平成27年度 後期 学力向上を図るための全体計画(PDF:419KB)

平成27年度
後期
学力向上を図るための全体計画
後期
墨田区立第三吾嬬小学校
1
重点的に取り組む課題と課題解決に向けた目標
目標1
課題
国語の学力向上
国語力、特に読む力・書く力に不足があり、全教科の学力に影響を及ぼしていること
目標2 算数の学力向上
課題 学年進行と共に成績が降下していき、高学年でその傾向が顕著になること
目標3
興味・関心を喚起する問題解決学習の実施
課題 ・問題や課題を追究する学習が未定着であり、思考力・判断力が育っていないこと
・理科・社会では興味・関心をもてない児童が増え、学習する楽しさが味わえていないこと
目標4
学習成果の確かな定着
課題 ・学習直後の確認テストでは合格だが、時間が経つと定着の正確さに欠ける。
2
概
本校の学力の特徴
(27年度区学習状況調査から)
要
○2~4年生の墨田区学習状況調査の結果は目標値を凌ぐ項目がほとんどである。しかし、高学
年になると 目標値に大きくとどかない項目が大変多くなる。
○国語は目標値を下回るレベルが-5p以内に留まる項目が多くなり向上傾向にある。
○算数・社会の5・6年、理科の5年は正答率がほとんどの項目で目標値を大きく下回っている。
標準スコアで見る学力状況
国語・2~5年は目標値を凌ぐ。5・6年も2.5p及ばない範囲で向上している。
・漢字の読み書きは、帯時間の導入により学校全体で0.8p(学校値ー目標値の値)向上した。
・「書く力」は学校全体で7.3p(学校値ー目標値の値)向上した。書く力の育成を目標とした
校内研究の成果が現れている。
・「読む力」は-2.6p(学校値ー目標値の値)下降した。特に、説明文の読み取りが-5.7p下降
し弱みとなっている。また、文章を読み取るのに時間がかかることも課題である。
算数・2~4年は標準スコアを上回っている。また、3年生は昨年度よりも下降気味である
が標準スコアを1.9p上回っている。5・6年生は年々下降しており、標準スコアより
-5p程度低い数値である。
・計算する力の正答率は-1.1p下降している。詳細に見ると2~4年生は1.5p向上して
いるが、5・6年生が-6.5p下降した影響が出ている。
社会・4年生は標準スコアを1.7p上回っている。
・5・6年生は-3p程度標準スコアを下回る。また、経年変化を見ると年々下降している。
理科・4年生は標準スコアを1.1p上回っている。
・6年生は昨年度からスコア上6.8pの改善が見られるが標準スコアに-2.3p及ばない。
・5年生は-7.1pスコアが下降した。また、昨年度と比べても-1.7p下降した。
-1-
3
i-check(意識調査)他の調査から読める課題
足りない家庭学習時間
〇本校では、家庭学習は「学年×10分+10分」を毎日課題として出しているが、3年生と
6年生において、
「全くしない」という児童の割合が全国値を上回っている。
〇「30分くらい」の項目は全学年とも全国値の割合を上回っている。しかし、「1時間くら
い」から上は全国値を下回り、家庭学習時間が足りていない。
特に5年生の「1時間くらい」の項目は全国値を12.5%下回る。高学年は1時間以上の
家庭学習は必須であり、これでは学力向上は望めない。
〇本校の家庭の状況を考えると、家庭で学習をする事が困難な児童が多く、学校で放課後学
習できる部屋の提供などの方策を考えていかなければならない。
少ない読書量
〇1週間に本を全く読まない児童が、各学年とも存在する。特に、5年は全国値より10.5%
6年生は8.9%と「本を全く読まない」児童の割合が高い。
〇「2~3冊」程度までの児童の割合は各学年とも全国値の割合とほぼ同一である。それ以
上の冊数になると全国値に届かない割合となる。読書は各教科の学習成績と密接に関係し、
特に「読む力」の育成に深く関わる。本校で「読む力」がなかなか定着しないのは、図書
など文字に接する機会が少ないこととも関係すると考える。
長すぎるテレビ視聴・ゲーム
各学年とも、1時間程度の児童の割合が中心となり、全国値とも同様の割合である。しか
し、高学年に行くほど、2時間超のTV・ゲーム時間の児童が多くなり、全国値を凌ぐ。
特に課題となるのは、3時間くらい、4時間以上の児童の割合が全国値よりもかなり多い
ことである。特に新6年生の4時間以上24.7%(全国値17%)
、5年生の26.2%(全国値1
5.2%)は大きな課題である。
4時間以上TV・ゲームに時間を費やしていると言うことは、下校後、ほとんどの時間をTV
・ゲームに時間を使っていることであり、学力上・生活上の大きな課題である。当然、この
ような児童の就寝時間は11時を大きく越えている。これでは家庭学習に取り組む時間がとれ
ない。
4
課題解決に向けた取組
1-1.
