第 42 回 実技試験 解説集 問題資料・問題文はお手持ちの過去問問題またはインターネットで配布され ているものをダウンロードして下さい。問題資料関連の配布は社団法人気象業 務支援センター著作権によりできません。解説制作者:荒山 実技 1:100 点満点中 72 点以上は欲しい! 問 1 [22 点満点] 18 点以上欲しい! (1)12 点 日本付近の気象状況に関する問題です。参照する資料は、地上天気図(図 1)・ 300hPa 天気図(図 2) ・500hPa 天気図(図 3) ・850hPa 天気図(図 4) ・500hPa 数値解析図(図 5 上)などである。解析天気図から気象概況を解析していくタ イプの問題で、合格レベル以上であればほぼ満点すべきである。 1 ①:1000(hPa) 地上実況天気図は、等圧線を 4hPa 毎に引いている。なお、補助線として破線 で 2hPa の等圧線を表示する場合がある。さらに等圧線は 20hPa 毎(・・・960、 980、1000、1020、1040・・・)に太線で表示することが一般的な約束である。 低気圧の中心気圧は中心の×を囲む最も低い等圧線の値を読み取ることになっ ている。千島近海の L 付近に 1000 という表示があり、且つ太い等圧線が最も低 い気圧なので、そのまま 1000hPa となる。 ②:北東 低気圧の進路は 16 方位で⇒で表記する。見た瞬間に北東と判断できる。進路 の⇒と付近の緯度・経度線の走行を比較して、16 方位を判断すうことがポイン トである。ミスする方は多数の進路表示された天気図で練習する他ありません。 そもそも 16 方位判断に 10 秒以上時間をかけるのは制限時間のある試験対策 としては不十分です。街を歩く人が男?女?と瞬時に判断できるくらいに日頃 から慣れておくべきです。 ③:15(ノット) 移動速度は 15 ノットです。単位を km/h 換算すると 1kt は 1.852km/h だから、 1,852km×15=27.78km/h です。これを 5km/h 毎の速度で表示すると 27.78 は 25.00 よりも 30.00 に近いので 30km/h となります。 ④:48(度) ●は地上 L の 位置 2 ⑤:135(度) 低気圧の中心位置を緯度・経度 1 度単位で読み取る問題、あるいはその類の 問題は頻度が高い出題である。このような問題はできれば体感的に瞬時 10 秒以 内で解答したい。迷う場合は 10 度毎の緯度・経度線の中間線を定規で精密に引 いて内分しやすくする。 500hPa の L の位置は図の青点位置を読み取る。 まず、東経 130 度線と 140 度線の中間経度線 C を引く。次に、北緯 40 度と 50 度の中間地点を取り、さらに線 C の中間視点を取り、3 点を結んで中間緯度 線 B を引く。これで 5 度単位の緯度・経度線が完成する。なお、中間緯度線は 直線ではなく、付近の北側の緯度線と南側の緯度線の曲率の中間くらいをアバ ウトに与える。ここは神経質にならなくていい。さらに線 C 上の北緯 47.5 度の 緯度線 A を引いておく。 すると、低気圧の位置は北緯 45.5 度より僅かに北であるから北緯 48 度、東 経は 135 度と判断できる。 (定規で mm 単位の精度よい中間線、さらに中間線の中間線を引けば内分は簡 単になる。デバイダーで超精密に判断してもいいのだが、1 点の問題に時間消費 することは得策ではない。慣れたら楽に 30 秒以内で解答できる。) ⑥:東北東 前ページ図に地上低気圧の中心を表示した。500hPa 寒冷低気圧の中心の東南 東側に位置している。地上低気圧の位置を虫眼鏡ですばやく地理的な特徴をか らめて把握するとミスが少なく速い。今回は北方領土の最も大きな択捉島の南 部の直ぐ北の沿岸である。これを覚えて 500hPa の天気図に赤鉛筆で位置を着 色すれば方位判断が容易である。 ⑦:寒気 問題は、択捉島付近の低気圧の進行方向前面における 500hPa の温度場の判 断を求めている。地上低気圧の北東方向を見ると、500hPa で等温線が南へ垂れ 下がり、寒気場となっている。問題文が( ⑦ )があり~、となっているた めに寒気が適切である。どのような温度場になっているか答えよという場合で は「寒気場」と答える。おそらく寒気場と書いても許容されるとは思う。 3 ⑧:正渦度 虫眼鏡で確認必須である。文脈と図 5 上の天気図から、択捉島付近の低気圧 上空 500hPa は、付近を 3 つの正渦度極大値が存在する。これら 3 つの正渦度 極大域付近に地上低気圧が位置しているので、正渦度極大域と問題文では記述 しているわけである。細かい事を気にしなくても空欄には正渦度としか入れよ うがないので数秒で解答した方が得策である。 図5上 ⑨:小さい・低い 択捉島付近の低気圧が今後発達するかどうか?解析してみよう。 ○ 発達する低気圧は 850hPa で、低気圧の進行方向前面で暖気移流、後面で は寒気移流が明瞭である。地上天気図にも温暖前線と寒冷前線が解析表示さ れていることが殆どである。ちなみに図 5 下を見てもそのような状況にはな っていない。 ○ 発達する低気圧は、低気圧の上流側にトラフが位置している。緯度経度で 5~6 度以内にトラフが存在すると、地上 L と 500hPa のトラフの立体的な対 応が明瞭であり、発達傾向も明瞭である。今回はむしろ地上 L の下流側にト ラフが見られ、非該当である。 ○ 今回の問題では渦度で考察する為渦度で解析する。低気圧が発達するする ときは、地上低気圧の上流側に正渦度極大域があり、その移流域に地上低気 圧が位置していることが多い。絶対ではないが、正渦度極大域とトラフは 8 4 割くらいが同じ位置に対応しているから、必然的に発達する低気圧は地上低 気圧の上流側にトラフ並びに正渦度極大域が位置することになる。 なお、トラフと正渦度極大域の位置が同位置になることは絶対でないと断 った根拠は、渦度の大きさは流れの曲率の大きさの他にも風速の水平シアの 大きさに比例して大きくなる性質があるためである。 ⑩:18(℃) 図5下 地上前線を赤ラインで表示 問題文で 15℃ないし( )℃と記述してくれているので親切である。どうみ ても 18℃しかあり得ない。前線位置を 850hPa 天気図に書く場合は、朝鮮半島 南部の地理的特徴、北陸地方の能登半島付近、東経 150 線上の北緯 42 度付近な どというように要所を押さえて丁寧に引けばよい。トレーシングペーパーに書 き写して作業するほどでもない。先々の問題で時間を消費する可能性があるの だからなるべく時間節約が大原則である。 天気図解析が慣れている方々は 7 月の梅雨前線は 850hPa の 18℃や相当温位 では 336K 前後と対応がよいことは熟知しているかもしれない。 補足すると、問題が 1 つの等温線を答えよとあれば 18℃となることは当然で ある。 5 ⑪:9600 ⑫:南 等風速破線 60kt 以上の風速の極大部(東西の端と端)を通るように強風軸を 解析した。勿論対応するジェット気流は亜熱帯ジョット気流である。 上図から地上前線は朝鮮半島南部付近に位置しているので、強風軸付近であ る。能登半島付近では地上前線の位置が強風軸よりやや南側に位置している。 また、対応する等高度線は 300hPa の場合は 120m 毎に引かれているので、台 湾北部付近の 9840m から北へ行くほど低いので、2 本分 240m を引けば 9600 mと算出できる。 7 月の梅雨前線は例年 300hPa との対応はこれに近いことを知識的に知って おくとよい。 総評:12 点満点取るべき! 5 分程度ですべて正解できることが合格の第一歩と言えよう。解析レベルは基 礎であり、資料を素早く解析してミスが無いようにしたい。ここでは 12 点満点 を目指すべきである。 6 (2)10 点 ① 根室の現在天気に関する出題 現在天気記号: (2 点) 正解:c (2 点) 問題不備により現在天気の意味は、全員正解とする措置を取った。 (選択肢は何を選んでも正解であった) 厳格な意味:霧又は氷霧、観測時前1時間内に始まった又は濃くなった。 (自動観測・無人観測)の場合は上記が解答になる。 自動観測(無人観測)に関する資料: 引用元:P9 http://www.jmbsc.or.jp/hp/online/data/surface_format.pdf#search='%E7%8F %BE%E5%9C%A8%E5%A4%A9%E6%B0%97+%E7%84%A1%E4%BA%BA% E8%A6%B3%E6%B8%AC' ②:晴れ (2 点) ○ 15 種ある天気で雷とは、雷電または雷鳴のある状態と定義。 これは雷による音(ゴロゴロ音など)あるいは、雷による稲妻による 放電現象をいう。 ○ 気象庁は、観測時の前 10 分以内に「雷電または雷鳴があった状態」を雷と いう天気(15 種のうちの 15 番の天気)と決めている。 ○ 稲妻による放電は見えず、空が一瞬光った現象を電光という。電光だけで は天気は雷にならないことに注意。全天の端の方で電光と言う場合もある。 父島の現在天気は、WW13 によれば(現在天気 100 種一覧表) 「電光は見え るが雷鳴は聞こえない」である。よって、音は聞こえない、放電現象の稲妻も 見えない、ということから雷という天気に該当しない。 7 ③:気圧変化量は+1.1hPa 問題の解答形式に合わせると、1.1hPa 上昇となる。 (2 点) ④:d (2 点) 上昇後下降。現在の気圧は 3 時間前の気圧と等しいか、または等 しい。 上昇後一定、または上昇後緩上昇。現在の気圧は 3 時間前の気圧 より高い。 下降または一定後上昇、または上昇後急上昇。現在の気圧は 3 時 間前の気圧より高い。 下降後上昇。