肥満 非肥満別と 肥満・非肥満別と 18歳からの体重増加率から検討した 合併症予防のための目標体重 せんぽ東京高輪病院 高村晴美 柿崎祥子 徳永圭子 足立香代子 東郷真子 与芝真彰 目的 • 生活習慣病関連の合併症予防のための目 標体重を検討することを目的に、栄養指導 初回時の肥満度と18歳時からの体重増加 率のいずれが疾患数、および検査値に影響 しているかを分析した。 対象 • 生活習慣病の外来栄養指導に来院した患者のうち、18歳時の体重 が確認でき、体重変化が影響する疾患を除外した20歳以上の男女 1573人(男性1002人、女性571人)とした。 項目 年齢(歳) 平均±標準偏差 57 4±11 8 57.4±11.8 初回時BMI (kg/㎡) 25±3.9 18歳時BMI(kg/㎡) 21 4±2 9 21.4±2.9 拡張期血圧(mmHg ) 83.7±12.0 ALT(IU/l) 31.9±26.8 γ-GTP 38.6±45.3 TG(mg/dl ) 174.6±139.2 FBS (mg/dl ) 137.0±50.8 疾患名 n数 % 糖尿病 955 60.7 高血圧 912 58.0 脂質異常症 1009 64.1 高尿酸血症 152 9.7 慢性腎不全 94 6.0 方法 • 栄養指導初回時の肥満の有無別と、体重増 加率10%未満 10 20%未満 20%以上の 加率10%未満、10-20%未満、20%以上の 別に18歳時のBMI、疾患数、検査値につい て検討した。 ・疾患は糖尿病、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症、慢性腎不全を 数 数えた。 。 ・検査値は生活習慣病に関係する項目のうち、データ数が得られた、 空腹時血糖値、中性脂肪、肝機能(ALT、γ-GTP)、血圧を検討した。 項目 肥満 (n=699) 非肥満 (n=874) 18歳時体重増加率(%) 27.3±17.1 10±13.1 疾患数 2.2±0.92 1.8±0.9 拡張期血圧(mmHg ) 85±12.1 83±11.9 ALT(IU/l) 40.1±34.2 24.9±15.1 γ-GTP 45.8±52.6 32.4±36.9 192.7±138.2 160.1±138.3 138±49.5 135.4±51.9 6 7±2 2 6.7±2.2 6 8±2 6 6.8±2.6 TG(mg/dl ) FBS (mg/dl ) HbA1 (%) HbA1c(%) P値 P<0.01 ns 栄養指導初回時の肥満、非肥満例別にみた 疾患数および検査値 Mann-WhitneyのU検定 P<0.05 疾 患 数 2 10%未満 10-20%未満 20%以上 1.5 肥満 非肥満 栄養指導初回時の肥満、非肥満例において 18歳からの体重増加率別にみた疾患数 Bonferroni/Dunn法 * 2.5 疾 患 2 数 * * * ** 1.5 10%未満 10-20%未満 20%以上 1 痩せ 標準 肥満 (n=171) (n=1260) (n=142) 18歳時の痩せ・標準・肥満例において 体重増加率別にみた疾患数 Bonferroni/Dunn法 :P<0.01* P<0.05** 10%以上 10%未満 疾患数 2.1±0.9 1.8±0.9 ALT(IU/l) 35±29.2 25±19.3 TG(mg/dl ) 189±141 4 189±141.4 146±130 1 146±130.1 γ-GTP(IU/l) 4±47.4 33±40 拡張期血圧(mmHg ) 85±11 9 85±11.9 82±12 2 82±12.2 空腹時血糖値 136±48.7 140±54.9 6 7±1 5 6.7±1.5 6 8±1 6 6.8±1.6 項目 HbA1c(%) 18歳からの体重増加率別にみた 疾患数及び検査値 Mann-WhitneyのU検定 P値 P<0 01 P<0.01 ns 考察 • 肥満例は非肥満例に比べ疾患数、18歳時からの体重 肥満例は非肥満例 比べ疾患数 歳時から 体重 増加率、ALT,TG、γ-GTP、拡張期血圧のいずれも高 く、10%以上増加例で異常値を示した。 • 18歳時からの体重増加率が10%以上、18歳時に痩 歳時からの体重増加率が 以 、 歳時に痩 せであるが20%以上の増加率を示した例では、疾患 数が有意 増加 数が有意に増加し、BMI25未満の非肥満の割合が 未満 非 満 割合が 65%と多かった。 結語 • 生活習慣病合併症予防のための目 標体重は、BMI以外に18歳からの 体重増加率を活用するのが望まし いと考えられた。
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