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