環境中性子スペクトルの Unfolding 解析 2015.8.31@第4回 B02班若手研究会 早稲田大学 修士1年 鈴木優飛 暗黒物質探索における背景事象 1/12 背景事象:環境放射線(γ, neutron, …) ガンマ線:電子反跳 DM, 中性子:原子核反跳 電子反跳事象と原子核反跳事象の アルゴンシンチレーション光 PSDにより、原子核反跳と電子反跳の区別が可能。 DM と中性子の区別は難しい 中性子と原子核の反応 2/12 θ=0 θ = 30 θ = 45 θ = 60 ・Enr : 反跳原子核のエネルギー ・En : 入射中性子のエネルギー ・A : 質量数 ・θ : 反跳角 DM の信号領域(反跳原子核エネルギー:数十keV)に、 数MeVの中性子による原子核反跳事象がBGとして現れる。 どのエネルギー領域にどれだけの中性子が 存在するのかの理解が重要 中性子エネルギースペクトル 3/12 • 1/E 則 – 中性子のエネルギースペクトルは1/Eに比例する。 • EXPACS(Excel-based Program for calculating Atmospheric Cosmic-ray Spectrum) – 周辺条件、高度などのパラメータを設定することで、大気中の任意の地点における 宇宙線由来の中性子スペクトルを計算できるプログラム[1] 。 1/E則(東大本郷での測定結果[2]を用いて規格化) EXPACS(地表) 中性子スペクトルはモデルや 測定場所によって不定性があり、 実際の実験場所での正確な測定が必要 [1] http://phits.jaea.go.jp/expacs/jpn.html [2]大谷航, 暗黒物質探索および二重ベータ崩壊実験のためのボロメーター開発 , 修士論文, 東京大学 (1994) Unfolding 4/12 測定されるスペクトル:中性子スペクトルと応答関数の畳み込み 測定スペクトル 左式を行列で書いた場合 応答関数 中性子スペクトル Unfolding:上の式から を求めること。逆問題の解法。 Unfolding 測定可能な量 Folding 本当に知りたいもの Unfolding 解析手法 5/12 今回、Unfolding 解析には GRAVEL Method[3] を用いる。 GRAVEL Method では を初期関数として適当に定め、そこから を求め、iteration を繰り返すことによって 徐々に真の中性子スペクトルに近づいていく。 :k 回 iteration を繰り返した後の中性子スペクトルの j 番目の Bin :測定スペクトルの i 番目の Bin : の統計誤差 :応答関数 :Weight Factor [3] arXiv : 1311.7293 解析手法の確立 6/12 MC を用いた Unfolding Test 中性子スペクトル 、応答関数 を適当に定義。そこから測定スペクトルを作成 中性子スペクトル 応答関数 測定スペクトル 今度は逆に、測定スペクトルと応答関数から中性子スペクトルが再現できるかを GRAVEL Method を用いた Unfolding で試す。 中性子スペクトルの初期関数 は定数関数とした。 Unfolding 結果 7/12 中性子スペクトル Unfolding スペクトル (k=1) 応答関数 Unfolding スペクトル (k=5) … Unfolding スペクトル (k=60) iteration 回数 = k Recoil Energy [MeV] 5 [MeV] 以上の領域で合っていない 生成した中性子スペクトルのエネルギー範囲:0 ∼ 100 MeV 100 MeV 以上の中性子が 10 MeV 以下の原子核反跳を 生み出した場合をカウントできていない。 中性子スペクトル依存性 8/12 応答関数の形はそのまま、中性子スペクトルの形のみ変更した。 変更後の中性子スペクトルの形:三角関数 中性子スペクトル 測定スペクトル Recoil Energy [MeV] この場合は中性子のスペクトルがエネルギー増加に伴って減少しないため、 前ページで述べた現象の影響が顕著に現れる。 応答関数依存性 9/12 応答関数の形を変え、 Recoil Energy / Neutron Energy が 0 付近で 0 に なるように Gaussian ( mean : 0.7 , sigma : 0.2)とした。 中性子スペクトル 応答関数 Recoil Energy [MeV] 5 MeV 以上でも Unfolding スペクトルと中性子スペクトルが よく一致しているように見える。 実際の応答関数を得たときに、どのエネルギー範囲まで Unfolding を行うべきかを 考察・決定しなければならない。 iteration 回数と関数の収束性 iteration を何回行うべきか χ2/n の値をみて判定 Unfolding スペクトルが収束したら、χ2/n は 1 に収束 5 ∼ 10 MeV の範囲で χ2/n を算出したもの 0.5 ∼ 10 MeV の範囲で χ2/n を算出したもの どの範囲で χ2/n を求めるかによって、収束する値が異なる。 iteration 回数 60回 程度で χ2/n の値が収束しているので、 今回は iteration 回数を 60回 とした。 10/12 Re-Folding 11/12 Re-Folding : Unfolding スペクトルを Folding したもの 測定スペクトル + Re‒Folding スペクトル 0 ∼ 10 MeV の範囲で χ2/n を算出したもの χ2/n の振る舞いがおかしい Re-Folding スペクトル 測定スペクトル 最初のほうの Bin で Folding が うまくいっていないのが原因で χ2/n の値が大きな値になる。 Bin 幅を変えれば改善する可能性あり。 今後の展望 12/12 ・MC を用いた Unfolding 応答関数依存性 Unfolding をどのエネルギー範囲まで行うか 適切な Bin 幅 χ2 に関する考察 ・実際の測定に向けて 液シンの応答関数(シミュレーション) 252Cf を用いた TOF データの Unfolding ・環境中性子スペクトルを求める 液シンでのγ/n の分離 環境 BG 測定 次の菊地トーク
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