現在の気圧は 3 時間前の気圧より等しいか、または それより低い。 下降後一定、または下降後緩下降。現在の気圧は 3 時間前の気圧 より低い。 一定後下降、または上昇後下降、または下降後急下降。現在の気 圧は 3 時間前の気圧より低い。 総評:6 点は取るべき! 観測の知識関連においてここ数年では珍しく 10 点の配点と大きかった。しか もこれまでの過去問では問われたことが無いレアな観測である。おそらく、② と④をミスした受験生は多数であろう。ここでは 6 点得られたら問題ない。気 象マニアまたは観測関連の現業務従事者しか満点はいないだろう。平成 26 年度 に変わって 1 回目の実技試験でこれほど観測関連が出題されたことは近年では ない。出題制作者の変更も考えられるため観測関連の知識は総復習しておくと よい。というものが、次回はあまり出題されなかったということがよくあるの が実技試験である。あまりレアな知識にこだわっても得点効率は低いので無視 するのも手である。時間的余裕のある方はレア知識も頑張るとよい。 8 問 2 [15 点満点] 9 点以上欲しい! (1)8 点中 4 点は欲しい! ①: 図6下 日本海の前 12 時間積算降水量:+3 の+地点がどのようなじょう乱の場にあ るか、等圧線の値を含めて答える問題である。問題の聞かれたことのみ答える とい。 解答例: 1008hPa の高気圧の南縁付近 (3 点) (採点基準は問題側で指示が明確なので完全正解で 3 点だと思われる。下線部 3 つがあり主旨が同じであれば広く正解であろう。3 点欲しい。) 高気圧だから好天とは限らない。降水予想があるからには何か雲を発生させ る根拠が資料にあるはずである。 ②: 図6上 9 図8上 解答例: 沿海州を中心とした正渦度領域の南縁付近 (2 点) (採点基準は、沿海州という語句が使用していない場合は 1 点減点。大陸とい うと極東ユーラシア大陸のどこか不明なので不適。1 点は欲しい。) 日本周辺の地理知識は気象通報で使う天気図用紙を基に暗記しておく方がよ い。ここ数年は地理知識を使って答える問題が連続している。 問題は、降水域に伴う 700hPa の湿潤域について、渦度のとの対応を聞いて いる。単に湿潤域全体ではないことに注意する。国語に試験と考え問題文をよ く把握することが重要。 ③: 10 降水に関するトラフは前ページ下図左に赤の二重ラインで表示した。降水に 関するトラフとは降水が予想されている付近を見ればよい。トラフの解析自体 は多少難易度が高いと思われる。 一方、温度場の谷は-12℃および-9℃の谷が、系統的に方位性も一致してい るのでこれらの谷のことをいう。前ページ下図右の赤ラインで表示した。‐9℃ に関しては赤ラインの少し西側 300km 付近にも等温線の谷が見られる。 降水域が前 12 時間積算降水量であることを考えると、図 3 上の初期時から 12 時間後の図 8 上にかけて、温度場の谷=寒気場が通過したと考えられる。 見解:初心者は理解できなくても構いません 850hPa の下層ではこの期間において同様に寒気場である。よくみると降水域 の直ぐに南は初期時の図 4 や 12 時間予想図の図 8 下で、12℃と 15℃の等温線 が密になって南北の水平温度傾度が大きくなっており、明瞭な前線帯と言えな くもない。 南の暖気が北からの寒気の上に滑昇して雲が生じ、弱い降水域を生じたと思 われる。明瞭な状況ではないために出題にはなっていない。もちろん、それだ けを断定的には言えず、500hPa のトラフや寒気の影響で不安定性降水を生じた 可能性もあるが、下層の 850hPa で寒気場であること、地表面がこの時期でも 比較的海面水温が低い沿海州近海であることを踏まえると決定打に乏しい。 解答例: 高度場の谷の前方に温度場の谷が位置している。(3 点) (採点基準:主旨が同義なら広く正解) 補足: 高度場のトラフに対して、温度場の谷が先行する場合は、高度場のトラフは これ以降浅くなって解消傾向となる。勿論、位置関係が逆の場合では、トラフ も深まっていくことになる。知識を知っておけば十分である。 総評: ①は正解すべき。②は沿海州が出てくるかどうか。③は降水域に対応したト ラフの位置が解るかどうかである。①と②は正解したい。 11 (2)7 点中 5 点以上は欲しい! 24 時間予想図を用いて、700hPa の湿潤域予想図に地上前線の位置を作図す る問題である。参照する資料が限定的であるために、あまり細かい観点で作図 解析を行っても意味が無い部分もある。850hPa の相当温位予想図が存在しない ので誤差もやや出やすい。前線位置や前線波動などを中心に解析するとよい。 第一段階:図 7 下:24 時間予想図 帯状の降水予想域・700hPa の飛び飛びの湿潤域を参考にしただけでも上図の 前線位置が作図できる。地上予想天気図において前線上の L 記号部分は前線波 動を作りやすい。