※取組の番号は目標番号とリンクしている
児童の「読む力」
、
「書く力」を育む授業の実施
本校児童には文章を主体的に読み、そこから情報を得ようとする意欲や読み取る力に欠け
ている。また、読んだ文章をから導き出した考えを書いて他に伝えることを苦手としている。
今年度の学力調査では、「読む力」、特に説明文を読む力が弱いことがわかった。これを改
善するために、次の取組を実施する。
■児童に「読む楽しさ」を味わわせる授業の実施〔継続〕
・昨年度までの校内研究で開発した、「わくわく読み」のコンセプトを用いた授業を実施し、
常に“考えながら読む”楽しさを味わわせ、先を読みたくなるような授業を実現する。
■説明文の読み方の指導に重点を置いた指導を実施する
・説明文を読み取る方法の指導を行い、効果的に読み取る力を付ける。
・説明的な短文を速読し、そこから必要な要素を読み取ったり、それを活用して短作文を書
いたりする学習を取り入れる。
-2-
■自分の考えを文章で伝える力を育成する指導の工夫〔校内研究〕
・考えを広めたり深めたりする交流活動を工夫し、学び合いながら考えを深める授業を展開する。
・自分の考えを書いたり、目的に応じて文章を書き換えたりする学習課題を設定した授業を実施する。
・文章を書く方法を指導して、効果的に考えを文章で伝える力を育成する。
■文章を書く活動に慣れさせる
・短作文で自分の考えを書き表す活動を取り入れる。
・各教科、領域で考えを書いて伝える活動を取り入れる。
■指導の目標や内容を明確にした授業の実施
・各学年の指導すべき事項、つけさせたい力を明確にした授業を実施する。
■ノート指導の徹底〔全教科〕
・日付、学習課題、学習内容の記録、まとめ(文章化など)を必ず書かせる指導を行う
■手紙を書く活動を通して、相手を意識して丁寧に思いを伝える活動の実施
・思いや考えを伝える文章を書かせる学習活動を取り入れる。
・読み手を意識した文章を書く学習として取り上げ、丁寧な文字で心を伝える手紙のよさを
学ばせる。
1-2.国語力向上を支える取組
■言葉の特徴やきまり、文字に関する事項を習得させる〔継続〕
指導要領に示されている、「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」の定着が弱いた
め、言葉の働きや表記、語句に関する事項、文や文章の構成に関する事項、文字に関する事
項の理解に対する指導の時間帯を新設して徹底した。効果は上がっており、今後も継続する。
■読書に親しむ児童を増やす
本校の児童は、本に接する機会が少ない。また、事象に直接接する生活経験が少ない傾向
があり、様々な場面でこれらが学習活動に影を落としている。読書を通した間接経験をさせ
ることは、国語力の育成の観点のみに限らず、心の育成の観点からも読書活動を進めていく。
・読書課題を設定し、読書量を増やす取組を実施する。
・「年間読破ページ数に挑戦させる」、「毎月の読書冊数を提示する」など、児童の読書量を増
やす取組に加え、多様な図書に親しませるため、全校統一した読書カードを開発する。
・ブックトーク、アニマシオン、紙芝居など、読書に対する関心意欲を喚起する取組を実施
する。
・読書環境の整備に努める(PTAとの連携活動を実施)
■俳句活動を展開し、美しい言葉や表現に敏感な児童を育成する
毎月の定例句会の実施方法を工夫し、活動のマンネリ化を防止する。(写真俳句や季語やお
題の提示等)
2.算数の基礎力をつける学習指導の実施
本校の算数の状況は、2~4年までは目標値をほとんどの項目で凌いでいる。課題は5・
6年生の算数力の弱さと4年生を境として、算数の正答率が下降することである。また、こ
れに伴ってD層が増えている。算数は積み上げが大切な教科である。そのため、5・6年に
なって算数が苦手にならぬよう、低学年からしっかりとした学力の積み重ねをさせていかな
