肝疾患とエコー検査 仙台医療センター 消化器内科 真野 浩 肝 臓 とても余裕のある内臓 多少壊れても何ともない 沈黙の臓器 肝臓を調べる血液検査 AST・ALT ALP・γ-GTP トランスアミナーゼ( AST、ALT) 現在の肝細胞の破壊(炎症)の程度を表す AST 肝炎 肝臓病ではASTとALTは ALT AST 肝臓 一緒に上下 ALT ASTのみ上昇: 血液 筋肉や心臓、赤血球の異常など 血 管 胆道系酵素(ALP、γ-GTP) 胆汁の流れがスムーズか、滞っているかを表す 胆管 ALP γ-GTP 胆石、胆管炎、胆管腫瘍などで ALPとγ-GTPが一緒に上下する ALPだけの上昇 胆 汁 十二指腸 :骨の病気など γ-GTPだけの上昇 :アルコール、 薬剤など 肝炎ウイルス A型肝炎ウイルス 経口感染、潜伏期は約3~4週間 発症1週間前から発症3週頃まで便中にウイルス排出 IgM型HA抗体で診断 一過性肝炎で自然治癒 世界では年間1千万人が発症、高齢者では死亡も ワクチンあり(米国では乳児期に全例投与) B型肝炎ウイルス 血液(体液)感染、乳幼児期の感染ではキャリア化 全世界では約3億5千万人が慢性感染 高浸潤域(10-20%) :中国・韓国・東南アジア・サハラ以南のアフリカなど 中等度浸潤域(3-5%):地中海沿岸・中央アジア・中欧諸国・ラテン諸国など 低浸潤域(0.1-2%) :北米・西ヨーロッパ・オーストラリアなど 初感染はIgM型HBc抗体高値。潜伏期は約3~4週間 ワクチンあり(米国をはじめ世界180国で乳児期に全例投与) C型肝炎ウイルス 血液(体液)感染、80%以上が慢性化 急性期に診断可能なIgM型抗体はない (HCV抗体の出現時期は2ヶ月目で約40%) → HCV抗体とHCV-RNA検査の結果で判断 潜伏期は6-12週間。全世界では約3億人が感染 ワクチンなし D型肝炎ウイルス HBVの寄生ウイルス(単独で感染や増殖はできない) 血液(体液)感染 (HBVと同時に感染するか、HBVキャリアに感染) 診断はPCRやIgM型HDV抗体など HBVキャリアでの高浸潤地域 ルーマニア:80%、アマゾン川流域:60% 南米 バルカン諸国 中近東、イタリア南部で約30% ワクチンなし(実質的にはHBVワクチンを利用) E型肝炎ウイルス 人畜共通感染症:ブタやイノシシ、シカなど 経口感染、潜伏期間は約6週間 黄疸期は便中にウイルス排出 IgA型HE抗体で診断 高齢者では死亡も 高発症地域:パキスタン、インド、ネパールなど開発途上国 ワクチンなし 牛レバ刺し提供ダメなら豚で代用…E型肝炎の患者倍増 12月26日付け 産経新聞 慢性肝疾患の原因 最も多い ウイルス性肝炎 B型肝炎ウイルス : 約100万人 C型肝炎ウイルス : 150~200万人 脂肪性肝炎 アルコール 食べ過ぎ・肥満 : 増加中 慢性肝炎の経過 - 肝臓の破壊 自覚症状はまったくない - ⇨ 肝臓の再生 と線維化 ⇨ 肝硬変 肝臓 再生 線維化 (コラーゲン) 数年から数十年かけて進行 腹腔鏡 正 常 慢性肝炎 肝硬変 <辺縁鈍化> 慢性肝炎では炎症・壊死・瘢痕化による萎縮性変化が特徴 そのため、周辺部分が先行して萎縮し、肝前縁部の角がとれ丸くなる <メッシュワークパターン;meshwork pattern> B型慢性肝炎が肝硬変の一歩手前まで進むと見られるようになる所見 B型慢性肝炎にしか見られないため有名 この網目のお陰で、早期肝細胞癌の発見しづらくなる 肝癌による死亡率 平成24年度の死者数は約31,000人 ★ 肺癌、胃癌、大腸癌に次いで癌による死亡原因の第4位 厚生労働省 平成24年度 人口動態統計より 肝臓病の進行と発癌率 肝癌の原因 アルコールや 肥満など 約17% B型肝炎 約15% C型肝炎 約68% Virtual Touch Tissue Quantification 臨床応用: 肝線維化 肝臓51巻1号54-55(2010) Acoustic Radiation Force Impulse による非侵襲的肝線維化診断の有用性 兵庫医科大学 Virtual Touch Tissue Quantification 肝疾患での臨床応用 《シア ウェーブ速度》 速い = 硬い 遅い = 軟らかい ROI 1.03 m/s 4.0 cm 1.99 m/s 5.0 cm Vs=1.03 m/s 《正常例》 2.73 m/s 3.1cm Vs=1.99 m/s 3.64 m/s 4.2 cm Vs=2.73 m/s Vs=3.64 m/s 東京医科大学 放射線科 慢性肝疾患 肝生検によるステージ分類 新犬山分類 《 肝線維化ステージ分類》 F0 F1 F2 F3 F4 線維化なし 門脈域の 線維性拡大 線維性架橋 形成 小葉のひずみ を伴う線維性架 橋形成 肝硬変 1.19 m/s 1.24 m/s 1.31 m/s 1.54 m/s 2.21 m/s 兵庫医科大学 飯島尋子先生 以上、ご清聴ありがとうございました。
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