L 付近の 700hPa の上昇流の極大域との対応が明瞭で、降水予 想極大域にも対応が見られる場合は、前線波動を与えたい。下図の A、B、C 域 をそれぞれ見る。 第二段階:図 7 下:24 時間予想図 ○東シナ海の L 付近は、700hPa の上昇流の極大域は見られない。 ○A 領域は、上昇流の極大域に近く降水予想極大域にある。 ○B 領域は、L の直ぐ前面に上昇流の極大域があり予想降水極大域。 ○C 領域は、L の直ぐ前面に上昇流の極大域があり予想降水極大域。 12 波動無 波動有 波動有 波動有 最後に前線記号であるが、図 9 下 850hPa の温度場と風の予想から該当の前 線位置の北側数百 km 以内を見ると、目立った暖気・寒気移流は見られず、停 滞前線を解析して記号で作図すれば 2 点加点となる。(推定) 解答例: (7 点) 採点: 前線位置は南北概ね 0.5 度以内ずつは許容範囲と思われる。これで 2 点加点。 但し、東シナ海と日本海さらに日本の東海上に表示された地上 L 部分を通るこ とは重要で且つ波動表現がある。これら 3 か所で 1 点×3 点の加点であろう。 補足: 今回の前線解析は 3 か所の地上予想図における L 記号、およびこれらを通る 帯状の降水予想域が大いに参考になった。なお、揚子江付近の L 記号付近は降 水予想もなく、初期時で 18℃の等温線付近に前線がほぼ対応していたことを、 受け継ぐ(連続性)として考慮すると前線上の L ではないと判断する。 総評: 前線解析自体は基礎的な事例である。7 点中 5 点以上は得点したい。 13 問 3 [63 点満点] 45 点は欲しい! (1)5 点中 2 点は欲しい! お手持ちの問題資料図 10(エマグラム資料)を参照下さい。 900hPa から 700hPa において気温の状態曲線の傾きは、ほぼ湿潤断熱減線と乾 燥断熱線と間(乾燥断熱減率>気温減率>湿潤断熱減率)であり、条件付き不 安定な成層状態である。 ①:条件付き不安定 (2 点) ②:雲頂高度:330hPa(3 点)図は社団法人:気象業支援センター問題図引用 ■は、気温の状態曲線と交差する所を意味する ●は、持ち上げ凝結高度を意味する 14 問題は 10hPa 刻みで雲頂高度(平衡高度)を求めている。まず、先の尖った 鉛筆は必須である。視力の弱い方は大きな虫眼鏡も必須である。定規で計測す るにしても 0.5m 単位のほうが望ましい。計測する線も線の太さを考慮して中央 を読み取るようにしたい。 (神経質な作業問題なので有る程度の割合で正解とな らない状況は想定する。ここばかり時間をかけても仕方ないので一発で解答し たい) 900hPa の空気塊を 800hPa まで強制上昇(断熱的に持ち上げる)させ、持ち 上げた空気塊が観測された気温の状態曲線と 2 回目に交差する高度を平衡高度 と呼び、対流性の雲の雲頂高度に対応する。 上図は高度 P にある空気塊を断熱的に持ち上げた場合において、Z で持ち上 げ凝結高度、Q で平衡高度(雲頂高度)になっている。黒矢印の軌跡を辿ると よい。要は SSI を求める作業と基本的に同じである。 なお、持ち上げるとき、観測された気温の状態曲線に対して 1 度目の交差は 自由対流高度、2 度目の交差では平衡高度(雲頂高度)を意味する。 今回の出題事例の算出方法: 1:900hPa の露点温度から等飽和混合比線の補助線を引く。(緑線) 2:900hPa の気温から乾燥断熱変線に平行に補助線を引く。(青線) 3:緑線と青線の交点が持ち上げ凝結高度である。 4:持ち上げ凝結高度からとりあえず 300hPa まで湿潤断熱線に沿って持ち上 げる。 4 の作業の詳細は次のページへ・・・ 15 P13 のエマグラムには、持ち上げ凝結高度に A 高度に●が表示されている。 A 高度において、●の直ぐ左側と直ぐ右側の湿潤断熱線間を黒太線で精密に引 く。なお、線の太さも気になるので黒太線の下端部を定規で 0.5mm 単位計測す る。 2 つの湿潤断熱線間の長さ P-R とその線上の Q 地点までの長さ P-Q の長さの 比を求め、その比は 300hPa でも変わらないという前提で計算する。 当方のプリンタで印刷すると(個々の印刷で長さは一致しないこともあるの で、数値は少し相違があるがそれでも結果は同じ)次のようになった。 5:P-R の下端(14 パージの図を用いる)の水色線部の長さは 10mm、P-Q の長さは 4mm、一方 300hPa の B 太線の下端(14 ページの図を用いる)の 長さは、21mm であった。300hPa まで持ち上げた空気塊の位置をここで S とすれば、次の比例式が成り立つ。 16 比例式: (P-R):(P-Q)=(B の長さ):(B 太線の左地点から S までの長さ) 10mm:4mm =21mm:x・・・・・xは B の左地点から S までの長さ 単位は省略して、 10x =84 x =8.4・・・・・・・S の位置は B の左地点から 8.4mm の位置と算出! これで S 地点が求められた。 