ければならない。
また、指導者は、この学年では「これだけは身に付けさせる」という指導事項(たとえば
かけ算九九)を明確に定め、徹底指導していくことが大切である。
(1)発達段階を考慮した授業づくり
-3-
■低学年は徹底的な基礎技能の定着と生活に根ざした算数指導の実施
・本校児童は生活経験が極めて不足している児童が多い。例えば、数と実物との結びつきが
できなかったり、時間意識に乏しく時計と時間が結びつかなかったりなど枚挙に暇がない。
そのため、できるだけ実物や実体験を大切にした指導を実施していく必要がある。(特に習
熟度の中~下位クラス)
・算数で押さえるべき基礎技能の徹底的習熟
(例えばかけ算九九のように、全児童に徹底して反復練習させる。フラッシュカード指導や小テスト
等も有効である。低学年は反復学習に抵抗が少ない時期であることを活用したい。
)
・算数的に考えるツールを指導する
(基礎的な線分図やアレイ図など、考えを進めていく手立てを指導したい。これが中学年につながる)
■中・高学年は、問題解決型の算数授業が必須
・問題から“児童の知的好奇心を喚起する課題”をつくることで問題解決学習の成否が決ま
る。この時間は(この単元は)何について考えさせるのかを明確にしておくことが大切で
ある。そのためにはどのような問題が適当であるかを考えて授業を構築していきたい。特
に、中学年で、算数的な思考の楽しさを身に付けておかないと、高学年での主体的な算数
学習は期待できない。
・低学年から指導してきた“考えを進めるツール”を使わせ、課題解決に向けた「自力解決
の時間」を大切にしたい。その後、交流活動を取り入れ、皆で課題を解決する授業を積み
上げていくことが、算数学習の楽しさにつながる。このような授業を実施していかないと、
算数に対する関心・意欲が萎え、算数嫌いの児童を育ててしまうことに直結する。
・中学年で算数の基礎的な指導事項は出そろう。技能や知識理解事項は中学年でしっかりと
定着させることが高学年につながる。たとえ低学年でしっかりとした指導を行っても、中
学年での指導に不足があると高学年での伸びは期待ができない。高学年児童のつまずきの
ほとんどは、中学年での指導事項の理解・習熟不足に起因する。
(2)算吾タイムはやはり大切
計算力を磨く習熟度別指導の時間(算吾タイム)は、やはり必要である。算数において考
えを進める上にも計算力は必須である。授業の学習と関係が無い時でも計算を反復練習して
いることによって、計算方法の忘却や習熟の劣化が抑えられている。
高学年では、算吾ドリルを実施する時間確保が課題である。家庭学習と組み合わせて考え
たい。
3-1.問題解決型理科・社会科学習の実施
■理科・社会の授業ではシンプルな問題解決学習を実施する
特に、理科・社会の学習では、児童の関心・意欲・態度が萎えてしまっている。また、こ
れらの教科が好きな児童と嫌いな児童の2極化が顕著になっている。この状況を改善するた
めには、知的好奇心をもてる理科・社会の指導が必要である。
〇理 科
・学習過程のシンプル化を図り、分かりやすい授業進行を行う。
ex. 興味関心を喚起する導入→学級で分かりやすい課題設定→予想
→検証(たっぷりと時間を確保した実験・観察)→結論→学習内容のまとめ
・“児童が興味関心をもつ”導入のしかけの事例を蓄積・活用したい。
〇社 会
・学習過程のシンプル化を図り、分かりやすい授業進行を行う
ex. 興味関心を喚起する導入→追究課題の設定→予想
→調べる活動(資料は教員が分かりやすいものを準備し、読み取り・思考活動を重視する)
→課題に対する自分なりの答をだす→学習内容のまとめ
・資料の読み取り方の指導、その資料から読み取れる事実と学習課題に関連させた考えを
