3-第1-A①-6 一般演題 9月3日(木) 13:00∼14:00 第1会場 パシフィコ横浜 会議センター3階 301+302 全般的なケア① [座長]鈴木 マリ子(介護老人保健施設梅の木) 第1群:101 入所 第2群:203 一般的検討(意義・必要性・変化・効果・比較) 第3群:A3304 全般的なケア チームケア 多職種連携を目指して 情報共有シートの活用 介護老人保健施設 なんぶ幸朋苑 橋本 悠希、小原 幸照 老健でリハビリ業務に従事する中で、多職種連携でより良い方法がないか模索していた。そこでICFとFIMを活 用した情報共有シートを提案し、アンケート調査にて検証をしたので報告する。 【はじめに】 当老健で理学療法士として仕事をする上で、多職種連携でよりよい方法がないか模索していた。平成25年中四国老 健大会で多職種間の情報共有不足が示唆されたことを当施設の作業療法士が発表した。この発表をもとに「情報共有 シート(以下、共有シート)」を提案した。そこで使用されている国際生活機能分類(以下、ICF)、機能的自立度評 価表(以下、FIM)の把握が行えているか検証した上で共有シートを活用する為の取り組みを行ったので報告する。 【研究方法】 1.対象:老健4ユニットの職員20名 2.期間:平成26年10月∼平成27年1月 3.方法:アンケート調査(前期と後期) 情報共有検証を<10段階評価>と<記述>で集計した。 <10段階評価>では前期と後期の点数の差を算出した。 <記述>では6項目にカテゴリー分けし集計した。 4.取り組み 以下の取り組みの前後でアンケート調査し比較した。 a)内部研修(ICF、FIMについて) b)ミニカンファレンス(共有シート活用) 【結果】 1)ICF、FIMの認識度(図1、2) 前期より後期でICFとFIMの認識度の向上がみられた。前期では「全く知らない」、「説明困難」の回答が多かっ たが、後期では「説明可能」が増え「全く知らない」は減少した。 2)情報共有検証<10段階評価>(表1) 各項目で点数に向上があったが、「リハビリと情報共有」と「リハビリと目標設定」で向上幅が少なかった。 3)情報共有検証<記述>(表2) 記述回答を6項目にカテゴリー分けした。「ご利用者の状態把握」と「ユニット内情報共有不足」に改善がみられた。 「リハビリとの情報共有不足」も改善していたが後期に8件の同様の回答があった。「目標設定の把握」は前後で変化 がなかった。 【考察】 今回の研究ではICFとFIMの認識度を向上させるための取り組みに重点を置いた。 結果1)から認識度に向上がみられている。これは内部研修とミニカンファレンスで対象職員に説明を行ったためだ と思われる。しかし「説明可能」の回答に比べ「説明困難」が多いことから、認識度は十分ではなく、さらなる認識 度の向上が必要であると考える。継続した内部研修や共有シートを活用時にICFとFIMの説明を行っていく必要がある。 結果2)3)ではミニカンファレンスで情報共有や目標設定を行ったことで改善がみられたと考える。しかし後期に 8件の「リハビリとの情報共有不足」があった。原因として、今回ICF、FIMの認識度向上に重点を置いていたことと、 共有シートで活用されるFIMをリハビリ職員の聞き取りで行っていたことが考えられる。本来共有シートは相互に活 用できるコミュニケーションツールだが、ICFとFIMの認識度が低かったことでリハビリ職員が主体的にミニカンフ ァレンスを行う必要があった。リハビリ職員の主体的な進行で介護職員は受動的となり、意見交換が相互に行われに くかったことが考えられる。 【まとめ】 1.内部研修とミニカンファレンスを実施することでICF、FIMの認識度が向上した。認識度は向上したが「説明困難 」の回答も多いため、今後も認識度の向上に向けて内部研修とミニカンファレンスでの意識付けが必要である。 2.ミニカンファレンスで情報共有をし、目標設定を行うことで情報共有の検証結果で点数の向上や、件数の軽減がみ られた。しかし「リハビリとの情報共有不足」があげられた。ICF、FIMの認識度が向上することで相互に活用でき るコミュニケーションツールとなればより効果的にミニカンファレンスが行えると思われる。 【おわりに】 老健において理学療法士としてよりよい他職種連携を目指すには、認識度向上に多少の課題はあるものの、情報共 有シートの活用は十分価値があるものと考える。
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