後は、左側の湿潤断熱線の方が近いので、概ね左側の湿潤断熱線に沿った感 じで湿潤断熱線(ピンクの線)を引く。そすると、約 330hPa で気温の状態曲 線と 2 度目の交差する高度が解る。これが雲頂高度に該当する。今回は 300hPa まで持ち上げたとき、平衡高度もそれに近いので後はフリーハンドで●地点を 求めても誤差は出にくい。 同じ問題であれば事例によって平衡高度は異なるので、なるべく平衡高度に 近い等圧面高度を決め、そこまで精密に持ち上げることが一番大切なポイント である。その後はアナログ的にフリーハンドで平衡高度を求める。 総評: (1)の正解は①はすべきである。②は限られた時間で精度の高い作業です から手法が解っていても 330hPa と一致させるのは結構ハードルがあるような 気がする。合格した方々でも正解率は半分以下ではないかと思う。よって、 (1) は 2 点取ればよいだろう。 17 (2)16 点中 10 点は欲しい! ①:お手持ちの図 10 を参照して下さい。 低圧部とは、高さ(気圧)の同じ面で、周囲よりも気圧(高度)が低く循環 が弱くて、中心が特定できないところ。 気圧の谷とは、高圧部と高圧部の間の気圧の低い所。と気象用語で定義され ている。 正式な解答例は、社団法人:気象業務支援センターによれば・・・ 解答例: 低圧部の東端 (2 点) となっているが、多くの方々は気圧の谷の所と解答したと思われる。 採点基準は、大きく見れば気圧の谷でも良いと思うが、細かく東端部のみを 見れば気圧の谷や尾根も混在しており、不正解と扱われる場合もあり得る。一 応、気象用語を使って解答例を出していることを踏まえると、気圧の谷は厳し く不正解として留めておきたい。ただ、平均点で合格基準を決めるので多くが 正解できない問題では致命傷にはならないので安心してほしい。 ②:お手持ちの図 10 を参照して下さい。 この手の記述は多くの受験生が苦手とする問題かもしれない。原則的に見た ままありのままレポートすることがポイントである。満点を取れずとも 7 割以 上得点できればよい。 強雨域 A の形状の変化と移動の状況:20 字程度 (合計 2 点) 形状:団塊状からコンマ状に変化 1 点加点 移動:東北東進した 1 点加点 強雨域 B の形状の変化と移動の状況:20 字程度 形状:帯状へ大きく伸び広がった 1 点加点 移動:概ね南東進した 1 点加点 (合計 3 点) 正式解答例は、これに方位性を加えていた(西南西から東北東に)1 点加点 強雨域 C の形状の変化と移動の状況:25 字程度 (合計 3 点) 形状:帯状に多少伸びた 1 点加点 移動:ほぼ停滞している 1 点加点 正式解答例は、これに方位性を加えていた(西南西から東北東に)1 点加点 18 総評と対策: ここの採点は、移動部分が正解ならその部分は点が貰えるはずである。A、B、 C の 3 つで 8 点だが、4 点以上取れたらよいだろう。B と C の正式解答例は強 雨域の方位性も記述に加えている。帯状等の場合は方位性も加えて記述する習 慣を付けると今後の試験に生かせると思う。仮に文字数が 10 字程度超過しても 採点上全く問題ない。 気象予報士試験は、将来の同種の問題解答において今度は方位性が含まれて いない解答例を発表したということはザラなので、1 つの解答手法の枠組みに決 められないのが実技試験なのである。ならば敢えて帯状などの場合は方位性を 常時付けて解答することが対策になる。 ③:強雨域 B について 問題文から、北緯 34.0 度から北緯 33.4 度へ 2 時間で南下する点が与えられ ているので、速度を出すのは容易である。緯度線間隔の場合は地球上どこでも 長さ(距離)は等しいと見なすのが気象予報士試験レベルなので、緯度 1.0 の距 離をまずは求める。緯度 1 度間隔の距離は、1 度の距離が 60 海里だから 1.852km ×60 である。 2 時間で南下した緯度は 34.0 度‐33.4 度=0.6 度である。・・・ア よって、1.852km×60×0.6 で南下距離が求められる。答えは、66.672km で ある。時速 km/h を求めるには、2 で割ればいいので 33.336km となり、少数第 1 位まで求めると 33.3km を 1 時間で南下したことになる。3 点は欲しい。 ゆえに 33.3km/h(3 点) 次に、下線部アより 2 時間で緯度 0.6 度南下することが解っている。14 日 4 時で北緯 33.4 度にあり、牛深の北緯 32.2 度とは緯度差が 1.2 度である。 2 時間で 0.6 度の南下だから、1.2 度南下するには倍の 4 時間かかる。よって牛 深では 14 日 4 時から 4 時間後の 8 時 00 分頃で雨が最も強まると補外予測する ことが可能である。