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書かせる学習活動を重視する。
・資料は、学習課題解決に適した資料を教員が用意し、意味の無い資料探しの時間を無くす。
(習熟度の高い児童は、自前の資料を使わせても差し支えない)
3&4.課題設定と学習成果をまとめる時間の重視
本校は、「学習課題の明示」と「まとめの時間の設定」を授業に課している。学習課題は提
示を工夫し、児童が学習の必要感をもてるものとする。また、本時の締めとなるまとめを実
施し、児童はそれを記録するなど、確実な定着を図る。
・授業のねらいをシンプルに定めた授業を実施する
・学習意欲を喚起する課題設定を工夫し、課題は必ず明示する。
・授業の流れの中で、本時のまとめとなる学習活動(記録を伴う)を用意し、本時で学習し
た成果を文章化するなどの学習活動を用意し、学習成果の定着を図る。
4.習得した学習成果の確かな定着を図る
■単元が終了したら、知識的な内容、技能のまとめを実施する
・知識的な内容、技能などについての確認テストの実施やまとめの印刷物発行等を行う。
・学習した内容を教室内に掲示するなどして児童が常時意識できるようにする。
・金曜放課後補習の時間は、社会・理科の学習事項のまとめ・復習の時間とする。
・理科・社会の授業では、知識的内容や技能を、
“正確に定着させる”学習活動を行う。
(知識事項は曖昧な言葉ではなく、正しい用語・正確な漢字表記で
等)
■学習記録やワークシートの質を上げる
・ノートの活用を進め、基本的な記録の仕方を指導する。特に概念図にしたり、箇条書きで
まとめたりするなどの手法も指導する。
・ワークシートは本時のまとめとなる設問を入れ、学習成果を確認できる工夫をする。
・学習記録(社会科などの新聞、理科の観察カード等)は記録の仕方を指導するとともに、
指導の意図を反映している作品は掲示するなどして、他の児童の手本とする。
5.学力向上を支える取組
■三吾「学習スタンダード」を実施し、学習に向かう姿勢を育成する
本校の学習規律に関する共通理解事項をまとめた「学習スタンダード」を改訂し、全校で
共通実施する項目(必須事項)を決めて実施する。
■三吾「家庭学習スタンダード」を作成し、家庭学習習慣を確立する
・家庭学習をベース学習(全員提出必須)+トッピング学習(自学自修学習)とし、習熟度
の違いを考慮し た家庭学習課題の提示を行う。
・1~3年はベース学習のみとする。
・トッピング学習は、学習日記や日記、俳句、詩の暗記・暗唱、ベーシックドリル、調べ学
習等を想定する。
・家庭学習の時間は、明日の学習準備も含めて 毎日「学年×10分+10分」 を基準とする。
・家庭学習の手引き作成し、家庭学習の仕方の周知を図る。
・月1回の金曜放課後補習の時間は、
「家庭学習相談日」
(面接指導)を実施する。
・家庭で学習できない児童のために、放課後に図書室を“自学自習室”として開放し、学習
の場を提供する。
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目標の実現状況を測るための検証可能な成果指標
目標1
国語の学力向上
■平成28年度の区学習状況調査の国語科「読む力」「書く力」の平均正答率を目標値と同等
にする
■低学年100冊、中学年800ページ、 高学年1000ページを2月までに実現
■漢字タイムを継続し、年度末までに当該学年の合格到達者が80%を実現
目標2
算数力の向上
■算吾タイム(計算習熟度別学習)を改善し、計算項目の正答率を目標値と同等とする
■問題解決学習を実施し、28年度の区学習状況調査で10%引き上げる。
目標3
学習成果の確かな定着〔社会・理科〕
■正答率を28年度の区学習状況調査で10%引き上げる。
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