8 時 00 分(3 点) 計算式の場合は、前問から 1 時間当たりの緯度南下を求める (0.6 度/2h)=0.3 度/h 次に、4 時の緯度北緯 33.4 度と牛深 32.2 度との緯度差 1.2 度から、何時間で 牛深に到達するか求めると(1.2 度/0.3 度/h)=4.0h となる。 19 4.0h は、60 分×4.0 だから 240 分となって、240 分後に牛深に到達する。 4 時 00 分→240 分後=8 時 00 分・・・答 総評: いつもは距離を計測してから計算させることが多いタイプの問題である。今 回は純粋な中学レベルの計算問題である。落ち着いて一発で答えを出して欲し い。ここは 6 点欲しい。 (3)19 点中 12 点は欲しい 相当温位に関する本質的な問題である。本試験で何度も類似の出題が繰り返 されている。当会の実技 A コース通信講座で学習した方は余裕で解析論述でき ると思う。 (少し宣伝 汗) ①: 図は社団法人:気象業支援センター問題図引用 20 ここは多少迷う問題である。着眼を相当温位 345K にするか 360K にするかで 記述が大きく変わる。できれば問題側で 360K 以上の状況と 345K 以上の状況を 分けて解答させる配慮があれば理想だと思う。 ただ、大枠で問題の主旨が、強い降水をもたらしている背景を考えるものだ から、相当温位はなるべく高い値に着目し、暖湿な空気の流入状況を主旨に記 述すればよい。 解答例: 950hPa 付近において相当温位 360K 以上の暖湿な空気が強い南西風で流入。 (4 点) 採点基準: 950hPa 付近(より下層、あるいは概ね 925hPa より下層)に着目しているか どうか。相当温位が 360K 以上と記述。空気の性質として暖湿あるいは高温多 湿という記述。さらに風向の明示などあれば満点であろう。 あるいは、準解答として、 「850(840)hPa 付近から下層に相当温位 345K 以 上の暖湿な空気が 20kt~40kt の南西風で流入。」も良いのではないかと思う。 このように記述した受験生は多いと思うので準正解として扱われている可能性 も十分ある。これは一応、教科書的には暖候期 340(342)K 以上相当温位の空 気が下層に入ると大雨のポテンシャルが高まると言われているからである。 できれば正解して 4 点欲しい。 ②: 北緯 34 度以南の風と気圧の特徴を述べる問題である。概ね相対的に下層ほど 南西風の風速が強くなっている。最も風速が強いのは 950hPa で 40kt である。 梅雨の場合は、梅雨前線の南側でときに下層の風速が強くなる場合が比較的 見られる。 (50kt 以上であれば下層ジェットと言われることもある)下層で相当 温位が非常に高くて風も強ければ、それだけ多量水蒸気の輸送率が高くなり、 積雲対流によって水蒸気を凝結して降水として失っても、水蒸気の補給率が高 いので強い降水系を維持することができる。このような理論から断面図におい て下層の風の状況に着目することがセオリーである。問題では気圧も示せとあ るので、最も風の強い気圧面を書きたい。十分な実技学習の経験があってこそ 求める題意が推測できる問といえる。 21 解答例: 概ね下層ほど風速が強く、950hPa で最大 40kt となっている。 (4 点) 採点基準: 風速のみの鉛直分布の特徴を求めているので風向は不要。下線部 1 つで 2 点 の加点と思われる。但し、間違った見解を含むときは 0 点とする。ここは、で きれば 2 点欲しい。 ③:950hPa から 700hPa 間の平均的な温度移流 異なる等圧面間の大気層において、上層ほど風向が時計回りに変化している 場合は、そこで暖気移流がある。これは学科一般知識の内容である。根拠はこ こでは省略するがテキストの温度風概念やホドグラフ当たりを間違った方は復 習して欲しい。 解答例: 上層に向かって風向が時計回りに変わり暖気移流である。(4 点) 採点基準: 暖気移流がある、だけでは 0 点である。根拠も明示しないと不可。但し、上 層に向かって~という記述が必須である。ここは正解すべき問題です。落とす と他の受験生に追い越されるであろう。4 点は欲しい。 ④:良い問題である 超重要理解事項! 学科一般知識で、ある空気塊を上昇させても飽和・不飽和に関わらず相当温 位は保存されると学んだ。 空気の運動が鉛直方向に卓越しているときは、理論上は相当温位が変わらな いまま上昇や下降という運動をする。実際は完全に鉛直上向きや下向きに運動 することは殆ど無く、上昇しながらも多少は水平方向に流されたり、空気塊が 外部との空気と少しは混ざったりする(完全に外部と断熱というわけではない) ことで、完全の相当温位が変わらないまま上昇するということは考えにくい。 それでもほぼ相当温位が保存されて上昇するという理論は大いに通用する。 22 断面図において、等相当温位線が横に層を成している領域は空気塊の運動は 静止しているかあるいは水平運動が起きているかである。一方、相当温位線が 縦方向に(概ね)走向している領域では、空気塊の上昇あるいは上昇や下降の 対流活動が卓越している領域である。 この問題は、空気塊の上昇による断熱変化に関して相当温位の保存性がある ことを、図で理解確認させて、大気の卓越する運動(水平運動・鉛直運動)を 考察させる良問である。過去に何度も繰り返し出題されている。 断面図の大気の運動を主に水平成分、主に鉛直成分の 2 種で考えてみる。 ここで 345K 以上の相当温位を暖湿空気と考える。図 11 上から強雨域は X- Y 線分上の北緯 34 度~35 度内に位置し、ここに雲が存在すると考える。 すると、断面図では 34 度を超えて北になると、相当温位線が水平方向から鉛直 方向に走向の主たる向きが大きく変わる。太赤矢印は、暖湿空気の移動を水平 成分と鉛直上向き成分にして表示した。 矢羽の南西風は風なので主に水平運動、鉛直成分は上向き矢印なので上昇流 ということ。上昇流の所でも風は吹いているのは当然だが、鉛直運動が卓越し ているといえよう。なぜなら相当温位の鉛直傾度は相当温位線が直立気味なの で小さく、保存性がみられるため 23 解答例: 南西から流入する高相当温位の暖湿空気の先端域 (5 点) 採点基準: 問題では暖湿空気が流入する方向を求めています。風向ではありませんから 南西から流入と記述すべきです。ところで近年は「高相当温位の空気」が入る という記述が目立ったのだが、厳格に高相当温位の暖湿空気と相当温位が高い ことの内訳として、高温と湿っているという性質を厳格に記述した解答例にな っている。本来はこれが正確な記述なのです。なんとなく実技 1 の問題と解答 例を見ていると、過去の試験出題者の方に問題制作の順番が戻ってきたのかな と思う感じもする。今後の問題を見たい。暖湿空気が無い場合は 1 点減点とす る。 問題自体は難しくはありませんが、おそらく正解率は低いと思うのでここは 0 点を考えます。 空気が水運動で移動していたのに、その空気の後方をさらに空気が南西風と いう水平運動でやってくる。先端部の空気が相当温位の保存性から水平運動を していない根拠を見つけたら、先端部の空気は下層大気だから域場を考えると 上昇する他ないと思う。 ⑤:面白い問題 輝度温度とは、気象衛星赤外画像で観測した雲頂表面の輝度から解析評価さ れた雲頂温度と考える。図 12 上から最も低い輝度温度は、約‐65℃である。 次に図 10 の気温の状態曲線を見ると、‐65℃となる気圧は 150hPa 付近である。 福岡付近では雲頂高度が 150hPa 付近にあると判断できる。ただ、300hPa 付近 は湿数が大きく乾いているので、素直に下層から 150hPa まで積乱雲が存在し ていると解釈はしない。積乱雲の雲頂のさらに上層に別の雲が重なっている状 態だと思われる。 解答:150(hPa)・・・(2 点) ここは正解すべきである。2 点欲しい。 24 (4)12 点中 12 点欲しい ②: (平坦地)大雨警報 1 時間雨量基準 長崎市: 70mm 佐賀市: 60mm 熊本市: 70mm 大雨注意報 1 時間雨量基準 40mm 40mm 40mm 図 13 から判断:警報・注意報・無 長崎市:すべての期間で 40mm 未満だから、警報・注意報基準に該当せず 佐賀市:4 時か 5 時に 70mm その他は 40mm 未満だから、警報のみ 熊本市:7 時から時に 55mm その他は 40mm 未満だから、注意報のみ 解答: 長崎は無(1 点) 佐賀は警(1 点) 熊本は注(1 点) 1 時間雨量は、前 1 時間雨量なので、佐賀は 5 時に 70mm、(2 つ正解 1 点) 熊本は 8 時に 55mm、 (2 つ正解 1 点) 採点基準: 小学高学年なら普通に正解できるレベルの問題である。満点は当然である。 佐賀と長崎ははじめの警報と注意報の判断が正解時に、時間と雨量を同時採点 して正解(完全正解)なら 1 点とする。当然 5 点欲しい。 ②:地理の問題 最近は気象でよく使う地理の知識に関する問題も定着気味である。小学で学 んだ知識を再確認しておいて下さい。ここでは敢えて県名は表示しません。自 分で検索して覚えて下さい。 竜巻の可能性があるとは発生確度 1 以上をいう。 発生確度 1:竜巻などの激しい突風が発生する可能性がある。 発生確度 2:竜巻などの激しい突風が発生する可能性があり注意が必要。 (確度 1 より確度 2 の方が、発生のおそれが高い) 竜巻の発生のおそれのある県名:長崎・佐賀・福岡・熊本・大分 (各 1 点×5) 25 雷について問題は、落雷の可能性が大きいと予想されている県名を求めてい る。雷ナウキャストの凡例を見ると、活動度 2 以上に該当する。 落雷の可能性が大きい県名:大分・熊本 (各 1 点×2) 採点基準: 正解した県名1つにつき 1 点ずつ加点する。ここは 7 点満点欲しい。合格基 準が 65%だとすれば、このような簡単な問題はノーミスで稼ぐことが重要。合 格する人は取れる問題はきっちり正解を重ね総得点 70 点前後に達する方が大半 である。見た目難問・やや難問などは合格者でも正解率はかなり低いことここ 10 年年ほどの現状である。(採点依頼の結果かを踏まえ) (5)11 点中 9 点は欲しい ウィンドプロファイラの観測資料に関する出題である。問題では強い雨とい う語句を使っているが、厳格な数値の表示は無く抽象的である。このような場 合は細かく考えても無意味なので、相対的に強い弱いという判断で十分である。 お手持ちのウィンドプロファイラ観測資料図 15 を参照して欲しい。 熊本で強い雨が降り始めた時間(10 分刻み) ウィンドプロファイラ観測の電波は、降水粒子が存在しているときはその落 下速度を観測してしまう。 地表付近から高度 3km あたりを大きな視点で見ると、5 時 50 分以降明らか に下降速度が大きい。それ以前では目立った下降域は観測されていないので、 連続性の喪失を重視する。 5 時から 10 分毎に地表付近を見ていくと、突然 5 時 40 分から大きな下降速 度を観測し、大きな降水粒子の落下速度を観測しはじめたと思われる。 しかし、5 時 40 分ではごく地表付近一部のみ大きな下降速度であることか、 5 時 50 分と判断する方が信頼性は高いと考える。3 点は欲しい。 解答:5 時 50 分と判断 (3 点) 26 空欄問題: 矢羽の風情報は、矢羽の付け根部の情報である。まず、これを再確認したい。 ①:南西(体感的に瞬時に 16 方位判断できる状態にすべき) 3km 以下の風と問題では断っているので、南西風が最も卓越している状況か ら南西の風となる。高度 1km 付近の 50kt の風自体は南南西の風だと思う。50kt の風向を読んだ人は問題の配慮による影響などだから 1 点位のロスは仕方ない と割り切ろう。 ②:50(ノット) 6 時において、3km 以下の下層では高度 1km 付近に 50kt の南南西の風が観 測されている。高度 1km で時速 100km 程度の速度だから空を見上げれば、低 い雲低部の雲の動きがとても速く感じるであろう。 ③:40(ノット) 高度 1km 付近で 6 時 00 分~6 時 10 分に 50kt の風速は、その後は 40kt で推 移している。 ④:エ 鉛直速度とは鉛直 P 速度とは異なる。鉛直速度 m/s は負の値が下降流である。 まず、ここに注意したい。(鉛直 P 速度は負の値が上昇流) 地上の降水強度を推察するには、1km 付近の鉛直速度を見ると対応が良いと されている。高度 1km 付近で青色が濃い部分を見ると、概ね 7 時半~8 時半で ある。 ⑤:西 高度 2km~3km において、9 時以降は西風に変化している。例えば高度 2km で 8 時頃は付近の矢羽から強い南西風であるが、同高度の 9 時には風速も弱ま り西風に変化している。この変化する期間の強雨域の伴う風の水平大きなシア 域(風の水平シアライン)が熊本を南下したと解釈できる。要は、強雨域が北 から南に熊本を通過した前提があるから、南北断面図と解釈できるということ である。 但し高度 3k 以下をここではいう。中上層の大気の流れは断定的に言えないた め。 27 ⑥:南 強雨域は南下するという前提である。強雨がはじまったのは大きく見れば 6 時少し前なので、6 時頃と言えなくもない。強雨域の南端が熊本にかかり始めた 時刻も 6 時頃に対応する。 ⑦:収束 強雨域の南端で最も風強く高度 1km では南南西の風 50kt が観測されている。 強雨域が熊本を南下して北縁から抜けると相対的に弱い西風に変わっている。 ⑧:上昇流 前空欄が下層の収束だから、次はオートマチックに上昇流となる。行き場の 無い空は下層では上昇する他ない。風の収束は強い上昇流に直結する。 採点:各 1 点×8=11 点 総評: 6 問は正解したい。6 点は欲しい。問題文が丁寧に展開を誘導しているので正 確に知識があれば解答できると思う。 28 最後に実技 1 の感想を簡潔に述べます。第 39 回~第 41 回試験と比べると難 易度は低くなっていると思う。70 点以上得点することはしっかりと学習すれば 十分取れる問題が多い。特に、問 1 と問 3(4)以降は基礎的な問題が多く正解 率 80%を超えた人も多いと思う。取れる問題で満点に近い得点率を稼ぎ、何を 記述したらよいのか迷う問題では部分点だけでも狙う感じでも合格は余裕であ る。じっくり復習して今後に活かして頂ければ幸いである。 (一部、誤字脱字存在の場合はご容赦下さいませ。気象予報士試験受験支援会 荒山) 29
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